2021年10月に読んだ本2021年11月01日 13時08分47秒

 引き続き絵本多め。せっかく買ってる新刊が今ひとつ読み進められてない(笑)。ラファティも異常論文も買ってはいるんだけど…
 一方、このところ進めている発掘読書はわりと満足度高し。大原まり子あたりは、今回の短編集あたりはちょっとラファティっぽくもあり…

10月の読書メーター
読んだ本の数:31
読んだページ数:3546
ナイス数:116

アフター・ロンドン 下◾️アフター・ロンドン 下感想
★★★☆
未訳だったリチャード・ジェフリーズのポスト・アポカリプス小説がついに完訳。小競り合いレベルの戦争を続ける小国たち、湖水に沈み、汚染に満ちたかつての首都ロンドン、主人公が行き着いた先では、羊飼いたちと野盗まがいのジプシーの小競り合い。そんな中、書物で身につけた地勢を読む力、実践経験はなかったが鍛えられた弓矢の腕前で徐々に盟主への道をたどる主人公…。小説より自然史の方が評価の高かった著者らしく、荒廃したイングランドの情景描写がいい。ジェフリーズの経歴をつぶさに紹介してくれる訳者解説と表紙イラストもいい。
読了日:10月02日 著者:リチャード・ジェフリーズ


めがねがなくてもちゃんとみえてるもん!◾️めがねがなくてもちゃんとみえてるもん!感想
★★★
いやいや期?の女の子にメガネをかけさせるまでのプロセスを丹念に描いた絵本。よく見えるようになってよかったね。
読了日:10月03日 著者:エリック バークレー


ねこさんびき◾️ねこさんびき感想
★★★
表紙にある通りの猫三匹。木の枝の下は水面。魚が食べたい、と、まず一匹が飛び込んで…。まさかのオチがつく一冊。説明もセリフもなく絵だけで見せるのが上手い。
読了日:10月03日 著者:アン ブルイヤール


ねずみのよめいり ~インドにつたわるおはなし (世界のむかしのおはなし)◾️ねずみのよめいり ~インドにつたわるおはなし (世界のむかしのおはなし)感想
★★★☆
キーワード「ねずみのよめいり」で検索すると出るわ出るわ…。それだけ有名な昔話だが、なんと原型はインドだという。その原型のお話をかわいらしい絵本に。インドに仙人がねずみの娘を助けるところから始まり、そこでのタカと仙人の食物連鎖っぽい会話がなかなか味がある。
読了日:10月03日 著者:田中 尚人


どうぶつたちのあきのおたのしみって?◾️どうぶつたちのあきのおたのしみって?感想
★★★
擬音、オノマトペが満載で読み聞かせに合いそうな絵本。翻訳ものだけど、原文が併記してあるともっと楽しかったかも? 点目の動物たちがとにかくかあいい。
読了日:10月03日 著者:アン・ウィットフォード・ポール


もりのじてんしゃやさん (もりはおもしろランド( 3))◾️もりのじてんしゃやさん (もりはおもしろランド( 3))感想
>シリーズ3冊目はじてんしゃやさん。動物たちの身体に合わせていろんな形の自転車を作っているのが紹介されるけど、「そうです」って種明かしされても、ちっともわかんないよ(笑)。あと、ホットケーキ重要。
読了日:10月03日 著者:舟崎 靖子


しおちゃんとこしょうちゃん (こどものとも絵本)◾️しおちゃんとこしょうちゃん (こどものとも絵本)感想
★★★
いつもいっしょの双子の子猫、しおちゃんとこしょうちゃんの小冒険。いつもいっしょの二匹にも自我の芽生え? ちょっとした対抗心?で家のそばの高い木に競って登り始めるが…
読了日:10月03日 著者:ルース・エインズワース


チリとチリリうみのおはなし◾️チリとチリリうみのおはなし感想
★★★
なかよく自転車をこぐチリとチリリ。ふと見つけた洞くつに入ってみると、出た先はなぜか海の中。楽しくお菓子を食べて、ショーを観劇して、最後はおみやげまで。玉手箱を渡されたり、はしないので安心?
読了日:10月03日 著者:どい かや


チリとチリリ まちのおはなし◾️チリとチリリ まちのおはなし感想
★★★
シリーズ第3弾。今度はチリチリリと町へお出かけ。行く先々で糸を買ったり、その糸でマフラーを編んでもらったり…。その先は…、いや、これはちょっと予想できなかった。
読了日:10月05日 著者:どい かや


オオカミ県◾️オオカミ県感想
★★★☆
都会から下に見られているらしいが、その県なくしては兎の住む都会も…という側面も持つオオカミ県。そんなある日、都会に出ていたオオカミが耳にした地元に関する噂は…。ある意味、わかりやすすぎるメタファーではあるが、淡々とした語り口とおどろおどろしい銅版画の絵が、えもいわれぬ味わいを醸し出す。
読了日:10月06日 著者:多和田葉子


ファイブスター物語 16 (ニュータイプ100%コミックス)◾️ファイブスター物語 16 (ニュータイプ100%コミックス)感想
★★★★
14巻が久しぶりの大規模決戦、15巻がトラフィックス、ときて、巻ごとに各要素の決算に入りつつある印象だったが、今巻は背景設定の神々の絡む要素の総決算っぽくて、過去登場したものの正体がこれでもかと種明かしされる。しかし、突然のGTM世界、実は作者の心変わりとかじゃなくて、ちゃんと理由あったのか(笑)(順番が逆です(笑))。まあ、未来の話は既に描かれていることもあり、どこで終わっても大丈夫な構成なんだけど、トラフィックスの決着まではなんとかマンガで読みたいかな。
読了日:10月09日 著者:永野 護


ファイブスター物語 1(1998 edition) (ニュータイプ100%コミックス)◾️ファイブスター物語 1(1998 edition) (ニュータイプ100%コミックス)感想
★★
16巻がほぼ全編対象の記憶力を問われるみたいな種明かしの嵐だったので、いろいろ確認したく頭から(1998 Editionにて)しかし、絵にしても展開にしても(信者的な方々には申し訳ないが)3巻くらいまでは再読の都度、ちときつい…(たぶん、エルガイムへのリアルタイム放映時の思い入れの度合いによると思うのだが…)。まあ、今なら、GTMリセット(笑)と同じようなものと思えば…? ともあれ、16巻の帯にある「黄金の電気騎士」に感慨を覚えた方は多かろう。
読了日:10月09日 著者:永野 護


ファイブスター物語 第2巻 2005EDITION (ニュータイプ100%コミックス)◾️ファイブスター物語 第2巻 2005EDITION (ニュータイプ100%コミックス)感想
★★☆
なるほど、1巻はむしろお姫様の御伽話だからあの内容、ということか? 2巻に入ると荒削りながら前線の兵士、兵站の描き方とか後の長所が出てきている。各国の設定、キャラクター、あと16巻の種明かしの肝も既に仕込まれている。あと、謎の42番目(笑)の話、こんな前に出てたんだっけ? 意味不明だよ(笑)!
読了日:10月10日 著者:永野 護


ファイブスター物語 3 (ニュータイプ100%コミックス)◾️ファイブスター物語 3 (ニュータイプ100%コミックス)感想
★★☆
MH祭りの巻。初読でも思ったが、今読んでもたった二人の私怨が物語の趨勢を左右しているのは、全体のスケール感と比べるとやや矮小化に感じなくもない。ラストで1000年ほど時空を越える恩讐にはなってるけど…。一方、天照とラキシスの関係性、という意味では、この3巻のあのくだりと、16巻のラスト付近の天照の独白を比較するといろいろと意味深。あと、ほんの数ページ語られるキャラクターの行動が先のアレとかアレとかにつながる、という仕込の多さよ…。
読了日:10月10日 著者:永野 護


バスカヴィル家の犬 (河出文庫)◾️バスカヴィル家の犬 (河出文庫)感想
★★★★
これも全集版は書誌がないので文庫版にて。初期長編二作が英国以外での因縁によるグローバルな背景設定なのと比べると、英国のとある地域の古い一族の因縁がベースになっていて、ちょっと金田一耕助ものを連想させる。物語構成も緩急があり、ワトスンの語りにもバリエーションが施されていて、なるほど最高傑作とされることが多い、というのも納得。とはいえ、解説で作品執筆時のあれこれが明かされるのは事実とはいえやや興醒め要素。加えてドイルの執筆動機をフロイト的に解釈されるのは流石にやり過ぎ感あり。作品だけを楽しめる版で読む方が吉?
読了日:10月14日 著者:アーサー・コナン ドイル


吉祥寺少年歌劇 (フィールコミックス)◾️吉祥寺少年歌劇 (フィールコミックス)感想
★★★★
ふとTwitterに流れてきた冒頭4ページ。たまたま書店に行ったら元雪組トップ娘役真彩希帆さん推薦! の文字を帯に見て衝動買い。期待以上。宝塚を逆転させ、全ての配役を男性が演じる吉祥寺少年歌劇(西の歌劇団、と存在は触れられているので、宝塚もあるという設定らしい)。男役に憧れたが娘役に適性のあった主人公がトップを目指す、その同期生たちの群像劇。アプローチが異なるものの、『かげきしょうじょ!!』が100巻かけて描く(かもしれない)要素を一冊に凝縮したような作品。歌劇ファンにも、そうでない人にも。
読了日:10月14日 著者:町田粥


もりのはいしゃさん (もりはおもしろランド( 4))◾️もりのはいしゃさん (もりはおもしろランド( 4))感想
★★★
シリーズ第4弾はもりのはいしゃさん。地図には1巻から載っていたけど、本書に説明によるとこの森には新しく開業したとか。1巻の主役だったはりねずみのゆうびんやさんが患者として診察を受けるのだけど…。今回も意外な展開が…。
読了日:10月15日 著者:舟崎 靖子


わたしが外人だったころ (たくさんのふしぎ傑作集)◾️わたしが外人だったころ (たくさんのふしぎ傑作集)感想
★★★★☆
ちょっと不思議なタイトル。読み始めると納得。日米開戦前に渡米していた筆者の視点で見たいろいろなことが語られる。佐々木マキの柔らかなタッチの絵とともに、それなりに思い体験談がたんたんと語られていく。国と人間の関係をニュートラルに語る一冊。
読了日:10月15日 著者:鶴見 俊輔


きみはたいせつ◾️きみはたいせつ感想
★★★
ざっくりした彩色、ざっくりした切り絵、貼り絵っぽい手法で描くミクロの世界からマクロの世界、中生代から現代までのいろいろなこと「きみ」の物語。
読了日:10月15日 著者:クリスチャン・ロビンソン


亡命ロシア料理◾️亡命ロシア料理感想
★★★★
原著は1987年刊、とのことなので、ソヴィエト時代にリアル亡命をした著者二人が、東西両方への文明批評をチクリ入れつつ、ロシア料理から、亡命した後に親しみつつある料理まで縦横無尽に美味しそうに作って語る。原文も言葉遊び多そうだけど、その意を汲みとった軽妙な訳文もいい。日本で言えば伊丹十三の料理の本をちょっと連想させる。国内では冷戦後の1996年に初訳、2014年にこの新装版。長く残って欲しい名著。
読了日:10月17日 著者:ピョートル ワイリ,アレクサンドル ゲニス


むかし むかし ある ところに 子ヤギが (評論社の児童図書館・絵本の部屋)◾️むかし むかし ある ところに 子ヤギが (評論社の児童図書館・絵本の部屋)感想
★★★☆
子どものいないおうさまとおうひさま。ようせいさんに「子どもがほしい」とお願いしたところ、約束の日にやってきたのは一匹の子ヤギ…。子育て経験もないおうさまおうひさまだけど、一緒に暮らすうちに…。意外なオチが微笑ましい。
読了日:10月17日 著者:ダン・リチャーズ


コウテイペンギン◾️コウテイペンギン感想
★★★☆
ちょっと墨絵を思わせるタッチの素朴感のある絵で描かれるコウテイペンギンの子育て。白と黒と背景の青灰色、ワンポイントの黄色がいい味出している。原題のPenguin’s Wayが絵本のコンセプトをよく表している(ので、和訳タイトルより大きく入っているのは正解)。
読了日:10月17日 著者:ヨハンナ ジョンストン


かぼちゃごよみ◾️かぼちゃごよみ感想
★★★☆
ちまちまと、ちょっと懐かしく、ちょっと不穏な絵で綴る12ヶ月。絵単独でも不穏だけど、それぞれに付された谷川俊太郎の音韻を踏んだ詩がまた不穏。不穏尽くしの一品。
読了日:10月17日 著者:


たばこの本棚―5つの短篇と20の随想 (1984年)◾️たばこの本棚―5つの短篇と20の随想 (1984年)感想
★★★★☆
開高健がたばこにまつわる随筆と短編をセレクトしたアンソロジー。そうそうたる面々の薫りたつ煙のような文章を燻らす心持ち。出版された1984年なら、自分の周囲でも年長の人たちはこんなふうに煙だらけの生活を送っていたのを思い出す。今では、咥えタバコの自転車が帰途に横を通り過ぎてもイヤなものだが、失われた煙の文化を偲ぶよすがに…
読了日:10月18日 著者:


しょうてんがいくん◾️しょうてんがいくん感想
★★★
ちまちまと描き込まれた不思議な街とその住民たち。その不思議すぎるビジュアルはどこから突っ込んでいいのか…(笑)。全編遊べる楽しい絵本。間違い探しが五つのうち三つしかわからなかった…(笑)。
読了日:10月18日 著者:大串 ゆうじ


おおかみとしちひきのこやぎ (ひきだしのなかの名作)◾️おおかみとしちひきのこやぎ (ひきだしのなかの名作)感想
★★★
「ひきだしのなかの名作」全12冊の中の1冊。お話はあえて原著に忠実に、というコンセプト。絵が不思議なタッチだけど、ウッドバーニングという版画の手法らしい。
読了日:10月18日 著者:末吉 暁子


深海の宇宙怪物 (SFこども図書館 3)◾️深海の宇宙怪物 (SFこども図書館 3)感想
★★★☆
先日読んだハヤカワSF文庫『海竜めざめる』と比べ、ストーリーの要所は全部押さえつつぐっと短く児童向けにリライトする技に感じ入る。翻訳は斉藤伯好氏。読んだのはとてつもなく前に古本で購入してあった<エスエフ>世界の名作の3巻目で昭和43年第4刷。長新太氏の豊富なイラストがいい味出してる。ハヤカワ版の星新一訳と、このイラストが、後にボクラノSF版でドッキングしている。
読了日:10月22日 著者:ジョン・ウィンダム


“柊の僧兵”記 (徳間デュアル文庫)◾️“柊の僧兵”記 (徳間デュアル文庫)感想
★★★☆
デュアル文庫版ではなく、初刊のソノラマ文庫版1990/06/30刊にて。加藤・後藤の流麗なイラストがあの時代を感じさせる。内容は繊細な独自生態系をもつファンタジー世界っぽく始まりつつ、序盤からその世界をテラフォーミングしてきた異星人の襲来があり、一気にSFに。今の視点だと、とにかくキャラもモブキャラもよく死ぬ。展開速い。ラノベなら全10巻くらいになりそうな要素がてんこ盛り。設定、心理描写に先が読めてしまう甘さはあるものの、今でも古びてはおらず楽しめる。
読了日:10月24日 著者:菅 浩江


電視される都市 (双葉文庫―電脳都市シリーズ)◾️電視される都市 (双葉文庫―電脳都市シリーズ)感想
★★★★
双葉ノベルズ版にて。ラストの2編が同じ出来事を異なる視点で描いている他は、同じ世界の出来事なのかどうかわからない雑多な連作。書誌ではラストの「景色」が最初に書かれ、その後、<電脳都市>シリーズとして書き継がれたことがわかる。1987年から1988年にかけて雑誌掲載、同年の出版なので和製サイバーパンクを意識した一冊になっているのだろうが、「景色」に描かれるネットワークの姿は意外と現代のSNSにも通じるものがある。作中の用語で古びたかな、と思えるのは「電話」「電話回線」くらいで、今読んでも十分通じる想像力。
読了日:10月27日 著者:大原 まり子


ベサニーと屋根裏の秘密◾️ベサニーと屋根裏の秘密感想
★★★☆
正体不明のビーストに好きなものを食べさせる代わりに、もらえる不老薬やお金で好き勝手に生きてきた512歳のエベニーザー。人間の子どもが食べたい、という願いには流石に抵抗があり、児童養護施設からいちばん手のつけられない悪ガキ少女べサニーを連れてくるのだが…。一寸の虫にも五分の魂…というか罪悪感? どうしようもないもの同士のエベニーザーとべサニーの関係がやがて…。2020年に書かれて即訳されたのは、これから力入れていくのか? 確かに、ラストの伏線がいくらでも続けられそうだ。
読了日:10月31日 著者:ジャック メギット フィリップス


そらから おちてきてん◾️そらから おちてきてん感想
★★★☆
ジョン・クラッセンのちょっとシュールな絵本を絶妙の大阪弁で訳した『ぼうし』シリーズ(『どこいったん』『ちがうねん』『みつけてん』)の名コンビ(?)によるまたまたシュールで大阪弁がいい味出してる一冊。ろくな説明もなくシュールなやりとりが交わされるけど、落ちてくる岩? その後に空想されるものなど、シュールでありつつ、ほんのりSF風味?
読了日:10月31日 著者:ジョン・クラッセン



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