2020年2月に読んだ本2020年03月01日 21時35分02秒

 キース・ロバーツ『Molly Zero』を頭から直し始めたら、誤訳の多さに頭痛くなりながら、本腰入れて修正中。とはいえ、自分の「下訳」があるだけでも、一から訳すよりはだいぶよかろう。あと、1年修行したから誤訳に気づけてる、というのもあるし…
 直しとは別に、第4章も半分以上は進んでて、たまに出てくるロマ語にもだいぶ慣れてきた。
 そんなこんなありつつも、今月はだいぶいろいろ読んだ。ページ数短い本も多いけど(笑)。

2月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:3168
ナイス数:158

「この世界の片隅に」こうの史代 片渕須直 対談集 さらにいくつもの映画のこと◾️「この世界の片隅に」こうの史代 片渕須直 対談集 さらにいくつもの映画のこと感想
★★★★
読みさしだったのを片渕監督のトーク@浜松の行き帰りで読了。一番の驚きは、アニメだけに登場するアレが、次回作を初めから意識してのものだった、という事実。他にも、深読みの材料てんこ盛り。あと、時系列的には、自分のファン歴とだいたい重なるのも感慨深い。
読了日:02月01日 著者:こうの 史代,片渕 須直

空飛び猫 (講談社文庫)◾️空飛び猫 (講談社文庫)感想
★★★
なぜか翼を持っている猫たちが親のもとをはなれて、「いんげん」ならぬ「にんげん」の子どもたちと交流するまでのお話し。
読了日:02月02日 著者:アーシュラ・K. ル・グウィン


夢の猫本屋ができるまで Cat’s Meow Books◾️夢の猫本屋ができるまで Cat’s Meow Books感想
★★★
猫のいる書店、癒やし系猫カフェの本屋版みたいなもの、と思えばさにあらず、店員猫と本屋が互いを助け合う、というコンセプトが、徐々に醸成されて、実現に向けて動いていく様がありありとレポートされる。書店、取次の話や、保護猫をめぐる現状、発端となったビブリオバトルから、クラウドファンディングの話まで、縦横無尽。色々な側面から読める。
読了日:02月07日 著者:井上 理津子,安村 正也

帰ってきた空飛び猫 (講談社文庫)◾️帰ってきた空飛び猫 (講談社文庫)感想
★★★
♪かえぇーってきたぞ、かえぇーってきたぞ…。というタイトルだけど、物語的には「行きて帰りし」というべきか。前作で安住の地を見つけた猫たちが、里帰りして、また戻ってくるまでの冒険譚。かあいいオマケつき。
読了日:02月08日 著者:アーシュラ.K・ル=グウィン

素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち (講談社文庫)◾️素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち (講談社文庫)感想
★★★
今回は、翼は生えてないお坊ちゃん猫、アレキサンダーの迷子から始まる。まとめるなら、前作では兄姉といっしょになれたけど、まだしゃべれるようになってなかった末妹のジェーンが、お話できるようになるまでの物語。それにしても訳注が今までで一番多くて長い、というか、注じゃなくて、ただの猫エッセイだよ(笑)。
読了日:02月09日 著者:アーシュラ・K. ル=グウィン

空を駆けるジェーン◾️空を駆けるジェーン感想
★★★☆
前作で幼少期のトラウマを克服した黒猫ジェーンだが、自立心は兄姉やアレキサンダーより旺盛だった。ということで、隠れ家的な農家を出て都会へ出るが…。散々な目にあっても、街の方が住みやすい、というあたりはちょっと現代っ子っぽい? それにしても、この本だけ装丁が違って、ちょっと小さいのは、ジェーンの自立心のあらわれ!?
読了日:02月09日 著者:アーシュラ・K. ル=グウィン

火の鳥 5 復活・羽衣編 (角川文庫)◾️火の鳥 5 復活・羽衣編 (角川文庫)感想
★★★★★
毎年恒例の手塚治虫を偲ぶ読書。今年は『火の鳥』「復活編」。昨年の「鳳凰編」は再読して、個人的手塚治虫最高傑作と思ったが、勝るとも劣らない本当に、COM版の『火の鳥』は深い。この「復活編」はまた、カットバックという手法のすごさを初めて体感した読書でもあったかもしれない。初読はマンガ少年創刊に合わせての朝日ソノラマからの総集編で、6年生の時にまとめて読んだ。併録の「羽衣編」は未完のCOM版「望郷編」とつながるはずだった掌編なので、いつ読んでもちょっと複雑。ということで、来年は「望郷編」の予定。
読了日:02月09日 著者:手塚 治虫

ミステリと言う勿れ(6) (フラワーコミックスα)◾️ミステリと言う勿れ(6) (フラワーコミックスα)感想
★★★☆
今回はこの巻だけで読める構成、しかもあの彼が大活躍、というか、あっちの話と時系列かぶってて、しかも、これまでの話で点として出てきたキャラが線でつながりはじめた。話そのものとは関係ないけど(いや、あるのか?)、老若男女、キャラの顔、表情の醸す雰囲気が鳥肌モノ。
読了日:02月12日 著者:田村由美
十二月の十日◾️十二月の十日感想
★★★☆
ダメ人間が堕ちてダメになる、ダメな人もそうじゃない人も、脳内ではどうでもいいような妄想をぐるぐる展開してる、ダメがダメになる中、それでも、最後のささやかな善意がそこはかとない希望を残す。ひたすらダメなので読み切るのに覚悟がいる(再読も微妙)感じだけど、いざ読み始めると止まらなくなる不思議な読後感。あと、ページ数の半分くらいはほんのりSF?
読了日:02月15日 著者:ジョージ・ソーンダーズ

真鍋博の植物園と昆虫記 (ちくま文庫)◾️真鍋博の植物園と昆虫記 (ちくま文庫)感想
★★★★
イラストとテキストで簡潔に語られる風刺の痛烈さ。今でもそのまんま通用する風刺の内容に、いつの作品、と思えば、単行本としては1976年、元の連載はその前なのだから、日本の社会、政治は、この50年、同じ風刺が通用する状況下にある(今では悪化している)と思うと、読んでいて暗澹となる。まあ、真鍋博センセイも野球中継はお嫌いだったらしい、というあたりは、ちょっとほっこりした。
読了日:02月15日 著者:真鍋 博

幻魔大戦 Rebirth(11): 少年サンデーコミックス〔スペシャル〕◾️幻魔大戦 Rebirth(11): 少年サンデーコミックス〔スペシャル〕感想
★★★★
スーパー石ノ森大戦、スーパー平井大戦のひろげすぎた風呂敷をどう畳むのか、途中、どこに向かってるんだ、という展開もあったが、その伏線もひと通り回収して、はじめの幻魔大戦をやり直して、その先へ。平井和正が生前完結させた小説版も、最後はシグが敵だったという。新幻魔大戦のファンとしては、あそこから始まった物語の帰着を2020年に読めて感慨深い。それに、これはあの世界から始まったひとつの結末。別の物語の可能性はこれからも開かれてはいるのだろう。
読了日:02月17日 著者:平井和正/石ノ森章太郎/七月鏡一

おはなしして子ちゃん (講談社文庫)◾️おはなしして子ちゃん (講談社文庫)感想
★★★★
学校の怪談が意外な方向に展開する表題作。やはり学園オカルト的な設定が百合バディものに行き着く「ピエタとトランジ」。まがい物の人魚が自己を模索する「アイデンティティ」。ネットとフォークロア「今日の心霊」。遠宇宙SF「美人は気合い」。ウソをめぐる「エイプリル・フール」。強迫観念がエスカレートしていく「逃げろ!」。平凡な主婦の騙り?が意外な方向にエスカレートする「ホーム・パーティーはこれから」。美術展のごあいさつがモチーフの「ハイパーリアリズム点描画派の挑戦」。ケン・リュウを思わせる「ある遅読症患者の手記」。
読了日:02月18日 著者:藤野 可織

かげきしょうじょ!! シーズンゼロ (花とゆめCOMICS)◾️かげきしょうじょ!! シーズンゼロ (花とゆめCOMICS)感想
★★★★
雪組公演『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』観劇前に日比谷の本屋で購入。公演も素晴らしかったが、こちらもなかなか。「オスカル様になります!」と養成学校に入学してきた身長178センチのさらさと、その同期たちの群像劇、その序章。入学後、痩せるために吐き続けて喉を痛めた同期が、エトワール(フィナーレの大階段で最初に歌う娘役)を目指して美声を披露する燃える展開までで雑誌交代。因みに今の雪組はエトワールよりトップ二人の方が歌唱力が高いという謎の?編成で、公演は今回も堪能。
読了日:02月22日 著者:斉木久美子

薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記― (EAST PRESS COMICS)◾️薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記― (EAST PRESS COMICS)感想
★★★★
美内すずえのすこし後にマンガ家の世界に足を踏み入れ、何人ものマンガ家のアシを担当してきた体験談。「はみだしっ子』のアシの話と、「天人唐草」誕生秘話はあまりにも貴重すぎるエピソード。それぞれのマンガ家を、その登場人物に模して描くあたりも楽しい。ところどころ目頭を熱くしながら読んだ。因みに「シュラバ」という言葉はおそらく美内すずえの現場から生まれたと考察されている。そういえば、うちの大学のサークルでも、ある時期からファンジン入稿前の編集末期を「まっき」と呼びならわしていたのを思い出したりもした。
読了日:02月23日 著者:笹生 那実

ひみつのしつもん (単行本)◾️ひみつのしつもん (単行本)感想
★★★★
意表をついて腹筋を崩壊させる危険物(笑)、岸本エッセイの第3段、今回も、ところどころ腹筋が崩壊したので、お家の中でだけ読んで正解(笑)。それにしても、時折「夢十夜」的な味わいが生まれはじめているのが興味深い。
読了日:02月27日 著者:岸本 佐知子

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