2026年5月に読んだ本2026年06月26日 17時42分43秒

 読んだ本にもあげたけど、キース・ロバーツのオムニバス長編『カイトワールド』のファンジンが出せたので、読書ちょっと復活。とはいえ、残りの章も訳したいので、ぼちぼちマイペースで(笑)。
 トピックスは太刀掛秀子展。今回は弥生美術館に前期、中期、後期、がっつり行く!

5月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:3155
ナイス数:172

ながいながい あさごはん (ポプラ社の絵本 105)◾️ながいながい あさごはん (ポプラ社の絵本 105)感想
★★★☆
タイトルにはいろいろな含みが!? あさごはんがあさごはんを呼ぶ。「くるりが森」はちょっと昔の日本、っぽかったけど、こちらの「クルックの森」はあさごはんが洋風。どうぶつはかわいいし、たべものはいかにもおいしそう。
読了日:05月01日 著者:ボコヤマ クリタ


Kiteworld(カイトワールド)<1>カイトマスター◾️Kiteworld(カイトワールド)<1>カイトマスター感想
★★★☆
ファンジン限定版権をとって翻訳、の2作目。キース・ロバーツのポストアポカリプスもののオムニバス長編。第1章にあたる「カイトマスター」は英国SF協会賞の短編部門を受賞(長編としてはノミネート止まり)。おそらく核戦争後の世界で、技術レベルは20世紀初頭くらい。変異で生まれたらしいデーモンを怖れ限られた版図で生きる人々。宗教の教義で律された息苦しい世界で、有人カイトによる危険な監視に取り組む技術者たちとその周辺の人々の生活を活写する。まずは全8省の1-3章まで。たぶん2026年内には最後まで訳します。
読了日:05月01日 著者:キース・ロバーツ


あれは何だったんだろう (単行本)◾️あれは何だったんだろう (単行本)感想
★★★☆
もはやエッセイという域はとっくに逸脱してほぼショートショート。あいかわらず腹筋崩壊の危険物(笑)。と思うと、「夢十夜」のような味わいの掌編がたまに混じっているので油断ならない。
読了日:05月02日 著者:岸本 佐知子


成瀬は都を駆け抜ける◾️成瀬は都を駆け抜ける感想
★★★☆
なるほど。一冊目では周囲から浮いたヒロインと振り回される周囲、という構図から文芸版涼宮ハルヒというかライトノベル文脈の普通小説、という感想をメモしたけど、ここで京大をキーワードにするあの作家へのリスペクトがわかりやすいくらい(笑)。そうすると、ヒロインのズレっぷりもそっちを意識してのものだったのかも、と思えてもくる。とはいえ、そういった要素のごった煮と、過去二作のキャラクターほぼ総登場での大団円。ラストはちょっとほろり。
読了日:05月04日 著者:宮島未奈


不死の島へ (創元海外SF叢書)◾️不死の島へ (創元海外SF叢書)感想
★★★★
ドリーム・アーキペラゴ・ゼロとでもいうべき長編。作中でも主人公は自伝的小説を書いているのだが、何を書く、書かないは書く本人による。しかも、現実の自分より文字にしたものの方が自分を規定する、しかも、自伝的であって自伝ではない小説と、当初現実と思われていた世界が相互侵食していく。その相互侵食で生まれたかもしれない世界は、その世界において主人公が不死の処理を受けたことで、不死の主人公が死なない限りにおいて永続する世界になったのか? 『ドリーム・マシン』『魔法』の間にこの作品があったことは作家論的に重要では。
読了日:05月05日 著者:クリストファー・プリースト


背表紙の学校◾️背表紙の学校感想
★★★☆
脱走兵の続き。今の社会情勢の中でも最大限誠実であろうとすることについて考えさせられる。そんなフィルターなしに書き、また読者もそれをシンプルに読めるようになるといいのだけれど。
読了日:05月09日 著者:奈倉 有里


プラハの古本屋 (中公文庫 ち 9-1)◾️プラハの古本屋 (中公文庫 ち 9-1)感想
★★★★
これまさに博覧強記。スラブ学を研究するため、その研究に必要な書籍を入手するという大目的はありつつも、稀覯書の存在を探り当てて手に入れる過程そのものを楽しんでいる雰囲気が伝わってくる。あと、学会逍遥の寸景も描かれ、分野は違えどアカデミアあるある(笑)。あと、自分の素人翻訳で調べたヤナーチェクの利口な女狐の話が出てきたのには親近感。その翻訳にためにはネットで英国ジプシーの言葉まで調べたっけ。
読了日:05月09日 著者:千野 栄一


ファイブスター物語 19 (ニュータイプ100%コミックス)◾️ファイブスター物語 19 (ニュータイプ100%コミックス)感想
★★★★☆
連綿と描き継がれてきたトラフィックスの完結。ちゃんと1巻での関係性まで回収する大団円。GTM戦の展開、決着に、ある意味なんでもありのこの世界の騎士たちの闘いとしてもちゃんと驚きがあるのも、長年入り乱れたキャラクター同士の関係性がいろいろ回収されるのも感無量。この後は、連載1回分だけ雑誌で先読みしちゃった44分間の奇跡。刊行ペースも上がってるので、コミックスを待ちたい。とはいえ、回収する気あるのか疑問に思っていた読者が多そうな伏線をガンガン回収してくるな。作者も雑誌も読者もみんな粘り強い(笑)。
読了日:05月10日 著者:永野 護


まりの きみの声が 前編 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)◾️まりの きみの声が 前編 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)感想
★★★★
小学生の頃から愛読、高校生の頃にさらに深みにハマった太刀掛秀子。これは高校の美術部に先輩が持ち込んでいたりぼんに連載されていて、健在ぶりがうれしかった。紙のコミックスで再読すると、思わぬ何気ないシーンではらはらと落涙。ライバルお嬢様のポジションがいかにも昔の少女マンガっぽいけど、他の要素がどれもこれも、それを補ってあまりある。
読了日:05月11日 著者:太刀掛秀子


まりの きみの声が 後編 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)◾️まりの きみの声が 後編 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)感想
★★★★
テレビの人形劇に抜擢されて多忙になっていくまりの。才能の開花と、本当にやりたいことの間に溝が生まれていく。一方で、お互いの心をわかり合えると思ったほどの関係性でも、だからこそ相手の想い人の代わりにだけはなれないことがわかってしまう主人公善美の心情がまた切ない。それでも、それぞれの夢と道が交わっていくラストが優しい。今になって読むと、個人的ベストはこの作品かもしれない。
読了日:05月11日 著者:太刀掛秀子


ミルキーウェイ 太刀掛秀子傑作集 3 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)◾️ミルキーウェイ 太刀掛秀子傑作集 3 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)感想
★★★☆
『花ぶらんこゆれて』の原型ともいうべき中編。若い頃は設定や展開に強引さを感じたりもしたけど、今読むとしみじみといい。この時期のコミックスは紙が真っ白で、縮小されていても原画の繊細さが感じられる。キーのなる星降る湖の原画を先日観たけど、吸い込まれるようにいい。同時収録の「麦わら帽子に…」は、テーマ的に近い変奏曲とも思える短編で、カップリングとしてもいい。エバーグリーンな一冊。
読了日:05月12日 著者:太刀掛秀子


雨の降る日はそばにいて 太刀掛秀子傑作集 4 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)◾️雨の降る日はそばにいて 太刀掛秀子傑作集 4 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)感想
★★★★
高校の頃はまだこれをレジに持っていくのが恥ずかしかったものだが、買ったら宝物。何度読み返したかしれない思い入れの一冊。コマ割り、話の密度、絵の繊細さはコミックスサイズでもほれぼれする。表紙のタイトル文字のバランス、表紙イラストの麗しさもピカイチ。ストーリーが閉じた感じなのは作者も気にされていたのか、後日談もあるんだけど、まずはこの一冊を味わい尽くしたいところ。
読了日:05月15日 著者:太刀掛秀子


裏世界ピクニック10 あり得るすべての怪談 (ハヤカワ文庫JA)◾️裏世界ピクニック10 あり得るすべての怪談 (ハヤカワ文庫JA)感想
★★★
カイダンクラフトがAI的なでたらめ怪談を生成するあたりはちょっと「今」っぽい。あと、熊がこんなところまで来るのか、というあたりも。これまでで最恐と思える展開と新たな脅威を感じさせて引き。とはいえ、二人の関係がいったんはクライマックスを迎え、新刊を読んでこれまでの設定をおもいだしきれないところもあり、読者的にはちょっと惰性感が出て来たかな…
読了日:05月23日 著者:宮澤 伊織


青いオカリナ 太刀掛秀子傑作集 5 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)◾️青いオカリナ 太刀掛秀子傑作集 5 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)感想
★★★☆
欧州のとある国の革命を背景に、幼い頃に貴族の両親を殺されたヒロインと革命指導側の青年の悲恋を描く表題作と、家出少女のヒロインを軸にした『ミルキーウェイ』の変奏曲のような短編「子猫ちゃん迷子」のカップリング。表題作をこうしてみると、絵柄はともかく、物語的には乙女チックよりドラマチックで、おなじりぼんでも一条ゆかりに近い印象もある。紙でもコミックスサイズでは描線が再現しきれないけど、電子書籍では線がボケてしまって残念。
読了日:05月29日 著者:太刀掛秀子


13かいにはきょうりゅうがいる◾️13かいにはきょうりゅうがいる感想
★★★
表紙もタイトルもネタバレ!? いや、設定や展開の斜め上ぶりは、もはやネタバレとかそういう次元ではないか(笑)。最後はやさしいきょうりゅうさん。
読了日:05月29日 著者:ウェイド・ブラッドフォード


世界の果ての本屋さん◾️世界の果ての本屋さん感想
★★★
本屋さんの本をめぐる話、と思って読むと、だいぶ違う。でも、ニュージーランドで1946年生まれの女性の2020年代までの波瀾万丈の年代期は、ニュージーランドやオーストラリア、近辺の時に社会の裏までも含めた生活のオーラルヒストリー的に興味深く読める。あと、言及されている本が、知らないような本でもけっこうちゃんと日本で訳されているのも興味深かった。
読了日:05月30日 著者:ルース・ショー


モンスタ-・ホテルでインタ-ネット (どうわはともだち)◾️モンスタ-・ホテルでインタ-ネット (どうわはともだち)感想
★★★☆
これまでのシリーズと比べると、主人公、サブキャラクター、展開まで含めていろいろと異色。しかも、タイトルと内容にはあまり関連ない(笑)。それも含め異色だけど、なんだかしんみりといい。
読了日:05月31日 著者:柏葉 幸子


吉住くんのこと 太刀掛秀子傑作集 9 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)◾️吉住くんのこと 太刀掛秀子傑作集 9 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)感想
★★★★
太刀掛秀子展で原画を観た勢いで。1982年発表の表題作と、やや古め(1977年)の短編ひとつ挟んで、後半3編は1985-1986年の作品。この作品集は今読むと登場人物たちの行動や心理の動きにナチュラルさがあり、それぞれに読ませる。意図せずマンガの現場から離れることになった、とのことだが、この絵のクオリティと幅の広がったテーマ性で描き続けていたら、と叶わぬ夢を想像してみたくなる。珠玉の作品集。
読了日:05月31日 著者:太刀掛秀子

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