2024年7月に読んだ本 ― 2024年08月13日 04時55分23秒
あと、honto使い始めた頃にセールでまとめ買いしてあった谷川史子『はじめての人』ほぼ一気読み。蔵書を増やしたくなくて控えていたマンガ作品を読むようになってきたのが今年いちばんの変化かな。
7月の読書メーター
読んだ本の数:28
読んだページ数:4748
ナイス数:118◾️からかい上手の高木さん (8) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★☆
なんか、バレンタインかと思えば、雪だるま作ったり、主に冬場の話かと思えばいきなり夏服で「暑いねー」だったり、時系列はランダム? 今回のキーワードは「手」? いいから手をつなぐんだ!?
読了日:07月01日 著者:山本 崇一朗
◾️ダンジョン飯 11巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★
迷宮の主の交代をめぐる二転三転。まぬけっぽい感じに見えてた翼獅子がやばい。
読了日:07月02日 著者:九井 諒子
◾️ダンジョン飯 12巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★
ここ数巻そうだったけど、とにかく二転三転、戦闘はシビア、そしてすごい情報量。これをするっと読ませる画力、構成力もすごいが、いくつかの突破口になるのがライオスの天然ズレっぷりと魔物知識とそこからの類推力、そして積み上げてきたここまでの物語、というのがさらにすごい。事態の転がり方が常に斜め上なのでまるで先も読めない。
読了日:07月03日 著者:九井 諒子
◾️ダンジョン飯 13巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★
まるごと一冊翼獅子。これまでのあらゆるライオスの設定、性格、描写が転がって転がってついに。計算ずくではないけど、過剰なあれこれがバックアップにつながっていく有様は、もしかして「はやぶさ」帰還劇に通じるものがあったり……はしないですね、すみません(笑)。
読了日:07月03日 著者:九井 諒子
◾️ダンジョン飯 14巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★
最終巻はまるごと一冊ファリン。まさか物語中盤(アニメ一期のラスト)で提示されたビジョンがこう言う形で実現するのか(笑)!? そして翼獅子の呪いの正体は……(笑)。エピローグとオマケで、ちゃんとダンジョンで飯を食べて大団円。お見事!
読了日:07月03日 著者:九井 諒子
◾️からかい上手の(元)高木さん (6) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★
三人組は大人になっても尾行(笑)。しかしこうしてみると、田舎で子どもの頃から歳をとるまで、関係が壊れる致命的なこともなく、同じような関係でほんわかと暮らしていけるユートピア世界。親の都合で転校とかあるとあり得ない設定で、最初の小学校の頃の、今は音信不通の友だちを思い出すとちょっと切なくなる。まあ、自分の場合はいいことばかりでもなかったので、受験戦争のままに周囲の人間関係がガラガラポンされる環境の方が性に合っていたのも自覚しているので、こういうのは見果てぬ夢かな。
読了日:07月08日 著者:稲葉 光史
◾️初夏ものがたり (ちくま文庫 や-43-4)の感想
★★★☆
ちょっと前に『オットーと魔術師』で読んでいたはずだったけど、内容はだいぶ忘れていたので初読のように楽しめた。コバルト文庫の昔のジュニア文庫っぽい装丁もけっこう味があったけど、酒井駒子さんの画風は死と生のあわいを描くこの連作にはベストマッチだ。
読了日:07月09日 著者:山尾 悠子
◾️スターゲイザー~星に願いを~【新装版】(1) (Jコミックテラス×ナンバーナイン)の感想
★★★
持っているのは新装版ではなく最初のコミックス。腕にハンドヘルドコンピュータをつけて破滅した世界を探検するのは当時としては『女神転生』っぽかったかもしれない。人の願いを叶えてしまう隕石が大量に降り注いだことで世界が破滅に向かうこのコンセプトは初期作品集『クラリオンの子供たち』収録の短編が元ネタで、少年マンガとして長編化。幼なじみを探す冒険の旅のお供が、お互いが飼っていた犬とネコで、隕石が叶えた願いで人間化しているのが、今年読むと『わんだふるぷりきゅあ』を先取りしていると思えなくもない。
読了日:07月09日 著者:堤抄子
◾️スターゲイザー~星に願いを~【新装版】(2) (Jコミックテラス×ナンバーナイン)の感想
★★★
同じく初刊版のコミックスにて。破滅した世界でも人がそれぞれに生活していくのは、古くはジョン・ウィンダムの破滅ものが起源とはいえるのかもしれない。ウィンダムも宇宙から何か未知のものが降ってくるのが発端の話、多いしなあ。
読了日:07月10日 著者:堤抄子
◾️スターゲイザー~星に願いを~【新装版】(3) (Jコミックテラス×ナンバーナイン)の感想
★★★
さらわれた幼なじみと、暗躍してきた黒幕の正体。ややこじんまりとまとまってしまったのがもったいなかった感じもする。そのあたりが物足りない方には、宇宙から降ってくる存在との対峙に物語、設定での納得感のある『聖戦記エルナサーガII』をオススメしたいのだが、『エルナサーガ』本編は電子書籍で読めるが、『エルナサーガII』は2024年現在、電子書籍がないようだ。通して読むとすごい傑作なので、電子書籍化が待たれる。しかし本作、あとがきによると『エルナサーガ』と並行して連載してたのか。
読了日:07月11日 著者:堤抄子
◾️からかい上手の高木さん (9) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★☆
高木さんの方の本心がだだ漏れになりつつある巻。たぶんまわりはもうこの二人の世界はあたたかく見守る雰囲気なのでは(笑)。なんだかんだで自分から二人になるシチュエーションを増やしている西片の変化は、そりゃうれしかろう(笑)。
読了日:07月12日 著者:山本 崇一朗
◾️はじめてのひと 1 (マーガレットコミックス)の感想
★★★☆
谷川史子も紙のコミックスの増殖を気にし始めてから、あんなに好きだったのに申し訳ないと思いつつ、買い控えてしまっていたマンガ家のひとり。デビュー短編集からりぼんマスコットコミックス時代はほぼフォローしていて、そのあたりは今も手元にある。乙女チックの後継者的な要素も持ちながら、キャラクターや物語世界にリアリティがあり、短編としての構成、展開が読んでいて(ビターな内容でも)心地よい。また、どれだけ引き出しがあるんだと思う短編の作品数と安定感、やはり健在。電子書籍まとめ買いしてあるので続刊も楽しみ。
読了日:07月14日 著者:谷川 史子
◾️アリスと蔵六(12) (リュウコミックス)の感想
★★★☆
RPG演算謎解きは蔵六を巻き込んで継続中。一方で赤の王をめぐる「認識は肉体に依存する」というSF思索が存在そのものが昭和っぽい古風な刑事の洞察力で明らかにされていくのがなかなかスリリング。こんな話、どうやれば思いつけるんだろう。さらに一方、2パーティ分合わせたら「ジャンポーさんの書」がそろっちゃった!? 次は出てくるのか、ジャンポーさん!?
読了日:07月15日 著者:今井哲也
◾️はじめてのひと 2 (マーガレットコミックス)の感想
★★★☆
うわあ…。うすうすヤバげだったけど、事前にアドバイスがあってもそっち行っちゃったか…。ただまあ、みんながみんな背徳感メインじゃないんだろうから、会っている間は普通に多幸感ある恋愛で(そのあたりはいかにも谷川史子らしい),だからこそ深みにハマるのかも、という説得力はあるかも。それにしても、ラストは最悪を予想させる急展開だ。
読了日:07月15日 著者:谷川 史子
◾️はじめてのひと 3 (マーガレットコミックス)の感想
★★★☆
まあ、最初から手を出すなよ、と男の方には言いたくなるし、起こってしまったことは消せないので、あとあとの火種が残っていそうな気がするけど、ちゃんと終わらせたのだけは物語的にはよかったという感じ。こんなにきれいにいかないケースの方が現実には多いのだろうが、描写の丹念さは流石の谷川史子品質。第一部完、という感じでまったく別のキャラクターでの新エピソードへ。意味深な「開けるな」箱の顛末は…?
読了日:07月15日 著者:谷川 史子
◾️はじめてのひと 4 (マーガレットコミックス)の感想
★★★☆
あ、前巻の話は続いてなかった。まあ、確かにアレはアレで。今巻は第一部?の博物館まわりでの秘めた恋ふたつ。いずれもパートナーとなる(かもしれない)女性よりもある意味近くて、恋愛じゃないからこそ濃密な関係で、いかにもありそうなシチュエーション。少女マンガじゃないけど最近読み始めてる『瓜を破る』は、社会人している人たちのこういう微妙な心理を描こうとするスタンスではちょっと共通点があるように感じた。
読了日:07月16日 著者:谷川 史子
◾️はじめてのひと 5 (マーガレットコミックス)の感想
★★★☆
博物館職人の中の一人、見た目完璧な「脇役」として登場した北別府さん編、お見事なハッピーエンド?。その過程で破局した(その時点では悲劇のヒロイン)合コンOLの側の後日談をちゃんと拾う親切設計でよい読後感。一緒にいて楽しい、素の自分を出せる相手といつ巡り会えるか、そのことをいつ実感できるか、という点では対照的なふたつの恋愛譚。
読了日:07月16日 著者:谷川 史子
◾️はじめてのひと 6 (マーガレットコミックス)の感想
★★★☆
夫の単身赴任でお互いの存在を見つめ直す話、捨てた自転車を引き取りたいという書き置きから始まる関係、大事なものを失うのが怖いマンガ家の想定外の行動など。これまでとのつながりはゆるやかにありつつ、独立した短編集としても読める構成。りぼん時代の短編集をちょっと思い出した。あと、このシリーズ中ではビールは黒ラベルばかり飲まれているのがありがたい。
読了日:07月16日 著者:谷川 史子
◾️はじめてのひと 7 (マーガレットコミックス)の感想
★★★☆
冒頭の誕生日エピソードがほんわか。そこから博物館人脈それぞれのクリスマス準備が。まあ、どんな地味でも、たまには装いを変えてみるのはありだ。
読了日:07月16日 著者:谷川 史子
◾️ダンジョン飯 1巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★☆
電子書籍で後半はほぼ一気読みだったけど、紙の本であらためて再読。こうしてみると、巻を追うごとに絵が緻密になっていっていたことがわかる。あと、読み直してみて、この物語の主人公はもしかしてマルシルとして解釈もできるような重点の置かれ方を最初からしていたかもなあ、とか思ったりもした。
読了日:07月19日 著者:九井 諒子
◾️仮題・中学殺人事件【新装版】 (創元推理文庫)の感想
★★★☆
推理小説において、読者を犯人にするためには…!? というアイデアの今でいうメタ構造の作品が初の推理小説長編だった、というのがやはりすごいと思う。新装版では桂真佐喜が解説を書くことによって入れ子構造がさらに加わっている。SF大会でNHK時代や脚本家駆け出しの頃のお話を聞いてその記憶力にも感嘆したものだが(そのあたりは同人誌シリーズにもなっている)、この解説にも文字や映像記録のないもののオーラルヒストリーの要素がたっぷりあって、その意味でも楽しめる。
読了日:07月21日 著者:辻 真先
◾️からかい上手の高木さん (10) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★☆
高木さんの気持ちだだ漏れどころか、行動までだだ漏れし始めてる…(笑)。一方で、たまにはさまる時系列シャッフルで、二人が今の呼び方に落ち着いた経緯が明かされる。いやもう、恥ずかしさマックスだ(笑)。
読了日:07月23日 著者:山本 崇一朗
◾️盗作・高校殺人事件【新装版】 (創元推理文庫)の感想
★★★☆
「読者が犯人」に続くは「作者が被害者で犯人で探偵」のメタ小説。読者からすれば前作と同じポテトとスーパーが高校生になった姿だが、その活躍を書いているのは…?? あと、前作と共通しているのは、現実にあった惨劇と言える事件を背景に置いているところ。あと、高校生たちが温泉に、という展開は今の視点なら『たかが殺人じゃないか』とも通じるところがある。1980年代のヤング用語と風俗は懐かしくも同世代には気恥ずかしい(笑)。とはいえ、そういう時代を切り取って封じ込めたタイムカプセルでもある。
読了日:07月24日 著者:辻 真先
◾️からかい上手の(元)高木さん (7) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★
いろいろ中学時代のエピソードやその頃からの友人もからんで、ほんわか。前巻の感想でも書いたけど、いじめとか致命的なことがなくて次の世代まで同じ地域での閉じた関係が続いていく、というのは、そういう閉じた環境にいるけど、いいことばかりじゃない人生を送る人にとっては「こうあれかし」というユートピアかもしれない。ちなみに、そうじゃない転勤族からするとそもそもありえない人生だ。そういえばちーちゃんが気にしているあの子は目つきからしてあの子の息子さんなんだろうな。
読了日:07月26日 著者:稲葉 光史
◾️おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行の感想
★★★★☆
『パリのすてきなおじさん』の著者が今度は『世界のすてきなことわざ』を本にした!? すべて、元の言語でのカタカタ読みと、表記にもっぱら使われている文字で、該当のことわざをイラストと一緒に書いてあるのがいい味を出している。ご本人は実はどの言葉も扱えないとのことだが、人類の多様性を保つことの困難さが通して読むと滲み出る感じ。もちろん、世界のちょっと変わったことわざ絵本としても名著。
読了日:07月26日 著者:金井 真紀
◾️ガスパール ベネチアへいく (リサとガスパール)の感想
★★★☆
翻訳は出ていなかったが、妻は原書で持っていた。今回の刊行では「シリーズ幻の第一作」との惹句が…。ガスパール一家五人(?)がベネチア旅行したエピソード。リサが出てこないのが長らく訳されてこなかった理由だったりするのだろうか。味わいはいつもの通り。2007年に学会で行ったっきりだけど、見覚えのある風景だ。沈む前にまたいくことはできるだろうか。
読了日:07月26日 著者:アン・グットマン
◾️【小説13巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員1」の感想
★★★☆
年末年始の第三部までの破格電子書籍合本で読んで以来のリスタート。そのインターバルが、ちょうど2年の眠りから覚めて浦島太郎な主人公とシンクロ(笑)? 第三部までのスパルタ詰め込みで自分のレベルが上がり過ぎていたことに自覚が薄かった主人公は、上には上がいると思っているので自分のレベルがバグるマニアの行動様式を連想してちょっとニヤリ(笑)。それにしても表紙の謎のウサギコンビがかわいすぎる。
読了日:07月29日 著者:香月美夜
◾️【小説14巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員2」の感想
★★★☆
もはや初期の『大江戸神仙伝』的なニュアンスは影も形もなく、魔法世界の学校での対決はあとがきでも「よく言われる」とある通り、某魔法学校小説のような…。とはいえ、前巻のややのんびりした雰囲気から一変しての急展開、また、折り合えないキャラクターへの対応のシビアさなど、持ち味出てきたなあ、という感じ。キャラクター多すぎでも読み始めるとスルスル読めてしまうのも健在。
読了日:07月30日 著者:香月美夜
2024年6月に読んだ本 ― 2024年07月07日 08時28分57秒
6月の読書メーター
読んだ本の数:28
読んだページ数:5591
ナイス数:147◾️アリスと蔵六(10) (リュウコミックス)の感想
★★★★
歯車式の計算機がなぜあんな動作をするのかが明らかになったけど、強いて言えば手のひらに乗るもうひとつのワンダーランド? 活字のSFが何十年も深化させてきたテーマががんがんぶち込まれてくる。
読了日:06月01日 著者:今井哲也
◾️【2024年・第22回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作】ファラオの密室 (『このミス』大賞シリーズ)の感想
★★★☆
エジプトのミイラについてのあれこれが本当だったら、という世界で、その世界における法則を読者にわかるように提示しつつ、それをミステリの謎解きにまで組み込む異色のミステリ。それでも、タイトルにもなっている最大の謎への回答がそれでいいのか、と思わなくもないけど、一気に結末になだれこんでエピローグまで読むとそのくらいの穴は許してもいいかな、と思える不思議にさわやかな読後感。
読了日:06月02日 著者:白川 尚史
◾️薬屋のひとりごと 15 (ヒーロー文庫)の感想
★★★☆
後宮もの、日常ミステリ、政争もの、バイオ・農業もの、といういろいろな側面のあるシリーズの中でも、タイトルにもある医療ものの最大の大ネタ、外科手術が15巻目にしてついに、という感じ。ブラインドの臨床治験に始まって、手術本番まで。緊張感もあって一気に楽しめた。ラストの二人の関係性もなかなか悪くない。
読了日:06月08日 著者:日向夏
◾️アリスと蔵六(11) (リュウコミックス)の感想
★★★★
夢の世界がオンラインRPGになって、そのクリアが多次元構造の解析計算とリンクしている、という設定の勝利? 子どもたち4人組だけじゃなく、蔵六までが冒険者になってRPG世界を満喫しつつ、それが蔵六の過去の体験ともつながり、「子どもにとっての世界の見え方」につながっていくのがある意味痛快。
読了日:06月08日 著者:今井哲也
◾️バーナード嬢曰く。 (7) (REXコミックス)の感想
★★★★
いつもの本ネタは鉄板としても、キャラクター同士の関係性がよくて、にまにましながら読む。表紙の台詞とか、極まってる感。あと、神林の初短編?がなかなか悪くない。そういえば今回ネタになったルブラン描くところのホームズは、自分はホームズには思い入れなく、許せないというようなことはなかったけど、読んでいて同じ人物っぽくはなくて、人様の作品の主人公勝手に使っていいのか、と子ども心に心配になったのは覚えている(笑)。ルパン好きだったので、むしろ少年探偵団のルパンの扱いの方が納得いかなかったっけ(笑)。
読了日:06月08日 著者:施川 ユウキ
◾️からかい上手の高木さん (6) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★☆
前巻で選んだ水着の出番。4人でプールに行って、そのうち2人は公然カップルなので、傍からは同じように見られているとしか思えない(笑)。というか冒頭、ラストのエピソードでのクラスメートの反応はそのもの(笑)。まあ、暖かく見守られてる感じ?
読了日:06月08日 著者:山本 崇一朗
◾️かぐやひめ (オールカラー版世界の童話 15)の感想
★★★☆
「かぐやひめ」「いっすんぼうし」「あんじゅとずしおう」の3編。突然授かった不思議な子どもの話がふたつ、あと、清水寺が出てくるお話がふたつ、平安時代が背景、と、統一感のある巻。
読了日:06月08日 著者:浜田 廣介,蕗谷 虹児
◾️イソップの絵話 (オールカラー版世界の童話 16)の感想
★★★☆
一冊目以来2回目のイソップ。見開きか、長くても6ページのお話がたくさん。他の巻と比べてたくさんの画家さんがそれぞれの画風で技を見せているので、絵本ファン的にはお得感あり。この巻は子どもの頃読んでなくて初読だけど、今の日本人にこそ読ませたいようなエピソードが多い。言っちゃなんだが、今の日本の有様はリアルにイソップ世界だよ。解説では日本への伝来史が興味深い。宣教師が使っていた版なんてあったのね。
読了日:06月09日 著者:イソップ,土家 由岐雄
◾️総特集 佐藤史生 ― 少女マンガが夢見た未来 ―の感想
★★★★☆
高校の頃にどハマりした『夢見る惑星』、設定や物語もさることながら、ハイセンスな会話のやりとりが好きで何度も読み返した。SFではないものの一番好きな短編集『死せる王女のためのパヴァーヌ』では、自分の中の言語化できないあれこれをマンガとして投げかけられているような不思議な没入感を感じた。当時親交の深かった方々(綺羅星のようだ…)やインタビュー再録などから、自分にとってあれだけチューニングが合ったように感じた理由の一端はわかったように思った。語られる大泉の思い出が、今読むと切ない。
読了日:06月10日 著者:佐藤 史生
◾️「俳優」の肩ごしにの感想
★★★★
出てすぐに買いながら、なんかもったいなくて積んであった。読み始めると、これは流れるように読むべき本だと思った。流れに揺蕩うのが気持ちいい。自分が偏愛するドラマ『早春スケッチブック』が演じたご本人の中でも大きな存在だったのだ、というのが長年のファンとしてうれしかった。近作では『正直不動産2』の冒頭でなんの説明もなくウェスタン風のハットかぶってラーメン啜ってたのがツボでした(笑)。
読了日:06月12日 著者:山﨑努
◾️つきはかがやくの感想
★★★☆
絵本らしい仕組みで月の満ち欠けを表現した味わい深い一作。地上からはほぼ同じ満ち欠けをする月の光の下では、森も砂漠も海も極地も、それぞれの時間が流れる。
読了日:06月12日 著者:パトリシア・ヘガティ
◾️愛蔵版 花咲ける青少年 6 (花とゆめコミックススペシャル)の感想
★★★★
今の視点で一気に通して読むと、後半の駆け足感や絵のタッチの変化がはっきりわかる。マンガもマンガ家も生きもの、生ものだが、前半で感じた圧倒的な色気が薄らいでいる感じはあるものの、ストーリーの勢いと、ラストの意外な一捻りはやはり読み応えあり。この後半の画風、作風がその後の樹なつみのよい特徴として今も続いていると思う。ただ、変化していく中で、『パッションパレード』のレジー・キングや本作前半部の全キャラクターの醸し出していた色気、作中に登場する時の絵としての強烈なインパクトが、自分は今でも一番好きだ。
読了日:06月12日 著者:樹なつみ
◾️舞妓さんちのまかないさん (6) (少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★
もう一年か。後輩の仕込みさんは背高の元スポーツマンでこの世界を志望した理由がわからない感じの今風な言動。舞妓さんに向けられる観光客の視線にむかつくなどの客観視点のキャラクターか? ちゃんと言葉とか身につくのか? 春のをどりの準備で慌ただしかったり、すーちゃんの誕生日はケーキ合戦だったり(これも下心を考えると…)。料理はミートボール、ロールキャベツ、夜食にインスタントラーメンなどいつも以上に普通だが、どのシチュエーションに何を当てるか、の納得感がこのマンガの肝ではあろう。
読了日:06月14日 著者:小山 愛子
◾️超人ロック 憧憬 (MFコミックス フラッパーシリーズ)の感想
★★★
このところ電子書籍で『超人ロック』近作を読み進めていたけど、聖悠紀最後のコミックスくらいは紙で買っておこう、と出てすぐに買ったものの、すぐに読むのが躊躇われて今頃読了。前半は懐かしのペアペアライサンダーの二人にロックらしき謎の人物が絡むコメディ編で、無限に分岐する並行世界のロックを暗示。後半は自分の存在証明を不死のロックの記憶に託した宇宙海賊をめぐる一編。ロックの記憶と、死後の世界に行くことができないロックという存在を暗示。思うようにならないペンタッチの含め、死期迫る中で執筆されたことを想わせる。
読了日:06月14日 著者:聖 悠紀
◾️ミステリと言う勿れ (13) (フラワーコミックスα)の感想
★★★☆
富山の事件の発端までは遡らなかったけど、新刊が出たので一つ前を再読。そう言えば、そういう事件だった。
読了日:06月15日 著者:田村 由美
◾️ミステリと言う勿れ (14) (フラワーコミックスα)の感想
★★★☆
エア整くん大活躍の巻(笑)。それにしても、リアルタイム進行の事件としてはこれまでで最大規模のスペクタクル? で、新しい事件が始まって次巻に続く。たぶん次の巻が出たらまた読み返さないと…
読了日:06月15日 著者:田村 由美
◾️ベーロチカとタマーロチカのおはなし (世界傑作童話シリーズ)の感想
★★★
かあいらしい表紙からの予想に反して、お母さんの言うことをひとっつも聞かないふたり。海に行っても、森に行っても、家にいても、事態は斜め上の展開に。それにしても、お母さんが人間できすぎてる?
読了日:06月17日 著者:L. パンテレーエフ
◾️からかい上手の高木さん(7): ゲッサン少年サンデーコミックス (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★★
冒頭のエピソードが表紙の通りで入学式。二人の出会いを描きつつ、西片が高木さんをだいぶ意識し始める巻。ラストのエピソードはその白眉か!? 勇気出したな、西片!?
読了日:06月19日 著者:山本 崇一朗
◾️からかい上手の(元)高木さん (5) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★
冒頭の「こえまね」が期せずしてお互いに本心だだ漏れでなかなか(笑)。他、中学時代を思わせるエピソードが散りばめられつつ、しかし、結婚して子どもまでいても、お互いに初心を忘れずにどきどきしてるのがなんとも…。
読了日:06月20日 著者:稲葉 光史
◾️うみべのストーブ 大白小蟹短編集 (トーチコミックス)の感想
★★★☆
話題になってるなー、とは思っていたんだけど、普段行かない小洒落た感じのブックカフェにあったので読んでみた。どこかシュールなシチュエーションと市井のどこにでもいそうな人たちにささやかな営みが当たり前に両立する不思議な世界観。
読了日:06月20日 著者:大白小蟹
◾️ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)の感想
★★★★
『グラン・ヴァカンス』の崩壊劇の裏面と言える中短編集。区界を構築したテクノロジーが開発される過程も、大途絶の原因も、ユーザー視点での大途絶も、蜘蛛が大途絶後の世界にばら撒かれた理由も、それぞれにグロテスクで、ひとつひとつは現実世界のそれぞれひとりの内面にあって、現実世界の日常だけしかなければ内面に抱えたままだったはずの欲望に根ざしているのがこのシリーズの肝なのだろう。新時代の人類ダメ小説か?
読了日:06月22日 著者:飛 浩隆
◾️ダンジョン飯 7巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★
表紙の通り、イヅツミが加入した新パーティでの迷宮行。黄金郷で新ミッションが設定?されたり、センシの過去が語られたり。エルフが物騒だったり。
読了日:06月22日 著者:九井 諒子
◾️ダンジョン飯 8巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★
この前半までがアニメ一期分。扉の向こうにはあんなバックヤードとかあんなからくりがあって、え? SF? みたいな(ただ、エルフとドワーフのものではあるらしい)。まあ、ここまでの魔法の動作原理がらみが妙に腑に落ちたのも納得。その点では『聖戦記エルナサーガ』と同じくくりの作品と言えるかもしれない。この巻後半は急展開で、なるほど、ここまで話進めちゃうと終われないのでアニメ一期の切り方としても納得。
読了日:06月23日 著者:九井 諒子
◾️萩尾望都 紡ぎつづけるマンガの世界 ~女子美での講義よりの感想
★★★☆
タイトルの通り、女子美での講義として萩尾望都といろいろな方々の対談を再録した本。すでにどこかで読んでいたかもそれない話も、対談者との会話から話題が転がっていくと新しい視点で認識し直せる感じがする。2020年に出た本だが、なかなか見かけなくて今頃入手。
読了日:06月24日 著者:萩尾 望都
◾️ダンジョン飯 9巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★
表紙のようなシーンはないけど、そういう能力ということでひとつ。先行するライオス一行と同じところを追うことになった「あのふたり」の珍道中(というにはシビア…)。その過程で、古代魔術や迷宮の成り立ちが明かされる。なんか、ますますSF!?
読了日:06月26日 著者:九井 諒子
◾️ロシア文学の教室 (文春新書 1457)の感想
★★★★
新書なのでロシア文学作品のブックガイドなのかと思ったら、冒頭に登場人物紹介。なるほど、作品の内容、作者、書かれた時代背景に関するわかりやすいブックガイドとしても読めるが、ちょっと不思議な少女小説のテイスト(主人公は男の子)。とはいえ、現実の戦争を社会背景にすると、ロシア文学に対しては、今はこういうアプローチが必要かもしれない。
読了日:06月27日 著者:奈倉 有里
◾️ダンジョン飯 10巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★
ウサギ! 大学の研究室で「酵素を抽出して実験するので別の研究室で血清取るのに使ったウサギを捌くように」と、4年生に指示が出たけど、まったく手が出せず、生き物を直接使う研究にだけは進むまい、と思ったのを思い出した。しかし、すごいシリアスな展開なのに、これまでの魔物食の知見が活かされまくって、ちょっと不思議なマンガになってきた。とはいえ、絶体絶命の展開で続いてしまった。どうするの、これ!?
読了日:06月27日 著者:九井 諒子◾️しずかなところはどこにある?の感想
★★★
「しずかなところ」は探せばどこにでもあるけど、しずかにしたままでは手に入れられなくなるかもしれない。
読了日:06月29日 著者:レーッタ・ニエメラ
読書メーター
2024年5月に読んだ本 ― 2024年06月12日 05時00分00秒
取り組んでいる『Kiteworld』はちょこちょこ再開。今にして思うと翻訳難易度に対して『モリー・ゼロ』の時の翻訳速度は自分的にも異常(笑)で、どれだけ読みたかったんだよ、という感じ?
5月の読書メーター
読んだ本の数:31
読んだページ数:6426
ナイス数:126◾️からかい上手の(元)高木さん (3) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★
今回は肩たたき勝負が特によかった。一見普通に叩いているのに、なぜ「お母さん」のはそんなに気持ちいいのか(笑)!? いったいどんなコツが!?
読了日:05月03日 著者:稲葉 光史
◾️MOE (モエ) 2024年4月号 [雑誌] (巻頭特集 「源氏物語」と平安の女性たち|絵本ふろく キューライス「シカしかいない」)の感想
★★★
『源氏物語』特集。改めて、いろいろな人の現代語訳があるなあ、と思ったり。ふろくの『シカしかいない』がおかしかった(笑)。
読了日:05月03日 著者:◾️アリスと蔵六 4 (リュウコミックス)の感想
★★★★
紗名が未発達の感情を「モシャモシャする」といって持て余しながらも折り合いを模索してるあたりは、自我の形成過程という感じか? あと、これまでの巻で一番『アリス』っぽいモチーフガンガン出てきたかも。
読了日:05月03日 著者:今井哲也
◾️グラン・ヴァカンス: 廃園の天使1 (ハヤカワ文庫 JA ト 5-2 廃園の天使 1)の感想
★★★★
VR空間に夏のヴァカンスを体験するために構築された現実と見紛うほどの仮想リゾート。現実世界からのゲストが訪れなくなって1000年を経て、リゾートの住人を演じ続けてきたAIたちの世界が破壊プログラムの攻勢で崩壊する。崩壊の過程で暴かれるリゾートの闇。華やかに見えた世界がぐずぐずになっていく展開は『零號琴』にも通じるものがあるが、背徳と異形のイメージは絵にすると萩原一至のマンガのように感じられる。過剰なグロテスク。
読了日:05月05日 著者:飛 浩隆
◾️ビブリア古書堂の事件手帖IV ~扉子たちと継がれる道~ (メディアワークス文庫)の感想
★★★★
実在したという文豪たちの蔵書を貸し出していた貸本屋「鎌倉文庫」をモチーフに、篠原家のクローン三世代(笑)が全員関わるなかなかトリッキーな一作。愛書家の夢のようなモチーフもさることながら、構成も謎解きのためのヒントの入れ方もミステリとしてよくできていると思った。
読了日:05月05日 著者:三上 延
◾️からかい上手の(元)高木さん (4) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★
今回は本編の中学時代の本歌取り的なエピソードが散りばめられていて、いろいろとにまにまできる。それにしても、結婚までしても相手の当時の本心?にちゃんと気づいてないっぽい西片もある意味すごい。そんなんで、どうやってゴールインしたのだ(笑)?
読了日:05月06日 著者:稲葉 光史
◾️不思議な時計 本の小説の感想
★★★★
人生そのものが文学・文芸研究という境地の北村薫の私小説シリーズの最新刊。今回の主題は主に萩原朔太郎だが、言葉としての「猟奇」の意味の変遷への考察から始まって、ラストにまたひょっこり「猟奇」の話が出てくるのも楽しい。本、映画含め、リアルタイムで出会う事物がタペストリを織り上げるような様相。著者が一連の文章をエッセイではなく「小説」「私小説」と題したくなった想いが時系列で読み進むごとに腑に落ちてくる。文学使いは引かれ合う(笑)。北村薫の奇妙な冒険はまだまだ続く。創作含む全作を通じての文学のオーラルヒストリー。
読了日:05月09日 著者:北村 薫
◾️ダンジョン飯 1巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★☆
1巻出た頃に店頭の見本で冒頭を読んで以来。アニメの方をだいぶ先まで観てからの原作読書になるけど、まあ、安定の面白さ。アニメの方も、原作リスペクトでよくできていることが実感できた。
読了日:05月10日 著者:九井 諒子
◾️アリスと蔵六 5 (リュウコミックス)の感想
★★★★
ワンダーランドとルッキングラスの正体の一端が語られる。超能力ものというか、スタンドバトルのような始まり方から、一種のソラリスの海のような異なる知性体とのコンタクトものへと発展したような…。その世界への理解と、紗名の自我の形成・成長がリンクしているのがこの作品の肝かもしれない。
読了日:05月10日 著者:今井哲也
◾️ピーター・パン (オールカラー版世界の童話 14)の感想
★★★☆
これも子どもの頃は未読。「ピーター・パン」「しかになったおひめさま」「ペーターのうわぎ」「あおいとり」の4編だが、作者不詳で織物の工程についての教育童話っぽい「ペーターのうわぎ」以外はけっこう「それでいいのか!?」的な唐突感がむしろふしぎな味わいに。解説は大人向け作品の翻案について、なので、対照させると苦心の後が感じられるか。
読了日:05月11日 著者:久保田 あつ子,宮脇 紀雄
◾️ダンジョン飯 2巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★☆
1巻でもエピソード表紙に懐かしの方眼紙マップが出てきたけど、ダンジョンで死んでも生き返ることができるのが当たり前の世界。画面の向こうにあるという感覚の世界で、なんちゃって中世っぽい飯屋での食事ではなく、自前調達で「ものを食べる」ために何をするかがポイントではあろう。しかし、アニメでも「おお」と思ったけど、動く鎧の正体と食べ方がいちばんトリッキーかな。
読了日:05月11日 著者:九井 諒子
◾️Exactly as Plannedの感想
★★★☆
2012年にポートランドのパウエルズで書店員さんオススメで購入した仲良しのたこといかの絵本以来、マイ・フェイバリットなんだけどなかなか訳されないタオ・ニュウさんの最新作。予約購入したけど、アメリカから発売日に一月遅れで届いた。これもなかよしのトナカイとキツネの物語。リバーシブルで両方から読めるトナカイの物語とキツネの物語が真ん中で合流するのが楽しい。
読了日:05月11日 著者:Tao Nyeu
◾️たんぽぽの秘密の感想
★★★☆
銀ブラしていて教文館に立ち寄ったら目に留まった一冊。装丁がまずよいが、内容も植物学、分類学的に興味深い内容をコンパクトにまとめてある。在来たんぽぽが実はけっこう健在なのはおさんぽで観察して知っていたけど、西洋たんぽぽが実は在来種との雑種にだいぶ置き換わっていたというのは初めて知った。あと、たんぽぽの出てくる文学ガイドもあって、『たんぽぽのお酒』だけじゃなくて『この世界の片隅に』も紹介されているのがちょっとうれしい。
読了日:05月13日 著者:森乃おと
◾️ダンジョン飯 3巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★☆
いわゆるRPG的なダンジョンものの世界観を魔術だけじゃなくて生態系まるごとの構築とか、蘇生可能なのがダンジョンにおける呪いの一種として定義するあたりがいかにもなRPG世界にロジックを持ち込んでいて上手いと感じる。あと、パーティの契約や人間関係などの社会性への目配りもあり。
読了日:05月15日 著者:九井 諒子
◾️三人書房 (ミステリ・フロンティア)の感想
★★★
江戸川乱歩が名探偵役をするライトミステリ。ミステリとしての謎解きや語り口は軽め。「かつて短期間存在した書店」というネタでは、ちょっと前に読んだ『ビブリア』シリーズ最新作にも通じる。実在の作家、詩人にまつわるネタでは北村薫にも通じるところがあり、読者視点では面白い偶然とも言えるが、比べてしまうと実在の北村薫の文学探偵としての私小説の凄みが逆にクローズアップされるかも…?
読了日:05月16日 著者:柳川 一
◾️MOE (モエ) 2024年5月号 [雑誌] (巻頭特集 初来日のカラー原画で楽しむ 不思議の国のアリス | 特別ふろく ヒグチユウコ「不思議の国のアリス」クリアファイル)の感想
★★★☆
アリス特集。何年か前に角川文庫版で二冊とも読んだけど、別の版でも読んでみようかな。
読了日:05月16日 著者:
◾️アリスと蔵六 6 (リュウコミックス)の感想
★★★★
「アリスの夢」という現象が公表された後もその影響はありつつも日常が続くあたりは、現代的ポスト・アポカリプスという観点で『天気の子』や『シン・エヴァンゲリオン』あたりの作劇とスタンスが近いかも。それにしても展開がいきなり不穏だ。
読了日:05月17日 著者:今井哲也
◾️ダンジョン飯 4巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★
前巻で提唱された迷宮における人の蘇生に関する呪い(魔法)そのものをめぐるインターミッション的なエピソードから、レッドドラゴンとの死闘でまるごと一冊。ここまでの巻も含め、コミックスにした時にちょうどいいバランスでストーリーを構成、配置している印象。アニメの方で先に観ていたとはいえ、ゲームのRPGとかではボタン選択して一発、みたいなキャラクターの蘇生のプロセスや限界などを食事や生態系と同じくきちんと体系立てて描いているのがすごい。ただのグルメコミックじゃなかった。
読了日:05月19日 著者:九井 諒子
◾️舞妓さんちのまかないさん (5) (少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★
今回は運動会回想エピソードがウェイト高いものの、冒頭から一人暮らしの芸妓さんのお留守番してると部屋の鍵をもらっている男性が何人もやってくるあたりにこの世界の闇が忍ばせてあると思った。座敷に上がっていると踊るだけじゃなくて宴会でビール注いで回るのはセットで夜も遅い。ほのぼのでオブラートかかってはいるけど、いろいろ考えさせられる。
読了日:05月20日 著者:小山 愛子
◾️瓜を破る 8 (芳文社コミックス)の感想
★★★☆
前巻の危惧が最悪の展開になりかけたところで、共通の趣味の音楽が全部持っていっていい感じにさやに収まった。性格難ありかと思った彼女もこうしてみると応援したくなる。音楽に心を持っていかれるくらいの経験は身に覚えがある。一方で、すれ違いで会えないまい子が暴走気味…のところで次巻に引いちゃった。2024年5月、今並んでる雑誌では表紙の二人、連載の方ではなんとかなっているのか?
読了日:05月21日 著者:板倉梓
◾️アリスと蔵六 7 (リュウコミックス)の感想
★★★★
ワンダーランドが「赤の女王」紗名の代わりに(?)生み出した「赤の王」が旧研究所の地下からワンダーランドを現実世界にあふれさせ、ルッキングラスをばら撒き始める。起こっている現象の表現系としては『エヴァ』のネルフと人類補完計画っぽくなくもない。こういう話に展開していくとはおもっていなかった。一見、「普通の世界で成長した登場人物たちが過去を懐かしく思い出している回想」と思われたここまでのモノローグが、実は読んで感じていたものとは別物だったのかもしれない。
読了日:05月22日 著者:今井哲也
◾️ダンジョン飯 5巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★☆
このあたりもアニメで観て「なるほど」と思った。迷宮が風化して壊れないなら、そのための修復システムがある。魔物や植物の食物連鎖については先に説明されていたけど、迷宮の中はひとつの生態系システムを丸ごと作り上げていて、実は建物などの修復すらその一部、という観点はちょっと新鮮。あと、のほほんとして見えるけど、たくさんいる冒険者パーティーの中ではもともと一目置かれていた、というのも、実際冒頭からラスボス戦的なレッドドラゴンと戦っているからなるほどなんだけど、そういう第三者視点も面白い。
読了日:05月24日 著者:九井 諒子
◾️愛蔵版 花咲ける青少年 3 (花とゆめコミックススペシャル)の感想
★★★★
ラギネイのクーデター騒ぎで花鹿がラギネイ入り。カールと出会い、ナジェイラも登場。ほぼ役者がそろい、この巻のクライマックスはルマティとハリーの邂逅。ここまででまだ半分。しかし、それぞれのキャラに起こったことがすごい勢いで共有されているのが、ストーリー展開上はスルッと読めるんだけど、冷静に一歩引いてみると、各陣営の諜報員、めっちゃ優秀過ぎないか(笑)!?
読了日:05月25日 著者:樹なつみ
◾️瓜を破る 9 (芳文社コミックス)の感想
★★★☆
今回は表紙サギ(笑)じゃなくて、ちゃんと表紙の彼女のエピソードあり。一歩踏み出してうまくいくことと、踏み出すタイミングを逸した対比が切ない。他、仮面夫婦のカミングアウトなんかもあって、ちゃんと幸せそうなカップルも二組出来上がったんで、他も応援したくなる。
読了日:05月25日 著者:板倉梓
◾️アリスと蔵六 8 (リュウコミックス)の感想
★★★★
紗名と蔵六がケンカして紗名が家出した、その原因がカットバックで語られていくが…。ワンダーランドがいよいよ「ソラリスの海」的になってきた。アリスとソラリスが同居するような世界観を発想するとは。今巻はテーマ的にもだいぶ『ソラリス』に近い印象。深い。
読了日:05月25日 著者:今井哲也
◾️ダンジョン飯 6巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★
アニメでも観ていたので復習的な読書なんだけど、これをちゃんと動かして表現しているアニメ版のスタッフはすごい。あと、1クール以上なのにこのクオリティで連続放映できているのもすごい。しかし、ネットでもだいぶ話題になっていたあまりにもエグいシーンはマンガの方が淡々と読めるかも。あと、蘇生のための遺体収集は迷宮から運び出しても蘇生できるけど、迷宮出てから死ぬと呪いがないので普通に死ぬ、というのがなるほどというかなんというか(ちょうどこの巻の中で呪いが魂に対して行なっている処理?も説明あるし)。
読了日:05月26日 著者:九井 諒子
◾️愛蔵版 花咲ける青少年 4 (花とゆめコミックススペシャル)の感想
★★★☆
冒頭までハリーの夫探しゲームの種明かし編で、一気に後半戦へ。連載で読んでいた時も思ったんだけど、物語を収めるためにちょっと駆け足になって、前半にあった「予想もしない展開」はややなりをひそめた感じもする。それでも面白いんだけど、登場時あれだけヤバげだったナジェイラの扱いは今読んでももったいなかったんじゃないか、という気がする。
読了日:05月27日 著者:樹なつみ
◾️アリスと蔵六 ⑨ (リュウコミックス)の感想
★★★☆
紗名の家出がひと段落、と言ったところだが、その過程で蔵六の過去がだいぶ明かされてきた。やっぱりただの花屋のじいちゃんじゃなかった(笑)。オーパーツ的なものも出てきて、謎がいろいろ明かされたりするのか? 今巻は広告ページもあったけど、これ、2年7ヶ月ぶりの新刊だったのか!? リアルタイムで追っかけてる人はこの家出をそれだけ待たされて読んだのか…。
読了日:05月28日 著者:今井哲也
◾️淡島百景 5の感想
★★★★☆
最終話のWEB発表が2024年3月…。長く書き継いできた物語に現実の事件が覆い被さるような中、表紙となっている若菜の作中での葛藤は作者自身のものでもあったのだろう。大勢の登場人物がいろいろな視点から語る言葉の数々に真摯さを感じる。Twitterやあとがきにある表紙と裏表紙の対応が電子書籍版では見れなかったのはちょっと残念に思う。本屋で手に取って確認してみよう。
読了日:05月29日 著者:志村 貴子
◾️中野のお父さんと五つの謎の感想
★★★☆
思えば覆面作家時代の初短編からして落語好きの女子大生と憧れの落語家による日常ミステリで、それが『六の宮の姫君』や『太宰治の辞書』と言ったほぼ日本文学論文のような内容に推移していった。中野のお父さんはほぼご本人と思われるお父さんがメインだが、今回は文学、落語うんちくと親父ギャグだけでほぼ一冊。登場する老作家も知識面ではほぼお父さんと同格で、三人でのやりとりは北村薫分身対決? エッセイから派生した「本の私小説」とのネタの住み分けは親父ギャグにできるかどうか、とかで分けているのだろうか?
読了日:05月30日 著者:北村 薫
◾️愛蔵版 花咲ける青少年 5 (花とゆめコミックススペシャル)の感想
★★★☆
1年しか経っていない割に、登場人物たちの身長がグッと伸びて顔立ちもだいぶ大人びている。現実の一年で育ちそうな域を超えているが、そこは精神的な成長も交えてのマンガらしいデフォルメ表現の一種かもしれない。この巻の前半あたりは連載で読んでいてもやや物足りなさというか、話運びがやや予定調和に思えなくもなかったのだが、後半に入ってクインザの所業のエグさで盛り返した!?
読了日:05月30日 著者:樹なつみ
2023年4月に読んだ本 ― 2024年05月17日 22時11分17秒
4月の読書メーター
読んだ本の数:35
読んだページ数:4654
ナイス数:122◾️おやつにしましょう (講談社の創作絵本)の感想
★★★☆
リアルなのにかあいい動物たちがおやつにありつけるまでのドタバタ劇。しもかわらゆみさんの絵本のドイツ語版を編集した方が、その絵にノックアウトされて一緒に絵本を作ろうと企画した、という経緯とか。まあ、何にしろかあいい。
読了日:04月05日 著者:ハンス・テン・ドウルンカート,しもかわら ゆみ
◾️こどもべやのよる (岩波の子どもの本)の感想
★★★☆
4姉妹の3人目のいっちゃんの空想と夢と現実が渾然一体となったような不思議な絵本。自分が子どもで、てんしちゃんに会ったら、ちょっとこわいかも。子ども時代に読んでいたら怖くて途中で絵本を閉じてるかもしれない(笑)。ぶんぶくちゃがまの絵本とか、みなしごハッチのえもんかけとか、そんなのが怖くて直視できない子ども時代でした(笑)。
読了日:04月05日 著者:出久根 育
◾️口で歩く (おはなしプレゼント)の感想
★★☆
「口で歩く」って何のことかと思ったけど、そういうことか。五体満足じゃない人も普通に考えて、普通に行動する。出てくる人も、それぞれにいかにもいそうで、いかにもそういうリアクションをしそうな人たち。出版が2000年というのは、当時としては先駆的な題材と描き方だったのだろう。
読了日:04月06日 著者:丘 修三
◾️たかが殺人じゃないか: 昭和24年の推理小説 (創元推理文庫)の感想
★★★★☆
1000ポイントの使い先に迷って990円の電子書籍にしてみた。それで選んだこれは、気になっていた作品だったけど、予想以上。著者の実体験の一年限りの共学高校生活をモチーフに、戦後間もない時期ゆえの背景で描かれる青春ミステリ。この瑞々しい筆致の作品を2020年に描ける辻真先先生…。なおかつ、戦中戦後の名古屋の事情を市井の視点で描いた点では『この世界の片隅に』あたりとも通じるものがある。三部作の他の作品も、他の辻真先作品もちゃんと読みたくなった。
読了日:04月08日 著者:辻 真先
◾️超人ロック 鏡の檻(4) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★
ロックの目的はやはり、といった感じ。まあ、おそらく、とは思っていたものの、カエルのアバターでオンラインゲームと対ESP開発を続けるデイモンのありようは執筆時期の作者の「鏡」でもあったのだろう。この巻のあとがき闘病記はTwitterで話題になったあの時期の心停止からの生還とその後のあれこれ。
読了日:04月09日 著者:聖悠紀
◾️超人ロック 鏡の檻(5) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★
『ラフラール』と比べると、この後の物語への橋渡し、という印象。もともと思い入れのあったラフノールから派生したアイデアに、一時期物語の制約になっていた年表をリセットして、そのさらにずっと先まで時代を飛ばして、一般人と超能力者間の新たな火種と、『ドラゴンズブラッド』まで取り込んだ物語が膨らみつつあったことがわかる。作品としての評価は措いて、この続きは一冊だけ、というのが切ない…
読了日:04月09日 著者:聖悠紀
◾️ロンドン・アイの謎の感想
★★★☆
いわゆる自閉症の少年が、ロンドン・アイに乗ったまま姿を消した親戚の少年の行方を順を追って突き止めていく異色のヤングアダルトミステリ。評判だけは聞いていた『怪物はささやく』では「原案」とクレジットされている、早逝した著者の数少ないオリジナル作品、というのは、不勉強にしてこの解説で初めて知った。他の作品にも興味が出てきた。
読了日:04月12日 著者:シヴォーン・ダウド
◾️ゆうぐれの感想
★★★★
夕暮れにおうちに帰るまでの風景を淡々とつないでいく絵本。ざっくりしたタッチながら、配色に妙というべきか、夕日の太陽のまぶしさが強く感じられる。日が落ちていく過程をじっくり描いたというコンセプトでは、『となりのトトロ』をちょっと思い出す。水面が見えるところからいきなり坂、小道の風景は瀬戸内海のどこかかな。
読了日:04月12日 著者:平岡 瞳
◾️からかい上手の高木さん (1) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★
アニメはぽつぽつ見てたけど原作は未読だった。うぇぶりの無料公開に上がってたので試しに。まあ、基本最初から両想いなので安心して見守れる。
読了日:04月13日 著者:山本 崇一朗
◾️何げなくて恋しい記憶 随筆集 あなたの暮らしを教えてください1 (随筆集 あなたの暮らしを教えてください 1)の感想
★★★★
暮らしの手帖に掲載された随筆を全4冊に編纂したうちの第一集。家族や友人の想い出にまつわるものを集めたこの巻は、オーラルヒストリーの側面からも興味深い。
読了日:04月14日 著者:三崎亜記,松家仁之,木内 昇,蜂飼 耳,駒沢敏器,山根基世,三浦しをん,山田太一,水内喜久雄,多和田葉子,高 史明,佐々木美穂,野崎 歓,関川夏央,戌井昭人,山根一眞,池澤夏樹,森 絵都,萩尾望都,萩原朔美,長嶋 有,高橋源一郎,長島有里枝,元村有希子,姫野カオルコ,赤坂真理,片山 健,大久保真紀,山口未花子,増田明美,阿部和重,寺尾紗穂,川島小鳥,あさのあつこ,片桐はいり,秋野暢子,前田英樹,川内倫子,内田春菊,平田明子,呉 美保,那波かおり,辻村深月,森田真生,砂田麻美,大宮エリー,温 又柔,坂本美雨
◾️めんつゆひとり飯 1 (バンブーコミックス)の感想
★★☆
Kindleでキャンペーン的な値下げになっていたので手を出してみた。出汁を取らないというだけで、実はけっこうちゃんと自炊してる(笑)。ずぼら系の主人公と既婚者で仕事も家庭も完璧手抜きなしの同期がお互いに脳内妄想のキャラクターとして折々に登場するのがおかしい。うちもめんつゆは下味的に和洋なんでも使ってるかな。
読了日:04月14日 著者:瀬戸口 みづき
◾️愛蔵版 花咲ける青少年 1 (花とゆめコミックス)の感想
★★★★
初読はすべて雑誌でリアルタイムで。序章は当時編集部推しのマンガ家に前後編を掲載させるという企画のひとつで、「マハティ編」と題されてその後への引きで終わっていたが、連載中の『パッション・パレード』同様、カリスマ的なキャラクターの魅力を画面で読者にわからせ、物語でその魅力を体感させる説得力にうなりっぱなしだった。一番好きな樹なつみ作品は『パッション・パレード』だが、最高傑作はやはりこの『花咲ける青少年』だろう。どうすればこんな作品タイトルを思いつけるのか、しかも、読めばそれ以外のタイトルはあり得ないとわかる。
読了日:04月15日 著者:樹なつみ
◾️からかい上手の高木さん (2) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★☆
「からかい」の毎回のネタがよく尽きないものだと思うが、これが本編全20巻、続編まで続いてるのはすごい。淡い恋愛感情もお互い意識しながらのやり取りに、すでにカップルになっている同級生の存在がアクセントになってくるのもうまい。
読了日:04月15日 著者:山本 崇一朗
◾️めんつゆひとり飯 2 (バンブー・コミックス)の感想
★★★
まあ、めんつゆで手間を減らしてるだけで、他のものは炒めたり煮たり、ちゃんと料理してるよね(笑)。家庭内で「できる姉」を演じてるお姉ちゃんの方がまるで料理できないのが個人的にはちょっとリアル(笑)。あと、メインの二人が家庭環境や料理スタンスは正反対でもなぜか仲がいいのがポイント。
読了日:04月18日 著者:瀬戸口みづき
◾️南仏の光、イタリアの風の感想
★★★★☆
南仏とイタリアで過ごした著者の幼い頃の想い出がシンプルな線とコントラストを強調した画風で描かれる。淡い水彩でにじみもあるものの、1980年代に流行ったカラートーンをざっくり配置したマンガやイラストに風合いが近い。絵本だけど文章は多めで、訳文がリズミカルなのは、原文のニュアンスをなるべく伝えようとしたのかもしれない。著者は日本で共感してもらえるか心配していたっぽいけど、幼少期に親戚の子どもたちが集まっていたのが終わりを告げる日がいつかくるという感覚は共通だろう。千明初美『いちじくの恋』をちょっと連想した。
読了日:04月19日 著者:ヤン ナッシンベンネ
◾️瓜を破る 7 (芳文社コミックス)の感想
★★★★
ようやく一歩踏み出した二人は、仕事や体調からくる微妙なすれ違いのもどかしさも含めて微笑ましい。一方で表紙の彼女は考え方も行動も主人公の裏返しで、同じ悩みにどう対峙してきたか、鏡のような存在と思う。なんというか、こちらの彼女は「一緒にいて楽しい相手がいちばんいい」ということを認めることができるのか、自分の思い込みの瓜を破ることはできるのか。いろいろ不穏が仕込まれてきた巻。
読了日:04月20日 著者:板倉梓
◾️からかい上手の高木さん (3) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★☆
なんだかんだで席はいつも隣、登校はともかく下校もいつもいっしょ。傍から見たらもうカップルにしか見えない、という視点が盛り込まれる尾行エピソードが楽しい。しかし、何をやっても負け続けでも一緒にいられるメンタルは真似できる気がしない。
読了日:04月20日 著者:山本 崇一朗
◾️エル・スール_新装版の感想
★★★★
言わずと知れたビクトル・エリセ監督作品『エル・スール』の元となった短編小説。以前も出ていたが未読。エリセ最新作公開のタイミングで新装版となったので、読んでみた。映画にも使われている幼少期の親娘の神秘的な関係は小説にもあるものの、全体としてはマジック・リアリズムの雰囲気のある作品だった。
読了日:04月21日 著者:アデライダ・ガルシア=モラレス
◾️東京人2024年5月号 特集「恵比寿」YEBISU BREWERY TOKYO オープン![雑誌]の感想
★★★
バブル真っ盛りの新入社員研修で閉鎖したばかりの工場に街をひとつ作る、という構想が華々しく説明されて「大丈夫なのか」と思っていたらバブル崩壊、それでも開業にこぎつけ、開業してみればけっこう注目度高く、アニメ『マーマレード・ボーイ』にまで出てきてびっくり。出張の他、原田知世やムーンライダーズのライブ、ガーデンシネマ、写真美術館などにはずいぶん通っている。特集の始まる前のページがカラオケ番長のコラムというのも不思議な縁かもしれない。
読了日:04月22日 著者:東京人編集室=編
◾️アリスと蔵六 1 (リュウコミックス)の感想
★★★☆
『鏡の国のアリス』をモチーフにした不思議なSFマンガ。想像に力で世界そのものを創造してしまえるらしい少女と、花屋の割に何故か顔が広い、曲がったことが嫌いな老人。何がどうなるのか、まるで先が読めない。
読了日:04月24日 著者:今井哲也
◾️からかい上手の高木さん (4) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★☆
1巻目は高木さんがそれほどかわいく描かれていなかった感じなんだけど、3巻あたりから「ここぞ」というところですごくかわいく描かれている感じ。単純に作者に絵の描き方の進化という側面もあるかもしれないけど、それがちょうど、「西片視点での高木さん」の見え方とシンクロして、ちょうど作品にあった味になってる気がする。
読了日:04月24日 著者:山本 崇一朗
◾️グッゲンハイムの謎の感想
★★★☆
『ロンドン・アイの謎』の作者ご逝去時にはタイトルしかなかったという続編。原著の文体は未見だが、キャラクターの性格、行動、謎解きプロセスの組み立て方は異色の自閉症少年探偵を主人公としたヤングアダルトミステリとして、しっかり二部作にふさわしい内容になっている。本編のラストと謝辞に最後を読むとちょっとほろっとくる。ニューヨークには行ったことないけど、この先行ける日は来るだろうか…
読了日:04月25日 著者:ロビン・スティーヴンス
◾️めんつゆひとり飯 (3) (バンブー・コミックス)の感想
★★★
お互いに脳内に妄想の友人知人を住まわせて、それを自覚して楽しんでいるちょっとメタな味わいが作風として定着してきた感じ。それぞれに料理に対するスタンスが違う理由となった環境や性格がありつつ、なんだかんだで認め合って仲よく共存しているのが癒しポイントかもしれない。
読了日:04月26日 著者:瀬戸口みづき
◾️からかい上手の高木さん (5) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★★
冒頭とラストのエピソードが対になってキュンキュン! もう、この巻が最終巻でもいいくらいのテンションだ(笑)。本屋での西片の「愛読書」からのまさかの水着選び、友だちからのゲームの誘いより高木さんと一緒に帰るという選択。それにしても、高木さんの先読みがすごすぎて、ほとんどテレパスの域!?
読了日:04月26日 著者:山本 崇一朗
◾️愛蔵版 花咲ける青少年 2 (花とゆめコミックススペシャル)の感想
★★★★
愛蔵版ではボリューム的にちょうど1巻がユージーン編、2巻がルマティ編になっている。今回気がついたのは各キャラクターの横顔のシュッとした描き方の魅力。そういえば、こういう絵柄は同じLaLaなら画風的には別に見える安孫子三和や岡野史佳、あと『BANANA FISH』の頃の吉田秋生あたりも近い横顔の描き方をしていたように思う。美形キャラの描き方のひとつの様式かもしれない。物語の方は畳みかけるようにラギネイの陰謀劇の様相に。あと、初出は同人誌という作者の昔話は初めて読んだ。
読了日:04月27日 著者:樹なつみ
◾️ティーカップの感想
★★★☆
ティーカップに故郷の土くれを入れて、小さなボートで大海をさまよう少年。読み始めはもう少しリアル寄りの寓話かと思ったが、寓意はありつつもまずは絵のビジョンを楽しむ絵本になっていると思う。この世界には同じようにさまよう子どもたちがおそらくたくさんいて、陸地にたどり着くのも出会うのも、奇跡のようなものなのだろう。
読了日:04月27日 著者:レベッカ・ヤング
◾️こねこのミヌ-の感想
★★★☆
飼っていたこねこがいなくなった女の子、ネネットが街中を探しまわる。とにかく絵がかあいらしい。解釈の自由度を残すラストも味わい深い。なお、原題はただのミヌーで「こねこ」の意味とのこと。
読了日:04月27日 著者:フランソワーズ
◾️アリスと蔵六 (2) (リュウコミックス)の感想
★★★☆
いかにもマンガな絵柄と対照的に、描かれるシチュエーションは生々しく苦痛感を感じさせる。知性と疑似知性の差、という哲学的な命題にも「曲がったことが嫌い」という一貫性で対峙する蔵六じいちゃんがただものでない。しかし、秘密機関に属する同士、相手の能力を探り合いながら戦う超能力バトルとしてはジョジョとかブギーポップっぽい面もあるように感じた。
読了日:04月27日 著者:今井 哲也
◾️からかい上手の(元)高木さん (1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★
うぇぶりの本編の方の無料公開が5巻までなんだけど、「あのエピソード」をスピンオフさせた姉妹編。娘のちーちゃんが容姿はお母さんそっくりだけど、性格はお父さんっぽいのがポイント。しかし読むまで気がつかなかったんだけど、原案と作者が別なのね。画風にそんなに違和感はないものの、ちょっとびっくり。そういう手があったか!?
読了日:04月28日 著者:稲葉 光史
◾️めんつゆひとり飯 (4) (バンブー・コミックス)の感想
★★★
徐々に影響を与えあっていくキャラクターたち。ズボラの範疇を逸脱せずにレパートリーを増やしていくバランスが、この先どんどんむつかしくなっていきそうな…(笑)。
読了日:04月28日 著者:瀬戸口みづき
◾️なぜ戦争はよくないかの感想
★★★
『カラーパープル』の著者が911をきっかけに書いたたという絵本。ある意味ストレートすぎるくらい。戦争をイメージさせるための油彩絵の具をぐちゃぐちゃに固めた半立体のオブジェのような部分がちょっとシン・ゴジラっぽいかも。
読了日:04月29日 著者:アリス ウォーカー
◾️109ひきのどうぶつかくれんぼの感想
★★★☆
この作者さんの持ち味のちまちました絵で109ひきのどうぶつたちのかくれんぼ大会をスタートからおしまいまで。どうぶつたち以外にも仕込んであるものがたくさんあるので、無限に楽しめそうな絵本。
読了日:04月29日 著者:のはなはるか
◾️ここはすべての夜明けまえの感想
★★★☆
年代は微妙に近未来ではなくほぼ現代。ただし、現代には実現していないテクノロジーが介在することで、ありえるかもしれないと思わせる物語。児童虐待とそれをめぐる家族関係のもつれは普通に描けばただのイヤミスのバリエーションになりそうなところ、語り手の感情を排した語り口で重くもじめじめにもならずに読ませる。一方で、最後に感情を排した存在と対話させることで、逆に主人公の人格や感情のありかが逆照射される。極めて内省的な『幼年期の終わり』と言えなくもないかもしれない。
読了日:04月29日 著者:間宮 改衣
◾️からかい上手の(元)高木さん (2) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★
スピンオフ2巻目。二人が普通に「お母さん」「お父さん」と呼び合ってるのが微笑ましいと思いつつも、自らのあらゆる能力を想い人と円満に恋愛関係になって、安定した家庭生活を送るためだけに注ぎ込んでいる(元)高木さんの有り様にいささかもやっとするところもなくもなかったり。
読了日:04月29日 著者:稲葉 光史
◾️アリスと蔵六 3 (リュウコミックス)の感想
★★★☆
なるほど、いちおう最初の2巻でひと段落ではあったのか。非人間的な「研究所」解体で野に放たれたもの、一方、「研究所」設立の理由でもあった自然発生的に生まれてくるもの、その交錯が生む新展開。とはいえ、各キャラクターのバックグラウンドはいろいろシビアだ。
読了日:04月30日 著者:今井哲也
読書メーター
2023年4月に読んだ本 ― 2024年05月17日 22時11分17秒
4月の読書メーター
読んだ本の数:35
読んだページ数:4654
ナイス数:122◾️おやつにしましょう (講談社の創作絵本)の感想
★★★☆
リアルなのにかあいい動物たちがおやつにありつけるまでのドタバタ劇。しもかわらゆみさんの絵本のドイツ語版を編集した方が、その絵にノックアウトされて一緒に絵本を作ろうと企画した、という経緯とか。まあ、何にしろかあいい。
読了日:04月05日 著者:ハンス・テン・ドウルンカート,しもかわら ゆみ
◾️こどもべやのよる (岩波の子どもの本)の感想
★★★☆
4姉妹の3人目のいっちゃんの空想と夢と現実が渾然一体となったような不思議な絵本。自分が子どもで、てんしちゃんに会ったら、ちょっとこわいかも。子ども時代に読んでいたら怖くて途中で絵本を閉じてるかもしれない(笑)。ぶんぶくちゃがまの絵本とか、みなしごハッチのえもんかけとか、そんなのが怖くて直視できない子ども時代でした(笑)。
読了日:04月05日 著者:出久根 育
◾️口で歩く (おはなしプレゼント)の感想
★★☆
「口で歩く」って何のことかと思ったけど、そういうことか。五体満足じゃない人も普通に考えて、普通に行動する。出てくる人も、それぞれにいかにもいそうで、いかにもそういうリアクションをしそうな人たち。出版が2000年というのは、当時としては先駆的な題材と描き方だったのだろう。
読了日:04月06日 著者:丘 修三
◾️たかが殺人じゃないか: 昭和24年の推理小説 (創元推理文庫)の感想
★★★★☆
1000ポイントの使い先に迷って990円の電子書籍にしてみた。それで選んだこれは、気になっていた作品だったけど、予想以上。著者の実体験の一年限りの共学高校生活をモチーフに、戦後間もない時期ゆえの背景で描かれる青春ミステリ。この瑞々しい筆致の作品を2020年に描ける辻真先先生…。なおかつ、戦中戦後の名古屋の事情を市井の視点で描いた点では『この世界の片隅に』あたりとも通じるものがある。三部作の他の作品も、他の辻真先作品もちゃんと読みたくなった。
読了日:04月08日 著者:辻 真先
◾️超人ロック 鏡の檻(4) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★
ロックの目的はやはり、といった感じ。まあ、おそらく、とは思っていたものの、カエルのアバターでオンラインゲームと対ESP開発を続けるデイモンのありようは執筆時期の作者の「鏡」でもあったのだろう。この巻のあとがき闘病記はTwitterで話題になったあの時期の心停止からの生還とその後のあれこれ。
読了日:04月09日 著者:聖悠紀
◾️超人ロック 鏡の檻(5) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★
『ラフラール』と比べると、この後の物語への橋渡し、という印象。もともと思い入れのあったラフノールから派生したアイデアに、一時期物語の制約になっていた年表をリセットして、そのさらにずっと先まで時代を飛ばして、一般人と超能力者間の新たな火種と、『ドラゴンズブラッド』まで取り込んだ物語が膨らみつつあったことがわかる。作品としての評価は措いて、この続きは一冊だけ、というのが切ない…
読了日:04月09日 著者:聖悠紀
◾️ロンドン・アイの謎の感想
★★★☆
いわゆる自閉症の少年が、ロンドン・アイに乗ったまま姿を消した親戚の少年の行方を順を追って突き止めていく異色のヤングアダルトミステリ。評判だけは聞いていた『怪物はささやく』では「原案」とクレジットされている、早逝した著者の数少ないオリジナル作品、というのは、不勉強にしてこの解説で初めて知った。他の作品にも興味が出てきた。
読了日:04月12日 著者:シヴォーン・ダウド
◾️ゆうぐれの感想
★★★★
夕暮れにおうちに帰るまでの風景を淡々とつないでいく絵本。ざっくりしたタッチながら、配色に妙というべきか、夕日の太陽のまぶしさが強く感じられる。日が落ちていく過程をじっくり描いたというコンセプトでは、『となりのトトロ』をちょっと思い出す。水面が見えるところからいきなり坂、小道の風景は瀬戸内海のどこかかな。
読了日:04月12日 著者:平岡 瞳
◾️からかい上手の高木さん (1) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★
アニメはぽつぽつ見てたけど原作は未読だった。うぇぶりの無料公開に上がってたので試しに。まあ、基本最初から両想いなので安心して見守れる。
読了日:04月13日 著者:山本 崇一朗
◾️何げなくて恋しい記憶 随筆集 あなたの暮らしを教えてください1 (随筆集 あなたの暮らしを教えてください 1)の感想
★★★★
暮らしの手帖に掲載された随筆を全4冊に編纂したうちの第一集。家族や友人の想い出にまつわるものを集めたこの巻は、オーラルヒストリーの側面からも興味深い。
読了日:04月14日 著者:三崎亜記,松家仁之,木内 昇,蜂飼 耳,駒沢敏器,山根基世,三浦しをん,山田太一,水内喜久雄,多和田葉子,高 史明,佐々木美穂,野崎 歓,関川夏央,戌井昭人,山根一眞,池澤夏樹,森 絵都,萩尾望都,萩原朔美,長嶋 有,高橋源一郎,長島有里枝,元村有希子,姫野カオルコ,赤坂真理,片山 健,大久保真紀,山口未花子,増田明美,阿部和重,寺尾紗穂,川島小鳥,あさのあつこ,片桐はいり,秋野暢子,前田英樹,川内倫子,内田春菊,平田明子,呉 美保,那波かおり,辻村深月,森田真生,砂田麻美,大宮エリー,温 又柔,坂本美雨
◾️めんつゆひとり飯 1 (バンブーコミックス)の感想
★★☆
Kindleでキャンペーン的な値下げになっていたので手を出してみた。出汁を取らないというだけで、実はけっこうちゃんと自炊してる(笑)。ずぼら系の主人公と既婚者で仕事も家庭も完璧手抜きなしの同期がお互いに脳内妄想のキャラクターとして折々に登場するのがおかしい。うちもめんつゆは下味的に和洋なんでも使ってるかな。
読了日:04月14日 著者:瀬戸口 みづき
◾️愛蔵版 花咲ける青少年 1 (花とゆめコミックス)の感想
★★★★
初読はすべて雑誌でリアルタイムで。序章は当時編集部推しのマンガ家に前後編を掲載させるという企画のひとつで、「マハティ編」と題されてその後への引きで終わっていたが、連載中の『パッション・パレード』同様、カリスマ的なキャラクターの魅力を画面で読者にわからせ、物語でその魅力を体感させる説得力にうなりっぱなしだった。一番好きな樹なつみ作品は『パッション・パレード』だが、最高傑作はやはりこの『花咲ける青少年』だろう。どうすればこんな作品タイトルを思いつけるのか、しかも、読めばそれ以外のタイトルはあり得ないとわかる。
読了日:04月15日 著者:樹なつみ
◾️からかい上手の高木さん (2) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★☆
「からかい」の毎回のネタがよく尽きないものだと思うが、これが本編全20巻、続編まで続いてるのはすごい。淡い恋愛感情もお互い意識しながらのやり取りに、すでにカップルになっている同級生の存在がアクセントになってくるのもうまい。
読了日:04月15日 著者:山本 崇一朗
◾️めんつゆひとり飯 2 (バンブー・コミックス)の感想
★★★
まあ、めんつゆで手間を減らしてるだけで、他のものは炒めたり煮たり、ちゃんと料理してるよね(笑)。家庭内で「できる姉」を演じてるお姉ちゃんの方がまるで料理できないのが個人的にはちょっとリアル(笑)。あと、メインの二人が家庭環境や料理スタンスは正反対でもなぜか仲がいいのがポイント。
読了日:04月18日 著者:瀬戸口みづき
◾️南仏の光、イタリアの風の感想
★★★★☆
南仏とイタリアで過ごした著者の幼い頃の想い出がシンプルな線とコントラストを強調した画風で描かれる。淡い水彩でにじみもあるものの、1980年代に流行ったカラートーンをざっくり配置したマンガやイラストに風合いが近い。絵本だけど文章は多めで、訳文がリズミカルなのは、原文のニュアンスをなるべく伝えようとしたのかもしれない。著者は日本で共感してもらえるか心配していたっぽいけど、幼少期に親戚の子どもたちが集まっていたのが終わりを告げる日がいつかくるという感覚は共通だろう。千明初美『いちじくの恋』をちょっと連想した。
読了日:04月19日 著者:ヤン ナッシンベンネ
◾️瓜を破る 7 (芳文社コミックス)の感想
★★★★
ようやく一歩踏み出した二人は、仕事や体調からくる微妙なすれ違いのもどかしさも含めて微笑ましい。一方で表紙の彼女は考え方も行動も主人公の裏返しで、同じ悩みにどう対峙してきたか、鏡のような存在と思う。なんというか、こちらの彼女は「一緒にいて楽しい相手がいちばんいい」ということを認めることができるのか、自分の思い込みの瓜を破ることはできるのか。いろいろ不穏が仕込まれてきた巻。
読了日:04月20日 著者:板倉梓
◾️からかい上手の高木さん (3) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★☆
なんだかんだで席はいつも隣、登校はともかく下校もいつもいっしょ。傍から見たらもうカップルにしか見えない、という視点が盛り込まれる尾行エピソードが楽しい。しかし、何をやっても負け続けでも一緒にいられるメンタルは真似できる気がしない。
読了日:04月20日 著者:山本 崇一朗
◾️エル・スール_新装版の感想
★★★★
言わずと知れたビクトル・エリセ監督作品『エル・スール』の元となった短編小説。以前も出ていたが未読。エリセ最新作公開のタイミングで新装版となったので、読んでみた。映画にも使われている幼少期の親娘の神秘的な関係は小説にもあるものの、全体としてはマジック・リアリズムの雰囲気のある作品だった。
読了日:04月21日 著者:アデライダ・ガルシア=モラレス
◾️東京人2024年5月号 特集「恵比寿」YEBISU BREWERY TOKYO オープン![雑誌]の感想
★★★
バブル真っ盛りの新入社員研修で閉鎖したばかりの工場に街をひとつ作る、という構想が華々しく説明されて「大丈夫なのか」と思っていたらバブル崩壊、それでも開業にこぎつけ、開業してみればけっこう注目度高く、アニメ『マーマレード・ボーイ』にまで出てきてびっくり。出張の他、原田知世やムーンライダーズのライブ、ガーデンシネマ、写真美術館などにはずいぶん通っている。特集の始まる前のページがカラオケ番長のコラムというのも不思議な縁かもしれない。
読了日:04月22日 著者:東京人編集室=編
◾️アリスと蔵六 1 (リュウコミックス)の感想
★★★☆
『鏡の国のアリス』をモチーフにした不思議なSFマンガ。想像に力で世界そのものを創造してしまえるらしい少女と、花屋の割に何故か顔が広い、曲がったことが嫌いな老人。何がどうなるのか、まるで先が読めない。
読了日:04月24日 著者:今井哲也
◾️からかい上手の高木さん (4) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★☆
1巻目は高木さんがそれほどかわいく描かれていなかった感じなんだけど、3巻あたりから「ここぞ」というところですごくかわいく描かれている感じ。単純に作者に絵の描き方の進化という側面もあるかもしれないけど、それがちょうど、「西片視点での高木さん」の見え方とシンクロして、ちょうど作品にあった味になってる気がする。
読了日:04月24日 著者:山本 崇一朗
◾️グッゲンハイムの謎の感想
★★★☆
『ロンドン・アイの謎』の作者ご逝去時にはタイトルしかなかったという続編。原著の文体は未見だが、キャラクターの性格、行動、謎解きプロセスの組み立て方は異色の自閉症少年探偵を主人公としたヤングアダルトミステリとして、しっかり二部作にふさわしい内容になっている。本編のラストと謝辞に最後を読むとちょっとほろっとくる。ニューヨークには行ったことないけど、この先行ける日は来るだろうか…
読了日:04月25日 著者:ロビン・スティーヴンス
◾️めんつゆひとり飯 (3) (バンブー・コミックス)の感想
★★★
お互いに脳内に妄想の友人知人を住まわせて、それを自覚して楽しんでいるちょっとメタな味わいが作風として定着してきた感じ。それぞれに料理に対するスタンスが違う理由となった環境や性格がありつつ、なんだかんだで認め合って仲よく共存しているのが癒しポイントかもしれない。
読了日:04月26日 著者:瀬戸口みづき
◾️からかい上手の高木さん (5) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★★
冒頭とラストのエピソードが対になってキュンキュン! もう、この巻が最終巻でもいいくらいのテンションだ(笑)。本屋での西片の「愛読書」からのまさかの水着選び、友だちからのゲームの誘いより高木さんと一緒に帰るという選択。それにしても、高木さんの先読みがすごすぎて、ほとんどテレパスの域!?
読了日:04月26日 著者:山本 崇一朗
◾️愛蔵版 花咲ける青少年 2 (花とゆめコミックススペシャル)の感想
★★★★
愛蔵版ではボリューム的にちょうど1巻がユージーン編、2巻がルマティ編になっている。今回気がついたのは各キャラクターの横顔のシュッとした描き方の魅力。そういえば、こういう絵柄は同じLaLaなら画風的には別に見える安孫子三和や岡野史佳、あと『BANANA FISH』の頃の吉田秋生あたりも近い横顔の描き方をしていたように思う。美形キャラの描き方のひとつの様式かもしれない。物語の方は畳みかけるようにラギネイの陰謀劇の様相に。あと、初出は同人誌という作者の昔話は初めて読んだ。
読了日:04月27日 著者:樹なつみ
◾️ティーカップの感想
★★★☆
ティーカップに故郷の土くれを入れて、小さなボートで大海をさまよう少年。読み始めはもう少しリアル寄りの寓話かと思ったが、寓意はありつつもまずは絵のビジョンを楽しむ絵本になっていると思う。この世界には同じようにさまよう子どもたちがおそらくたくさんいて、陸地にたどり着くのも出会うのも、奇跡のようなものなのだろう。
読了日:04月27日 著者:レベッカ・ヤング
◾️こねこのミヌ-の感想
★★★☆
飼っていたこねこがいなくなった女の子、ネネットが街中を探しまわる。とにかく絵がかあいらしい。解釈の自由度を残すラストも味わい深い。なお、原題はただのミヌーで「こねこ」の意味とのこと。
読了日:04月27日 著者:フランソワーズ
◾️アリスと蔵六 (2) (リュウコミックス)の感想
★★★☆
いかにもマンガな絵柄と対照的に、描かれるシチュエーションは生々しく苦痛感を感じさせる。知性と疑似知性の差、という哲学的な命題にも「曲がったことが嫌い」という一貫性で対峙する蔵六じいちゃんがただものでない。しかし、秘密機関に属する同士、相手の能力を探り合いながら戦う超能力バトルとしてはジョジョとかブギーポップっぽい面もあるように感じた。
読了日:04月27日 著者:今井 哲也
◾️からかい上手の(元)高木さん (1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★
うぇぶりの本編の方の無料公開が5巻までなんだけど、「あのエピソード」をスピンオフさせた姉妹編。娘のちーちゃんが容姿はお母さんそっくりだけど、性格はお父さんっぽいのがポイント。しかし読むまで気がつかなかったんだけど、原案と作者が別なのね。画風にそんなに違和感はないものの、ちょっとびっくり。そういう手があったか!?
読了日:04月28日 著者:稲葉 光史
◾️めんつゆひとり飯 (4) (バンブー・コミックス)の感想
★★★
徐々に影響を与えあっていくキャラクターたち。ズボラの範疇を逸脱せずにレパートリーを増やしていくバランスが、この先どんどんむつかしくなっていきそうな…(笑)。
読了日:04月28日 著者:瀬戸口みづき
◾️なぜ戦争はよくないかの感想
★★★
『カラーパープル』の著者が911をきっかけに書いたたという絵本。ある意味ストレートすぎるくらい。戦争をイメージさせるための油彩絵の具をぐちゃぐちゃに固めた半立体のオブジェのような部分がちょっとシン・ゴジラっぽいかも。
読了日:04月29日 著者:アリス ウォーカー
◾️109ひきのどうぶつかくれんぼの感想
★★★☆
この作者さんの持ち味のちまちました絵で109ひきのどうぶつたちのかくれんぼ大会をスタートからおしまいまで。どうぶつたち以外にも仕込んであるものがたくさんあるので、無限に楽しめそうな絵本。
読了日:04月29日 著者:のはなはるか
◾️ここはすべての夜明けまえの感想
★★★☆
年代は微妙に近未来ではなくほぼ現代。ただし、現代には実現していないテクノロジーが介在することで、ありえるかもしれないと思わせる物語。児童虐待とそれをめぐる家族関係のもつれは普通に描けばただのイヤミスのバリエーションになりそうなところ、語り手の感情を排した語り口で重くもじめじめにもならずに読ませる。一方で、最後に感情を排した存在と対話させることで、逆に主人公の人格や感情のありかが逆照射される。極めて内省的な『幼年期の終わり』と言えなくもないかもしれない。
読了日:04月29日 著者:間宮 改衣
◾️からかい上手の(元)高木さん (2) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★
スピンオフ2巻目。二人が普通に「お母さん」「お父さん」と呼び合ってるのが微笑ましいと思いつつも、自らのあらゆる能力を想い人と円満に恋愛関係になって、安定した家庭生活を送るためだけに注ぎ込んでいる(元)高木さんの有り様にいささかもやっとするところもなくもなかったり。
読了日:04月29日 著者:稲葉 光史
◾️アリスと蔵六 3 (リュウコミックス)の感想
★★★☆
なるほど、いちおう最初の2巻でひと段落ではあったのか。非人間的な「研究所」解体で野に放たれたもの、一方、「研究所」設立の理由でもあった自然発生的に生まれてくるもの、その交錯が生む新展開。とはいえ、各キャラクターのバックグラウンドはいろいろシビアだ。
読了日:04月30日 著者:今井哲也
読書メーター
2024年3月に読んだ本 ― 2024年04月07日 20時55分07秒
3月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:3136
ナイス数:75◾️ヨシ 3万7千キロをおよいだウミガメのはなしの感想
★★★☆
漁業用の網にかかって漂っていたところを日本の漁船に拾われ、「ヨシ」と名づけられ、南アフリカケープタウンの水族館に保護されて成長したアカウミガメ。ケープタウンで自然に帰され、いったんはアフリカ沿岸の営巣地に行きかけたものの、定着せず、はるかインド洋を渡ってオーストラリアへ。つまり、生まれはオーストラリアだった、という壮大な物語が事実ベースだという驚き。味わいのある絵がまたよきかな。
読了日:03月01日 著者:リン・コックス
◾️こぎつねのとくべつなクリスマスの感想
★★★☆
雪の中で狩りをしていたこぎつね。暖かくて美味しそうなにおいにひかれて、一軒のお家に突っ込んでしまい、ひとりのおじいさんに拾われる。なるほど、この視点があったか、と思わず手を打つクリスマスの物語。ほっこり。
読了日:03月01日 著者:ポリー・フェイバー
◾️黒ネコジェニーの おたんじょうびの感想
★★★☆
原著は1954年。シンプルな線とベタな濃淡のない配色とモノクロで、日本で言えば長新太とかを連想させる。ニューヨークを舞台にネコがネコどうしで誕生日をお祝いする微笑ましいおはなし。キャラクター表が巻末のカバー見返しにあり。1992年にパルコ出版から『黒ねこジェニーの誕生日』として出たことがあり、シリーズ化もされているようだ。そっちも読んでみたいかも。
読了日:03月02日 著者:エスター・アベリル
◾️魔法のリノベ(4) (ジュールコミックス)の感想
★★★☆
主人公の実家話。弟の結婚式で田舎に帰ると結婚結婚言われる居心地悪さから、身勝手な父親の主導する実家建て替え問題に。新婚のお嫁さんの「ないわー」が全部持ってくと思ったところで、お母さんの爆弾発言炸裂でひっくり返った(笑)。まあ、それで反省するあたりここのお父さんはまだたちがいい部類だな…。あと、時系列では並行するペット飼いどうしで結婚することになったカップルのエピソード。
読了日:03月02日 著者:星崎 真紀
◾️瓜を破る 6 (芳文社コミックス)の感想
★★★★
人との距離感の取り方は、一見普通に会社員生活とかをしていて、社交性ありそうに見えても…、というのは実感できる人が多いんじゃなかろうか。それなりのキャリアウーマンとして生活はしつつも、実はゲームと映画くらいしか趣味がなく、料理も興味なし、という「普通の人」が、心と身体の瓜を破っていくこのマンガのある意味クライマックス。この後もいろいろありそうだけど、まずは多幸感に浸るのがよきかな。
読了日:03月03日 著者:板倉梓
◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (7) (カドカワコミックス・エース)の感想
★★★☆
すべてがうまくいく世界に違和感を感じて自分から殻をやぶって、いろいろなことがかけ違った世界に戻り、一からやり直し。とはいえ、これまで積み上がってきたそれぞれの気持ちまで無になったわけではない。ちょっとずつかみ合い始めたか、と思ったところで、シリーズ最大のチョンボ!?
読了日:03月06日 著者:よしだ もろへ
◾️魔法のリノベ(5) (ジュールコミックス)の感想
★★★☆
空気読めない新世代の営業社員登場。今回は一冊丸ごとかけて、三等分した敷地に同じ間取りで建売されていた住宅を、夫婦とも在宅勤務、主夫の家事動線、専業主婦の誇り、とそれぞれの家庭の事情をやんわりと解決していく。同じ工務店にリノベしてもらったのが疎遠だったご近所の話の種にもなりそう? あと、家族経営の工務店に現代的なコンプライアンスが? 巻末にはドラマ化のレポートも。デビュー当時から読んでるけど、まさかこんな日が来るとは! 作者と感動を共にした。これは幸福なドラマ化だったようでその点もよかった。
読了日:03月07日 著者:星崎 真紀
◾️舞妓さんちのまかないさん (2) (少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★
うぇぶりの無料公開にて続きを。この巻はいっしょに青森から上京してきたすーちゃんの「お店出し」(舞妓デビュー)がメイン。人が大勢いるところに、二人で田舎を思い出すあたりにほろっとする。しかし最近、サイトとかでプッシュされる料理マンガは、料理以外が主眼のものが多いのかな。
読了日:03月08日 著者:小山 愛子
◾️海が鳴く時 (ビッグコミックススペシャル)の感想
★★★☆
漢字Talk 6の時代に作画環境をMacにした六田登が青年誌に散発的に発表してきた心理の闇を抉るような作風の短編、中編群をオールカラー化して一冊にまとめたコンセプトアルバムのような作品集。当時の環境でできる表現としてはよくここまで、という感じだが、やはり作品が重苦しくおどろおどろしいので、読者は選ぶと思う。あと、デジタルネイティブが増えている中では試みそのものの価値は伝わりにくいだろう。
読了日:03月10日 著者:六田 登
◾️魔法のリノベ(6) (ジュールコミックス)の感想
★★★☆
今巻は女性二人コンビのマンガ家の共同生活、離婚男性の息子とのコミュニケーション、集合住宅に長年暮らした男女が共同で暮らせるリノベなど、やや社会的に標準から外れた人々の生活を変えていく展開。一方で、主役コンビの関係が進みそうな進まなそうな…。
読了日:03月12日 著者:星崎真紀
◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (8) (カドカワコミックス・エース)の感想
★★★☆
最大のハプニングがわだかまりを解くきっかけに。そしてやってくるバレンタインイベント。そこに修学旅行以来の因縁が…。時折出てくるこういう陰湿が今世紀の学生生活のリアルなんだろうけど、性格いい子がそういう中で身を潜めて生活しているのも、そっちの視点で見るとちょっと地獄っぽいかも。一方、なぜか戻った神力の行き着く先が見えてきて、またちょっと不穏な予感で次巻へ。
読了日:03月13日 著者:よしだ もろへ
◾️舞妓さんちのまかないさん (3) (少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★
中学を出てすぐ上京した二人の初めての年末年始。その歳でも「お店出し」して舞妓さんになっていると大晦日ぎりぎりまでお座敷とか、正月は舞妓さんたちが普段は食べられないハンバーガーに群がるとか、ほんわかした雰囲気の中にいろいろ仄めかされているかな。青森への帰省イベントもあり。料理はいつにも増してフツーのメニューばかり。
読了日:03月13日 著者:小山 愛子
◾️待つこと、忘れること?の感想
★★★★
金子姉妹合作の料理じゃなくて愛猫トラーの工夫を凝らしたイラストがあしらわれたエッセイ集。マンガ家ではよく雑誌を休刊、廃刊に追い込む雑誌クラッシャーというのがあるけど、エッセイストにもあったのか(笑)!? グラビア誌「太陽」に始めり、複数の雑誌を転々として書き継がれたエッセイは、その連載移転の事情まで語ったり、時には予定枚数をオーバーしてひとつの料理の話が次回に持ち越されたり、いろいろとフリーダム(笑)。文学や映画の教養の素地が混じりつつ、一貫して辛辣な書きっぷりが清々しい。
読了日:03月15日 著者:金井 美恵子
◾️舞妓さんちのまかないさん (4) (少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★
この巻は年始の挨拶回りから節分、バレンタインまで。「お化け」というまるでハロウィンみたいな仮装イベントがあるとは知らなかった(笑)!
読了日:03月15日 著者:小山 愛子
◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (9) (カドカワコミックス・エース)の感想
★★★☆
いざ、告白、の後のぎこちなさが微笑ましい一方、神力のありかをめぐって急展開。とはいえ、友人関係も恋愛関係も家族関係もそれぞれのあるある感の描き方が上手い。それだけに、修学旅行以来の神力発現の流れも納得感あり。
読了日:03月16日 著者:よしだ もろへ
◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (10) (カドカワコミックス・エース)の感想
★★★★
すべてのピースが収まるところに収まっていきつつ、予定調和感がないのは、出てきたキャラクターひとりひとりの考え、行動にそれぞれに感情移入できるポイントがあるからだろう。5巻のコメントによれば全体の構成はもともと決めてあったようだけど、これだけきちんと描き切っているのは見事。電子書籍のフェアがなければ読まないままだったと思うけど(あと、たぶんにジャケ買い)、予想以上の拾い物だった。たまに読み返したくなりそう。
読了日:03月16日 著者:よしだ もろへ
◾️かしこいモリーの感想
★★★☆
意外に読んだことなかったイギリスの昔話。「ヘンゼルとグレーテル」的な親が子どもを森に捨てる導入部から、3人姉妹が末っ子のモリーの機転で嫁入りを順々に決めていく。3人兄弟の王子たちの存在感のなさと、けっこう残酷なモリーの所業が伝承おとぎ話っぽい。このバージョンは絵本の画風に味があってよい。
読了日:03月16日 著者:ウォルター デ ラ メア
◾️The New IPA: Scientific Guide to Hop Aroma and Flavor (English Edition)の感想
★★★★
翻訳したものを校正のために再読。単純誤字脱字が多いのは、最近の予測変換機能の使い勝手の悪さにも一因があるかも(昔の変換辞書の単純学習の方が物書きにはよかった)。ともあれ、いろいろ偏った内容とはいえ、一見別分野と思える論文を組み合わせて考察する著者の理解力と構成力には改めて脱帽。もうちょっとでセルフパブリッシングお届けできます。
読了日:03月17日 著者:Scott Janish
◾️こどものじかん はる なつ あき ふゆの感想
★★★☆
大勢の子どもの日常をちまちま描く。カバーめくるとそれぞれのおうちでおはよう、裏カバーの返しにはおやすみ、中では四季折々、さまざまな時間帯の子どもたちの生態が生き生きと描かれる。たまにドキッとするようなことも描かれているのがアクセントになっているのかも。
読了日:03月19日 著者:ギョウ フジカワ
◾️わたしたちをつなぐたびの感想
★★★☆
仲のよい母娘。でもお父さんはいない。お母さんはこうのとりさんが運んできてくれた、というけど、こうのとりさんに聞いてみたら本当にそうだった!? それじゃこうのとりさんはどこから? 御伽話的かと思って、動物さんたちのお話をもとに遡ってみたら、行き着いた先は意外とリアル!?
読了日:03月19日 著者:イリーナ・ブリヌル
◾️シロかクロか、どちらにしてもトラ柄ではない: たのしい暮しの断片の感想
★★★★☆
世代的には高樹のぶ子さんあたりに近い、『マイマイ新子』あたりの時代から現代までを過ごしてきた視点と、主に映画を中心とした教養が随所に散りばめられた辛辣辛口エッセイ。挿画のレイアウトも自由さが増して、挿画そのものも立体物を構成したアートが中心で美しくもカオス。『ミツバチのささやき』はサブタイトルだけで本当にミツバチの話をするエッセイだったが、『マルメロの陽光』の主演?の画家アントニオ・ロペスの描いた冷蔵庫の絵画の話題におり混ぜて氷式冷蔵庫の話題が出てきたりするのも楽しい。タイトルのシロをめぐる猫の話もよい。
読了日:03月23日 著者:金井 美恵子
◾️わたしを 描くの感想
★★★☆
図書館の新着コーナーにて。画家を目指す少女が画材屋で自分の名前と同じ名を持つキャンバス地に魅せられて父親に買ってもらったものの、自画像を描いてみると…。理に落ちた説明になりそうな要素は散りばめられつつ、正解は提示しない描写と展開が深い。
読了日:03月30日 著者:曹文軒
◾️超人ロック 鏡の檻(3) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★☆
古代の闘技場のような「鏡の檻」へと送り込まれるロック。これまでに登場したことのある特殊能力のオンパレードのサバイバルだが、送り込む方も「もしや」と思っているあたりの腹の探り合いもあり。一方のジャマー開発は発想を逆転させての人造超能力者の創出に成功!? 巻末の短編は事故で未知の生存可能惑星に漂着した植民船の物語。ちゃんとこの巻に収録されている意味はある。
読了日:03月31日 著者:聖悠紀
読書メーター
2024年2月に読んだ本 ― 2024年03月11日 05時03分14秒
ということで、セルフパブリッシングで一冊出します。3月中公開に向けて準備中。よしなに。
2月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:3338
ナイス数:128◾️作りたい女と食べたい女 1 (it COMICS)の感想
★★★
ドラマの影響で読み始めた。一人暮らしで少量だけ作るのはこの主人公ほど料理好きでなくてもむつかしいもの(なので一人暮らし始めたり、量の加減がわかる前の新婚時代は食べ過ぎになりがち(笑))。SNS時代の日常マンガでもあり、あと、作画や諸々の効果、処理はかっちりしていてこの点もデジタルネイティブっぽい。
読了日:02月02日 著者:ゆざき さかおみ
◾️ふゆごもりのネム (世界文化社のワンダー絵本)の感想
★★★
大家さんと部屋四つの下宿屋? 登場人物紹介と最初の数ページで予想していたのと比べだいぶ斜め上の展開でびっくり(笑)。ラストページにちょっと主人公の名前と関係のある仕込があるのも楽しい。
読了日:02月03日 著者:津田 真一
◾️作りたい女と食べたい女 2 (it COMICS)の感想
★★★
ふたりの関係は安定してきつつも、適齢期あるある、あるいは同調圧力あるある。最近読むマンガがこういう要素が多いのは、検索履歴などの情報から最適化されている面もあるのかな? ストーリーはこのあたりでテレビドラマ1期あたりまで。このあたりからドラマ版と違う部分がいろいろ出てくる感じ。
読了日:02月03日 著者:ゆざき さかおみ
◾️The New IPA: Scientific Guide to Hop Aroma and Flavor (English Edition)の感想
★★★★
アメリカでホームブルーイングを趣味にしていた青年が、同好の士のネット会議室では知りたいことがわからない、と、思っていたところで、ビール分野の学術論文に出会う。論文を読むためにたくさんの学会に入会し、読んだ論文1000報以上!? それを自分なりにかみ砕いてblogにしたら大評判! で、それが本になったのが2019年。以来、amazonで分野内の上位をキープし続けているクラフト界隈のベストセラー。通読するとびっくり。ヘイジーIPAの造り方にフォーカスしつつも、新世紀のビールの教科書と言っていい良書。
読了日:02月08日 著者:Scott Janish
◾️作りたい女と食べたい女 3 (it COMICS)の感想
★★★☆
この巻だけじゃないけど、登場人物のトラウマが描かれるエピソードの冒頭に注意表示が入るのが今の時代を感じる。新しい隣人と現在らしいSNSきっかけのオンライン鑑賞会からのリアル友だち化なども同様。内容は2024年2月現在放映中のドラマ版2期相当だけど、原作4巻まで読んでから観はじめたドラマ版のオリジナルキャラの位置づけは、原作とドラマの関係が炎上している状況で観るとやや微妙かなあ…
読了日:02月09日 著者:ゆざき さかおみ
◾️青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない (電撃文庫)の感想
★★★
劇場版に追いついた原作読書。擬似量子力学?全開の劇場版『夢みる少女』と比べると、前巻と今巻は主人公の「よいこ」過ぎるモノローグで読むストーリーが文字でこのボリュームで読むとけっこう重い。ということで、この2作はその要素を映像に置き換えることができるアニメの方が自分的にはよかった。涼宮ハルヒのキョンの一人語りと比べ、主人公の一見ブタ野郎な言動と良識的な思考、それを表す普通の文体のギャップが本シリーズの美点だと思ってきたけど、ブタ野郎要素が引いて良識と善意をひたすらモノローグで読むとこの文体はやや重いかも。
読了日:02月11日 著者:鴨志田 一
◾️作りたい女と食べたい女 4 (it COMICS)の感想
★★★☆
それぞれに何らかのトラウマを抱えてきた4人がたまたま隣に住んだり、SNSから繋がったりしてそれぞれに自己肯定感を上げていき、関係性がじんわり変化していくのが心地よく読めつつ、いざ引っ越しや同居を考えると現実世界の壁が立ちふさがったり。このあたりはジョー・ウォルトン『わたしの本当の子どもたち』で提起されていた社会問題にも近い。この先、パートナー制度の問題とかも出てくるのかな。
読了日:02月11日 著者:ゆざき さかおみ
◾️青椒肉絲の絲、麻婆豆腐の麻 ――中国語の口福 (単行本 --)の感想
★★★★
タイトルから中華料理漫遊エッセイかと思いきや、料理名の建て付けと中国語の用法をめぐる言語学の要素もあり(著者の本職でもあるので)、歴史や地理に根ざした比較文化論の要素もあり、いろいろな側面で、しかし渾然一体で読める。それは書かれているのがこの著者の人生そのものだからでもあるのだろう。
読了日:02月12日 著者:新井 一二三
◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (4) (カドカワコミックス・エース)の感想
★★★
神無月(神有月)になって友人関係も人間関係も動きが激しくなってきて、主人公は両想い状態なのに自分に自信がなくて空回りしてるし、神様の方は性格が乙女すぎる(笑)。しかし京都といい出雲といい、神様の世界とシームレス過ぎる(笑)。神様も神力の挙動が読めない?と言うことでそのあたりは今後の落とし所がどうなるやら…
読了日:02月16日 著者:よしだ もろへ
◾️作りたい女と食べたい女 5 (it COMICS)の感想
★★★☆
ドラマ、原作ザッピング状態で出た最新刊。人が知り合うきっかけはたまたまお隣さんだったり、偶然が重なったり、という古典的な要素から、SNSからリアルへの展開という現代的な要素があったりするけど、友人、パートナーへの関係性が深まっていく基本が「いっしょにいて楽しい」なのは時代によらない正解なんだろうな、と思う。
読了日:02月17日 著者:ゆざき さかおみ
◾️舞妓さんちのまかないさん (1) (少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★
サンデーうぇぶりで1巻分が無料だったので試しに。青森から舞妓さんに憧れて上京(京都の京)したものの、芽が出ず帰されそうになっていたところ、まかないのおばさんが腰を痛めて引退した代わりに食事を作り始めて、まかないに。時代は現代だけど、古くからそのまま使っているタイルや石を埋め込んだ流しの質感がいい。作るのも、あくまで家庭料理、ありものでやりくりで、すごいメニューが登場しないあたりがいわゆるグルメマンガっぽくないのがポイントのひとつか? 続刊が多いので、続きはしばらく保留かな。
読了日:02月19日 著者:小山 愛子
◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (5) (カドカワコミックス・エース)の感想
★★★☆
修学旅行、なるほど京都からなら東京か。班分けとかその後の旅行中の無視いじめの発動とか、学生生活の描き方がやややりすぎ感もなくはないけど、納得感のある描写。いじめトラブルの解決のプロセスが今巻の肝という感じで、そこに神力の問題が絡むのも上手い。あとがきでは「折り返し点」とあって、ちゃんと全体の構成・構想がしっかりあって描いているのも伺えて好印象。
読了日:02月20日 著者:よしだ もろへ
◾️魔法のリノベ(1) (ジュールコミックス)の感想
★★★☆
初期からの絵柄が、根っこは変わらないものの円熟の境地に達していて、特に表情表現がすばらしい。大手から家族経営の会社に転職した主人公がお客さんの普段表に見せていない気持ちをうまく掘り起こしてリノベーション案を提案して、結果的に夫婦の間のちょっとしたすれ違いまでリノベーションしていくハートウォーミングなコンセプトがいい。
読了日:02月23日 著者:星崎 真紀
◾️超人ロック 鏡の檻(1) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★☆
『ラフラール』の直接の続編。この年代、旧帝国以前の技術はたまに漏れ出る以外は時間庫に封印され、「超人ロック」の記録、記憶は巧妙に消されている設定だが、このシリーズの主要キャラクターはロックについてよく知っている。ラフノール関係者はむしろよく知っている理由はあるが、他はどうやって調べ上げたのか、やや気になる。とはいえ『コズミック・ゲーム』が歴史上の出来事として出てきたりするのはやっぱりファン心をくすぐる(あとがきにはその執筆秘話も)。
読了日:02月24日 著者:聖悠紀
◾️超人ロック 鏡の檻(2) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★☆
今シリーズの肝はESPジャマーとその関連技術。数千年の時を超能力者と共存してきた社会ではESPを妨害できる技術が抑止力となることで均衡状態を作り上げている、というのは、そういう変遷の歴史そのものを描き続けてきた作品だからこそ提示できるコンセプトかもしれない(単発の作品でも出せなくはないが、ここまで説得力はないかもしれない)。
読了日:02月25日 著者:聖悠紀
◾️魔法のリノベ(2) (ジュールコミックス)の感想
★★★☆
依頼者の家族間の些細なささくれをリノベをきっかけに癒す、というコンセプトは健在。そのあたりはいいバランス感かな、と思う。一方で、主人公の前職からの因縁はちょっとやりすぎ感がなくもないけど、確信犯で人間関係をコントロールする、というのはリアルでもみたことがあるんで、そういう体験のある人はけっこうリアリティ感じるのかも。
読了日:02月27日 著者:星崎 真紀
◾️岩泉舞作品集 ミレンさんの壺 (その他)の感想
★★★☆
これはちゃんと紙で買った。伝説だったマンガ家、岩泉舞の完全新作オムニバス長編と短編ひとつ。ある意味、新人マンガ家岩泉舞の再デビュー作と言っていいかもしれない。ご本人の描けなかった時期や、これまでの人生経験が反映されたと思われる、各編のキャラクターのそれぞれの人生が滋味深い。とはいえ、収録作のベストは配信でも読んでいた「ロボットを捨てに行く」かな。これからも応援していきたい。
読了日:02月29日 著者:岩泉 舞
◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (6) (カドカワコミックス・エース)の感想
★★★
すべてが終わったと思ったのに!? なぜか力が戻ってしまったことで、せっかくいい感じだった関係性にヒビが…。逃げ込んだ先は…。待て、次巻?(もう完結してます(笑))
読了日:02月29日 著者:よしだ もろへ
◾️魔法のリノベ(3) (ジュールコミックス)の感想
★★★☆
この巻では、提案、計画通りにすんなり進まない展開に。その理由として、前巻までのヒロイン側の因縁に代わり、まるふく工務店一家の方の問題次男が登場。しかし、消費税8%時代の話なのは、今読むとちょっと懐かしいかも。というか、消費税廃止にならんかな(笑)。
読了日:02月29日 著者:星崎 真紀
2024年1月に読んだ本 ― 2024年02月11日 09時17分36秒
隙間読書が気軽にできるのは電子書籍の利点で、気がつけばすっかり電子比率高い人に(笑)。いや、でも、紙のファンジンは作りますよ(笑)。
1月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:3578
ナイス数:74◾️【小説8巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女1」の感想
★★★★
貴族社会に舞台が移って新キャラクター続々登場。魔法がらみの描写も増えてきて、そのあたりは普通に近年の異世界転生ものっぽいのだろう。第二部での生活環境、身分差、陰謀劇などのシビアさがいったんリセットされる一方、印刷技術ではついに活版印刷とガリ版印刷の実用化! 技術の順番や所要コストが逆転してるのは異世界事情(笑)。技術普及にかかる莫大なコスト負担のために発案したのは、この世界の社交にはなかったチャリティコンサート!? その主役はなんと表紙のあの人!? 「推し」の概念が持ち込まれるスタンピードぶりが楽しい巻。
読了日:01月01日 著者:香月美夜
◾️【小説9巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女2」の感想
★★★★
領主の一族にただ救われただけではなく、教育や働き方に問題があれば現代日本の考え方でがんがん正していく。甘やかされ切ったバカ息子の再教育と、神官長まわりの報連相の欠如と仕事の一人抱えは、そりゃ問題だ(笑)。一方で、初めて知る農村の実態と、改善のために陰謀を巡らせる羽目になるあたりと、ファンタジー展開の魔石集めミッションでの魔獣とのバトルがなかなかシビア。あと、前巻で創り出したネコ…じゃなくてレッサーバスが大活躍(笑)。動物の種類は、一応著作権にも配慮したのか(笑)!?
読了日:01月03日 著者:香月美夜
◾️【小説10巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女3」の感想
★★★★
表紙にある通り、第三部のミッションのファンタジー方面の魔石収集イベントが二つあり、政治方面ではハッセの街の処分が予想以上にシビア。魔法を駆使する描写も毎回工夫があって、その方面でもよくできている。冬の社交では、想定していた出版物の販売と幼児教育にも進展あり。地味だけど冒頭では活版印刷機のプロトタイプに向けてこの世界にはなかった異業種協業が始まる。盛りだくさんの巻。それにしても、毎年騎士団が冬の主を倒さないと春が来ない?って、これまたシビアな設定では…。
読了日:01月04日 著者:香月美夜
◾️安野光雅作品集の感想
★★★★☆
見たことのある絵も多いけど、初めて見る絵もたくさんあって、改めてその業績の膨大さに感じ入った。表紙の絵は淡い色彩だけど建物の窓の立体感が不思議で全体の中でもかなり目を惹いた絵で、なるほど、これが表紙で納得。まだ手に取ったことのない作品をちょっとづつ見ていきたい。
読了日:01月06日 著者:
◾️【小説11巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女4」の感想
★★★★
表紙にある通り、教育目的を兼ねて作成を進めてきた絵本シリーズがついに完結。その完成品を並べて悦にいる主人公が他人とは思えない(笑)。自分で文章書いて、手書きかパソコンで清書、レイアウトして版下作って、コピーして中綴じホチキスで製本した完成品、あるいは印刷所に出して仕上がってきた完成品を目にするたびに、同じようにニマニマしてきたよ(笑)! 一方で、過去の遺恨からまた不穏な展開の予兆が。そういえばこの世界、大粛清で大勢の貴族がいなくなった、という背景だったっけ。
読了日:01月06日 著者:香月美夜
◾️【小説12巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女5」の感想
★★★★
完結キャンペーンの合本版で第3部まで一気に。印刷産業がらみ、魔法がらみ、権謀術数がらみ、盛り込みすぎなくらいで、今まででいちばんの危機でクライマックス。舞台が中華風じゃなくて中世ドイツっぽいファンタジー世界で現代日本の常識と技術に関する知識で社会を改善していく面白さは十二国記+大江戸神仙伝+澪つくし料理帖+α?とまで言ってしまうと褒めすぎか(笑)!? とはいえ、報連相の徹底と人材育成、引継書の重要性が盛り込まれた巻でもある。
読了日:01月07日 著者:香月美夜
◾️我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス)の感想
★★★★
本人は研究者ではなくとも、取材する分野について研究者に匹敵する視点と理解を持って、なおかつ、一般読者が面白く読める本にすることができる。科学ジャーナリストのお手本となるような一冊。
読了日:01月12日 著者:川端 裕人
◾️くまのこの としこし (講談社の創作絵本)の感想
★★★
くまの一家の年越しをたんたんと描く。小学生の頃はどんなに起きていようと思っても起きていられなかったっけ。今は起きていることもできるけど、若い頃と比べて、起きていた後の眠さが目立つようになった。
読了日:01月12日 著者:高橋 和枝
◾️わたしは地下鉄ですの感想
★★★☆
韓国の地下鉄を主人公に、駅ごとに乗り組んでくる乗客を淡々と観察する。淡くざっくりした水彩と、人の顔から看板のハングル文字まで細かいところはすごく緻密で、デフォルメされているけど民族がわかる描き方の人の顔の表現とか、色々と興味深い。細部まで描き込まれた背景にあるものについて考えるのもいいかもしれない。
読了日:01月12日 著者:キム・ヒョウン
◾️サンタクロースとあったよるの感想
★★★☆
現在も世界中に流布されているサンタクロースの元になった詩の絵本化。たくさん絵本にされてきた、とあとがきにあったけど、意外と読んでなかったんだな、と思った。詩の由来も解説されていてなるほど。サンタクロースを目撃した視点を誰に置くかが絵本化のポイントなのかもしれない。
読了日:01月13日 著者:
◾️オニのサラリーマン (日本傑作絵本シリーズ)の感想
★★★☆
京都っぽい街から満員バスに揺られて地獄正門前で降りると、そこはオニガワラの職場。見張を担当する地獄は日替わり制らしい。職場でも楽な担当と言われるらしい血の池の見張りは、単調な仕事なので愛妻弁当の昼食の後はついうとうと。そんな日に限って大変なことが!? まさかあの文学短編の裏話だったとは(笑)!?
読了日:01月13日 著者:富安 陽子
◾️うろおぼえ一家のきゅうじつの感想
★★★
自分たちのうろおぼえに自覚のある一家、休日に行くところをみんなでメモにして意気揚々と外出するが、メモを書いた目的も忘れているので、行く先々でメモを使ってしまう。ツッコミどころ満載だけど、メモを使った親切が巡り巡って、なべて世はこともなし!? ラストページにちょっとした仕掛けがあるのも楽しい。
読了日:01月13日 著者:出口かずみ
◾️マティスを旅するの感想
★★★☆
マティスの絵画作品ではなく、手がけた建物とマティスゆかりの地をめぐる写真旅。マティスの入門書としてもいいかもしれない。
読了日:01月13日 著者:
◾️瓜を破る 5 (芳文社コミックス)の感想
★★★★
本巻では、我が道をゆくバリキャリ系のいわゆるおひとり様にも見た目通りでない悩みが。これまで出てきたキャラクターも些細なきっかけで心が揺れ動き、些細なきっかけで立ち直ったりする、その振幅が人生が続いていくということかな、と思わせる輻輳的な描き方がいろいろしっくりくる。
読了日:01月14日 著者:板倉梓
◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (3) (角川コミックス・エース 326-3)の感想
★★★
幼なじみ的な古い友だちと新しい友だちの間の関係の変化を丁寧に描くあたりが引き続き好感。主人公の片思いも、実は進展しつつありながら、本人はそのことにまだ気づけない距離感とかもなかなかいい。
読了日:01月16日 著者:よしだ もろへ
◾️ひと粒のチョコレートに (福音館の単行本)の感想
★★★☆
表紙だけ見るとチョコレートをめぐる何かのお話を絵本にしているのかと思いきや、さにあらず。カカオ豆の食べられ方、チョコレートが今のような食べ物になるための条件、チョコレートの製造方法の変遷などがきちんきちんと描かれた科学教育絵本だった。ここまで詳しく知らなかったので、すごく勉強になった。
読了日:01月18日 著者:佐藤 清隆
◾️おしえて! あむあむさん (世界文化社のワンダー絵本)の感想
★★★
ひつじのあむあむさんはあみもの屋さん。古着が持ち込まれるとほどいて編み直したり、色を染め直してまた編み直したり。ほっこり系の絵本。
読了日:01月22日 著者:間部 香代
◾️青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)の感想
★★★
劇場版で観た時も思ったけど、とにかく地味なエピソード。この場合の思春期症候群は他のヒロインのケースと違って「治る」前後も含めて、程度の差はあれ現実世界でもありそうで、その解決にもアクロバティックな擬似量子力学も必要ないためだろう。現代の若者の中で起こりそうな課題への解決策を淡々と提示していくため物語の起伏もあまりない。涼宮ハルヒフォーマットの新しい形、という表現形のシリーズだけに、物語を継続するには必須の解決課題とはいえ、不思議なことが起こらないと物足りなく感じるのは致し方ないように思う。
読了日:01月26日 著者:鴨志田 一
◾️播磨国妖綺譚 伊佐々王の記の感想
★★★
上田早夕里にしてはほっこりしていた一冊目とは対照的にきな臭い展開に。いろいろオカルト要素てんこ盛りだけど、陰陽師の技術が体系として確立されている感じの設定。那州雪絵の『魔法使いの娘』シリーズに近い描かれ方かもしれない。脳内再生を那州雪絵の画風にすると違和感ないかも。特に鬼や化け物とか。それにしても「おれたちの戦いはこれからだ!」というラストのぶった斬り方が少年マンガっぽい?
読了日:01月27日 著者:上田 早夕里
読書メーター
2024年1月に読んだ本 ― 2024年02月11日 09時17分36秒
隙間読書が気軽にできるのは電子書籍の利点で、気がつけばすっかり電子比率高い人に(笑)。いや、でも、紙のファンジンは作りますよ(笑)。
1月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:3578
ナイス数:74◾️【小説8巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女1」の感想
★★★★
貴族社会に舞台が移って新キャラクター続々登場。魔法がらみの描写も増えてきて、そのあたりは普通に近年の異世界転生ものっぽいのだろう。第二部での生活環境、身分差、陰謀劇などのシビアさがいったんリセットされる一方、印刷技術ではついに活版印刷とガリ版印刷の実用化! 技術の順番や所要コストが逆転してるのは異世界事情(笑)。技術普及にかかる莫大なコスト負担のために発案したのは、この世界の社交にはなかったチャリティコンサート!? その主役はなんと表紙のあの人!? 「推し」の概念が持ち込まれるスタンピードぶりが楽しい巻。
読了日:01月01日 著者:香月美夜
◾️【小説9巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女2」の感想
★★★★
領主の一族にただ救われただけではなく、教育や働き方に問題があれば現代日本の考え方でがんがん正していく。甘やかされ切ったバカ息子の再教育と、神官長まわりの報連相の欠如と仕事の一人抱えは、そりゃ問題だ(笑)。一方で、初めて知る農村の実態と、改善のために陰謀を巡らせる羽目になるあたりと、ファンタジー展開の魔石集めミッションでの魔獣とのバトルがなかなかシビア。あと、前巻で創り出したネコ…じゃなくてレッサーバスが大活躍(笑)。動物の種類は、一応著作権にも配慮したのか(笑)!?
読了日:01月03日 著者:香月美夜
◾️【小説10巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女3」の感想
★★★★
表紙にある通り、第三部のミッションのファンタジー方面の魔石収集イベントが二つあり、政治方面ではハッセの街の処分が予想以上にシビア。魔法を駆使する描写も毎回工夫があって、その方面でもよくできている。冬の社交では、想定していた出版物の販売と幼児教育にも進展あり。地味だけど冒頭では活版印刷機のプロトタイプに向けてこの世界にはなかった異業種協業が始まる。盛りだくさんの巻。それにしても、毎年騎士団が冬の主を倒さないと春が来ない?って、これまたシビアな設定では…。
読了日:01月04日 著者:香月美夜
◾️安野光雅作品集の感想
★★★★☆
見たことのある絵も多いけど、初めて見る絵もたくさんあって、改めてその業績の膨大さに感じ入った。表紙の絵は淡い色彩だけど建物の窓の立体感が不思議で全体の中でもかなり目を惹いた絵で、なるほど、これが表紙で納得。まだ手に取ったことのない作品をちょっとづつ見ていきたい。
読了日:01月06日 著者:
◾️【小説11巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女4」の感想
★★★★
表紙にある通り、教育目的を兼ねて作成を進めてきた絵本シリーズがついに完結。その完成品を並べて悦にいる主人公が他人とは思えない(笑)。自分で文章書いて、手書きかパソコンで清書、レイアウトして版下作って、コピーして中綴じホチキスで製本した完成品、あるいは印刷所に出して仕上がってきた完成品を目にするたびに、同じようにニマニマしてきたよ(笑)! 一方で、過去の遺恨からまた不穏な展開の予兆が。そういえばこの世界、大粛清で大勢の貴族がいなくなった、という背景だったっけ。
読了日:01月06日 著者:香月美夜
◾️【小説12巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女5」の感想
★★★★
完結キャンペーンの合本版で第3部まで一気に。印刷産業がらみ、魔法がらみ、権謀術数がらみ、盛り込みすぎなくらいで、今まででいちばんの危機でクライマックス。舞台が中華風じゃなくて中世ドイツっぽいファンタジー世界で現代日本の常識と技術に関する知識で社会を改善していく面白さは十二国記+大江戸神仙伝+澪つくし料理帖+α?とまで言ってしまうと褒めすぎか(笑)!? とはいえ、報連相の徹底と人材育成、引継書の重要性が盛り込まれた巻でもある。
読了日:01月07日 著者:香月美夜
◾️我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス)の感想
★★★★
本人は研究者ではなくとも、取材する分野について研究者に匹敵する視点と理解を持って、なおかつ、一般読者が面白く読める本にすることができる。科学ジャーナリストのお手本となるような一冊。
読了日:01月12日 著者:川端 裕人
◾️くまのこの としこし (講談社の創作絵本)の感想
★★★
くまの一家の年越しをたんたんと描く。小学生の頃はどんなに起きていようと思っても起きていられなかったっけ。今は起きていることもできるけど、若い頃と比べて、起きていた後の眠さが目立つようになった。
読了日:01月12日 著者:高橋 和枝
◾️わたしは地下鉄ですの感想
★★★☆
韓国の地下鉄を主人公に、駅ごとに乗り組んでくる乗客を淡々と観察する。淡くざっくりした水彩と、人の顔から看板のハングル文字まで細かいところはすごく緻密で、デフォルメされているけど民族がわかる描き方の人の顔の表現とか、色々と興味深い。細部まで描き込まれた背景にあるものについて考えるのもいいかもしれない。
読了日:01月12日 著者:キム・ヒョウン
◾️サンタクロースとあったよるの感想
★★★☆
現在も世界中に流布されているサンタクロースの元になった詩の絵本化。たくさん絵本にされてきた、とあとがきにあったけど、意外と読んでなかったんだな、と思った。詩の由来も解説されていてなるほど。サンタクロースを目撃した視点を誰に置くかが絵本化のポイントなのかもしれない。
読了日:01月13日 著者:
◾️オニのサラリーマン (日本傑作絵本シリーズ)の感想
★★★☆
京都っぽい街から満員バスに揺られて地獄正門前で降りると、そこはオニガワラの職場。見張を担当する地獄は日替わり制らしい。職場でも楽な担当と言われるらしい血の池の見張りは、単調な仕事なので愛妻弁当の昼食の後はついうとうと。そんな日に限って大変なことが!? まさかあの文学短編の裏話だったとは(笑)!?
読了日:01月13日 著者:富安 陽子
◾️うろおぼえ一家のきゅうじつの感想
★★★
自分たちのうろおぼえに自覚のある一家、休日に行くところをみんなでメモにして意気揚々と外出するが、メモを書いた目的も忘れているので、行く先々でメモを使ってしまう。ツッコミどころ満載だけど、メモを使った親切が巡り巡って、なべて世はこともなし!? ラストページにちょっとした仕掛けがあるのも楽しい。
読了日:01月13日 著者:出口かずみ
◾️マティスを旅するの感想
★★★☆
マティスの絵画作品ではなく、手がけた建物とマティスゆかりの地をめぐる写真旅。マティスの入門書としてもいいかもしれない。
読了日:01月13日 著者:
◾️瓜を破る 5 (芳文社コミックス)の感想
★★★★
本巻では、我が道をゆくバリキャリ系のいわゆるおひとり様にも見た目通りでない悩みが。これまで出てきたキャラクターも些細なきっかけで心が揺れ動き、些細なきっかけで立ち直ったりする、その振幅が人生が続いていくということかな、と思わせる輻輳的な描き方がいろいろしっくりくる。
読了日:01月14日 著者:板倉梓
◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (3) (角川コミックス・エース 326-3)の感想
★★★
幼なじみ的な古い友だちと新しい友だちの間の関係の変化を丁寧に描くあたりが引き続き好感。主人公の片思いも、実は進展しつつありながら、本人はそのことにまだ気づけない距離感とかもなかなかいい。
読了日:01月16日 著者:よしだ もろへ
◾️ひと粒のチョコレートに (福音館の単行本)の感想
★★★☆
表紙だけ見るとチョコレートをめぐる何かのお話を絵本にしているのかと思いきや、さにあらず。カカオ豆の食べられ方、チョコレートが今のような食べ物になるための条件、チョコレートの製造方法の変遷などがきちんきちんと描かれた科学教育絵本だった。ここまで詳しく知らなかったので、すごく勉強になった。
読了日:01月18日 著者:佐藤 清隆
◾️おしえて! あむあむさん (世界文化社のワンダー絵本)の感想
★★★
ひつじのあむあむさんはあみもの屋さん。古着が持ち込まれるとほどいて編み直したり、色を染め直してまた編み直したり。ほっこり系の絵本。
読了日:01月22日 著者:間部 香代
◾️青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)の感想
★★★
劇場版で観た時も思ったけど、とにかく地味なエピソード。この場合の思春期症候群は他のヒロインのケースと違って「治る」前後も含めて、程度の差はあれ現実世界でもありそうで、その解決にもアクロバティックな擬似量子力学も必要ないためだろう。現代の若者の中で起こりそうな課題への解決策を淡々と提示していくため物語の起伏もあまりない。涼宮ハルヒフォーマットの新しい形、という表現形のシリーズだけに、物語を継続するには必須の解決課題とはいえ、不思議なことが起こらないと物足りなく感じるのは致し方ないように思う。
読了日:01月26日 著者:鴨志田 一
◾️播磨国妖綺譚 伊佐々王の記の感想
★★★
上田早夕里にしてはほっこりしていた一冊目とは対照的にきな臭い展開に。いろいろオカルト要素てんこ盛りだけど、陰陽師の技術が体系として確立されている感じの設定。那州雪絵の『魔法使いの娘』シリーズに近い描かれ方かもしれない。脳内再生を那州雪絵の画風にすると違和感ないかも。特に鬼や化け物とか。それにしても「おれたちの戦いはこれからだ!」というラストのぶった斬り方が少年マンガっぽい?
読了日:01月27日 著者:上田 早夕里
読書メーター
2023年12月に読んだ本 ― 2024年01月17日 13時42分36秒
12月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:4260
ナイス数:112◾️文学キョーダイ‼の感想
★★★★
普段そんなに接触なく、別々の道に進んでいた姉と弟が同時期にロシア/ソビエトに材をとった本で話題になったというのが家庭内収斂進化?みたいで面白いのだが、対談してみてもお互い丁寧な感じでその不思議な距離感のまま認め合っているのがいい。トルストイ好きのおじいちゃんの話が好きだなあ。一方、今の日本についての歯に衣着せぬ議論は「こういう本がまだちゃんと出版できる」ことのありがたみを感じる(とはいえ対談でも危惧されている通り、現状は悪い方に向かっているが)。
読了日:12月02日 著者:奈倉 有里,逢坂 冬馬
◾️サンタさんは どうやって えんとつを おりるの?の感想
★★★☆
いつもながら不思議な味のある画風で、サンタをめぐる「あの謎」に迫る!? いろいろな仮説が示されるものの…。因みに今回に訳文は関西弁ではない(笑)。
読了日:12月02日 著者:マック・バーネット,ジョン・クラッセン
◾️リトルレッドのクリスマス (創作絵本シリーズ)の感想
★★★☆
友だちのリトルブルーと森にもみの木をとりに行ったリトルレッド。サンタさんとはもともと友だちだったり、魔法っぽいことがナチュラルにできたり、謎が多い。森までの道々、サンタさんのお手伝い、森からの帰り道に起こる出来事が常に想像の斜め上を行くフリーダムな展開で飽きさせない。
読了日:12月02日 著者:セーラ ファーガソン
◾️いなり、こんこん、恋いろは。(1) (角川コミックス・エース)の感想
★★★
単純に電子書籍のセール品のリストで絵がかわいかったので。刊行年を見たら1巻出たのが2011年の作品か。タイトルに聞き覚えがあると思ったら、アニメ化もされていたようだ。ひょんなことから神様の力を分けてもらって他人の姿に変身できるようになった主人公いなりを含め、出てくるキャラクターが、高天原の神々含め、みんなどこかしらポンコツ要素ありなのが微笑ましい。
読了日:12月03日 著者:よしだ もろへ
◾️詩歌川百景 (1) (フラワーコミックス)の感想
★★★★
3巻が出てちょっと経つけど、複雑な人間関係がなかなか頭に入らないので頭から再読。つくづく閉塞感のきつい話だ。子どもは親を選べないし、育つ土地も選べない。前作の主人公と一時は家族だった男の子のひとりが今では更生不能なまでに堕ちてしまっていること、それが今回の主人公にとっては子どもなりに行なった(行なわざるを得なかった)決断とつながっている,というのはなんともやりきれない。善意の連鎖、という印象だった前作と比べると、今作は些細な悪意の連鎖、それとの対峙が主テーマなのかもしれない。
読了日:12月05日 著者:吉田 秋生
◾️いなり、こんこん、恋いろは。(2) (角川コミックス・エース)の感想
★★★
2010年代初頭にしてもいろいろ設定、キャラクターが狙いすぎの感は否めないものの、丁寧な画風、表情などの演出、知らなかった相手と仲良くなっていくプロセスなどがわりあい読ませる。神力の扱いがやや不穏っぽく描かれているのは伏線か?
読了日:12月07日 著者:よしだ もろへ
◾️レストランふろの感想
★★☆
「レストランふろ」の暖簾をくぐったさきには、なんだか美味しそうなお風呂が手を替え品を替え…。ちょっと宮沢賢治の某作のような展開を予想していたんだけど…。うん、まあ、これはこれで(笑)。
読了日:12月08日 著者:麻生 知子
◾️かげきしょうじょ!! 14 (花とゆめコミックススペシャル)の感想
★★★★
まさかの母登場と歌舞伎サイドでの仕組まれた?スキャンダルの波紋がさらさの決断を促す展開。この騒動が後を引きそうな感じのまま、いよいよ文化祭準備へ。101期の後輩の番外編も重めの内容。とはいえ、カタブツっぽい先生の現役時代の必殺技がいい(笑)。
読了日:12月08日 著者:斉木久美子
◾️ペンギンたんけんたい あのひはもうすぐ (講談社の創作絵本)の感想
★★★
いつものごとくカヌーをこいで北極までやってきたペンギンたんけんたい……なんだけど、今回の任務は探検?じゃないような? コンセプトは表紙でわかる通り(笑)。
読了日:12月09日 著者:斉藤 洋,高畠 純
◾️しあわせなモミの木の感想
★★★☆
都会化してやや裕福寄りの住民(窓掃除も自分ではやらない)の街になった中、一軒だけ空き家だった住宅に越してきたおじさんは、荒れていた家を自分で掃除して、捨てられそうになっていたもみの木を引き取ってくる。それから、子どもたちが大きくなるくらいの時間が経ってみると…。ほっこりする絵本で、こんなクリスマスツリーがあるといいな、と思うけど、本当にやろうとすると大変なことになっちゃうかも?
読了日:12月09日 著者:シャーロット ゾロトウ
◾️【小説1巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘1」の感想
★★★☆
シリーズ完結記念らしい電子書籍セールでまず合本版第一部を。地震で本の下敷きで…というのは、自分の住んでいる県で確か実例あったような…。一般にはチートなしの異世界転生もの、と分類されるんだろうけど、古いSFファン的には、現代の知識を使ってサバイバルするこのタイプは『大江戸神仙伝』フォーマットとでも呼びたいところか? とはいえ、衛生状態の悪い文明レベル世界の病弱な子どもに、というのはなかなかハードル高い設定ではある。
読了日:12月12日 著者:香月美夜
◾️愛してるゲームを終わらせたい (5) (サンデーうぇぶり)の感想
★★★☆
ついに3日間限定の恋人トライアル…なんだけど、ふたりともやることがバグってていろいろ斜め上の展開に(笑)。なんというか、本当に付き合いはじめてもおんなじようにお互いに妄想して脱線していきそう(笑)?
読了日:12月13日 著者:堂本 裕貴
◾️【小説2巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘2」の感想
★★★☆
前回、古代文明の記録媒体?再現にことごとく失敗して、ようやく紙の製造にトライ。使う道具から自分たちで作らなくてはいけないのが大変。「紙」の商品価値と引き換えに出資を取り付け、試作品から量産化への道をつけつつ、前世の「おかんアート」のクラフト技術で将来への預金も。今のところ魔術が商人のための用途でしか出てこないのが面白い。主人公の唯一のチートが前世の「技術」に関する「知識」なので、商人とのやりとりも知的財産の交渉そのもの。そのあたりはジャンルは違うけど高田郁『銀ニ貫』『みをつくし料理帖』あたりに通じるかも。
読了日:12月16日 著者:香月美夜
◾️ファイブスター物語 6 (ニュータイプ100%コミックス)の感想
★★★☆
この巻あたりから絵が細密になり、キャラクターも安定感が出てきて読んでいてそういう意味での違和感というか引っ掛かりがなくなって来た。何度目の再読か数えていないが、今の視点で読み直すと、本筋のストーリーはトラフィックスのパートも含めて割と時系列も流れも一本道だったんだな、という印象。後にならないと意味がわからないセリフや設定、カットバックで挟まる未来や過去の断片にシャッフル感を感じた過去に読んだ時とはけっこう印象が変わってきた。あと、キャラクターのモラルもへったくれもないアナーキーぶりもいい。
読了日:12月16日 著者:永野 護
◾️ファイブスター物語 第7巻 (ニュータイプ100%コミックス)の感想
★★★★
MH戦ではブラフォード・京vsアトロポス戦の緊張感、一方、MHを出すタイミングを探り合う中、歩兵を含む地上戦で悪役的なメイユ・スカが戦闘指揮官としてはかなり有能だったり、部下にも慕われていたり、劣勢のAKD側の新兵たちの群像劇などが入り乱れて読み応えあり。このあたりで物語としてのグレードが一気に上がった感がある。ついでながら、各地で戦争が続く今読むと、退却する兵士を憲兵隊が監視する描写などは複雑だ。
読了日:12月17日 著者:永野 護
◾️ファイブスター物語 第8巻 (ニュータイプ100%コミックス)の感想
★★★★
第4話放浪のアトロポス編、超絶変態的な新型から旧型まで続々登場する派手なMH群以外に、現場の兵士たちを双方ともじっくり描くかと思えば、ジョーカーの正体をめぐる挿話もあり、天照の誕生秘話あり、どれだけ詰め込んでるのか。しかも命の水をめぐる攻防戦と考えると完全に敗北で後の魔導大戦のきっかけにもなっていて、今回の大規模戦闘の無意味さが強調される。
読了日:12月17日 著者:永野 護
◾️【小説3巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘3」の感想
★★★★
民間企業の開発の仕事をしていると、会社側としては技術を囲い込んで競合を排除したい、一方で、囲い込みすぎた技術は普及しない。ベンノやギルド長とマインの両方の言い分がまあまあよくわかる。しかし身食いについて伏線はあったとはいえ、そういう展開で来るか!? 第一部完!
読了日:12月22日 著者:香月美夜
◾️みどりいろのつりがねの感想
★★★☆
イワンのかね、というかイワンの畑から掘り出されたかねはよい音を響かせて人々に好かれていたが、尊大な皇帝がかねを我が物にしようとやってきて…。色と形がなんだか銅鐸っぽいかも。まあ、ともあれ、ロシアで皇帝というとこういう人が多いんだろうか…?
読了日:12月22日 著者:オトフリート・プロイスラー
◾️パーマさんは パーマやさん クネクネさんのえほん (日本傑作絵本シリーズ)の感想
★★★☆
クネクネさんのお友だちのパーマさんはタイトル通りのパーマ屋さん。道具を自転車に移動パーマ屋(!)をしている!? のせちゃうパーマがあるから、髪が短くても生えてなくても大丈夫!? それにしてもスイカはどこに!? まさか次の巻?まで持ち越しだったりするのか!?
読了日:12月22日 著者:樋勝 朋巳
◾️【小説4巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い1」の感想
★★★☆
虚弱で幼い兵士の娘から商人見習い、竣工予定の工房の工房長というルートでレベルアップしていたマインが、図書室があるというだけの理由で巫女見習いにルート変更。関わる人が比較的好意的だった平民の環境から、しきたりや人間関係的に悪意が先に立つ神殿の状況が厳しい。ここでもこの世界の常識に穴をあけていく感じで改善活動を進め、仲間を増やし、できることを増やしていく。しかし電子書籍だからボリュームを気にせず読み進めてるけど、一巻一巻が長いな。
読了日:12月26日 著者:香月美夜
◾️【小説5巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い2」の感想
★★★★
古代文明の再現に次々と失敗し、材料探しや道具造りから始まった紙製造が軌道に乗り、インク製造から印刷方法までお手盛りでついに児童書絵本が完成。あと、神殿の図書室が荒らされたことがきっかけで司書っぽい仕事もできたり。ここまでのところ、いい感じにお仕事小説になっているな、と思ったら、いきなりの魔法世界が展開されて一気に転生ものっぽくなった(笑)。やっぱり主人公はチート!? 絵本完成の瞬間とエピローグに二回目頭が…。ここまでで第二部前半。後半の展開が読めないけど、まあ、印刷方法は進展していくんだろうな(笑)。
読了日:12月27日 著者:香月美夜
◾️【小説6巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い3」の感想
★★★★
現代日本で本の下敷きになって、虚弱な女児として衛生状態も悪い平民の家庭に転生した主人公が、現代の知識を元に生活改善と知識の切り売りから製紙産業を興し、印刷産業版『大江戸神仙伝』になるのかと思っていたところで、実は虚弱の原因でもあった魔力がもとで神殿の巫女見習いにジョブチェンジして、身の危険も感じる不穏な展開に。とはいえ、前巻での版画印刷での絵本に続き、今巻ではついに金属活字が…。異世界版プロジェクト・グーテンベルク(この世界では別の意味だが(笑))!? とはいえ、エピローグ最後の一行がいかにも不穏だ。
読了日:12月30日 著者:香月美夜
◾️【小説7巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い4」の感想
★★★★
色インクの開発で女性研究者?ハイディ登場。基礎理論は不明でも使えればいい商業視点と原理を解明したい科学者視点がきちんと描かれているのがいい。基礎研究に理解にあるパトロン、うちにも欲しい(笑)。そんなこんなで印刷業は進展しつつも、前巻の仄めかし通り…というかそれ以上にシビアでハードな展開に。とはいえ、キャラクターの関係性を丹念に描くこの作品で、次のジョブチェンジへの説得力を持たせるには、確かにこのくらいの展開は必要だろう。しかし、部ごとのサブタイトル(読了前に第3部の書名を見ちゃった)がプチネタバレ(笑)?
読了日:12月31日 著者:香月美夜
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