2022年11月に読んだ本2022年12月05日 05時55分58秒

 初期作品集が出たというふくやまけいこの当時のコミックスを始め、引き続き懐古モードっぽい選書の月。とはいえ、ふくやまけいこのネームのうまさを改めて実感。絵もかわいくていいんだけど、演出家肌のマンガ家であることを改めて実感。

11月の読書メーター
読んだ本の数:20
読んだページ数:2164
ナイス数:85

何がジョーンに起こったか (1984年)◾️何がジョーンに起こったか (1984年)感想
★★★★
初期作品集はまだ手に取ってないのでオリジナル版。装丁が美しく、ガラー原稿はカラーで収録。今読むと「雪影」「猫町スケッチ」「地下鉄のフォール」の思わぬところで落涙…。歳を重ねると味わいが増す。執筆時の作者の年齢を考えるとミスマッチとも思えるくらいの老成感すら感じさせる。一方で、マンガを描くよろこびに満ちた若描きのタッチもいい。人生の哀感が万華鏡のように味わえる珠玉の短編集。
読了日:11月03日 著者:


萩尾望都作品集 (〔第2期〕-15) モザイク・ラセン (プチコミックス)◾️萩尾望都作品集 (〔第2期〕-15) モザイク・ラセン (プチコミックス)感想
★★★★
叙勲のニュースがあったから、というわけじゃなくて、そろそろ再読しようと思っていたのである意味タイムリー。三角ならぬ螺旋をモチーフにしたコミカル版『銀の三角』とも言うべき楽しい長編。書誌は全集版しか登録がなかったけど、これはハードカバーの刊行時に買った版で再読した。「半神」っぽいキャラクターもいる一方、あとがきで紹介される作者の愛した昔のSFドラマのようなごった煮の雰囲気もあり。原著には凝った装丁のイラストページもあるんだけど、やっぱり印刷では原画の透明感は再現できないよねえ。原画展で観れたのはまさに眼福。
読了日:11月03日 著者:萩尾 望都


夜の言葉 (サンリオSF文庫 2-H)◾️夜の言葉 (サンリオSF文庫 2-H)感想
★★★★
いやはや、いろいろなものに対する辛辣ぶりが楽しい。そして出てきたケネス・モリスとキャベル。訳した方々がもう訳したくないキャベル(笑)。自分的にはこの『夜の言葉』は30ン年積んでて今読んで正解。言及される作品そこそこ読んでるのでいろいろわかる。買ってすぐの頃じゃここまで楽しめなかったかも。文学やSFへの極端とも言える論調、スタンスも反感より共感の方が大きい。そして、ずっと一貫して「文体」を語っているのね。その視点がのちの『文体の舵をとれ』に結実するのか。
読了日:11月03日 著者:アーシュラ・K・ル=グイン


タップ君の探偵室◾️タップ君の探偵室感想
★★★
Kindleの元になったアニメージュコミックススペシャルの紙のコミックスにて再読。とにかく動物キャラがかわいい。話のノリははちゃめちゃで『ジックヴック』のコナンマンガっぽい(笑)。この版は新装版なので、連載当時を回想したあとがき「ふくやまけいこ自作を語る」付き。そのあとがきのページのカットは初出がJUNEなんだけど、本編より絵本っぽい動物がまたいい。
読了日:11月04日 著者:ふくやまけいこ


辺境の惑星 (サンリオSF文庫)◾️辺境の惑星 (サンリオSF文庫)感想
★★★☆
サンリオSF文庫2-Aであるル=グインの初期長編。若書きと自分でも言ってるくらいだが、遠い異星で土着の民族のレベルに合わせるうち、テクノロジーをほぼ失った人類が当地の異民族と交流、対立する姿をファンタジー風に描く。今読むと、さらっと語られていながらけっこう練りこまれたハイニッシュユニバースと、長楕円軌道による冬の惑星の設定をベースにシンプルな生存抗争が描かれるのが、物語としては力強さを感じる。しかしそうか、そういえば『闇の左手』も冬の物語だったな。
読了日:11月08日 著者:アーシュラ・K.ル=グイン


ライム ‐RHYME‐◾️ライム ‐RHYME‐感想
★★★★★
30ン年ぶりくらいの再読だろうか。正方形に近い絵本っぽい装丁に一目惚れして衝動買いした一冊。マッドサイエンティストのBFが作ったコウモリスーツで女の子が空を飛ぶ表題作、鬱屈に沈む主人公の心の動きを丁寧に描く「映画館に続く道」、ほぼファンタジー絵本な「砂漠の子」(カラーイラストの風合いが美しい)、幼稚園児が洋楽カバーライブで活躍するかあいらしい「NOISE」他、かあいい超短編いくつかとアニメージュのネタイラストなどがごった煮になっているのも楽しい。マンガ図書館Zに電子版もあるらしいがこの紙の版で読みたい。
読了日:11月08日 著者:ふくやまけいこ


淡島百景 1◾️淡島百景 1感想
★★★☆
陽性の『かげきしょうじょ!!』とは対照的な落ちついた作風で「歌劇団」の養成学校にまつわる群像劇を描くシリーズ。それでも、過去は消せない中で生きていく、あるいはこの社会の中で「普通」に生きる息苦しさなどの要素は通底しているようにも思う。そういったテーマを描くのに同性だけの世界である「歌劇団」は舞台装置としてうまく機能するのかもしれない。1巻ラストの歌劇ファンの男性たちにはうなずくものがある。
読了日:11月13日 著者:志村 貴子


ルッキオとフリフリ はじめてのクリスマス (講談社の創作絵本)★★★
ルッキオとフリフリ はじめてのクリスマス (講談社の創作絵本)
感想
再読してみたら、内容をすっかり忘れていて二度楽しめた(笑)。サンタさん、ありがとう…
読了日:11月13日 著者:庄野 ナホコ


クリスマスのおかいもの (講談社の創作絵本)◾️クリスマスのおかいもの (講談社の創作絵本)感想
★★★☆
こちらも再読。サンタさんありがとう…
読了日:11月13日 著者:たしろ ちさと


ねことことり◾️ねことことり感想
★★★☆
運ばれてくる木の枝を束ねるのが仕事のねこの家に、小枝が欲しいということりがやってくる。細密なタッチで描かれた猫が初期にますむらひろしっぽい。季節の花も色とりどりに細密に描かれて美しい。
読了日:11月18日 著者:たての ひろし


ロカノンの世界 (ハヤカワ文庫SF)◾️ロカノンの世界 (ハヤカワ文庫SF)感想
★★★★
SFの世界観をベースに語られる神話の趣。シンプルな筋立て、テンポのいい展開。危機また危機。ほぼ40年ぶりに読んで内容は忘れ切っていたが、このシンプルな物語は40年前のSFにかぶれ始めた高校生が読むより、今読む方が物語の力を無心に味わえた。読み始めた時に思った以上に感動できた。とはいえ、この波乱万丈の物語、43歳の民俗学者(ロカノン)が挑むには厳しい試練ではある。
読了日:11月25日 著者:アーシュラ・K・ル・グィン


クリシュナのつるぎ◾️クリシュナのつるぎ感想
★★★☆
インドにクリシュナ神のおはなしのひとつをインドで暮らしたことのある親子が絵本に。1969年に出ていた絵本の復刻版(加筆あり)とのことだが、全体に「それでいいのか?」というおおらかぶり。とはいえ、物語冒頭がなんだかイエスの誕生をめぐるあれこれを思わせるあたり、そういった逸話の原型はあちこちにあったりするのだろうか。
読了日:11月25日 著者:秋野癸巨矢


あずきがゆばあさんととら◾️あずきがゆばあさんととら感想
★★★★
味のある紙人形を使った絵本。おはなしは韓国の昔話で、ばあさんを食べようとするとらをいろいろなものが連携プレーで撃退するという、日本で言えば「アレ」みたいな物語。とはいえ、あっちのあずきがゆって砂糖を使わないのであずきだけの味に塩味でいただくんだって。知らなかったよ。
読了日:11月25日 著者:パク・ユンギュ


ペロのおしごと◾️ペロのおしごと感想
★★★☆
表紙のペロの姿…なぜ二本足歩き? なぜおなかにベルト? 大好きなおかあさん(といっても犬じゃないけど)にネックレスを買ってあげるためにおしごとをさがそうと一念発起だ!? ペロを雇ってくれるみなさんのやさしさが骨身に沁みる。
読了日:11月25日 著者:樋勝 朋巳


ロザリーのひみつ指令◾️ロザリーのひみつ指令感想
★★★★
まだ5歳のロザリーのお父さんは戦場にいるらしい。お母さんは軍需工場に働きに出るため、ロザリーはお母さんが働いている間、小学校の教室の後ろで大人しくしている。そんなロザリーは実はひみつの任務に就く大尉? その任務とは? ……第一次大戦以降、こんな子どもたちは世界中にいたはずで、今も増え続けているのだろう。ラスト、任務への報酬が苦い……
読了日:11月25日 著者:ティモテ・ド・フォンベル


おさるちゃんのおしごと◾️おさるちゃんのおしごと感想
★★★☆
あれ、どこかで見たような…。ああ、せいこついんで働いていたあのおさるちゃん? 前作のペロちゃんもいっしょに、おさるちゃんのふるさとへ…。温泉入りたいなあ…
読了日:11月26日 著者:樋勝 朋巳
おいしいごはんが食べられますように★★★☆
おいしいごはんが食べられますように
感想
内勤的な職場でのいかにもな人間関係をベースに、食べるものへのスタンスの違う二人の視点人物から見た一連の出来事を交互に語っていく。そのスタンスと視点による微妙なきしみを静かにエスカレートさせていく。題材そのものには興味がない読者でも、語りと構成のスムースさにするする読んでしまうだろう、と思わせる。題材に興味がある読者からすると、普段読む/目にする/耳にするものとの乖離にささやかなきしみ/ささくれを感じる、ように書かれているんだろう。
読了日:11月26日 著者:高瀬 隼子


泡沫(みなわ)の歌 :森鷗外と星新一をつなぐひと (ホシヅル文庫 2)◾️泡沫(みなわ)の歌 :森鷗外と星新一をつなぐひと (ホシヅル文庫 2)感想
★★★★
中学の頃読みまくった星新一のエッセイでも、頭に焼き付いているのは鮭の皮を食べ損ねた幼い頃の星新一を祖母が「ヤマ、カワ」とあやしてくれた、という寸景。なるほど、あの祖母とは、こういう方であったのか。歌も文章も何とも味わい深い。あと、兄と仲のよいよい妹さんでもあったのだな。
読了日:11月29日 著者:小金井 喜美子


ロージー、いえでをする◾️ロージー、いえでをする感想
★★★☆
あかちゃんの世話に忙しいおかあさんのお手伝いのつもりで、かえって仕事を増やしてしまうおねえちゃんのロージー。思いあまっていえでをしてみたものの…。子育てあるあるなネタをやわらかいタッチで描く。とにかく絵がかあいい。
読了日:11月30日 著者:マリアン マクドナルド


ロージー、はがぬける◾️ロージー、はがぬける感想
★★★☆
抜けた乳歯にまつわる風習はところによりちがうもの。ロージーの場合は、枕の下に入れておくとコインに変わっている、というものだが、抜けた歯がきれいで、思い入れが出てしまったロージーは取っておこうとするにだが…。お話もいいけど、ロージーの使っているうさぎのスリッパがまたかあいい。
読了日:11月30日 著者:マリアン マクドナルド

読書メーター