2021年3月に読んだ本2021年04月01日 19時38分42秒

 冊数は多いけど、マンガと絵本比率の高い月。『かげきしょうじょ!!』は燃える。『旅の絵本』は何度読んでも楽しめる。

3月の読書メーター
読んだ本の数:33
読んだページ数:4331
ナイス数:144

かげきしょうじょ!! 1 (花とゆめコミックス)◾️かげきしょうじょ!! 1 (花とゆめコミックス)感想
★★★★
ゼロだけ紙の本で買って、大いに感銘を受けていたのだが(笑)、断片的に読んでいた連載分はもうコミックス10冊! 流石にまとめ買いしても置き場がないので電子書籍を狙っていたのだが、ほどよく、半額分のポイント還元セールがあったのでまとめ買い。リスタートの1巻目では、物語の展開とリンクさせて「歌劇団」の裏方仕事を紹介するのが上手い! 宝塚を知らない人も、読んでいるうちに基礎知識が身につく親切設計。しかも、ゼロから引き続き、キャラクターと物語の熱量は高め。
読了日:03月04日 著者:斉木久美子


かげきしょうじょ!! 2 (花とゆめコミックススペシャル)◾️かげきしょうじょ!! 2 (花とゆめコミックススペシャル)感想
★★★★
ゼロでもそういう要素はあったと思うんだけど、おそらく本作のテーマは挫折からの再生なんだろうなあ、という感じがする。女は歌舞伎役者になれない、男性恐怖症で役柄に徹し切れなかった元アイドル、最大の長所の歌声を見失って拒食症、などなど。本巻では、幼い頃のちょっとした嫉妬心の結果と向き合ってそれを乗り越えていく幼なじみ二人の関係がいい。
読了日:03月04日 著者:斉木久美子


かげきしょうじょ!! 3 (花とゆめコミックススペシャル)◾️かげきしょうじょ!! 3 (花とゆめコミックススペシャル)感想
★★★★
現役トップにも憧れられる専科にして理事! もうあの方のこととしか(笑)。今巻も、物語の展開と宝塚初心者への入門的紹介が散りばめられつつ、それに絡めて、それぞれのキャラクターの過去のわだかまりが抉り出され、それぞれに乗り越えられていく。
読了日:03月05日 著者:斉木久美子


ゆきがふる◾️ゆきがふる感想
★★★
しんしんと雪の降る日、うさぎの男の子ががソリを引いて森の中に歩いていく。その先にいるのは…。え? え? え? という方に話が転がっていく。ほっこり、ほんわかしてもおかしくない物語なのに、ページをめくっていてちょっと胸がドキドキした。
読了日:03月05日 著者:蜂飼 耳


お探し物は図書室まで◾️お探し物は図書室まで感想
★★★
小学校に併設されたコミュニティセンターの中の小さな図書室でベイマックスのような司書さんが本来の選書におまけで選んでくれる一冊の本と、付録にくれる趣味の羊毛フェルトマスコットが、借りた人の背中をそっと押してくれるハートフルストーリー。登場人物の意外なつながりが作り込みすぎにも思えるけど、ほっこり読める。いや、『21エモン』はいいよねえ。
読了日:03月06日 著者:青山美智子


かげきしょうじょ!! 4 (花とゆめコミックススペシャル)◾️かげきしょうじょ!! 4 (花とゆめコミックススペシャル)感想
★★★★
10年に一度の&100周年の大運動会! 見守る元トップ(戦中を生き抜いた)のモデルはおそらくあの伝説の…。さらさが以前完コピした男役がかわいいもの好きで娘役志望だった、という設定は2巻でも出てきたけど、その詳細が語られる番外編も切ない。因みに、この世界では歌劇団が『ファントム』ではなくて『オペラ座の怪人』を上演しているという設定で、それが番外編の肝でもある。
読了日:03月06日 著者:斉木久美子


かげきしょうじょ!! 5 (花とゆめコミックススペシャル)◾️かげきしょうじょ!! 5 (花とゆめコミックススペシャル)感想
★★★★
運動会の次は文化祭! 本来はコーラスだけの予科生が、今回はロミジュリの寸劇も演じることになり、演じる4人を40人から選抜するためのオーディションが計画される。番外編は、腹黒キャラの本科生の高校時代のエピソード。登場するキャラクターそれぞれに「人生」がしっかり感じられるのも本作のポイント。
読了日:03月06日 著者:斉木久美子


かげきしょうじょ!! 6 (花とゆめコミックススペシャル)◾️かげきしょうじょ!! 6 (花とゆめコミックススペシャル)感想
★★★★
ロミジュリのオーディションで、表現を模索する予科生たちが、それぞれの経験の中から何かを掴み取り、ささやかながら昇華させていく。とりわけ、表紙の二人、彩子とさらさ、成績下位の二人が、それぞれの持ち味を最大限出し切った演技に思わず目頭が…。
読了日:03月06日 著者:斉木久美子


旅の絵本 (安野光雅の絵本)◾️旅の絵本 (安野光雅の絵本)感想
★★★★
教文館での原画展を見たり、ちょこちょこ立ち読みくらいはしていたけど、実はちゃんと目を通したことなかった『旅の絵本』。船を漕いで、とある欧州の街にたどり着いた旅人の行程を追うように、街の人々の生活がモブで細々と描かれる、生活スケッチ的なものから、名画へのオマージュ的なお遊びもあり、だまし絵になっている箇所なんかもある。何度読んでも楽しめる。
読了日:03月06日 著者:

かげきしょうじょ!! 7 (花とゆめコミックススペシャル)◾️かげきしょうじょ!! 7 (花とゆめコミックススペシャル)感想
★★★★
オーディションの余波、サリエリの悩みへのひとつの回答を示しつつ、文化祭へ。文化祭本番中にまさかの突発事態。そして、番外編で語られる、自分ではコントロールできない事情で夢をあきらめる本科生がまた切ない。本人の気持ちが負けていなくても、道が閉ざされることも人生にはありうる、そのエピソードもあることで、物語の陰影がより深くなる。
読了日:03月06日 著者:斉木久美子


かげきしょうじょ!! 8 (花とゆめコミックススペシャル)◾️かげきしょうじょ!! 8 (花とゆめコミックススペシャル)感想
★★★★
文化祭でのアクシデントにからんで、舞台と私生活の関係のシビアな部分がクローズアップ。夢、挫折の克服、というポジティブな要素だけではない、「プロとしての舞台人」の現実を突きつけつつ、予科生編クライマックス。このあたりは雑誌で読んでも目頭が熱くなった。
読了日:03月06日 著者:斉木久美子


かげきしょうじょ!! 9 (花とゆめコミックススペシャル)◾️かげきしょうじょ!! 9 (花とゆめコミックススペシャル)感想
★★★★
本科生編スタート。指導される側から指導する側へ。一方で、授業にも本格的に演技の実演が。文化祭での代役もきっかけに、娘役と男役の選択肢で揺れる元アイドルの愛。リアルにも、身長がやや足りなくてもトップになった男役を観劇で観ているといろいろ感慨深い。一方、番外編ではさらさの出自が地味に明かされる。
読了日:03月06日 著者:斉木久美子


かげきしょうじょ!! 10 (花とゆめコミックススペシャル)◾️かげきしょうじょ!! 10 (花とゆめコミックススペシャル)感想
★★★★
ついに本格化する演技の実技…いや、この展開には既視感がある(笑)。そう、『ガラスの仮面』序盤の「舞台あらし」!! 存在感ありすぎの天然憑依型の少女が、チームワークの舞台のバランスを壊しかねない…。さらさ、恐ろしい子…。
読了日:03月06日 著者:斉木久美子
冬の本◾️冬の本感想
★★★★
84人が、自分にとっての「冬の本」をネタに何かを語る。一人の割り当ては小ぶりな本の見開き2ページ。どの本をネタにしているかは文中で紹介されることもあれば、ほとんどわからないことも(巻末に筆者紹介と選書の一覧あり)。だが、それがいい。作家、ライターも多いが古書店店主もちらほら、あと、意外とミュージシャン比率が高いのは編集部の趣味か。長さ以外の形式フリーなので混沌とするかと思いきや前後で響き合うような印象のものもありどういう基準で並べているのかと思ったが、北村薫まで読み進んでただの五十音順だと気づいた(笑)。
読了日:03月09日 著者:天野祐吉,佐伯一麦,柴田元幸,山田太一,武田花,友部正人,町田康,安西水丸,穂村弘,堀込高樹,ホンマタカシ,万城目学,又吉直樹,いがらしみきお,池内 紀,伊藤比呂美,角田光代,片岡義男,北村薫,久住昌之


花よりも花の如く 20 (花とゆめCOMICS)◾️花よりも花の如く 20 (花とゆめCOMICS)感想
★★★★
コロナ禍の影響でついに成田美名子の製作環境もデジタル化が始まった、という意味では記念すべき巻かもしれない。人の心のほんのわずかなゆらぎについての今巻は、起こる事象としては大きな動きはないが、先に何か波乱のありそうな伏線も。そういえば、先日たまたまEテレで「船弁慶」を放映しているのを観たら、自分で思っていた以上に感銘を受けた。
読了日:03月11日 著者:成田 美名子
ミステリと言う勿れ (8) (フラワーコミックスアルファ)◾️ミステリと言う勿れ (8) (フラワーコミックスアルファ)感想
★★★★
今回は中編と短編と、久しぶりにエピソードの序盤で次巻に続く構成。なかなか思わせぶりなところで寸止め(笑)。今回も、世間一般の常識や思い込み、多数派/声の大きいの側からの押しつけ的なものに、次々とカウンターとかましていく。近年ネットのSNSなどで見られるネトウヨをはじめとする極端な意見の代表っぽい言説も散見され、まさに「今」と対峙している作品であることを再確認した気がする。
読了日:03月13日 著者:田村 由美
旅の絵本 (2) (日本傑作絵本シリーズ)◾️旅の絵本 (2) (日本傑作絵本シリーズ)感想
★★★★
旅の絵本(イタリア編)の旧版。新版と比べてみたら、全部に絵が描き直しだったのにびっくり。これはもう別の絵本だ。
読了日:03月13日 著者:安野 光雅


旅の絵本2(改訂版) (安野光雅の絵本)◾️旅の絵本2(改訂版) (安野光雅の絵本)感想
★★★★
1976年の旧版を全面的に描き直した2006年の新版。国旗が随所に織り込まれているのと、旧版では種明かしをあえてしていなかった絵の中で描かれる新約聖書の物語や、仕込まれたお遊びを詳しく紹介してくれている親切設計。イタリアはベネツィアしか行ったことないけど、懐かしく思い出した。
読了日:03月13日 著者:


旅の絵本3 (安野光雅の絵本)◾️旅の絵本3 (安野光雅の絵本)感想
★★★★
こちらは1981年の版。表紙や随所に国旗をあしらう趣向はこの巻では初めからだったわけか。煉瓦造りの街並みが続いたイタリア編で船で漕ぎ出した旅人は、白い崖のある海岸から上陸。イギリス編は街より草原や森のページが多い。アリスやプーさん、ホームズ、ビートルズからシェイクスピアまで、ちまちました仕込みも健在。元ネタ全部わかる気がしない…
読了日:03月13日 著者:安野 光雅


薬屋のひとりごと 10 (ヒーロー文庫)◾️薬屋のひとりごと 10 (ヒーロー文庫)感想
★★★★
箸休め的な前巻から打って変わって、しばらく伏線的に語られてきた飛蝗が本格襲来。このシリーズは基本ライトミステリ仕立ての物語が軸で、前半の怪談もどきの謎解きあたりはいつも通りだが、後半は一転してアグリカルチュアル・ポリティカル・フィクションとでもいえばいいのか。オーバーテクノロジーが出てこない分、『鹿の王』あたりよりよほどシビアな描写になっている。手作り殺虫剤や、麦の穂発芽に触れられてるあたり、農学部出身者にはいろいろ納得感もある。そして、急展開なためか、思いのほか早い次巻予告が!
読了日:03月13日 著者:日向 夏


タンタン ソビエトへ (タンタンの冒険)◾️タンタン ソビエトへ (タンタンの冒険)感想
★★★
ベルギーで1929年に新聞向けに描かれたマンガ。乗り物のスピード感の出し方とかは『新寶島』あたりに近い雰囲気あり。ソビエトの描写がやや偏見を含む資料を参考にしていることから、長らく作者が封印していた、ということだが、主人公のアナーキーぶりも含め、こう言った作品を(時代背景とセットで)封印しないことが文化だと思う。
読了日:03月13日 著者:エルジェ
初歩からのシャーロック・ホームズ (中公新書ラクレ, 706)◾️初歩からのシャーロック・ホームズ (中公新書ラクレ, 706)感想
★★★★
なるほど、かゆいところに手が届く入門書。作品の執筆・成立過程を時系列に整理、全作品のネタバレ配慮の紹介、関連作品やシャーロッキアンについて、さらには、ホームズ以外のコナン・ドイルの業績、作家の現役時代から現代までのメディアミックスの総括まで。作品を読んでなくても楽しめる入門書! しかし、いつの時代も人気作品は終わらせてもらえないジレンマがあるのね…
読了日:03月14日 著者:北原 尚彦


旅の絵本4 (安野光雅の絵本)◾️旅の絵本4 (安野光雅の絵本)感想
★★★★
アメリカ編は1983年初刊。今回も船でたどり着いて、馬に乗り、絵本の開く左から右の方向へと旅が続いていき、アメリカを西海岸から東海岸まで大横断して、また海から次の旅へ。イタリア編の新約聖書のよろしくアメリカ開拓史的な「仕込み」が随所にあるのだが、微妙な違和感…。その理由はあとがきでわかる。えええ? そういうことだったの、これって◯◯なんじゃ…。
読了日:03月15日 著者:


旅の絵本5 (安野光雅の絵本)◾️旅の絵本5 (安野光雅の絵本)感想
★★★★
微妙に前のアメリカ編とのつながりを連想させるくすぐりがあるけど、こちらは何と2003年初刊! 長い休止からの再開? という位置付けなんでしょうか…? スペイン編はダリとかピカソとかドン・キホーテとかいろいろ仕込みもありつつ、一方、だまし絵要素が随所に。最後まで読むと、ううむやっぱり、この旅人が旅しているのはただの海と陸だけではないような…??
読了日:03月16日 著者:


魔法にかかった新学期 4 (花とゆめCOMICS)◾️魔法にかかった新学期 4 (花とゆめCOMICS)感想
★★★
成田美名子とひかわきょうこの新刊が今でも読める2021年。なんとなく不穏な中、学園祭準備の楽しさがちょっとビューティフル・ドリーマーっぽい? 敵役が今のところ小物っぽいけど、闇の側がそれを利用してさらに一波乱の予感?
読了日:03月17日 著者:ひかわ きょうこ


乙嫁語り 13 (ハルタコミックス)◾️乙嫁語り 13 (ハルタコミックス)感想
★★★★
これまでの道程を逆にたどりつつ、人々の姿を写真に収めてきたスミスの旅が、ついに…。歴史で知るあれこれの事実が物語に牙を見せ始める。本国へは帰れそうなスミスのこの先も気になるが、やはりアミルたちのこれからが気になる…
読了日:03月17日 著者:森 薫
モリー・ゼロ(Molly Zero)<上>みどりは、よい◾️モリー・ゼロ(Molly Zero)<上>みどりは、よい感想
★★★★
頒布の山も越したので、改めて落ち着いて再読。まあ、自分が読みたい形に訳したんだから自分にとって読みやすいのは当たり前ではあるのだが、ゲラと格闘していた時期とは異なり、純粋に作品として楽しめるモードに入った感じ。しかし改めて読むとこの波乱万丈な展開をあのコンパクトな英文で表現してるのはすごい。あと、やっぱり原文は「声に出して読む」文体なんだろうな、と思った。それにしても、第3部の別れのシーンは読み返しても切ない。下巻も一読者として読もう。
読了日:03月19日 著者:キース・ロバーツ


裏世界ピクニック5 八尺様リバイバル (ハヤカワ文庫JA)◾️裏世界ピクニック5 八尺様リバイバル (ハヤカワ文庫JA)感想
★★★
まさか本当にラブホ女子会(笑)。とはいえ、その後日談のオチが地味に今まででいちばんゾッとした昭和世代(笑)。そのオチを含め、今回はネットロア以前のフォークロアまで素材を広げて「裏世界」に時間の広がりを感じさせている。ともあれ、すっかり両想いモードののろけ巻?
読了日:03月26日 著者:宮澤 伊織


名探偵カッレ 危険な夏の島 (リンドグレーン・コレクション)◾️名探偵カッレ 危険な夏の島 (リンドグレーン・コレクション)感想
★★★★
カッレ完結編。今回は冒頭のバラ戦争の遊びからしてデンジャラス。軍事機密?研究者とその息子の誘拐を目撃してしまったカッレたち白バラ軍はなりゆきのまま追跡し、アジトのある島に。危機、また、危機。しかも、人質の男の子は天然無邪気だけど必ず余計なことを言う(笑)。子どもたちの生き生きした描写もいいが、二転三転のまさに手に汗握る展開から、読み始めると止まらない面白さ。
読了日:03月27日 著者:アストリッド・リンドグレーン


裏世界ピクニック6 Tは寺生まれのT (ハヤカワ文庫JA)◾️裏世界ピクニック6 Tは寺生まれのT (ハヤカワ文庫JA)感想
★★★
初の長編の元ネタがネットロアの中では「笑える」オチの話、というのは人を食った話ではあるが、裏世界からのコンタクト?としては作品史上最恐の危機とも言える。人以外の知性?が人間の側の記憶にあるものをインターフェースにしているっぽい、というのは『ソラリス』的でもある。本作のモチーフのひとつ『ストーカー』との比較で考えると、ゾーンに徐々に拠点を整備して足掛かりにするのはピクニックというより探検になりつつあるが、それもまたよし。しかし作中でストーカーという別の意味の単語が飛びかってるのは、実は意図的な掛け言葉…?
読了日:03月28日 著者:宮澤 伊織


旅の絵本6 (安野光雅の絵本)◾️旅の絵本6 (安野光雅の絵本)感想
★★★★
出版は2004年だけど、2005年がアンデルセン生誕200年、ということで作中に書かれた年号が2005になっているデンマーク編(実際、10月出版なので2005年に読んだ人も多かったのだろう)。アンデルセンのモチーフをおもちゃ箱のようにぶちまけるコンセプトからか、今回の構図やアングルはリアルよりも騙し絵要素の方が多かったように感じられた。一度いろいろ想像しながら読んで、解説を読みながら答え合わせ。「火打ち箱」かな、と思った絵は当たりだったのでちょっとうれしい。
読了日:03月28日 著者:安野 光雅


旅の絵本7 (安野光雅の絵本)◾️旅の絵本7 (安野光雅の絵本)感想
★★★★
水墨画の絵巻物をイメージした絵のタッチと装丁がすばらしい。あとがきで触れられている「清明上河図」は安野光雅の目指したもののひとつだったりするのだろうか。前の巻が欧州で初めて訪問して思い入れ深いデンマークとアンデルセンで、御伽噺の仕込みと騙し絵満載だったが、今巻は中国の風景風俗を素直に描いているのも、そのリスペクトか?
読了日:03月28日 著者:安野光雅


中谷宇吉郎【雪と氷の探求者】 (はじめて読む 科学者の伝記)◾️中谷宇吉郎【雪と氷の探求者】 (はじめて読む 科学者の伝記)感想
★★★★
図書館の新刊コーナーで見かけた本。伝記でもあるが、要所要所で研究にまつわる実験装置などがイラストや図版で入って、単なる偉人の伝記ではなく、科学に興味を持ってもらいたいという叢書そのものの目的に感銘を受ける。ご本人の随筆で知っていた話もあれば、この本で初めて知るエピソードもあり。本来の対象読者層に広く読まれてほしい。
読了日:03月30日 著者:清水 洋美



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