2024年7月に読んだ本2024年08月13日 04時55分23秒

 引き続き電子書籍中心になってきて、読むだけが目的なら蔵書は紙でなくてもいいか、と処分候補を考え中。堤抄子が混じってるのはその含みもあり。電子書籍のセール品で『聖戦記エルナ・サーガ』は格安で買えたものの、『〜エルナ・サーガII』は電子書籍になっていないのが悲しい。この二作以外はあまり突出しない印象はあるんだけど、これだけはもっと評価されてよかった作品だと今でも思っている。特に読者が少なかったと思う『II』はすごいびっくりするような作品なのだが…
 あと、honto使い始めた頃にセールでまとめ買いしてあった谷川史子『はじめての人』ほぼ一気読み。蔵書を増やしたくなくて控えていたマンガ作品を読むようになってきたのが今年いちばんの変化かな。

7月の読書メーター
読んだ本の数:28
読んだページ数:4748
ナイス数:118

からかい上手の高木さん (8) (ゲッサン少年サンデーコミックス)◾️からかい上手の高木さん (8) (ゲッサン少年サンデーコミックス)感想
★★★☆
なんか、バレンタインかと思えば、雪だるま作ったり、主に冬場の話かと思えばいきなり夏服で「暑いねー」だったり、時系列はランダム? 今回のキーワードは「手」? いいから手をつなぐんだ!?
読了日:07月01日 著者:山本 崇一朗


ダンジョン飯 11巻 (ハルタコミックス)◾️ダンジョン飯 11巻 (ハルタコミックス)感想
★★★★
迷宮の主の交代をめぐる二転三転。まぬけっぽい感じに見えてた翼獅子がやばい。
読了日:07月02日 著者:九井 諒子


ダンジョン飯 12巻 (ハルタコミックス)◾️ダンジョン飯 12巻 (ハルタコミックス)感想
★★★★
ここ数巻そうだったけど、とにかく二転三転、戦闘はシビア、そしてすごい情報量。これをするっと読ませる画力、構成力もすごいが、いくつかの突破口になるのがライオスの天然ズレっぷりと魔物知識とそこからの類推力、そして積み上げてきたここまでの物語、というのがさらにすごい。事態の転がり方が常に斜め上なのでまるで先も読めない。
読了日:07月03日 著者:九井 諒子


ダンジョン飯 13巻 (ハルタコミックス)◾️ダンジョン飯 13巻 (ハルタコミックス)感想
★★★★
まるごと一冊翼獅子。これまでのあらゆるライオスの設定、性格、描写が転がって転がってついに。計算ずくではないけど、過剰なあれこれがバックアップにつながっていく有様は、もしかして「はやぶさ」帰還劇に通じるものがあったり……はしないですね、すみません(笑)。
読了日:07月03日 著者:九井 諒子


ダンジョン飯 14巻 (ハルタコミックス)◾️ダンジョン飯 14巻 (ハルタコミックス)感想
★★★★
最終巻はまるごと一冊ファリン。まさか物語中盤(アニメ一期のラスト)で提示されたビジョンがこう言う形で実現するのか(笑)!? そして翼獅子の呪いの正体は……(笑)。エピローグとオマケで、ちゃんとダンジョンで飯を食べて大団円。お見事!
読了日:07月03日 著者:九井 諒子


からかい上手の(元)高木さん (6) (ゲッサン少年サンデーコミックス)◾️からかい上手の(元)高木さん (6) (ゲッサン少年サンデーコミックス)感想
★★★
三人組は大人になっても尾行(笑)。しかしこうしてみると、田舎で子どもの頃から歳をとるまで、関係が壊れる致命的なこともなく、同じような関係でほんわかと暮らしていけるユートピア世界。親の都合で転校とかあるとあり得ない設定で、最初の小学校の頃の、今は音信不通の友だちを思い出すとちょっと切なくなる。まあ、自分の場合はいいことばかりでもなかったので、受験戦争のままに周囲の人間関係がガラガラポンされる環境の方が性に合っていたのも自覚しているので、こういうのは見果てぬ夢かな。
読了日:07月08日 著者:稲葉 光史


初夏ものがたり (ちくま文庫 や-43-4)◾️初夏ものがたり (ちくま文庫 や-43-4)感想
★★★☆
ちょっと前に『オットーと魔術師』で読んでいたはずだったけど、内容はだいぶ忘れていたので初読のように楽しめた。コバルト文庫の昔のジュニア文庫っぽい装丁もけっこう味があったけど、酒井駒子さんの画風は死と生のあわいを描くこの連作にはベストマッチだ。
読了日:07月09日 著者:山尾 悠子


スターゲイザー~星に願いを~【新装版】(1) (Jコミックテラス×ナンバーナイン)◾️スターゲイザー~星に願いを~【新装版】(1) (Jコミックテラス×ナンバーナイン)感想
★★★
持っているのは新装版ではなく最初のコミックス。腕にハンドヘルドコンピュータをつけて破滅した世界を探検するのは当時としては『女神転生』っぽかったかもしれない。人の願いを叶えてしまう隕石が大量に降り注いだことで世界が破滅に向かうこのコンセプトは初期作品集『クラリオンの子供たち』収録の短編が元ネタで、少年マンガとして長編化。幼なじみを探す冒険の旅のお供が、お互いが飼っていた犬とネコで、隕石が叶えた願いで人間化しているのが、今年読むと『わんだふるぷりきゅあ』を先取りしていると思えなくもない。
読了日:07月09日 著者:堤抄子


スターゲイザー~星に願いを~【新装版】(2) (Jコミックテラス×ナンバーナイン)◾️スターゲイザー~星に願いを~【新装版】(2) (Jコミックテラス×ナンバーナイン)感想
★★★
同じく初刊版のコミックスにて。破滅した世界でも人がそれぞれに生活していくのは、古くはジョン・ウィンダムの破滅ものが起源とはいえるのかもしれない。ウィンダムも宇宙から何か未知のものが降ってくるのが発端の話、多いしなあ。
読了日:07月10日 著者:堤抄子


スターゲイザー~星に願いを~【新装版】(3) (Jコミックテラス×ナンバーナイン)◾️スターゲイザー~星に願いを~【新装版】(3) (Jコミックテラス×ナンバーナイン)感想
★★★
さらわれた幼なじみと、暗躍してきた黒幕の正体。ややこじんまりとまとまってしまったのがもったいなかった感じもする。そのあたりが物足りない方には、宇宙から降ってくる存在との対峙に物語、設定での納得感のある『聖戦記エルナサーガII』をオススメしたいのだが、『エルナサーガ』本編は電子書籍で読めるが、『エルナサーガII』は2024年現在、電子書籍がないようだ。通して読むとすごい傑作なので、電子書籍化が待たれる。しかし本作、あとがきによると『エルナサーガ』と並行して連載してたのか。
読了日:07月11日 著者:堤抄子


からかい上手の高木さん (9) (ゲッサン少年サンデーコミックス)◾️からかい上手の高木さん (9) (ゲッサン少年サンデーコミックス)感想
★★★☆
高木さんの方の本心がだだ漏れになりつつある巻。たぶんまわりはもうこの二人の世界はあたたかく見守る雰囲気なのでは(笑)。なんだかんだで自分から二人になるシチュエーションを増やしている西片の変化は、そりゃうれしかろう(笑)。
読了日:07月12日 著者:山本 崇一朗


はじめてのひと 1 (マーガレットコミックス)◾️はじめてのひと 1 (マーガレットコミックス)感想
★★★☆
谷川史子も紙のコミックスの増殖を気にし始めてから、あんなに好きだったのに申し訳ないと思いつつ、買い控えてしまっていたマンガ家のひとり。デビュー短編集からりぼんマスコットコミックス時代はほぼフォローしていて、そのあたりは今も手元にある。乙女チックの後継者的な要素も持ちながら、キャラクターや物語世界にリアリティがあり、短編としての構成、展開が読んでいて(ビターな内容でも)心地よい。また、どれだけ引き出しがあるんだと思う短編の作品数と安定感、やはり健在。電子書籍まとめ買いしてあるので続刊も楽しみ。
読了日:07月14日 著者:谷川 史子


アリスと蔵六(12) (リュウコミックス)◾️アリスと蔵六(12) (リュウコミックス)感想
★★★☆
RPG演算謎解きは蔵六を巻き込んで継続中。一方で赤の王をめぐる「認識は肉体に依存する」というSF思索が存在そのものが昭和っぽい古風な刑事の洞察力で明らかにされていくのがなかなかスリリング。こんな話、どうやれば思いつけるんだろう。さらに一方、2パーティ分合わせたら「ジャンポーさんの書」がそろっちゃった!? 次は出てくるのか、ジャンポーさん!?
読了日:07月15日 著者:今井哲也


はじめてのひと 2 (マーガレットコミックス)◾️はじめてのひと 2 (マーガレットコミックス)感想
★★★☆
うわあ…。うすうすヤバげだったけど、事前にアドバイスがあってもそっち行っちゃったか…。ただまあ、みんながみんな背徳感メインじゃないんだろうから、会っている間は普通に多幸感ある恋愛で(そのあたりはいかにも谷川史子らしい),だからこそ深みにハマるのかも、という説得力はあるかも。それにしても、ラストは最悪を予想させる急展開だ。
読了日:07月15日 著者:谷川 史子


はじめてのひと 3 (マーガレットコミックス)◾️はじめてのひと 3 (マーガレットコミックス)感想
★★★☆
まあ、最初から手を出すなよ、と男の方には言いたくなるし、起こってしまったことは消せないので、あとあとの火種が残っていそうな気がするけど、ちゃんと終わらせたのだけは物語的にはよかったという感じ。こんなにきれいにいかないケースの方が現実には多いのだろうが、描写の丹念さは流石の谷川史子品質。第一部完、という感じでまったく別のキャラクターでの新エピソードへ。意味深な「開けるな」箱の顛末は…?
読了日:07月15日 著者:谷川 史子


はじめてのひと 4 (マーガレットコミックス)◾️はじめてのひと 4 (マーガレットコミックス)感想
★★★☆
あ、前巻の話は続いてなかった。まあ、確かにアレはアレで。今巻は第一部?の博物館まわりでの秘めた恋ふたつ。いずれもパートナーとなる(かもしれない)女性よりもある意味近くて、恋愛じゃないからこそ濃密な関係で、いかにもありそうなシチュエーション。少女マンガじゃないけど最近読み始めてる『瓜を破る』は、社会人している人たちのこういう微妙な心理を描こうとするスタンスではちょっと共通点があるように感じた。
読了日:07月16日 著者:谷川 史子


はじめてのひと 5 (マーガレットコミックス)◾️はじめてのひと 5 (マーガレットコミックス)感想
★★★☆
博物館職人の中の一人、見た目完璧な「脇役」として登場した北別府さん編、お見事なハッピーエンド?。その過程で破局した(その時点では悲劇のヒロイン)合コンOLの側の後日談をちゃんと拾う親切設計でよい読後感。一緒にいて楽しい、素の自分を出せる相手といつ巡り会えるか、そのことをいつ実感できるか、という点では対照的なふたつの恋愛譚。
読了日:07月16日 著者:谷川 史子


はじめてのひと 6 (マーガレットコミックス)◾️はじめてのひと 6 (マーガレットコミックス)感想
★★★☆
夫の単身赴任でお互いの存在を見つめ直す話、捨てた自転車を引き取りたいという書き置きから始まる関係、大事なものを失うのが怖いマンガ家の想定外の行動など。これまでとのつながりはゆるやかにありつつ、独立した短編集としても読める構成。りぼん時代の短編集をちょっと思い出した。あと、このシリーズ中ではビールは黒ラベルばかり飲まれているのがありがたい。
読了日:07月16日 著者:谷川 史子


はじめてのひと 7 (マーガレットコミックス)◾️はじめてのひと 7 (マーガレットコミックス)感想
★★★☆
冒頭の誕生日エピソードがほんわか。そこから博物館人脈それぞれのクリスマス準備が。まあ、どんな地味でも、たまには装いを変えてみるのはありだ。
読了日:07月16日 著者:谷川 史子


ダンジョン飯 1巻 (ハルタコミックス)◾️ダンジョン飯 1巻 (ハルタコミックス)感想
★★★☆
電子書籍で後半はほぼ一気読みだったけど、紙の本であらためて再読。こうしてみると、巻を追うごとに絵が緻密になっていっていたことがわかる。あと、読み直してみて、この物語の主人公はもしかしてマルシルとして解釈もできるような重点の置かれ方を最初からしていたかもなあ、とか思ったりもした。
読了日:07月19日 著者:九井 諒子


仮題・中学殺人事件【新装版】 (創元推理文庫)◾️仮題・中学殺人事件【新装版】 (創元推理文庫)感想
★★★☆
推理小説において、読者を犯人にするためには…!? というアイデアの今でいうメタ構造の作品が初の推理小説長編だった、というのがやはりすごいと思う。新装版では桂真佐喜が解説を書くことによって入れ子構造がさらに加わっている。SF大会でNHK時代や脚本家駆け出しの頃のお話を聞いてその記憶力にも感嘆したものだが(そのあたりは同人誌シリーズにもなっている)、この解説にも文字や映像記録のないもののオーラルヒストリーの要素がたっぷりあって、その意味でも楽しめる。
読了日:07月21日 著者:辻 真先


からかい上手の高木さん (10) (ゲッサン少年サンデーコミックス)◾️からかい上手の高木さん (10) (ゲッサン少年サンデーコミックス)感想
★★★☆
高木さんの気持ちだだ漏れどころか、行動までだだ漏れし始めてる…(笑)。一方で、たまにはさまる時系列シャッフルで、二人が今の呼び方に落ち着いた経緯が明かされる。いやもう、恥ずかしさマックスだ(笑)。
読了日:07月23日 著者:山本 崇一朗


盗作・高校殺人事件【新装版】 (創元推理文庫)◾️盗作・高校殺人事件【新装版】 (創元推理文庫)感想
★★★☆
「読者が犯人」に続くは「作者が被害者で犯人で探偵」のメタ小説。読者からすれば前作と同じポテトとスーパーが高校生になった姿だが、その活躍を書いているのは…?? あと、前作と共通しているのは、現実にあった惨劇と言える事件を背景に置いているところ。あと、高校生たちが温泉に、という展開は今の視点なら『たかが殺人じゃないか』とも通じるところがある。1980年代のヤング用語と風俗は懐かしくも同世代には気恥ずかしい(笑)。とはいえ、そういう時代を切り取って封じ込めたタイムカプセルでもある。
読了日:07月24日 著者:辻 真先


からかい上手の(元)高木さん (7) (ゲッサン少年サンデーコミックス)◾️からかい上手の(元)高木さん (7) (ゲッサン少年サンデーコミックス)感想
★★★
いろいろ中学時代のエピソードやその頃からの友人もからんで、ほんわか。前巻の感想でも書いたけど、いじめとか致命的なことがなくて次の世代まで同じ地域での閉じた関係が続いていく、というのは、そういう閉じた環境にいるけど、いいことばかりじゃない人生を送る人にとっては「こうあれかし」というユートピアかもしれない。ちなみに、そうじゃない転勤族からするとそもそもありえない人生だ。そういえばちーちゃんが気にしているあの子は目つきからしてあの子の息子さんなんだろうな。
読了日:07月26日 著者:稲葉 光史


おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行◾️おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行感想
★★★★☆
『パリのすてきなおじさん』の著者が今度は『世界のすてきなことわざ』を本にした!? すべて、元の言語でのカタカタ読みと、表記にもっぱら使われている文字で、該当のことわざをイラストと一緒に書いてあるのがいい味を出している。ご本人は実はどの言葉も扱えないとのことだが、人類の多様性を保つことの困難さが通して読むと滲み出る感じ。もちろん、世界のちょっと変わったことわざ絵本としても名著。
読了日:07月26日 著者:金井 真紀


ガスパール ベネチアへいく (リサとガスパール)◾️ガスパール ベネチアへいく (リサとガスパール)感想
★★★☆
翻訳は出ていなかったが、妻は原書で持っていた。今回の刊行では「シリーズ幻の第一作」との惹句が…。ガスパール一家五人(?)がベネチア旅行したエピソード。リサが出てこないのが長らく訳されてこなかった理由だったりするのだろうか。味わいはいつもの通り。2007年に学会で行ったっきりだけど、見覚えのある風景だ。沈む前にまたいくことはできるだろうか。
読了日:07月26日 著者:アン・グットマン


【小説13巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員1」◾️【小説13巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員1」感想
★★★☆
年末年始の第三部までの破格電子書籍合本で読んで以来のリスタート。そのインターバルが、ちょうど2年の眠りから覚めて浦島太郎な主人公とシンクロ(笑)? 第三部までのスパルタ詰め込みで自分のレベルが上がり過ぎていたことに自覚が薄かった主人公は、上には上がいると思っているので自分のレベルがバグるマニアの行動様式を連想してちょっとニヤリ(笑)。それにしても表紙の謎のウサギコンビがかわいすぎる。
読了日:07月29日 著者:香月美夜


【小説14巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員2」◾️【小説14巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員2」感想
★★★☆
もはや初期の『大江戸神仙伝』的なニュアンスは影も形もなく、魔法世界の学校での対決はあとがきでも「よく言われる」とある通り、某魔法学校小説のような…。とはいえ、前巻のややのんびりした雰囲気から一変しての急展開、また、折り合えないキャラクターへの対応のシビアさなど、持ち味出てきたなあ、という感じ。キャラクター多すぎでも読み始めるとスルスル読めてしまうのも健在。
読了日:07月30日 著者:香月美夜



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