2022年7月に読んだ本2022年08月12日 02時38分47秒

 いつになく脳みそがマンガのフェーズに入ったのは、先月からのやまじえびね祭りの余波か? やまじえびね作品はコミックビーム移籍後の既刊は既に電子書籍でしか入手できない現実に驚きつつ、フォローできていなかった期間の代表作『レッド・シンブル』を読んだら、あまりのハードな内容に驚愕。あとは、たまたま初日に観に行けた萩尾望都展会場の先行で入手できた『百億の昼と千億の夜』完全版に改めて感動。過去の版でもっともペンタッチの繊細さを堪能できる仕上がりで、紙の本の意義を再確認できた。ある意味対照的な体験?

7月の読書メーター
読んだ本の数:20
読んだページ数:4474
ナイス数:127

きりのなかのはりねずみ (世界傑作絵本シリーズ)◾️きりのなかのはりねずみ (世界傑作絵本シリーズ)感想
★★★☆
アニメでは何度も観ているけど、絵本で読むのはこれが初めて。映像で観ても不思議な話だけど、絵本で読んでもやっぱり不思議だ。
読了日:07月01日 著者:ユーリー ノルシュテイン,セルゲイ コズロフ


スウィート・ラヴィン・ベイビー (Feelコミックス)◾️スウィート・ラヴィン・ベイビー (Feelコミックス)感想
★★★☆
『LOVE MY LIFE』『インディゴ・ブルー』で地歩を固めたことで、1990年代の短編を集成した短編集がまとめられた。あとがきでは「調子の悪い時期」に描いたとされる「深雪」が後の方向性の萌芽を内包していた、というのが興味深い。古い作品はLaLaでのデビュー当時の独特のリズム感、会話のセンスが感じられて、そういうところがデビュー作からのファンにはちょっとうれしい。
読了日:07月01日 著者:やまじ えびね


香君 上 西から来た少女◾️香君 上 西から来た少女感想
★★★☆
ファンタジー的世界に生化学的な要素を入れ込む著者の作風。『鹿の王』ではその世界の医療、薬学などのレベルからウイルスといえる概念が学問として普及していることに違和感があったが、今回は「香り」の持つ植物どうし、あるいは昆虫とにコミュニケーションという概念に、異能的な嗅覚を持つ「香君」という設定を組み合わせることで、科学者視点で読んでも違和感ない物語になっていると感じた。まだ設定が明かされていない作中の主要作物が農芸化学者的に都合良すぎる印象もなくはないものの、いつもながらテンポのよい物語展開でするする読める。
読了日:07月03日 著者:上橋 菜穂子


香君 下 遥かな道◾️香君 下 遥かな道感想
★★★★
すれた読者的には、この食物連鎖の設定に物語の展開から逆算したような作り込み感を感じてしまったりもしながら読み進めていたし、登場人物の配置にも同様の印象を持ったところはあるのだけど、それでもぐいぐい読ませる物語の力、また「香君」のあり方をめぐる終盤の展開には感銘を受けた。香君といえる存在の異能がすべてを収拾するのではなく、それがこの世界における仮説と検証のプロセスのトリガーに過ぎず、それから科学が生まれていく予感につながるのが見事。謎がすべて解かれず残っているので、『獣の奏者』のような続編展開もありそう。
読了日:07月04日 著者:上橋 菜穂子


八百夜(1) (ウィングス・コミックス)◾️八百夜(1) (ウィングス・コミックス)感想
★★★
4巻出たところで再読。改めて読むとこの世界の有様や主人公の独り言に気になる描写がいろいろある。
読了日:07月07日 著者:那州 雪絵


ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選(下)◾️ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選(下)感想
★★★☆
子どもの頃、学習雑誌に載っているウルトラシリーズやテレビ放映の前にマンガになったジャンボーグAが同じ人の作品であることはわかって読んでいた。その中でも、増刊号に載っていてラストでウルトラ兄弟がすごい数の怪獣と戦いながら力尽きていくという衝撃の展開が印象に残っていた作品があったのだが、今回収録の「かがやけウルトラの星」がまさに記憶にあるラストシーンだった。この歳でこれが読めるとは。あとは、久しぶりにメロス大活躍の「対アヌビス」が読み応えあった。
読了日:07月09日 著者:内山まもる


地上最強の男・竜〈1〉 (1977年) (サンコミックス)◾️地上最強の男・竜〈1〉 (1977年) (サンコミックス)感想
★★★
空手の試合で強すぎて相手を殺してしまった主人公が、死んだ空手家の恋人と空手の師匠から命を狙われる。設定も展開も妙に緻密な絵柄も、画面を彩る仏教からキリスト教までごった煮のあれやこれや…。どういう頭をしているとこんな話を思いつくのか、子どもの頃も唖然として読んでいた記憶があるが(連載で雑誌を毎週読んでいた)、今読んでもまったく理解できない(笑)。とはいえ、この不思議な絵柄の力には圧倒される。
読了日:07月14日 著者:


地上最強の男・竜〈2〉 (1977年) (サンコミックス)◾️地上最強の男・竜〈2〉 (1977年) (サンコミックス)感想
★★★☆
上巻に続き、さらに斜め上の展開は続く。空手の師匠の念力が救世主を蘇らせた!? 竜を倒すために救世主が呼び出したのは宮本武蔵とブルース・リー!? そして、そこまで狙われる竜の意外な正体とは!? という話はさておき、画面を眺めていると、デビルマンやバイオレンス・ジャックの黄金都市編あたりまでは、おそらくアシスタントで参加していたと思われるこの風忍のタッチが、あの時期の永井豪作品に独特の緊張感を生んでいたのではなかったか、という気がする。真偽はいかに?
読了日:07月14日 著者:


やりなおし世界文学◾️やりなおし世界文学感想
★★★★
連載でもちらっと読んでたけど、まとめて読むと圧巻。書評というより名エッセイ。もともとこの著者のお名前はエッセイが面白くて覚えていたのだが、読んでなかった(ものが多い)名作を毎月課題図書のように読んで軽妙洒脱に紹介。読む順番からくる考察もちらほらあるので、通しで読むとその深まりも味わえる。あと、ビクトル・エリセとかフィオナ・アップルとか、本以外の趣味嗜好にも親近感。
読了日:07月16日 著者:津村 記久子


八百夜(2) (ウィングス・コミックス)◾️八百夜(2) (ウィングス・コミックス)感想
★★★☆
表紙にもある通り、ヤオの物語に夢中になるうちに、どんどん元気な女の子っぽくなっていくアケトがかあいい。一方でポスト・アポカリプスっぽい描写も増えてきた。もともとカタカナの地名に「匂わせ」も仕込んであったし、今回もさらに…。
読了日:07月16日 著者:那州 雪絵


八百夜(3) (ウィングス・コミックス)◾️八百夜(3) (ウィングス・コミックス)感想
★★★☆
今回は表紙の二人の過去のエピソードが多い。とはいえそれもこの世界の背景の一部。言葉の通じない異人の襲来も不穏。それにしてのヤオの語る物語は我々の知る昔話のアレンジぶりがなかなか楽しい。とはいえ、作り話しかしないというのは,もしかして信頼できない語り手!? もしかしてタイトルの八百って…??
読了日:07月17日 著者:那州 雪絵


八百夜(4) (ウィングス・コミックス)◾️八百夜(4) (ウィングス・コミックス)感想
★★★☆
王の部屋に伝わるものは、この世界の実相を王に伝えるものなのか…? 先代の王の狂った理由が明かされつつあり、一方で、異人の持ち物にもその実相の一部が…。ヤオと同じ存在も二人登場して、物語は後書きに曰く「折り返し」。全8巻くらいにはなるのかな?
読了日:07月17日 著者:那州 雪絵


百億の昼と千億の夜 完全版◾️百億の昼と千億の夜 完全版感想
★★★★★
まさに完全版。原画そのものには敵わないものの、モノクロのページの線の繊細さを味わうにはこのサイズが最低限必要だろう。関連イラストや過去の関連エッセイなどの文章、さらに現役の海外SFファンとしての萩尾望都の健啖家ぶりがよくわかる最新の今年5月の100の質問、作品関連年表まで網羅して、これ一冊でまるごと、という作り。収録イラスト中、原画展で観た中で今回いちばん感動したのはイメージアルバム付録ポスターの原画。阿修羅王の立ち姿と背景の花がただただ美しく、いつまでも観ていたい原画だった。
読了日:07月18日 著者:萩尾望都,光瀬龍


レッド・シンブル 1 (ビームコミックス)◾️レッド・シンブル 1 (ビームコミックス)感想
★★★☆
各種通販サイトでは紙のコミックスはなく、電子書籍にて。額縁造りを生業とする主人公の荷物に入っていた指ぬき(シンブル)、それから届くようになる血のついた糸、ボタン…。不穏な出来事が連鎖的に起こっていく。一方で、その事態をなぜか把握している小学生の少女がひとり。何もわからないまま事態は進んでいく…。
読了日:07月21日 著者:やまじえびね


レッド・シンブル 2 (ビームコミックス)◾️レッド・シンブル 2 (ビームコミックス)感想
★★★★
妻の身に起こったことをきっかけに、主人公の過去の(本人にとっては)些細なあやまちが見え隠れする。夫婦の間の不信は静かに育ち、犯人サイドから見た過去の姿が見え始める。
読了日:07月21日 著者:やまじえびね


レッド・シンブル 3 (ビームコミックス)◾️レッド・シンブル 3 (ビームコミックス)感想
★★★★
ついに明らかになる犯人の過去と動機。主人公視点では、何事もなければ幼なじみとの苦い青春の一記憶で終わったかもしれない出来事の裏で起こっていた陰惨な悲劇の連鎖。誰の身にも起こるかもしれないと思わせる些細な出来事、犯人側に起こったことは主人公側からは知り得ないことによる理不尽さ、一方そこまで追い詰められた犯人を責めきれないやるせなさ。すべてを見ていた正体不明の透視少女がささやかな救いか? なるほど、「ナイトワーカー」で踏み込んだテーマはここまで突き詰められたのか、という驚きのサイコスリラー。
読了日:07月22日 著者:やまじえびね


ローカルおやつの本◾️ローカルおやつの本感想
★★★
知ってるもの、知らないもの含め、パッケージを見ているだけでも楽しいけど、知らなかったトリビア的な各メーカーの歴史がまた楽しい。
読了日:07月23日 著者:
ゴールデンカムイ 30 (ヤングジャンプコミックス)◾️ゴールデンカムイ 30 (ヤングジャンプコミックス)感想
★★★★
加筆部分を見届けるべく、紙で購入。それぞれのキャラクターの最後の見せ場と言える場面場面に、連載版と違和感なく、でもあるとないとで深みがぜんぜん違うセリフや回想が…。
読了日:07月24日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 31◾️ゴールデンカムイ 31感想
★★★★
なんて気持ちのいいやつらだろう、という某アニメのような感想を一言だけ付け加えておきたい。アメリカン・グラフィティというかファイアーエムブレムのようなエンディングの余韻と、やっぱり全部持ってくあのキャラクターがいい。加筆の黒幕?にもちょっとジンときた。
読了日:07月24日 著者:野田 サトル


作家の手料理◾️作家の手料理感想
★★★★
作家、随筆家の随筆から料理を作る話を集めたアンソロジー。いかにも美味しそうでもあり、普段読まない方に文体の名調子に唸ってみたり、いろいろな意味で美味しい。セレクトもいいけど、今回特に米原万里「トルコ蜜飴の版図」が子どもの頃の思い出の味の探索がどんどん衒学的にエスカレートしていく名編として特記しておきたい。
読了日:07月29日 著者:森茉莉、内田百閒ほか

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