2017年8月に読んだ本2017年09月03日 13時19分54秒

 8月も冒頭から北海道出張とか、次の論文の執筆とか、いろいろあって少なめ。
 そういえば、5月に始めたシミルボンでは、初めて「おすすめ連載」に紹介してもらいました。

◆『絵本と出会う週末』
https://shimirubon.jp/series/277

 あと、このblogで連載?した『『双生児』ひみつぶっく』もシミルボンに移植しましたが、物語構造一覧を連載の回が進むごとに増補改訂するようにしたので、blogで既に読まれている方も是非。
https://shimirubon.jp/series/262


 ということで以下は8月に読んだ本。

■『ありがとう、うちを見つけてくれて 「この世界の片隅に」公式ファンブック(アクションコミックス)』 こうの 史代・他 双葉社
読了(2017-08-01) ☆☆☆☆★

 熱い寄稿、インタビュー、対談が続いた後の、ラストに配置された原作者こうの史代先生へのインタビューの内容が努めて冷静で、そこまでの熱量にあてられた後では、一服の清涼剤のように感じられた。
 実はそんなこうの先生からのもう一つのメッセージがあるので、これから読まれる方は、まず、カバーはつけたまま最後まで読み、その後にカバーを外してみることをオススメしたい。

■『ぶどう酒びんのふしぎな旅』 藤城 清治 講談社
読了(2017-08-05) ☆☆☆☆

 アンデルセンの物語の中でも、これは比較的マイナーなものなのではないだろうか。
 ワインのボトルが、あくまでも流されるままにさまざまな遍歴をへる。
 その遍歴は不思議な経過をたどるものの、全体に、さほどドラマチックなことがおこるわけでもない。子供向けというより、人生の哀歓を描いた物語はむしろ大人向けかもしれない。

■『火うちばこ(アンデルセンの絵本)』 ハンス・クリスチャン アンデルセン 小学館
読了(2017-08-05) ☆☆☆

 目がこわい。その目で見ないで! と、思わず言いたくなる絵本である。
 本書はたまたま旅先で立ち寄った図書館の絵本コーナーで見つけたのだが、ある程度の年代の人なら、この物語は、小学館のオールカラー版世界の童話『アンデルセンの絵話』で読んでいるのではなかろうか。
 自分も、表紙で目の大きな犬がお姫様を背中に乗せているのを見て、「あ、あの話だ」と思い出した。目のぎょろっとした3匹の犬が印象的で、子供心にもあの目はこわかった。

■『あとは野となれ大和撫子』 宮内 悠介 KADOKAWA
読了(2017-08-11) ☆☆☆★

 一見大喜利ネタとしか思えないタイトルが、読み進むにつれて重層的な意味を獲得していく。
 あと、文庫化の際は是非森薫さんに表紙を依頼してほしい。

■『僕の恋人がカニ目になってから』 吉田 匠 二玄社(エンスー文庫)
読了(2017-08-15) ☆☆☆

 「カニ目」とは、懐かしのオースチン・ヒーリー・スプライトの愛称。CGライターとして著名な著者のスポーツカー遍歴をまとめた初の単著。
 出版されたのはいわゆる「NAVIオピニオン」華やかなりし頃の二玄社から。古本で買って長年積読だったのを、ふと思い立って読了。
 クルマの話がメインではあるが、今読むと、統合前の欧州の空気感を感じるエッセイとしての読み方もできる。しかし、これが出た時の氏の年齢をとうに自分が追い越していたのは軽くショック。

■『サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福』 ユヴァル・ノア・ハラリ 河出書房新社
読了(2017-08-30) ☆☆☆☆

 ホモ・サピエンスがどうやって地球に君臨するに到ったか、可能な限り特定の価値観、宗教観、政治観に左右されずにロジカルに描くノンフィクション。
 この世界のおよそあらゆる価値観、先入観を、わかりやすい例をあげてひとつひとつつぶしていく。こういった「認識の変革」はSFをよく読む人には一般的だと思うが(なので、納得感はあるが、予想したほどの驚きはなかった)、こういった相対化が広く読まれることには意義があると思う。
 あと、いろいろとケン・リュウ作品との共通点を感じるので、ケン・リュウファンの人には副読本としていいかも。

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