2022年12月に読んだ本2023年01月14日 05時20分42秒

 思い入れ深いマンガ家が次々と亡くなる。先日『風の抱擁』を読んで、電子書籍で未読分を読み進めようと思っていた『超人ロック』の聖悠紀先生の訃報は(伝え聞く病状への懸念もあったとはいえ)ショックだった。そういえば、ロックらしきものを知ったのは『ホモホモセブン』の超人ヒッチだったっけ。  他、ル=グィン旧作とか、ヴァンスとか、古めのものを読み進めつつもあり。

12月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:2522
ナイス数:67

グリムのお話 (オールカラー版世界の童話 6)◾️グリムのお話 (オールカラー版世界の童話 6)感想
★★★☆
6冊目にして2回目のグリム。今回は「シンデレラひめ」「ブレーメンのおんがくたい」「おやゆびトム」「しらゆきひめ」のメジャーどころ。森やすじの挿絵が初期東映動画っぽい(色トレスっぽい手法がいい)「シンデレラ」は金の靴なのがグリム要素だけど、ペロー版の要素も入れてあると解説あり(言い伝えでは黒てんの毛皮の靴だったとの祖稿との比較解説も)。「しらゆきひめ」はななつで森に捨てられるのでリアルな挿絵もいかにも子どもっぽい。それを連れ帰る王子様は光源氏かい(笑)!? 親向けには読み聞かせ方も解説がある親切設計。
読了日:12月02日 著者:浦田 又治,浜田 廣介


アンデルセンのお話 (オールカラー版世界の童話 7)◾️アンデルセンのお話 (オールカラー版世界の童話 7)感想
★★★☆
7巻はこちらも2回目となるアンデルセン。「はくちょうのおうじ」「すずのへいたい」「ナイチンゲール」「ゆきのじょおう」だけど、半分くらいを「はくちょうのおうじ」が占めていて、先日読んだ全訳版の原典にもかなり忠実。一方、「ゆきのじょおう」は長い話をかなり端折ってる感じ。実は子供の頃「ナイチンゲール」をどの児童書版でも読んでなかったので初読でびっくり。機械仕掛けの鳥が使いすぎで壊れるとか、けっこうリアルっぽいのと、舞台が中国というのが特にびっくりポイント。解説ではアンデルセンの生涯を前の巻より詳しく紹介。
読了日:12月03日 著者:浦田 又治,高畠 華宵


日本の民話 (オールカラー版世界の童話 8)◾️日本の民話 (オールカラー版世界の童話 8)感想
★★★
日本もの。今回は民話で「つるのおんがえし」「うりこひめ」「おむすびころりん」「わらしべたろう」など8編。民間伝承されてきたもの、という点ではグリムやアンデルセンの日本版という趣きか。共通の原型の存在なども解説されていて、今の視点で読むと編者たちの力の入れ方が好もしい。あと、松本かつぢ氏のかわいらしい(今回は女の子の絵ではないけど)イラストが見れるのもポイント。
読了日:12月04日 著者:清原 ひとし,松本 かつぢ,蕗谷 虹児


幻影の都市 (1981年) (サンリオSF文庫)◾️幻影の都市 (1981年) (サンリオSF文庫)感想
★★★☆
ハイニッシュユニヴァースの世界の遠未来の地球。星間文明の時代は終わり、原住民と言うべき退行した集団が点在する世界で、あらゆる記憶も知識も人格すら破壊された男がまず人格を再形成するところから物語は始まる。『辺境の惑星』との意外なつながり、また、惑星をほとんど徒歩で往く過酷な旅の果てに、「敵」への一発逆転を図る物語構成は『ロカノンの世界』にも通じる。同じ世界とはいえ、遥かな時間を経てシリーズが語られ、文明が興り、退行し、また再興するあたりは聖悠紀の未来史あたりにも通じる要素があるかも。
読了日:12月07日 著者:アーシュラ・K.ル=グイン


福袋◾️福袋感想
★★★☆
発行はふゅーじょんぷろだくと。コミックボックスに連載していたイラストエッセイ「えんにちあいこうかい」のページ数が多いこともあり、印象が『ふくやまジックヴック』っぽい。パラパラマンガも楽しい。短編では『ウィニー・メイの夢』などが入っているけど、直前に読んだ『幻影の都市』と共通する要素があったのはすごい偶然。因みに、いわゆる「ダダをこねる」の初出の「ウルトラマンガ」もこれに収録されている。
読了日:12月09日 著者:ふくやまけいこ


レイニー通りの虹 (偕成社ファンタジーコミックス)◾️レイニー通りの虹 (偕成社ファンタジーコミックス)感想
★★★
これも久しぶりに。コミックモエ連載の全7話の連作。しがない画家の描いた想い人の絵がひょんなことからさまざまな持ち主の元をわたり歩き、ささやかな幸せを残して次の持ち主の元へ…。そしてついには…。いかにもふくやまけいこらしいほんわかしたストーリーが好もしい。
読了日:12月09日 著者:ふくやま けいこ


花よりも花の如く 21 (花とゆめコミックス)◾️花よりも花の如く 21 (花とゆめコミックス)感想
★★★☆
今年は出ないかも、と思いかけていたけど、成田美名子先生、なんと大腿骨骨折!? されていたとは…。お大事にしてください。ともあれ、ある人のルーツを求めて、仕事の遠征に合わせて調査を進める…というのは本作では過去にもあった展開だけど、今回はちょっと穏やかではない。思わせぶりな予見的な独白のラストページ。これは不穏だ。
読了日:12月11日 著者:成田 美名子


超人ロック カデット Locke The Superman Cadet (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック カデット Locke The Superman Cadet (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
『風の抱擁』を読んだので、遡ってロックとミラの出会いのエピソードを。しかし、この年代の重要人物として出てくるキャラクター、アイザックにニーヴンと、名前がアレだ(笑)。そうすると、『風の抱擁』に出てきたロバーツという名前も…?
読了日:12月11日 著者:聖 悠紀


超人ロック 星辰の門 Locke The Superman Star Gate (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック 星辰の門 Locke The Superman Star Gate (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
『カデット』からの直接の続き。前作では仮面をつけて(今回は外したまま)宇宙海賊をしていたエスパー、というのは,時代をはるかに遡る「エネセスの仮面」の変奏曲という側面がありそうに思った。星間文明が何度も興亡を繰り返しても、エスパーという存在が一般に認知されていても、異種族としての格差(差別)はなくならず、相似系の事態が現出する。単発の長編としてはサラッと読めるものの、未來史全体との対比で味わいの深まる一作。
読了日:12月11日 著者:聖 悠紀


ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ◾️ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ感想
★★★★
遅ればせながら通販で購入。現在第4刷とのこと。初出を見ると、ののちゃん他いくつかの4コマ連載に溶け込むように描かれていた、ポルトガル民謡ファドでストリートライブをする女子高生とその親友の関係性を綴った連作を描き下ろしを含め一冊に。ロカのファドをライブで本当に聴いてみたい。ラストの余韻にやられた。
読了日:12月14日 著者:いしいひさいち


すなはまのバレリーナ◾️すなはまのバレリーナ感想
★★★☆
日本にバレエが伝わった時から太平洋戦争が終わるあたりまでの時代を描いたドキュメンタリー的な絵本。国を越えて人をつなげる力についても考えさせられる。
読了日:12月17日 著者:川島京子


あの図書館の彼女たち◾️あの図書館の彼女たち感想
★★★
パリに今もあるアメリカ図書館の戦中の出来事を、そこで働いていた司書を主人公に描きこんだ長編。過去編も現代編も登場人物の行動や関係にちょっともやる箇所もあるが、過去編の要素はあの時代のパリで起こったことを描くには必要なあれこれでもあろう。その分、現代編の方は史実をベースにするわけでもないなら、もう少しなんとかならなかったのか、とか、この要素なくてもいいのでは、とか思う箇所がなくもない。
読了日:12月21日 著者:ジャネット・スケスリン・チャールズ


定本本屋図鑑◾️定本本屋図鑑感想
★★★★
本好きに刺さる一冊。今はもうなくなった本屋も含めた図鑑、業界をめぐる歴史やさまざまな考察が深い。とはいえ、本棚作りをめぐる考察は本屋だけでなく広くものづくりの現場にも当てはまる事情のような気がする。中で異色なのは図書室が荒廃していた中学でその立て直しをした中学生の自筆の一文。本好きの血脈が細々とでも続いていくことを祈ってやまない。
読了日:12月24日 著者:


のはらのおへや (ポプラ社の絵本)◾️のはらのおへや (ポプラ社の絵本)感想
★★★☆
ちょっと『となりのトトロ』を思わせる、おうちのそばのひみつの空間。ふしぎなことは取り立てておこらないけど、ほっこり読める。
読了日:12月24日 著者:みやこしあきこ


奇跡なす者たち (未来の文学)◾️奇跡なす者たち (未来の文学)感想
★★★★☆
『未来の文学』の中で、浅倉久志先生が生前収録作品と表題作の選定、「音」と「ミトル」の初訳までされていたという企画を酒井昭伸先生が引き継いで無事刊行。どの作品もエキゾチックな異星の生態系から人間とは異なる知的生命の文化までを視覚イメージの奔流で描く。皮肉やユーモアの効いたストーリーもすばらしい。個人的ベストは仮面をモチーフにしたヴェネツィア風味のヴィジュアルにミステリ要素もあり、結末まで二転三転する「月の蛾」。表題作と「最後の城」はアイデア、展開的に対になる印象だが肌触りの違う作品になっているのが見事。
読了日:12月31日 著者:ジャック・ヴァンス

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