2025年6月に読んだ本 ― 2025年07月19日 04時56分11秒
6月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:3685
ナイス数:58◾️カウント・ゼロ (ハヤカワ文庫SF)の感想
★★★☆
一見関連性がわからない企業間のヘッドハンティングをめぐるピカレスクアクションと、駆け出しの電脳カウボーイの青くさい逃亡劇と、美術商の女性への謎の探索依頼が互い違いに語られ、徐々に物語が溶け合っていく。とにかく人がバタバタ死ぬ。スピード感があって読みやすく、物語としてもめっぽう面白い。内容は佐藤史生なら『ワン・ゼロ』、後継でいえばケン・リュウの神々三部作はこの系譜かな。面白いけど、電脳の新しさは前作に負っていることもあり、日本の読者はあまり驚きは感じなかったかもしれない。
読了日:06月01日 著者:ウィリアム ギブスン
◾️超人ロック 冬の虹(1) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★
気になっていた『超人ロック』ゼロと言うべきエピソード。この時点でも年齢不詳(笑)。スキャナーという用語はやはりコードウェイナー・スミスへのオマージュか。シリーズを知らなくても近未来(一部のガジェットは時代遅れになりつつあるが)スパイアクションとして読める仕立て。軌道エレベーター建設をめぐる陰謀劇。人種の描き分けが職人芸的。
読了日:06月04日 著者:聖悠紀
◾️超人ロック 冬の虹(2) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★☆
画用紙の質感を生かした彩色の表紙が目を引く巻。ロックの能力はおそらく若返りの他、千里眼とテレパシー……だったところ、見よう見まねで念動も身につけた、というくだりがあり、後には使えない能力がほぼない最強のエスパーとなる萌芽も地味に仕込んである。とはいえ、限られた能力しか使えない中での精神戦はなかなか新鮮。あと、無茶な肉弾戦(笑)はこの当時から、というのもある意味納得。
読了日:06月04日 著者:聖悠紀
◾️超人ロック 冬の虹(3) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★☆
マッチョな表紙の通りの内容。殺人機械と言うべき中国の最強エージェントに対抗するべくロックがロシアのエージェントを相手にひたすら特訓。一方、殺人機械を普通に犯罪者として追跡するコロンボっぽい警官がいい味出している。
読了日:06月05日 著者:聖悠紀
◾️超人ロック 冬の虹(4) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★☆
この時点では、自分のその後の可能性に気づいていないロックのラストのセリフは、シリーズのファン向け。それ以外は緊迫感のあるスパイアクションとして普通に楽しめる。とはいえ、ファン以外はわざわざこの作品に手を出さないかもしれない。描かれた中では最晩年の年代と思われる『嗤う男』が超能力を封じられた中での肉弾戦の展開だったのと、対にする意図はあったのかもしれない。
読了日:06月05日 著者:聖悠紀
◾️超人ロック クアドラ (ヤングキングコミックス)の感想
★★★
『冬の虹』の直接の続編。中国が分裂状態になる中、前作のヒロインのいた「寺」が制圧され、気功の使い手=スキャナーが集団拉致される物騒な展開の中、まだ透視とテレパシーと簡単な念動しか使えない(あと、傷の治りが早いくらい)ロックがまた窮地に。前作からの設定で、テレパシーが念話以上の共感能力で相手の感じる苦痛をそのまま感じる超シンパシー能力であるのも物語構成のポイントかも。
読了日:06月05日 著者:聖悠紀
◾️湯気を食べるの感想
食、自炊に対するスタンス、好みの料理などへの共感はもとより、回ごとのテーマに対するエッセイの文章の流れ、勢い、表現が「生きがいい」と思わせる職人芸。楽しく読める。
読了日:06月06日 著者:くどうれいん
◾️超人ロック クアドラII (ヤングキングコミックス)の感想
★★☆
とにかく展開が速く、人がばたばた死ぬ印象。スティンガーが有効に使われているのは現代の戦場の状況からすると先見の明っぽい。とはいえ、ラストがいかにも「次シリーズに続く」という感じだけど、この動乱の始まりから宇宙世紀まではまだまだ遠い道のりになりそうだ。まだ「超人」とまではいえない、「普通の人」の延長として生きているロックが、歴史をどう見守り、能力を高めて行ったのか? 惑星ロンウォールあたりまでは「人」として生きていた感じなので、「超人」の自覚はやはり『コズミック・ゲーム』のエーリカとの戦いあたりから、かな?
読了日:06月07日 著者:聖悠紀
◾️もりのあさの感想
★★★☆
女の子が朝、森にきいちごを摘みに行って、帰ってくるまでに見たもの、考えたことをつづっていく。やわらかい印象の絵本。
読了日:06月07日 著者:出久根 育
◾️ほんやくするとの感想
★★★
犬のいるおうちに赤ちゃんがやってきてから、小学生くらいまでの成長をあたたかに描く。言葉がなくても伝わることはある。
読了日:06月07日 著者:斉藤倫,うきまる
◾️じんせいは しがみついて なんぼですの感想
★★★☆
詩人の絵本らしく、動物ごとに付された詩が楽しい。意外と科学的な生態にまつわる詩あり、抒情的な詩あり、中にはナンセンス詩みたいなものもあり。あえてひらがなで書くことでの異物感も楽しさのひとつになっている。
読了日:06月07日 著者:木坂涼
◾️オオカミ族の少年 (クロニクル 千古の闇 1)の感想
★★★★
6000年前の狩猟民族の生活の中に自然と溶け込んでいた呪術的な世界観を背景にした、父親を悪霊憑のクマに殺された少年の成長譚。狩猟生活の細部がリアルだが、著者の考古学の研究と実践の成果とのことで、わかりにくい点は都度著者に確認しているという訳者の尽力にもよる。それでいて翻訳ものとは思えない読みやすさ。作品も翻訳もすごい!
読了日:06月09日 著者:ミシェル ペイヴァー
◾️からかい上手の(元)高木さん (22) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★★
ある意味クライマックスの「告白」。やるな、幼稚園児!
読了日:06月09日 著者:稲葉 光史
◾️わたしはクジラ岬にすむクジラといいます (偕成社おはなしポケット)の感想
★★★☆
『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』のまさかの続編!? 前作のペンギンの先生が、あれに憧れて自分もあちこちに手紙を送ってみたら……。
読了日:06月10日 著者:岩佐 めぐみ
◾️ねずみのモナと永遠のわが家の感想
★★★
予想外のスペクタクル! 帰るところがあるのはいいね。
読了日:06月11日 著者:ケイリー・ジョージ
◾️おいしそうな文学。の感想
★★★☆
いろいろな作家、翻訳家、文筆を手掛ける方々が食に関する随筆や小説から受けた印象をだいたい3ページで語る。面白いと思ったのは、その執筆陣の中に、最近、妻が興味を持って読んでいる(ので自分も読んだりしている)本の著者がちらほら散見されたこと。こういうのも一種のシンクロニシティ?
読了日:06月21日 著者:
◾️りょこう (日本傑作絵本シリーズ)の感想
★★★☆
真上から見た不思議な構図で、おじいちゃんと孫の温泉旅行の出発からおしまいまでを丹念に描く。他の乗客、お客さんのまわりのものまでちまちま描かれる。温泉旅館あるあるで温泉旅行に行きたくなった。
読了日:06月21日 著者:麻生 知子
◾️モナリザ・オーヴァドライヴ (ハヤカワ文庫SF)の感想
★★★★
『ニューロマンサー』読書会を契機にシリーズ読み通しを計画して、読書会当日の往路の電車で読了。一作ごとに電脳世界の様相、アクセスする人間側のテクノロジーが変化しているのが面白い。3つのエピソードが交錯した『カウント・ゼロ』に対して今回は4エピソードの切り替わりがテンポよく、けっこう楽しく読了。過去キャラクターもほぼ総登場での大団円?
読了日:06月21日 著者:ウィリアム ギブスン
◾️メダリスト(13) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★
発売日に一気読み。前巻で光視点が入り、それぞれのコーチとの関係に転機が。今巻のテーマは自立への模索と言えるかもしれない。
読了日:06月23日 著者:つるまいかだ
◾️アヤカシ薬局閉店セール (偕成社おはなしポケット)の感想
★★★
人づきあいの苦手な店主が営んできたアカシヤ薬局。閉店のチラシがアヤカシ薬局だったことから、アヤカシが次から次へとやってきて…。仕事仕舞いをひかえて読むとまた味わいが増す。
読了日:06月24日 著者:伊藤 充子
◾️超人ロック カオスブリンガー 1 (1巻) (ヤングキングコミックス)の感想
★★★
ラフノールをめぐるエピソードから銀河史の新しい幕が開きそうな展開になったところで絶筆。旧連邦どころか銀河帝国の存在が忘れられているらしいこのあたりの年代は実はかなりの遠未来? あとがきは20年乗った愛車を修理パーツがなくなったことでパーツ取りに出して、免許も返上、という寸話で、ちょうど33年ほど乗った愛車を同じ理由で引き取りに出す日がせまるタイミングでこの本を読んだのはちょっと二重の意味で感慨深い。あと何作かで新連邦のシリーズを読み尽くすので、そのあとは少年キング版の再読に進もうかな。
読了日:06月25日 著者:聖 悠紀
生霊わたり (クロニクル千古の闇 2)の感想
★★★★
第二作。前回は森から寒い北の方まで長い旅だったが、今回はパンデミック的な病の流行をきっかけに西へ、さらには海へ。この年代の生活や狩猟、航海技術を丹念に描く作風は健在。あとがきからすると、ほぼ原著出版から時間差なしで翻訳してたんだな、と驚く。
読了日:06月29日 著者:ミシェル ペイヴァー
◾️オットッ島のせいちゃん、げんきですか? (偕成社おはなしポケット)の感想
★★★
はじめは一対一の出会いだったシリーズが、つながりができ、さらに広がっていく。世代交代も含めていろいろほっこり。
読了日:06月30日 著者:岩佐 めぐみ
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