2014年9月に読んだ本2014年12月13日 05時08分50秒

 某資格試験の2次がありながらも、試験対策は座学から官能検査に移行したので多少は本が読めるように。と、いってもマンガ率高いですが(笑)。
 それにつけても、ひかわきょうこと成田美名子の健在ぶりがうれしい。しかも吾妻ひでおの新作に森薫『シャーリー』まで!

■武田一義『さよならタマちゃん』 講談社イブニングKC
 病棟ものとして吾妻ひでお『アル中病棟』と比べてしまうと、三歩くらい引いた視点から客観的に語る吾妻ひでおとは対照的にこちらの方が読者の感情移入度が高く、「泣いて笑える」人情ものの仕上がり。

■ひかわきょうこ『お伽もよう綾にしきふたたび』4巻 白泉社花とゆめコミックス
 過去編はなんというかほとんど同著者の旧作『荒野の天使ども』のダグラスの子供時代のエピソードっぽいんだけど、ダグラスは拾われるまではワルだったところ、今回はその部分は天狗の現八郎が担っている感じ。パターンはわかっているんだけどじんわりくる。

■成田美名子『花よりも花の如く』13巻 白泉社花とゆめコミックス
 大人の静かな恋愛でも、進展する時は意外な偶然が続いて我知らぬところで何かの流れに後押しされるようなことがあるもので、今回はそのあたりの偶然をうまく描いているような感じ。

■吾妻ひでお『カオスノート』 イーストプレス
 SF色、パロディ色の薄い『不条理日記』現代版といった風情(ほんのりと、SF、パロディもあり)。まさかこの年になって吾妻ひでおの不条理ギャグの新作が、しかも『アル中病棟』からさほど間をおかずに読めるとは。
 絵のタッチも今回はあまり描き込まず空間をうまく見せるような感じ。これでもかと言うほど小さなコマの中に登場人物をちまちま配置した『アル中病棟』、全体に黒っぽくなるまで描き込んだ『夜の魚』と比べると、作品の内容に合わせてタッチをコントロールしていることが再確認できる。職人芸。

■『日本ソムリエ協会教本<2014>』 日本ソムリエ協会
 一応通読。この教本を称して「電話帳」とよく言われるが、今の電話帳ってもっと薄くなっちゃったので、電話帳より分厚いんじゃないか(笑)。

■「ワイナート」編集部『ワイン基本ブック』 美術出版社
 カラー写真でいろいろ図説された入門書、としても読めるが、ソムリエ協会の教本を教科書とした場合の副読本という位置づけとも考えられる。良書。(化学的に数カ所誤記もあるが)
 高校の頃、生物の教科書よりもフルカラーの副読本を楽しく読んでいたのをちょっと思い出した。

■森薫『シャーリー』2巻 ビームコミックス
 森薫が同人時代から続いている13歳少女メイド萌えマンガ(笑)。
 短編はぽつぽつ描き継がれていたのでそのうち出るかと思っていた2巻。内容もいいが、森薫の絵柄の変遷がわかるのも楽しい。次はまた10数年後かな(笑)?

■石井好子『パリ仕込みお料理ノート』 文春文庫
 前半は料理エッセイ、後半はシャンソンの歌い手たちの人物スケッチ、という構成なので、これは文庫になる前のタイトル『ふたりの恋人 シャンソンと料理』の方が内容に合っていると思った。

■YOUCHAN『TURQUOISE』 書苑新社
 名古屋SFシンポジウムのディーラーズで入手。
 個人的には松尾たいこさんに続くSF、奇想小説系の表紙イラストのヒット。

■田口久美子『書店不屈宣言:わたしたちはへこたれない』 筑摩書房
 著者は池袋のリブロとジュンク堂の両方に勤務したベテラン書店員。バブル期前からの書店員経験の視点から現在の書籍をめぐる状況をつづったエッセイ。
 2014年7月刊行の本を今回はたまたま2ヶ月遅れで読んだが、出版と書店の現状をリアルタイムでレポートしようというこの本は今年の年内に読むか、来年読むかでも感想が随分変わりそうな予感がする。このタイミングで読めてよかった。関係ないけどなんだかかっこいいぞ、田○香○嬢!