2017年7月に読んだ本2017年08月11日 08時29分54秒

 7月は国内での研究会の講演1件、海外での講演1件で、その準備に追われる日々。その中では、数的にはわりと健闘はした方かも(笑)。まあ、すぐ読める絵本とかが多いけど(笑)。
 あと、5月以降、遅ればせながら書評サイト「シミルボン」にレビュウ、コラムを書くのが楽しくなってしまって、blogにまとめる前にネタを使ってしまうことも(笑)。
 まあ、文章なるべくだぶらないよう多少の工夫はしてます。リンクから該当の本のレビュウも読んでみていただけるとさいわいです。
 それにしても、7/下から8/上まで、2週間で自宅に4日くらししかいなかったというのは前代未聞のハードスケジュールで疲労困憊。あらためて、連日国内外を飛び回ってトークショーやサイン会をこなしながら、BD版のリテイク作業までこなしていたという片渕監督の超人ぶりに舌をまく。

■『オール・クリア(上)』 コニー・ウィリス 早川書房 (ハヤカワ文庫SF)
読了(2017-07-02) ☆☆☆☆
■『オール・クリア(下)』 コニー・ウィリス 早川書房 (ハヤカワ文庫SF)
読了(2017-07-06) ☆☆☆☆★

 上巻クライマックス?の12/29大空襲は、焼夷弾、大火災、少年消防士など、呉空襲との共通点が多いので(概ね、片渕監督のトークで得た知識だが)、『ブラックアウト』から引き続き、臨場感と、地続き感がある。
 奇しくも上巻を読んでいたのが呉空襲のあった7/1-2。しかも、片渕監督がロンドン空襲関連のツイートをTLに流すのをたまに読みながらの読書は、謎の臨場感。
 まさに、このロンドンの片隅に。
 それから、シリーズ通して重要なモチーフとして扱われている演劇『十二夜』と『真面目が肝心』の観劇経験があったのは、このシリーズを読むには基礎知識としてよかった。
 下巻に入ってからの終盤は、全編に散りばめられたピースが次々にカチカチとハマっていく中、最後の最後に、あんな仕掛けがあるとは。すべての登場人物たちに幸あれ。

→シミルボンコラム「このロンドンの片隅に」
https://shimirubon.jp/columns/1683510

■『すばこ』 キム・ファン ほるぷ出版
読了(2017-07-08) ☆☆☆☆

 絵本としてよし、理科(生物学や生態学など)の啓蒙書としてもよし。鳥好きドイツ人のベルレプシュ男爵が自分の領地の森で鳥に来てもらう方法をいろいろと試行錯誤して、ついに、巣箱を考え出す。その巣箱が巣箱が普及していくまでを描くのが主眼の絵本だが、画面の隅々に描かれるさまざまな鳥や巣箱のバリエーションが楽しい。

→シミルボンコラム「知らなかった巣箱の歴史」
https://shimirubon.jp/reviews/1683545

■『はいからさんが通る 新装版』(1) 大和 和紀 講談社(KCデラックス デザート)
読了(2017-07-10) ☆☆☆

 小中学生の頃以来の再読か。内容はけっこう覚えているが、今読むと細かい仕込みやギャグが昔より楽しめるかも。
 新装版の仕様で各巻に対談や解説が付されているが、今回は著者とと山岸凉子先生との深い関係がいろいろ語られる対談がよかった。

■『はいからさんが通る 新装版』(2) 大和 和紀 講談社(KCデラックス デザート)
読了(2017-07-11) ☆☆☆

 内容は覚えているのだが、そういえば2巻ではもう少尉行方不明になってたんだった。現代のマンガと比べるとやっぱり展開早い印象。
 因みに、3、4巻まではすんなり買えたんだけど、5巻以降が通販では品切れが続く。アニメ化の影響というよりヅカの影響らしい(笑)。

■『どこいったん』 ジョン・クラッセン クレヨンハウス
読了(2017-07-15) ☆☆☆☆
■『ちがうねん』 ジョン・クラッセン クレヨンハウス
読了(2017-07-15) ☆☆☆☆
■『みつけてん』 ジョン・クラッセン クレヨンハウス
読了(2017-07-15) ☆☆☆☆

 ぼーよーとした動物たちが「ぼうし」をめぐってあれこれする有様を(翻訳絵本なのに)関西弁で語る異色の三部作絵本。
 何かを独り占めしたいという「物欲」の行き着く先を、教条的ではなく、その結果おこってしまう出来事で淡々と描くのがポイント。三部作の完結編ではじめて「物欲」以外の視点がもちこまれて、ちょっとほっとする。

→シミルボンコラム「なんでやねん」
https://shimirubon.jp/columns/1683676

■『あめのひに』 チェ・ソンオク ブロンズ新社
読了(2017-07-15) ☆☆☆★

 大雨、洪水は子供にとっては非日常の、一種のお祭りだったりするものだが(『パンダコパンダ雨ふりサーカス』とか『崖の上のポニョ』などがそのお祭り性を表現した作品かと思う)、それを素直に表現した秀作絵本。

→シミルボンコラム「こんなあめふりならいいのに」
https://shimirubon.jp/reviews/1683678

■『掟上今日子の裏表紙』 西尾 維新 講談社
読了(2017-07-19) ☆☆☆

 今日子さんが獄中から推理を展開する一編。
 密室殺人の容疑者として収監された状態から探偵活動を成立させるために、これまでのシリーズに登場したキャラクターが影に日なたに奔走する中盤あたりまでは「なるほどこうきたか」という展開が多くて楽しめたのだが、オチはちょっと拍子抜けだったかも。
 とはいえ、記憶喪失探偵を成立させる思考実験、今回もそれなりに楽しみました。

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