日曜劇場『この世界の片隅に』2018年09月19日 06時55分57秒

日曜劇場『この世界の片隅に』が無事最終回を迎えた。

映画版をクラウドファンディングから応援してきたファンの目からするといろいろ言いたいこともある訳だが、まあそれはそれ。

最終回まで観て、原作マンガの映像化として、民放制作のテレビドラマとしては、まずまずよい出来だろうと思った。

そのあたりは、原作にないキャラクターの配置やそれに伴うドラマ独自のアレンジも含め、手慣れた岡田惠和脚本の手堅さと言えるだろうし、セットや衣装を含め撮影面でもだいぶ頑張っていたと思う。
(特にラストの孤児のくだりは、演じていた子役の女の子のトラウマにならないか心配なくらいで、むしろ「ここまでやったのか」と驚いた)

読書メーターその他のネットの評判でも、ドラマをきっかけに原作を読んだ、という人が多く、実際、ドラマタイアップでの書店の展開も積極的で、原作の普及の面でもよかったと言えるだろう。

とはいえ、逆に気になったのが、映画版製作委員会への謝辞をめぐるあれこれだったりして。
それでなくとも「アニメである」というだけで劇場まで観に行く選択肢から外している人たちもいるであろう中で、「なんかドラマにアンチなことをいうめんどくさいファンがいる」ものとして、映画版を敬遠されてしまってもそれはそれで不幸な気がする。
(実際、そういうツイートも目にしたりしたのだ)

※自分を振り返ってみても、最初の二話くらいまでは、家で観ながら「あ〜、ここは本当はこうなのに…」みたいな、片渕監督による考証との「間違い探し」をしてしまっていたりしたので、まったく他人事でない(笑)。

まずは物議をかもしたっぽい「謝辞」という慣習について。

分野によって違うと思うが、例えば学術論文などで、テクニシャンやアドバイザー的なメンバーへの謝辞を入れるのに、事前の断りまではしていないと思う。「感謝の気持ち」という曖昧なものでもあるので、どのレベルまで入れる、入れないなども、明確なルールはないと思う。
これは、分野が違っても近い運用をされていると推察される。

映画版の製作委員会からのリアクションからすると、今回のドラマの謝辞もこれに近いパターンだったのではないかと思う。

一方で、テレビドラマを観る人の大多数は(劇場版のコアなファンの方も含め)、字幕のテロップは制作に関わったスタッフを順番に表示している、と捉えるだろう。

そうなると、劇場版の製作委員会がタッチしていたのに、様々な考証がおざなりにされていることについて、本来関係のない製作委員会(というより、片渕監督をはじめとする劇場版のスタッフ)に、質問、コメントが殺到したりするかもしれない。
そのくらいまでは容易に想定できると思うので、「関与していません」という正式コメントを早期に出しておくのは予防線としては当たり前のリアクションだったんじゃないかと思う。

まあ、そうなったらそうなったで、「せっかく感謝してもらったのにその対応は大人気ないのでは」とか、「原作でなく劇場版を連想させる描写があるのに、何の連絡もなしに謝辞だけですませたのか」みたいな両方の立場からのツッコミも当然ある訳だけど、そのあたりも、そう思う人がいるのは止められない、ということで。

要は、(建前として?)これはマンガ『この世界の片隅に』を原作としたドラマ化であって、片渕監督の劇場版が原作な訳ではない。
そうであるなら、「マンガになくて、劇場版にしかない要素」は、「入れる訳にはいかない」というのがむしろ筋というものかもしれない(もちろんグレーゾーンっぽいところはあって、それもまた物議の一因ではあったかも)。

また、テレビドラマの制作現場に、こうの先生や片渕監督と同レベルの時代・風俗考証を求めるのも(特に片渕監督の調査の実態を知っているだけに(笑))ちょっと酷なんじゃないか、とも思ったりもする。

一方で、(何らかの大人の事情?で)ドラマ版のプロモーションに劇場版に関する言及を入れることができなかったにしても、今回のドラマ化の企画そのものが、「劇場版のヒット」という現象と無関係な訳はないし、ドラマ版のスタッフだって劇場版の監督やスタッフのことはリスペクトしていただろう。
表立っては何かできないにせよ、せめて謝辞くらいは入れたかった、という気持ちの表れだった、という解釈もできなくはない?かもしれない。

そういえば、「『六身合体ゴッドマーズ』よりは原作に近い」という言説もあったんだけど、これもまあ、最終回まで通しての印象として、『ゴッドマーズ』はさすがに例えが極端で(笑)、『バビル2世』の原作とアニメくらいの違いじゃないかと思った。

ドラマから入った人が原作を読んだ感想は、普通にストーリーを追って感動しているものが多いが、中にはこうの先生の仕込んだ様々な「仕掛け」に気づいてくれる人もいると思う。

2018年6月に読んだ本2018年07月02日 19時53分12秒

引き続き、仕事がばたばたでそんなに冊数は進まず。
このところ、本業では書き物仕事の比率が高くて、下記リストの『カラー版・ビールの科学』では、ほんのちょっと原稿書きましたが、一応著者一覧に名前を入れてもらいました。

6月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2221
ナイス数:51

蕃東国年代記 (創元推理文庫)■蕃東国年代記 (創元推理文庫)感想
★★★★
平安時代風の架空の異国(日本海にあるらしい)を舞台にした幻想譚の連作集。中国怪異譚のようでもあり千夜一夜のようでもあり、お伽草紙のようでもあり、短編間に西暦で20世紀視点での文献からの引用があることで、世界と歴史の広がりも感じさせる。もっと読みたい、と思わせる一冊。
読了日:06月02日 著者:西崎 憲


今昔物語 (コミックストーリーわたしたちの古典)■今昔物語 (コミックストーリーわたしたちの古典)感想
★★★
集英社版日本の伝記、世界の伝記などの学習漫画シリーズに参加されていた千明初美先生による、こちらは古典作品のマンガ化シリーズ。図書館には今も普通にラインナップされている。伝記漫画はどうしても一人の偉人の誕生から晩年までを一通りダイジェストにしたシナリオをもとにしているが、こちらは『今昔物語』収録の説話をセレクトして漫画にしている。時にユーモラスだったり、ロマンスがあったりする説話の世界はけっこう漫画との相性がいいのかも。
読了日:06月03日 著者:柳川 創造,千明 初美


隣のずこずこ■隣のずこずこ感想
★★★☆
表紙イラストの通りの話だった。なるほど!
読了日:06月05日 著者:柿村 将彦


微隕石探索図鑑: あなたの身近の美しい宇宙のかけら■微隕石探索図鑑: あなたの身近の美しい宇宙のかけら感想
★★★★★
見ているだけでも楽しいけど、いかに「観察」の蓄積が重要かを教えてくれる一冊。これを参考にすれば、著者よりもちょっとだけ手間を節約して微隕石を見つけることができる、かもしれない。ノーベル賞になったオートファジーの研究も、まさかそんなことが顕微鏡の観察だけで見つけられるのか!? という出発点から研究がスタートしている。測定機器が発達した今でも地道な観察が意味を持つことはありうる。研究者はこの本から元気をもらうといいし、単にきれいな石の写真集として眺めて楽しむのもよし。
読了日:06月11日 著者:ヨン・ラーセン


カラヴァル(Caraval) 深紅色の少女■カラヴァル(Caraval) 深紅色の少女感想
★★
本屋大賞らしいので読んでみた。危険な香りの男に魅かれていくヒロイン。ええと、レディースコミック的な何か?
読了日:06月16日 著者:ステファニー ガーバー


カラー版 ビールの科学 麦芽とホップが生み出す「旨さ」の秘密 (ブルーバックス)■カラー版 ビールの科学 麦芽とホップが生み出す「旨さ」の秘密 (ブルーバックス)感想
★★★
フライング気味に読了。カラー化して内容もボリュームアップ。
読了日:06月18日 著者:


僕僕先生■僕僕先生感想
★★★☆
前々から気になっていたが、読み始めてみることにした。美少女仙人の活躍する中国ファンタジー? 諸星大二朗のマンガで得ていた中国知識があると盛り込まれたネタの元がちょっとだけわかって楽しい。主人公のモラトリアム青年の成長譚にもなっている。しかし、こういう話がファンタジーノベル大賞に応募されてくるのは、やはり第一回が『後宮小説』から始まったせいなのか!?
読了日:06月22日 著者:仁木 英之


ケトルVOL.35■ケトルVOL.35感想
★★★★
日本のアニメの100年を『この世界の片隅に』から遡って読み解こう、という好企画。随所に挟まるインタビューも貴重だが、片渕監督のキャリアと軌跡を『リトルニモ』と絡めた特集は本誌以外ではなかったのではないか。これもまたエディター魂が嫉妬するいい雑誌。
読了日:06月30日 著者:片渕須直,川村元気,石井朋彦,西村義明,笹川ひろし,布川郁司,大河原邦男,天野喜孝,宮河恭夫,神山健治,ナイツ


薄妃の恋―僕僕先生■薄妃の恋―僕僕先生感想
★★★
僕僕先生のシリーズ2作目は第1作のラストで旅に出た師弟コンビが旅の先々で遭遇する風変わりな事件を描く連作短編集。なんというか、サブキャラクターがどんどん増えていく(笑)。
読了日:06月30日 著者:仁木 英之

読書メーター

2018年2月に読んだ本2018年03月01日 21時45分47秒

2月はマンガ比率高し(笑)。とはいえ、積読本の消化も多少すすんだかな。カズオ・イシグロもちょっと読み始めた。

それにしても、『ファイブスター物語』が今もマイペースで出続けている2018年…(笑)。

2月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:3392
ナイス数:111

岩崎調べる学習新書 (1) マンガの歴史 1■岩崎調べる学習新書 (1) マンガの歴史 1感想
☆☆☆
岩崎調べる学習新書、という叢書は、岩崎書店HPで見ても、まだこの一冊のようだ。マンガの歴史を話し言葉のような語りかける平易な文体で語る。マンガの話なのに、図版が何もないのは、それを調べて学習してみてほしい、というコンセプトらしい。1巻は手塚治虫登場から『巨人の星』のヒットまで。自分の世代がだと、図版は脳内にあるので、調べなくても楽しく読める。いかにもみなもと太郎先生らしい博覧強記と読みやすさの両立。次巻が楽しみ。
読了日:02月02日 著者:みなもと 太郎


紫式部―源氏物語を書いた女流作家 (学習漫画 日本の伝記)■紫式部―源氏物語を書いた女流作家 (学習漫画 日本の伝記)感想
☆☆☆
普段は目にする機会がない児童書の伝記マンガ。千明初美先生がいろいろ描かれているのは知っていたが、近所の図書館にあったので読んでみた。いや、これは子供だけに読ませておくのがもったいない。紫式部の幼少期から晩年までを描く中に、源氏物語の内容もマンガになっていて、一冊で二度美味しい。
読了日:02月04日 著者:柳川 創造,千明 初美


掟上今日子の色見本■掟上今日子の色見本感想
☆☆☆
「忘却探偵」という思考実験ミステリの今回の「実験」は忘却探偵の「誘拐」。謎解きを今日子さん以外のキャラが行なう、荒唐無稽ではあるが一応はフェアで、予測不能なアイデアなど、「技あり」の印象。
読了日:02月07日 著者:西尾 維新,VOFAN


火の鳥 (6) (角川文庫)■火の鳥 (6) (角川文庫)感想
☆☆☆
今年は望郷編。マンガ少年創刊時の目玉連載作品で、初めて連載で読んだ『火の鳥』。この歳になると、ロミの心情が昔より胸にせまる。とはいえ、連載版とはけっこう物語が変わってるんだよね。
読了日:02月09日 著者:手塚 治虫


生頼範義展 THE ILLUSTRATOR■生頼範義展 THE ILLUSTRATOR感想
☆☆☆☆
上野の森美術館での展覧会図録として購入。改めて膨大な業績に圧倒された。図録にも収録されていたが、レイテ沖海戦の絵で、弾着の水柱がピンクや水色だったのに驚く。映画『この世界の片隅に』での砲弾の煙が色とりどりだったのと同じ理由だろう。
読了日:02月10日 著者:


ヴェネツィア便り■ヴェネツィア便り感想
☆☆☆★
個人的に偏愛している北村薫の奇妙な味わいの短編集。いつも忘れた頃に出る感じがまたいい。今回は50〜60代で感じる人生の哀歓を感じさせる短編が多かった。
読了日:02月10日 著者:北村 薫


日の名残り (ハヤカワepi文庫)■日の名残り (ハヤカワepi文庫)感想
☆☆☆★
英国執事の落日。森薫の絵柄で脳内再生された。
読了日:02月12日 著者:カズオ イシグロ


乙嫁語り 10巻 (ハルタコミックス)■乙嫁語り 10巻 (ハルタコミックス)感想
☆☆☆☆★
動物の写実的かつ動きのある描写に拍車がかかっている。あたかもナショナルジオグラフィックを読むが如し。
読了日:02月13日 著者:森 薫


ファイブスター物語 14 (ニュータイプ100%コミックス)■ファイブスター物語 14 (ニュータイプ100%コミックス)感想
☆☆☆☆
設定がらがらぽんにも慣れ、脳内自動変換。久しぶりの一冊まるごとの大戦闘。兵站レベルまでしっかり描き込みつつ、オールスターキャストの大サービス。敵も味方も攻めるは攻め、退くは退く、騎士の戦いの物語。脱力オマケ話もあり。
読了日:02月13日 著者:永野 護


回転ドアは、順番に (ちくま文庫)■回転ドアは、順番に (ちくま文庫)感想
☆☆☆☆
短歌の連なりだが、いわゆる連歌ではなく、間を散文詩?でつなげて、一編の短編小説の趣きに。一組の男女の出会いからおしまいまでを描き、タイトルの通り、円環構造でしめることで独特の余韻が生まれる。ある意味、2/14に読むにはふさわしい本だったかも。
読了日:02月14日 著者:穂村 弘,東 直子


#こんなブラック・ジャックはイヤだ (エヌ・オー・コミックス)■#こんなブラック・ジャックはイヤだ (エヌ・オー・コミックス)感想
☆☆
現代的?な台詞づかいが年寄りの目にはリズムがつかみにくく、ちょっとづつ読んでいたが、ようやく読了。台詞はともかく、小ネタはけっこうおかしい(笑)。それにしても、なぜあのあとがきのような経緯でここまで描けるようになるのだ。もともとの才能か? 何か憑依しちゃったのか?
読了日:02月18日 著者:つのがい,手塚 治虫


新宿駅最後の小さなお店ベルク: 個人店が生き残るには? (ちくま文庫)■新宿駅最後の小さなお店ベルク: 個人店が生き残るには? (ちくま文庫)感想
☆☆★
刊行順と読むのが逆になったけど、こちらも読了。まあ、これからも年に何回かはエッセンベルクを肴にビールを飲みに行くだろう。
読了日:02月26日 著者:井野 朋也


グレートマジンガー 2 (サンワイドコミックス)■グレートマジンガー 1&2 (サンワイドコミックス)感想
☆☆☆☆
桜多吾作版『グレートマジンガー』のワイド版。前作の『マジンガーZ』で吹っ切れたのか、初回からオリジナル路線ばりばり。その展開のハードさはトラウマレベル。子供の頃最終回を読んだ時の衝撃が忘れられない。
読了日:02月26日 著者:永井 豪・桜多吾作


アンチクリストの誕生 (ちくま文庫)■アンチクリストの誕生 (ちくま文庫)感想
☆☆☆☆
小説の構造としてはわりあいカチッとしているにもかかわらず、当たり前でないことが当たり前に語られ、小説の側には揺らぎがないのに、読者の頭の中に揺らぎを起こすような不思議な小説。
読了日:02月27日 著者:レオ・ペルッツ


デビルマン-THE FIRST-(ザ ファースト) 2 (復刻名作漫画シリーズ)■デビルマン-THE FIRST-(ザ ファースト) 2 (復刻名作漫画シリーズ)感想
☆☆☆☆★
何も足さない、何も引かないデビルマン2冊目。元のコミックスだと1巻(誕生編)、2巻(シレーヌ編)で区切りがはっきりあったが、今回ひと続きで読むことで、元のコミックス以上の連続性が感じられるように思った。その流れで総攻撃前の明のメッセージを読むと、けっこう本気で怖い。
読了日:02月28日 著者:永井豪とダイナミックプロ



読書メーター

2018年1月に読んだ本2018年02月01日 07時52分01秒

1月は正月実家発掘読書に始まり、読みさしにしてあった本などを含め、対自分比ではだいぶ読んだ。

ただし、SF/幻想文学系は少なめ。それにしても、氷室冴子でブレイクする前のコバルト文庫の新人(だけじゃないけど)SF作家ラインナップはある意味「奇想天外文庫」だったんだなあ、と今更ながらに思った。

1月の読書メーター
読んだ本の数:17
読んだページ数:2443
ナイス数:65

オットーと魔術師―SFファンタジー (1980年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)■オットーと魔術師―SFファンタジー (1980年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)感想
☆☆☆
実家の本棚から発掘。この時期のコバルトは「児童文学」的に読めるかな。こういうイラスト、装丁は今はあまり目にしないかも。
読了日:01月01日 著者:山尾 悠子


ねこひきのオルオラネ (1979年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)■ねこひきのオルオラネ (1979年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)感想
☆☆☆☆
大学時代以来の再読。今読むと改めて、コバルト文庫から出てはいるが、これは「夢枕獏の初めての著書」としか言いようのない本だと思った。「序」と「あとがき」で語られる創作姿勢は、本作以降、常にぶれていなかったのだ、ということに今さらながらに気づかされた。
読了日:01月02日 著者:夢枕 獏


マジンガーZ(1) (サンワイドコミックス)■マジンガーZ(1) (サンワイドコミックス)感想
☆☆☆
実家で発掘。いわゆる冒険王版というか、桜多吾作版が1980年代中盤にサンワイドコミックスから復刻された。『グレンダイザー』は、元のサンデーコミックス版が未完だったので、初めて通して読めたのがこのシリーズだった。この版では=誕生編=の副題あり。
読了日:01月03日 著者:永井 豪・桜多 吾作


マジンガーZ 激闘編 2 (サンワイドコミックス)■マジンガーZ 激闘編 2 (サンワイドコミックス)感想
☆☆☆☆
そろそろ本領を発揮し始める桜多吾作版『マジンガーZ』。アフリカにはブロッケン伯爵が既に征服している国があった、とか、人間を食糧にしようと並行世界から侵略を画策する半魚人たちを甲児とあしゅら男爵が共闘で阻止するとか、オリジナルのエピソード満載。
読了日:01月03日 著者:永井 豪・桜多 吾作


マジンガーZ 完結編 3 (サンワイドコミックス)■マジンガーZ 完結編 3 (サンワイドコミックス)感想
☆☆☆☆
あしゅら男爵がヘルを欺いて独力で(資材はネコババ(笑))世界征服を目指すRI計画を皮切りに、本編に組み込まれた『マジンガーZ対暗黒大将軍』、ヘルの過去や組織運営の謎が明かされる(ブロッケン伯爵働き者(笑))「闘え‼︎ Drヘル」、そして超展開の最終決戦まで。ここまでやっていいのか!? そして、いろいろな設定、登場人物は『グレートマジンガー』『グレンダイザー』まで引き継がれる。
読了日:01月03日 著者:永井 豪・桜多 吾作


日本の国菌: コウジキンが支える社会と文化■日本の国菌: コウジキンが支える社会と文化感想
☆☆☆
恩師からいただいた。麹菌を国菌に、と提唱されたご本人による、制定当時の総説2編の再録に書き下ろしを加えて小冊子に編んだ一冊。自分が研究内容の和文総説を書くようにしているのは、この恩師の影響大。
読了日:01月06日 著者:一島 英治


図説 ビール (ふくろうの本)■図説 ビール (ふくろうの本)感想
☆☆☆★
ビールの歴史から原料、製造工程などの解説、ラベルやポスター、グッズ類などの写真など、手に取りやすい分量の中に、コンパクトながら「この本でしか読めない」要素を盛り込んであることに驚いた。大辞典に対するコンサイス辞典のような感覚で手元に置くとよいのではないか。
読了日:01月07日 著者:キリンビール,麒麟麦酒=,キリンホールディングス=


ワインの香り: 日本のワインアロマホイール&アロマカードで分かる!■ワインの香り: 日本のワインアロマホイール&アロマカードで分かる!感想
☆☆☆☆
初心者でも読めるように、かなりわかりやすく噛み砕いて説明されてはいるものの、ワインの香気研究や人間の嗅覚研究の最先端の知見にも触れることが出来る。日本人にはわかりにくい表現もある「ワインの香りを表現する言葉」を「日本人がわかる言葉」にまとめ直すとともに、個々のワードの香りの特徴について、実例を挙げてわかりやすく解説。さらには、付録のアロマカードでそれらの香りを体感しながら学習できるようにもなっている。今までにない好企画。
読了日:01月08日 著者:東原 和成,佐々木 佳津子,渡辺 直樹,鹿取 みゆき,大越 基裕


ガーンジー島の読書会 (上)■ガーンジー島の読書会 (上)感想
☆☆☆★
第二次大戦時、ドイツの支配下にあったガーンジー島では、住民たちが偶然のきっかけから「読書会」を開いていた。前編書簡形式で、登場人物の関係や背景、戦時下の島での日常などが徐々に明らかになっていく構成、生き生きとした手紙の文体が面白い。上巻ラスト、読書会メンバーとの膨大な往復を経て、主人公はついに島に旅立つ。
読了日:01月13日 著者:メアリー・アン・シェイファー,アニー・バロウズ


ガーンジー島の読書会 (下)■ガーンジー島の読書会 (下)感想
☆☆☆
主人公が島に渡ってからはとんとん拍子に話が進む感じがして一本調子かな、と、思ったんだけど、最後の仕掛けにはちょっとクスリ(笑)。まあ、島の過去が重いので、このくらい楽天的な物語の方がよかったのかも。
読了日:01月15日 著者:メアリー・アン・シェイファー,アニー・バロウズ


映画秘宝EX 劇場アニメの新時代 (洋泉社MOOK 映画秘宝EX)■映画秘宝EX 劇場アニメの新時代 (洋泉社MOOK 映画秘宝EX)感想
☆☆☆★
『この世界の片隅に』が表紙で、それ目当てに買ったのではあるが、『ひるね姫』『ガルパン』から、アニメ監督のゆりかごとしての『クレヨンしんちゃん』映画まで語り倒すことで、業界内の全体像を浮かび上がらせようとする編集の妙。エディター趣味的に、こういうムックを編集できた人がうらやましい!
読了日:01月18日 著者:


好みのワインがパッと選べる うま得ワイン入門―味別リスト&マルチインデックスで250本紹介!■好みのワインがパッと選べる うま得ワイン入門―味別リスト&マルチインデックスで250本紹介!感想
☆☆★
静岡に本店のあるヴィノスやまざきの社長さんの本。ワインをまとめ買いしたらオマケでいただきました。自社のショップで扱っているワインのガイドが主目的かと思うが、逆にいうと飲んでみたければショップに行けばよい、ともいえるかも。月イチの頒布会はずっとやってるけど、載ってるワインはハズレはないと思います。
読了日:01月19日 著者:


群青のカノン: 航空自衛隊航空中央音楽隊ノート2 (光文社文庫)■群青のカノン: 航空自衛隊航空中央音楽隊ノート2 (光文社文庫)感想
☆☆☆
自衛隊航空音楽隊ラブコメ第2作。前回と比べると「日常の謎」ミステリとしての驚きはやや少なめだけど、新キャラクターも増えてラブコメ成分はパワーアップ?
読了日:01月21日 著者:福田 和代


私のともだち (ウィングス・コミックス)■私のともだち (ウィングス・コミックス)感想
☆☆☆☆★
何の気なしに読み始めて、久しぶりに「身の毛がよだつ」感覚を味わった。表題作は楳図かずおの短編「ねがい」と、まどマギまでも連想させる。他の短編もそれぞれにこわい。これまで「こわいマンガ」と言えば山岸凉子「私の人形はよい人形」を表題作とする自選傑作集を推していたのだが、かなりそれに近いレベル。
読了日:01月23日 著者:那州 雪絵


アニメと鉄道 「鉄道を美しく描くアニメ監督の世界へ」 旅と鉄道2017年増刊12月号■アニメと鉄道 「鉄道を美しく描くアニメ監督の世界へ」 旅と鉄道2017年増刊12月号感想
☆☆☆★
世の中にこんなにアニメがあったのか、と、驚くほどの大特集。そして、鉄の視点ではあらゆる作品に見所が見つかる!
読了日:01月27日 著者:


デビルマン-THE FIRST- (1) (復刻名作漫画シリーズ)■デビルマン-THE FIRST- (1) (復刻名作漫画シリーズ)感想
☆☆☆☆
買ってしまった。届いた。読んだ。何も足さない、何も引かない『デビルマン』。実は単行本でしか読んだことなかったので、このサイズでは初体験。内容は熟知しているはずなのに、けっこう興奮するものだ。
読了日:01月29日 著者:永井豪とダイナミックプロ


SHOE DOG(シュードッグ)SHOE DOG(シュードッグ)感想
☆☆☆
ナイキ創業者の自伝小説。なんという綱渡り。それにしても、ジョブズといい、この人といい、なぜ、禅にのめり込んで世界を放浪して、起業するんだろう。もしかして、日本人に欠けているのは禅にかぶれること!?
読了日:01月31日 著者:フィル・ナイト

読書メーター

2017年11月に読んだ本2017年12月04日 20時29分29秒

 11月は趣味ではなく本業の方のコンベンションイベントの運営でどたばたしていて、月前半はほとんど読書が進まず。12/3の名古屋SF読書会に向けて、後半でちょっと巻き返したか。

■「この世界の片隅に」製作委員会 『この世界の片隅に 劇場アニメ原画集』 双葉社
読了(2017-11-14) ☆☆☆☆

 11/12でついに公開1周年。おめでとうございます。
 ということで、11/12で丸1年の連続上映を終了する新宿テアトルに(たまたま東京に滞在するタイミングだったので)駆け込みで鑑賞に行ってみたり(と、いってもイベントなしの通常上映にて)、あと、クラウドファンディング第2弾の海外渡航報告会に行ってみたり。
 そんな中、今月は関連書籍としてこの原画集が刊行。一部は公開前のササユリカフェの展示でみたものもあったけど、これだけまとめて観れると壮観の一語。巻末インタビューでは製作中の長尺版の話が出ているのも心強い。

■マージェリィ・W. ビアンコ・酒井 駒子『ビロードのうさぎ』 ブロンズ新社
読了(2017-11-18) ☆☆☆☆

 クリスマス向けの絵本売り場で猛プッシュされていた絵本。出版から10年、クリスマス絵本の定番であり続けているようだ。
 幼い少年のいちばんのお気に入りのビロードのうさぎのぬいぐるみをめぐる、ちょっと悲しい物語。そういえば、うちの実家にも、真っ黒になったパンダのぬいぐるみとか、まだ残っているなあ…

■伊藤計劃『ハーモニー』 早川書房 (ハヤカワ文庫SF)
読了(2017-11-18) ☆☆☆☆

 12/3の名古屋SF読書会の課題図書ということで、優先的に読んだ。単発でも読めるが、まず驚くのが、これが『虐殺器官』の世界のその後で、ディストピアの方向性として、その2作が両極に振り切っている、という点。
 もう1点、冒頭からhtmlもどきのetml言語による「タグ」が本文全体に付されているのが最大の仕掛け。最後まで読んで、そのetml言語の意味するところがわかることで生まれる異化効果こそが、個人的には本作の最大の読みどころだと思っている。
 とはいえ、このetmlの仕掛け、htmlをエディターで直書きした世代じゃないと、わからない可能性があるかもしれない(笑)。

■そのだ えり『ちいさなりすのエメラルド』 文溪堂
読了(2017-11-24) ☆☆☆☆

 いつもに絵本を読んでもらっていたりすのエメラルド、困ったことに、絵本を読んでもらわないと眠れない。一人になった夜、眠れないエメラルドは絵本を持って町のあちこちへ。
 そこで出会ういろいろな動物の子供たちに絵本をよんで聞かせるが、読み聞かせの途中で寝てしまっているエメラルドがお話しできるのは、自分が寝る前までのお話まで…
 絵本の読み聞かせそのものを物語にしてしまったかあいらしい小品。エメラルドが読んでもらっている物語の続きが気になる読者のために、その物語も付録?でついているという親切設計。

■ひかわきょうこ『魔法にかかった新学期』 1巻 白泉社(花とゆめCOMICS)
読了(2017-11-24) ☆☆☆

 ひかわきょうこ12年ぶりの新作とのこと。そういえば、このところ『お伽もよう綾にしき』のシリーズが描き継がれていたのだったか。
 『彼方から』も現代の高校でスタートしつつも、すぐに異世界に舞台が映ってしまったので、現代の高校生たちが活躍する物語はもしかして『女の子は余裕!』以来だったりするのか。
 物語は安定のひかわきょうこ品質。続巻は1年後。のんびり待ちたい。

■藤野千夜『編集ども集まれ!』 双葉社
読了(2017-11-25) ☆☆☆☆

 おそらく、永井豪『激マン!』に触発されて描かれたマンガ編集者視点での『激マン!』。作者本人がダイナミックプロ系ではなく手塚治虫のファンであることから、タイトルは『人間ども集まれ!』の本歌取りだろう。
 大人の事情で作者とその周辺の人物、該当の出版社のみ仮名ではあるものの、それ以外はマンガ、芸能、音楽、神保町のお店など、あらゆるものが実名で登場するので、80年代後半から90年代中頃までと、本作が執筆された2016年当時のマンガ界隈の風俗記録としてなかなか貴重な作品になっていると思う。

■こうの史代『ぴっぴら帳』 前編 双葉社
読了(2017-11-25) ☆☆☆☆
■こうの史代『ぴっぴら帳』 後編 双葉社
読了(2017-11-30) ☆☆☆☆

 新装版が出ていたので購入。実は未読だったのだが、『この世界の片隅に』原画展などを観てから読むと、改めて、画力の確かさに驚かされる。特に扉として縦長半ページで毎回描かれているイラストの今にも動き出しそうな躍動感や、カラーページで、淡い色を最小限にのせて描かれる多彩な表現は、この時点ですでに完成の域に達している。この画力、表現力あっての、後の数々の実験手法なのだな、と、納得。
 作品としては、鳥を飼う生活を始めたヒロインのとぼけた生活が描かれる4コマ。すずさんではないが、あちゃあ顔はたっぷり堪能できる(笑)。

■『The Indifference Engine』 伊藤計劃 早川書房 (ハヤカワ文庫SF)
読了(2017-11-29) ☆☆☆☆

 読書会の予習、副読書として、文庫で出た時に買ったままだった本書も手にとってみた。
 最初は、落穂拾い的短編集かと軽い気持ちで読み始めたら、読み進むごとに各短編のテーマ、モチーフ、アイデアが輻輳的に響きあう印象で、これはなかなかの名アンソロジーではないか。
 生体にソフトをインストールする、というアイデアのバリエーションとして、『ハーモニー』が生まれ、さらに『屍者の帝国』に展開して行ったことも、この短編集を読むと納得できる。

2017年8月に読んだ本2017年09月03日 13時19分54秒

 8月も冒頭から北海道出張とか、次の論文の執筆とか、いろいろあって少なめ。
 そういえば、5月に始めたシミルボンでは、初めて「おすすめ連載」に紹介してもらいました。

◆『絵本と出会う週末』
https://shimirubon.jp/series/277

 あと、このblogで連載?した『『双生児』ひみつぶっく』もシミルボンに移植しましたが、物語構造一覧を連載の回が進むごとに増補改訂するようにしたので、blogで既に読まれている方も是非。
https://shimirubon.jp/series/262


 ということで以下は8月に読んだ本。

■『ありがとう、うちを見つけてくれて 「この世界の片隅に」公式ファンブック(アクションコミックス)』 こうの 史代・他 双葉社
読了(2017-08-01) ☆☆☆☆★

 熱い寄稿、インタビュー、対談が続いた後の、ラストに配置された原作者こうの史代先生へのインタビューの内容が努めて冷静で、そこまでの熱量にあてられた後では、一服の清涼剤のように感じられた。
 実はそんなこうの先生からのもう一つのメッセージがあるので、これから読まれる方は、まず、カバーはつけたまま最後まで読み、その後にカバーを外してみることをオススメしたい。

■『ぶどう酒びんのふしぎな旅』 藤城 清治 講談社
読了(2017-08-05) ☆☆☆☆

 アンデルセンの物語の中でも、これは比較的マイナーなものなのではないだろうか。
 ワインのボトルが、あくまでも流されるままにさまざまな遍歴をへる。
 その遍歴は不思議な経過をたどるものの、全体に、さほどドラマチックなことがおこるわけでもない。子供向けというより、人生の哀歓を描いた物語はむしろ大人向けかもしれない。

■『火うちばこ(アンデルセンの絵本)』 ハンス・クリスチャン アンデルセン 小学館
読了(2017-08-05) ☆☆☆

 目がこわい。その目で見ないで! と、思わず言いたくなる絵本である。
 本書はたまたま旅先で立ち寄った図書館の絵本コーナーで見つけたのだが、ある程度の年代の人なら、この物語は、小学館のオールカラー版世界の童話『アンデルセンの絵話』で読んでいるのではなかろうか。
 自分も、表紙で目の大きな犬がお姫様を背中に乗せているのを見て、「あ、あの話だ」と思い出した。目のぎょろっとした3匹の犬が印象的で、子供心にもあの目はこわかった。

■『あとは野となれ大和撫子』 宮内 悠介 KADOKAWA
読了(2017-08-11) ☆☆☆★

 一見大喜利ネタとしか思えないタイトルが、読み進むにつれて重層的な意味を獲得していく。
 あと、文庫化の際は是非森薫さんに表紙を依頼してほしい。

■『僕の恋人がカニ目になってから』 吉田 匠 二玄社(エンスー文庫)
読了(2017-08-15) ☆☆☆

 「カニ目」とは、懐かしのオースチン・ヒーリー・スプライトの愛称。CGライターとして著名な著者のスポーツカー遍歴をまとめた初の単著。
 出版されたのはいわゆる「NAVIオピニオン」華やかなりし頃の二玄社から。古本で買って長年積読だったのを、ふと思い立って読了。
 クルマの話がメインではあるが、今読むと、統合前の欧州の空気感を感じるエッセイとしての読み方もできる。しかし、これが出た時の氏の年齢をとうに自分が追い越していたのは軽くショック。

■『サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福』 ユヴァル・ノア・ハラリ 河出書房新社
読了(2017-08-30) ☆☆☆☆

 ホモ・サピエンスがどうやって地球に君臨するに到ったか、可能な限り特定の価値観、宗教観、政治観に左右されずにロジカルに描くノンフィクション。
 この世界のおよそあらゆる価値観、先入観を、わかりやすい例をあげてひとつひとつつぶしていく。こういった「認識の変革」はSFをよく読む人には一般的だと思うが(なので、納得感はあるが、予想したほどの驚きはなかった)、こういった相対化が広く読まれることには意義があると思う。
 あと、いろいろとケン・リュウ作品との共通点を感じるので、ケン・リュウファンの人には副読本としていいかも。

2017年7月に読んだ本2017年08月11日 08時29分54秒

 7月は国内での研究会の講演1件、海外での講演1件で、その準備に追われる日々。その中では、数的にはわりと健闘はした方かも(笑)。まあ、すぐ読める絵本とかが多いけど(笑)。
 あと、5月以降、遅ればせながら書評サイト「シミルボン」にレビュウ、コラムを書くのが楽しくなってしまって、blogにまとめる前にネタを使ってしまうことも(笑)。
 まあ、文章なるべくだぶらないよう多少の工夫はしてます。リンクから該当の本のレビュウも読んでみていただけるとさいわいです。
 それにしても、7/下から8/上まで、2週間で自宅に4日くらししかいなかったというのは前代未聞のハードスケジュールで疲労困憊。あらためて、連日国内外を飛び回ってトークショーやサイン会をこなしながら、BD版のリテイク作業までこなしていたという片渕監督の超人ぶりに舌をまく。

■『オール・クリア(上)』 コニー・ウィリス 早川書房 (ハヤカワ文庫SF)
読了(2017-07-02) ☆☆☆☆
■『オール・クリア(下)』 コニー・ウィリス 早川書房 (ハヤカワ文庫SF)
読了(2017-07-06) ☆☆☆☆★

 上巻クライマックス?の12/29大空襲は、焼夷弾、大火災、少年消防士など、呉空襲との共通点が多いので(概ね、片渕監督のトークで得た知識だが)、『ブラックアウト』から引き続き、臨場感と、地続き感がある。
 奇しくも上巻を読んでいたのが呉空襲のあった7/1-2。しかも、片渕監督がロンドン空襲関連のツイートをTLに流すのをたまに読みながらの読書は、謎の臨場感。
 まさに、このロンドンの片隅に。
 それから、シリーズ通して重要なモチーフとして扱われている演劇『十二夜』と『真面目が肝心』の観劇経験があったのは、このシリーズを読むには基礎知識としてよかった。
 下巻に入ってからの終盤は、全編に散りばめられたピースが次々にカチカチとハマっていく中、最後の最後に、あんな仕掛けがあるとは。すべての登場人物たちに幸あれ。

→シミルボンコラム「このロンドンの片隅に」
https://shimirubon.jp/columns/1683510

■『すばこ』 キム・ファン ほるぷ出版
読了(2017-07-08) ☆☆☆☆

 絵本としてよし、理科(生物学や生態学など)の啓蒙書としてもよし。鳥好きドイツ人のベルレプシュ男爵が自分の領地の森で鳥に来てもらう方法をいろいろと試行錯誤して、ついに、巣箱を考え出す。その巣箱が巣箱が普及していくまでを描くのが主眼の絵本だが、画面の隅々に描かれるさまざまな鳥や巣箱のバリエーションが楽しい。

→シミルボンコラム「知らなかった巣箱の歴史」
https://shimirubon.jp/reviews/1683545

■『はいからさんが通る 新装版』(1) 大和 和紀 講談社(KCデラックス デザート)
読了(2017-07-10) ☆☆☆

 小中学生の頃以来の再読か。内容はけっこう覚えているが、今読むと細かい仕込みやギャグが昔より楽しめるかも。
 新装版の仕様で各巻に対談や解説が付されているが、今回は著者とと山岸凉子先生との深い関係がいろいろ語られる対談がよかった。

■『はいからさんが通る 新装版』(2) 大和 和紀 講談社(KCデラックス デザート)
読了(2017-07-11) ☆☆☆

 内容は覚えているのだが、そういえば2巻ではもう少尉行方不明になってたんだった。現代のマンガと比べるとやっぱり展開早い印象。
 因みに、3、4巻まではすんなり買えたんだけど、5巻以降が通販では品切れが続く。アニメ化の影響というよりヅカの影響らしい(笑)。

■『どこいったん』 ジョン・クラッセン クレヨンハウス
読了(2017-07-15) ☆☆☆☆
■『ちがうねん』 ジョン・クラッセン クレヨンハウス
読了(2017-07-15) ☆☆☆☆
■『みつけてん』 ジョン・クラッセン クレヨンハウス
読了(2017-07-15) ☆☆☆☆

 ぼーよーとした動物たちが「ぼうし」をめぐってあれこれする有様を(翻訳絵本なのに)関西弁で語る異色の三部作絵本。
 何かを独り占めしたいという「物欲」の行き着く先を、教条的ではなく、その結果おこってしまう出来事で淡々と描くのがポイント。三部作の完結編ではじめて「物欲」以外の視点がもちこまれて、ちょっとほっとする。

→シミルボンコラム「なんでやねん」
https://shimirubon.jp/columns/1683676

■『あめのひに』 チェ・ソンオク ブロンズ新社
読了(2017-07-15) ☆☆☆★

 大雨、洪水は子供にとっては非日常の、一種のお祭りだったりするものだが(『パンダコパンダ雨ふりサーカス』とか『崖の上のポニョ』などがそのお祭り性を表現した作品かと思う)、それを素直に表現した秀作絵本。

→シミルボンコラム「こんなあめふりならいいのに」
https://shimirubon.jp/reviews/1683678

■『掟上今日子の裏表紙』 西尾 維新 講談社
読了(2017-07-19) ☆☆☆

 今日子さんが獄中から推理を展開する一編。
 密室殺人の容疑者として収監された状態から探偵活動を成立させるために、これまでのシリーズに登場したキャラクターが影に日なたに奔走する中盤あたりまでは「なるほどこうきたか」という展開が多くて楽しめたのだが、オチはちょっと拍子抜けだったかも。
 とはいえ、記憶喪失探偵を成立させる思考実験、今回もそれなりに楽しみました。

2017年5月に読んだ本2017年06月03日 07時37分39秒

 5月は主にたまっていた評論誌とケン・リュウ。ここには書いていないけど、SFセミナーで入手したはるこんブックス『天球の音楽』もセミナーからの帰途に一気読み。いやあ、次の短編集も待ち遠しいねえ。

■「フリースタイル35 「時間と空間をつくる」片渕須直×安藤雅司」 フリースタイル
読了(2017-05-06) ☆☆☆☆

 メイン企画の「片渕須直×安藤雅司・時間と空間をつくる」をお目当てに久しぶりに買ったフリースタイル。『この世界の片隅に』公開後、どんどん企画される片渕監督のインタビューや対談の中でも、もっともアニメ制作の「技術」にフォーカスした内容で、スタッフでアニメを観てしまうアニメージュ世代にとってはかゆいところに手が届く良対談。それ以外のコラム、記事も楽しく、一冊の隅から隅まで楽しみました。

■「ユリイカ 2016年11月号 特集=こうの史代 ―『夕凪の街 桜の国』『この世界の片隅に』『ぼおるぺん古事記』から『日の鳥』へ」 青土社
読了(2017-05-13) ☆☆☆☆

 出てすぐに買ったけど、思いのほか読み応えがあったので、まずはアニメ関連の記事、評論を読んだ後、ぽつぽつ読み進めていた。あらためて、こうの史代というマンガ家のすごさを実感した。読んでない作品もちょっとずつ補完していきたい。

■ケン・リュウ『もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)』 早川書房
読了(2017-05-21) ☆☆☆☆

 新☆ハヤカワSFシリーズ版から2分冊された文庫の2冊目。叙情性や市井の視線〜ミクロの視線〜を感じさせる文庫版「紙の動物園」、と比べ、シンギュラリティテーマを中心に、宇宙、進化というマクロの視線に振り切ったSF作品集。こうしてみると、この2分冊はアンソロジーとして大正解だ。

■ケン・リュウ『母の記憶に』 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ(早川書房)
読了(2017-05-27) ☆☆☆☆★

 待望のケン・リュウ日本オリジナル短編集の第二弾。偶然だが、母の日に所用で実家に向かう車中で読み始めた。各作品とも、この手できたか、と唸らされる好短編集ではあるものの、特に表題作や冒頭の数編は親子関係がモチーフで、シチュエーション的にちょっと複雑な気分で読み進めた。
 第一弾の『紙の動物園』(SF・シリーズ版)と比べると、やや長めの中編がいくつか収められていること、また『蒲公英王朝記』に通じる中国的な要素が色濃い作品の比率が高めで、「ケン・リュウ博覧会」的なバラエティ感としてはやや偏りを感じるものの、それでもなお、シンプルなアイデアSF、本格SFミステリから歴史小説、寓話的な小説まで、様々な作品が堪能できる。
 また、各短編の読後感がそれぞれに深く、傑作ぞろいであり、この中からベストを選ぶ、とするとおおいに悩ましい、贅沢な短編集である。

<参考:シミルボンに投稿したレビュウ>
https://shimirubon.jp/reviews/1682209

■佐藤ジュンコ『佐藤ジュンコのひとり飯な日々 (コーヒーと一冊)』 ミシマ社
読了(2017-05-29) ☆☆

 仙台のいくつかのお店で食べたり飲んだりする、ゆるいエッセイコミック。「コーヒーと一冊」というこの本そのもののコンセプト通り、一気読みするよりは、喫茶店にでも置いて、注文したコーヒーを待ちながらてきとうにめくったページを読むのにはいいだろう。

2017年4月に読んだ本2017年05月05日 17時23分43秒

 4月は呉弾丸ツアー(笑)とかいろいろあった割にはいろいろ読んだ、かな。まあ、小説成分は少なめだけど。

■こうの史代・蒔田陽平『ノベライズ この世界の片隅に』 双葉社(双葉社ジュニア文庫)
読了(2017-04-07) ☆☆☆

 呉への車中で読了。ノベライズとしてはまずまず無難で、可もなし不可もなしか。読んでいて思ったのは、小説として主筋を通すためにはアレ(察してください(笑))はやっぱり省略できないし、補足説明も必要だ(原作にも映画にもない裏話がある!)、ということがわかる感じの内容だった。
 一方、あれだけばっさりやって違和感なく観れてしまう映画版は、実はすごくトリッキーなことをしているのだ、と逆説的に実感できた。

■江國香織『なかなか暮れない夏の夕暮れ』 角川春樹事務所
読了(2017-04-11) ☆☆☆☆★

 旧作でいえば『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』に近いだろうか。多数の登場人物の関係性が入り組んだ「恋愛運動小説」の系譜ではあるが、主要登場人物の年齢層が上がっているあたりは年齢なりの経験や視点が反映されてもいるのだろう。
 『薔薇の木〜』のような、小刻みに視点人物が入れ替わる構成の中に、主人公が没入して読んでいる本のエピソードが作中の現実と区別なしに挿入され、フィクションが現実を緩やかに侵食していくトリッキーな秀作。やっぱり江國香織は曲者だ。

■吉田秋生『海街diary 8 恋と巡礼』小学館(フラワーコミックス)
読了(2017-04-16) ☆☆☆☆★

 吉田秋生、もはや鉄板のシリーズの最新刊。普通に日常を過ごす人々が背景に持つ傷と向き合い、先に進んでいく姿をゆったりと描き続けてきた本作においては、「新しい命の誕生」もさまざまな影響をもたらす。
 画風の変遷という観点では、吉田秋生史上、実は今がいちばん少女マンガっぽい画風になっているかもしれない。『カリフォルニア物語』あたりのドライ感とも、『吉祥天女』あたりの大友克洋リスペクトなカチっとした絵柄とも、『BANANA FISH』後期あたりのシャープで耽美なタッチとも異なる曖昧さ、柔らかさを感じさせる画風が本作にはよく合っていると思う。
 そういえば、悲劇をことさらに強調せずに日々の暮らしを描いていく、というスタンスの点ではこうの史代作品とも通じるものがあるかな、と思ってしまうのは病膏肓に入るというべきか(笑)。

■『旅と鉄道 2017年 05 月号「鉄道×アニメ 聖地巡礼」』 朝日新聞出版
読了(2017-04-17) ☆☆☆☆

 鉄ちゃんじゃないので初めて買ったこの雑誌。表紙や巻頭グラビア特集は『君の名は。』なんだけど、『君の名は。』については、ほぼ鉄道が登場するシーンのスチール写真による特集で、モデルとなった電車や駅との対照も少なく、テキストも少ない。その一方で、『この世界の片隅に』に関しては広島、呉を『鉄子の旅』で有名な編集者が実際に探訪した詳細なレポート、市電車両や鉄道関連のもろもろに関する解説記事、囲みコラム、2泊3日の推奨ルートの提案まで、盛りだくさん。さらには、近年のアニメのキー作品群も多数取り上げており、大充実の内容。編集サイドの本気感が感じられる。

■国谷裕子『キャスターという仕事』 岩波書店(岩波新書)
読了(2017-04-19) ☆☆☆☆

 すみません。国谷さんのことはNHKのアナウンサーかと思っていました(実際はNHKと出演契約を交わしたフリーのキャスター)。ご本人のキャスターとしてのキャリアの開始から、クローズアップ現代の舞台裏、そして不祥事の顛末や降板の経緯に到るまで、ここまで書いていいのか、と思えるほど詳細に書かれている。日本の視点から見た国際政治史としても読めるのがすごい。

■ケン・リュウ『紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)』 早川書房(ハヤカワ文庫SF)
読了(2017-04-22) ☆☆☆☆

 新☆ハヤカワSFシリーズ版から2分冊された文庫の1冊目。バラエティ豊かなてんこもりの印象だったSFシリーズ版と比べ、表題作「紙の動物園」を含め、ノスタルジーを感じさせる物語、虐げれられた存在をめぐる物語などを集めることで、ややトム・リーミィ的な味わいを感じさせる短編集になった。あらためて、アンソロジーのセレクト、収録順の意義を感じさせられた。

■七月鏡一・早瀬マサト『幻魔大戦 Rebirth』5巻 小学館(少年サンデーコミックススペシャル)
読了(2017-04-22) ☆☆☆★

 過去の幻魔作品、石森作品、平井作品へのリスペクトが一巡し?かなりオリジナル要素が出てきた第5巻。そんな中でも、表紙にも登場するベアトリスの簪と元GENKEN愚連隊?の田崎の登場にぐっときた。

■デヴィッド・ビアンキ・関 美和『お父さんが教える 13歳からの金融入門』 日本経済新聞出版社
読了(2017-04-29) ☆☆☆

 金融関連の基礎知識を簡潔にわかりやすく紹介。
 おとなもよんだほうがいいとおもうよ。

■「ビール王国 Vol.14 2017年5月号」 ワイン王国(ワイン王国 別冊)
読了(2017-04-29) ☆☆☆★

 2回に分けてアメリカ特集とのこと。今回はアメリカンホップの総覧が大充実の内容。日本生まれのアメリカンホップ、ソラチエースの話も載ってます。
 因みに、ソラチエースの研究は今年の日本農芸化学会で大会トピックス賞をいただきました。

■那州雪絵『魔法使いの娘ニ非ズ』7巻 新書館(ウィングス・コミックス)
読了(2017-04-30) ☆☆☆☆

 『魔法使いの娘』から始まったシリーズの本筋たる父娘の関係をめぐる物語がついに完結。それは「人生」そのものをめぐる物語でもあり、大団円というより、割り切れないものも残しつつの一区切、その先の物語への余韻を残すあたりが那州雪絵品質。
 こういう物語の描き手って、少年マンガにも少女マンガにも青年マンガにもいないと思うんだよねえ…。次回作はどういう作品になるかわからないが、今後とも追いかけていきたい。

【私家版】細かすぎて伝わらないこの世界の片隅にの好きなシーン2017年04月29日 12時17分31秒

 twitterの『この世界の片隅に』応援トレンドとして「#細かすぎて伝わらないこの世界の片隅にの好きなシーン」ハッシュタグに投稿したツイートがちょっとたまってきたので、自分のツイートをまとめてみた(若干の所感や背景も追加コメントを入れてみた)。

■波のうさぎを描くシーンで、松の枝、松の葉、地面の草まで風で揺れてる。 宮崎駿が『トトロ』で当時やりたかったけどできなかったと言っていた描写はこういう感じだろうと思った。

(所感)『となりのトトロ』ロマンアルバムのロングインタビューでは、宮崎駿が木の葉や草の葉が風で揺れる様子まで描き込みたかった、という趣旨の発言をしている。次作『魔女の宅急便』では冒頭から草原の草が風にそよいでいるが、その演出を担当したのは若き日の片渕監督であろう。
 該当のシーンでは、本当に細部まで風で揺れている。アニメ撮影がデジタル化される前ではここまで手間をかけた動かし方はできなかっただろう。

■里帰りした浦野家で、すずさんの昔の習字や絵が壁のつぎあてに使われてるが、チラッとしか見えないけど、ふすまに貼られてる(ちゃぶ台のお父さんの後ろあたり)のはたぶん「ばけもん」の絵。もしかして後のばけもん=鬼イチャンを暗示?

(所感)絵コンテでは該当の「ばけもん」の絵は半分くらいに切られて壁の方に貼られているので、本編で「鬼イチャン」がいるべき位置の近くに「ばけもん」が配置されたことには何らかの演出意図があると考えてよいのではないか。

■原作ではわかりにくいけど、映画ではユーカリの樹皮が剥けて幹が木肌の色になっているところ。ユーカリの特徴ですね。

(所感)原作では意外とユーカリの登場箇所が少なく、また白黒なので幹の状態まではわかるシーンがない。このあたりは映画にする段階でしっかり考証されているのだろう。
 このユーカリについては別エントリにもコメントしました。
http://k-takoi.asablo.jp/blog/2017/01/28/8338051

■「自慢の竹槍があるじゃないですか」のやりとりの後ろで「あ〜、すずさん、またやらかしちゃった」という感じの顔してる晴美ちゃん。

(所感)まるで姉妹のように生活してきた二人のこれまでが窺い知れる演出。それだけにこの後の展開が…(涙)。

■空襲警報の中3人逃げている人影の1人が転ぶ時に女性の「きゃ」という声が小さく聞こえた。朝すれ違った挺身隊の子たちなんだと気がついたら涙が…

(所感)昨年12/3に片渕監督が浜松に来られた際のトークショーで、呉の報国隊の少女たちを作品の中に登場させて欲しい、という要望があり、物語の中で自然に登場させられるシーンとして、3人が病院に向かう朝の駅前を設定したとのこと。ここで彼女たちがうたっている歌は「悲しくてやりきれない」と同じサトウハチロー作詞の歌を選んだとのこと。
 なお、映画を観た呉の方の中からは、あの女の子たちを当時見た、というコメントもあったとのこと。

■アニメ版だと、慟哭の後、畑に咲いている花は晴美さんとの想い出の暗喩になっていることに7回目でやっと気づいた。
 右手が現れるシーン(原作から改変)の前に入る回想シーンともつながりますね。

(所感)ここは映画のオリジナル。周作が電話ですずさんを呼び出すシーンの前に、映画ではすずさんと晴美ちゃんがカボチャを収穫し、そのカボチャに晴美ちゃんの顔を描いている。
 慟哭のシーンの台詞の改変はよく語られているが、原作では慟哭しているすずさんの頭を右手が触れた後、枯れていたカボチャに花が咲いており、「右手の奇跡」?を思わせるが、映画では慟哭から顔をあげてカボチャの花を見て、夕食でいっしょに魚の絵を描いた晴美ちゃんを思い出したところで、いたわるように右手がすずさんのあたまをなでていくという演出になっている。

■鬼イチャンの南洋冒険記を描く右手が持っているチビた鉛筆には「ウラノ」の名前が(三文字全部は見えてないけど)。

(所感)これは原作準拠ですが、いずれにしても細かいですね。

■里帰りの時に産業奨励館をスケッチして自分の姿を書き加えたすずさん、後に焼跡に来た時の構図がそのスケッチと同じになっている。さらに、右手がヨーコ親子を描き出した構図も同じ。
 右手の描いた絵で、母親はヨーコと左手をつないでいる。そして実は、焼跡のすずさんから見て左手側に、ヨーコらしき孤児が既に描かれている。

(所感)晴美ちゃんと左手をつないでいれば、というのはすずさんが「選ばんかった道」、母と左手をつないでいたヨーコはその道の象徴か。この点についてはスガシカオさんの考察が深いです。
https://ameblo.jp/shikao-blog/entry-12228363796.html

■自分のモガ時代の服は物々交換に出したけど、「晴美の去年の服」は残していた径子さん。

(所感)その大事な形見の服を躊躇なくヨーコちゃんにあてがおうとする径子さんが好きです。

■ラストシーンの北條家の俯瞰でユーカリの木がもうない。劇中では端折られてるけど一月遅れの迷惑な神風の名残かな。(絵コンテには「崖崩山もだいぶ片付いている」との説明あり)

■映画では割愛されている円太郎父ちゃんの資材横領クワ(笑)がEDでしっかり実用に使われている。

(所感)この2件は割愛された台風が起こっていたことを示すもの。因みに、原作では台風の中すみちゃんの手紙を届けに来る郵便配達の女性は円太郎さんの無事の知らせを持ってくるシーンで出てきてますね。

■口紅で描かれた、幼いすずさんとリンさんが手をとりあって遊ぶ情景、あれは現実には交わされることのなかった「明日の約束」だったのでは。

(所感)これは原作の「りんどうの秘密」にはない。『マイマイ新子と千年の魔法』を再見して、上記の考察に思い至った後は、このシーンで涙が止まりません。冒頭のタンポポと「明日の約束」は二作を地続きに感じさせる象徴と思います。