2021年9月に読んだ本2021年10月02日 08時20分06秒

 『ゴールデンカムイ』祭りもひと段落。読む本のペースはちょっと落ち着いたか? いろいろ事情あって、だいぶ古い本を読んでみたりも。

9月の読書メーター
読んだ本の数:27
読んだページ数:2653
ナイス数:128

つのぶねのぼうけん◾️つのぶねのぼうけん感想
★★★★
表紙をめくるとまず海図。質問したがりのキツネはひょんなことからシカたちのつのぶえに乗って冒険の旅へ。海図の平面と、角笛から見た風景の対比が楽しい。そして旅はつづく…
読了日:09月03日 著者:ダシュカ・スレイター


ぜったい あけちゃダメッ!◾️ぜったい あけちゃダメッ!感想
★★★
ひたすら、次のページをめくっちゃだめ、と言われ続ける謎絵本。子どもに読み聞かせたらウケる? かな? ラストの作者コメントにもクスリ。
読了日:09月03日 著者:アンディ・リー


ちいちゃな女の子のうた”わたしは生きているさくらんぼ”【新版】◾️ちいちゃな女の子のうた”わたしは生きているさくらんぼ”【新版】感想
★★★★
時に水墨画っぽく見えることもある淡い水彩。たまにリアルに見える女の子の顔の陰影が意味深。わたしはいつもわたし。
読了日:09月03日 著者:デルモア シュワルツ


ぼくはいしころ◾️ぼくはいしころ感想
★★★☆
道ばたに石ころ、それに猫。きみとぼくは同じだね? そんなある日…。ちょっと前に読んだ『うちのねこ』の裏返し?
読了日:09月03日 著者:坂本 千明


あかにんじゃ (えほんのぼうけん)◾️あかにんじゃ (えほんのぼうけん)感想
★★★☆
チャッチャッチャラッ、チャッチャッチャッチャッチャッ、チャッチャッチャラッ、チャッチャッチャッチャッチャッ、チャッチャッチャラッ、チャッチャッチャッチャッチャッ、あ、か、にーんじゃッ!?(タイトルで連想したけど、まさかの!?)
読了日:09月03日 著者:穂村 弘


ちびねこのチュチュと、スプーンのあかちゃん (えほんのぼうけん)◾️ちびねこのチュチュと、スプーンのあかちゃん (えほんのぼうけん)感想
★★★
ちびねこのチュチュがピアノを弾いている? え? スプーンに赤ちゃんが生まれた? スプーンって、子ども生まれるんだ!? 何から何まで斜め上? でもかわいい。絵のタッチはほんのちょっと、リサとガスパールを思わせる、かな?
読了日:09月03日 著者:二宮 由紀子


シャーロック・ホームズの思い出 (河出文庫)◾️シャーロック・ホームズの思い出 (河出文庫)感想
★★★
ハードカバーの全集版で読んだが、読書メーターに登録のない本のようなので同じ出版社、訳者の文庫版で登録。推奨順にホームズ読んでいくトライの4冊目。先入観抜きの感想として、先の短編集『〜冒険』の粒ぞろいぶりと比べて、ミステリ、もしくは短編としての構成に読んでいてやや?なものが散見されつつ、唐突なモリアーティ教授の出現とラストにびっくり。作者がよほどホームズものをもう書きたくなかったことがにじみ出ていると感じた。あと、オックスフォード版の原注はそれなりに興味深かったものの、解説と付録は正直読むのが苦痛だった。
読了日:09月06日 著者:アーサー・コナン ドイル


貝に続く場所にて◾️貝に続く場所にて感想
★★★☆
メッタ斬りイチオシの通り受賞した芥川賞作品。芥川賞つながりでは、『百年泥』のように時間が混濁する物語だが、カオスであっけらかんとして突き抜けた『百年泥』と比べると、構成される要素がパズルのピースのように丁寧に組み上げられて時間、土地、太陽系の運行のイメージでまとめ上げられている。「痛みを体験し損なった」という立ち位置(わかる部分あり)は、ちょうど放映中の朝ドラ『おかえりモネ 』と近いところもあり、そういう視点で語るものが出始めるまでには時間が必要だったのだろうという思いが残る。
読了日:09月10日 著者:石沢 麻依


生きのびるために (外国の読みものシリーズ)◾️生きのびるために (外国の読みものシリーズ)感想
★★★★
アニメ『ブレッドウィナー』の原作。この本の取材が1997年、1999年、原著の出版が2000年、911をはさんで翻訳出版が2002年。そうしてまた、2021年、タリバンの支配が戻ってきた。本書に書かれたのと同じような出来事がまたしても現在進行形である、ということに言葉もない。
読了日:09月12日 著者:デボラ エリス


ルッキオとフリフリ おやしきへいく (講談社の創作絵本)◾️ルッキオとフリフリ おやしきへいく (講談社の創作絵本)感想
★★★
一作目で「どこかのおやしきに」と言ってたのは妄想じゃなかった!? ちゃんと募集と面接がある!? おやじっぽいコンビだけど、にんげんさんの目から見ると…!? ともあれ、おやしきのごちそうにはありつけたので結果オーライ!?
読了日:09月12日 著者:庄野 ナホコ
もりのゆうびんきょく (もりはおもしろランド( 1))◾️もりのゆうびんきょく (もりはおもしろランド( 1))感想
★★★
はりねずみさんの営む森の郵便局。なんというか、童謡のようなお話。なんと、いろいろなお店のシリーズがたくさん出ている! この一冊目は1977年が第一刷とのことだが、知らなかったなあ…
読了日:09月14日 著者:舟崎 靖子


文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室◾️文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室感想
★★★★☆
小説を書くための講座の運営から編み出された合評式の小説教室を例文、例題を示しながら解説することで、結果的に分析的文学論にもなっている。合評会をしないにしてもこの例題は物書きを目指す人の役に大いに立つだろうし、訳者の方も書かれているが、基本「英語の小説」の構造を解き明かす内容でもあるので、翻訳をしようと思っている人にも役に立つだろう。実際、構成のやたら入り組んだ二人称小説を訳しながら気がついたことのほとんどは既にここに書かれていた(汗)。文学論としても面白いので物書きや翻訳を志さない人も面白く読めると思う。
読了日:09月15日 著者:アーシュラ・K・ル=グウィン


10かいだての まほうつかいの おしろ (PHPわたしのえほん)◾️10かいだての まほうつかいの おしろ (PHPわたしのえほん)感想
★★★
まほうつかいになりたい女の子、クロネコに誘われてお城を1階ずつ登っていくうちに…。本の中で女の子が選ぶものがちまちまと描き込まれていて、女の子が選ばなかったものを選んだら?という空想を楽しめる作り。これは可愛い楽しい。
読了日:09月15日 著者:のはな はるか


リックのおへや◾️リックのおへや感想
★★★
カンガルーのリック、友だちのこぐま、うさぎ、ことりの部屋に遊びに行って、それぞれに感嘆。でもお家に帰れば…。絵もおはなしもほんわか。
読了日:09月15日 著者:どい かや
もりのおとぶくろ◾️もりのおとぶくろ感想
★★★
4羽のきょうだいうさぎ、足を怪我したおばあちゃんを元気にするために、「もりのおと」を取りに森への旅に。森にあふれる音をどうやって持ち帰るのか!? 「おとぶくろ」って一体なに? かあいらしいおはなしだけど、子うさぎたちの目はちょっと怖いかも?
読了日:09月15日 著者:わたり むつこ


マーシャと白い鳥 (世界のお話傑作選)◾️マーシャと白い鳥 (世界のお話傑作選)感想
★★★☆
ロシアに昔から伝わる民話。再話した人によってちょっとづつ違うのは民話品質? さらわれた弟を追って往路で出会ったものたちが帰途で…という構成は、これも民話の一つの類型かもしれない。前に読んだカルヴィーノが再話したイタリア民話にも同様に類型があったような…
読了日:09月15日 著者:ミハイル ブラートフ,出久根 育


おじいちゃんがおばけになったわけ◾️おじいちゃんがおばけになったわけ感想
★★★☆
道で突然倒れて亡くなったおじいちゃん。おばけになって孫のエリックの前に現れる。ふたりはおじいちゃんがおばけになった理由を探し始めるけど…。淡い色鉛筆のタッチで淡々と描かれる静かな物語。
読了日:09月16日 著者:キム・フォップス オーカソン


メンタル・フィメール (ハヤカワ文庫JA)◾️メンタル・フィメール (ハヤカワ文庫JA)感想
★★★★
ふと思い立ってちょうど30年前(1991年文庫化)の本を。帯コピーの「東京は、恋をする。」に象徴されるように、都市=ネットワークの意識と少女性をモチーフにした点で、個々には独立した短編の集成でありながら、全体を通して統一感のあるイメージが浮かび上がるのは流石に1980年代後半の大原まり子ならでは。解説にあるように、ムーブメントとは独立して勝手に成立していたサイバーパンクでもあり。ただ、今読んでも古びていない。しかし中小企業がネット会議で下世話な相談してる、なんてシチュエーションはむしろ「今」だよね(笑)。
読了日:09月19日 著者:大原 まり子


石の刻シティ (徳間文庫)◾️石の刻シティ (徳間文庫)感想
★★★★
こちらは1992年文庫化の大原まり子短編集。あとがきにある通り、5編の短編はまさに「五つの世界」。最後の「ハコダテ……」がやや毛色が異なるものの、徹底して無道徳で暴力的な世界が万華鏡のように提示される。これもまた、個々には独立していながら短編集のトーンが一貫しており、個々の短編以上のヴィジョンを示す名短編集。
読了日:09月20日 著者:大原 まり子


綱渡りの男 (FOR YOU 絵本コレクション「Y.A.」)◾️綱渡りの男 (FOR YOU 絵本コレクション「Y.A.」)感想
★★★☆
建設中のツインタワーに忍びこみ、友人の協力で鋼鉄にロープを屋上間に渡し、そこで綱渡り。曲芸師本人もさることながら、見守るモブの描き方がいい。絵本らしい仕掛けもあり、ツインタワーの高さを実物を見上げるかのように感じさせる。実際、クライマックスのページでは高いところから下を見下ろした時の怖い感じが背筋を走った。今はもうないツインタワーの思い出として捧げられた一冊。
読了日:09月24日 著者:モーディカイ・ガースティン


ぼくはうさぎ◾️ぼくはうさぎ感想
★★★☆
飼い主のさえちゃんのお友だちが自分を見て「いぬ」と呼んだのを耳にしたうさぎ。さえちゃんをうそつきにしないよう、いぬになるための勉強をはじめるが…。うさぎの脳内妄想? のエスカレートぶりが読者を裏切り続ける楽しい絵本。
読了日:09月25日 著者:山下 哲


パンダツアー (コドモエのえほん)◾️パンダツアー (コドモエのえほん)感想
★★★
観光バスに乗りこんだパンダのツアー客が8カ所の観光場所をめぐる。ちまちまと描き込まれた観光場所のあれこれ、ツアーのお客さんたちのリアクションの数々が楽しい。キャラクター多数、見るものも多数、どこになにがあるか探すのが楽しい。
読了日:09月25日 著者:のはな はるか


山はしっている◾️山はしっている感想
★★★★
山の一日を夜明けからゆったりと見守り、次の夜明けで幕を閉じる静かな佇まいの絵本。ざっくりしたタッチで描かれる動物たち、鳥たちが、それぞれシンプルながらそれぞれの特徴がわかり、可愛らしくもちょっとリアル。あ、地味に獲物を狙うクズリが出てくるけど、どういう生態の動物かは『ゴールデンカムイ』参照(笑)。舞台は北米大陸の北の方のようだが、著者は御二方ともイギリス在住とか。
読了日:09月25日 著者:リビー ウォルデン


海竜めざめる (ハヤカワ文庫 SF 264)◾️海竜めざめる (ハヤカワ文庫 SF 264)感想
★★★★
ある日から地球の深海部を狙って次々と落下してきた火球。それから始まる海難事故と、上陸して人を襲う謎の戦車と触手生物、さらに始まる海面上昇…。当時としても奇抜さや新しさはたぶんさほど感じられない、描かれた当時の現代を舞台にしたリアルなパニック小説だったと思うのだが、危機を前にした個人、国家、政治、経済などなどの混乱をシミュレートする地味な描写に徹していることで、古びにくい普遍性を持っている。敵の正体も対策もない中、社会が徐々に崩れていく有様は2021年の今読むとちょっと身につまされるくらいにリアルだ。
読了日:09月25日 著者:ジョン・ウィンダム


もりのおかしやさん (もりはおもしろランド( 2))◾️もりのおかしやさん (もりはおもしろランド( 2))感想
★★★
シリーズ2冊目。表紙見返しの地図は一冊目と同じで、今回はゆうびんやさんのそばのいたちのおかしやさんにスポットが当たる。森の仲間の誕生日に、そっくりのケーキを作ってくれるおかしやさん。そんなある日、謎のケーキ依頼が舞い込むが…?
読了日:09月27日 著者:舟崎 靖子


おばけと友だちになる方法 (世界傑作絵本シリーズ)◾️おばけと友だちになる方法 (世界傑作絵本シリーズ)感想
★★★☆
タイトル通りの絵本。おばけと友だちになる方法を初めからおしまいまで丁寧に教えてくれる。最後まで読むとちょっとほろっとする。
読了日:09月29日 著者:レベッカ・グリーン


きょうはそらにまるいつき◾️きょうはそらにまるいつき感想
★★★☆
空に丸い月の出ているある日、街の人びと、森の動物たちはその頃何を? ほぼ同じ時間帯にあちこちで起こる出来事を素描していく絵本の流れに、ジム・ジャームッシュ『ミステリー・トレイン』『ナイト・オン・アース』あたりをちょっと連想した。
読了日:09月29日 著者:荒井 良二

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