2015年3月に読んだ本 ― 2015年04月04日 07時12分51秒
「てのひらヒュアキントス」キャンペーンを目指してヴァーノン・リー『教皇ヒュアキントス』にチャレンジしたが、月の前半はわりと順調だったけど、後半失速(笑)。読んだところまでで、あえてファムファタルっぽいものを外すと、表題作「教皇ヒュアキントス」「婚礼の櫃」「聖エウダイモンとオレンジの樹」が印象深い。まあ、よい本なので今後もじっくり読み進めよう(笑)。
あと、先月から始めた『守り人』シリーズマラソン継続中。
■上橋菜穂子『虚空の旅人』 偕成社ワンダーランド
チャグムの成長物語でもありつつも、このファンタジー世界に存在する複数の国家の設定を開示しており、ポリティカルフィクションの側面がこれまでのシリーズ中ではもっとも強い感のある1冊。政治や戦争の論理の冷徹さや矛盾をオブラートなしに提示するのが潔い印象。旧作に比べキャラクターも多く、プロットも複雑で錯綜しているが、それだけに、物語が収束していく満足感も高い。
■上橋菜穂子『神の守り人<来訪編>』 偕成社ワンダーランド
■上橋菜穂子『神の守り人<帰還編>』 偕成社ワンダーランド
シリーズ初の2分冊。チャグムの時の「精霊」よりも物騒な「神」を宿してしまった少女をめぐって、少女を危険な存在として消そうとする勢力、祭り上げようとする勢力の間などが入り組んだ集団抗争劇の様相。ちょっと風呂敷を広げすぎた感じもあり、必ずしもいろいろなことが「解決」しないままのオープンエンド的でもあるが、シリーズの先の展開を考えて配置された物語か。
■三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』6巻 メディアワークス文庫
またしても太宰の稀覯本をめぐって、マニアの受難の行き着いた果てのいろいろと業の深い話。シリーズ通しての黒幕?の背景が明かされたことで、シリーズ終盤の雰囲気に。
■上橋菜穂子『蒼路の旅人』 偕成社ワンダーランド
冒頭から『虚空の旅人』では背景設定として語られていた南の大国からの侵略が一気に進行して急展開。世界観も一気に広がり、ストーリーもハイテンポで起承転結ならぬ起転転転とでもいいたくなる展開。その中でも、単純な善悪ではなく「人の数だけ価値観がある」という基本姿勢も筋を通しており、いろいろな意味で読み応えあり。さらに、先が気になる。
■上橋菜穂子『天と地の守り人<第一部>』 偕成社ワンダーランド
シリーズの中で語られてきた異世界の変化とリンクした惑星レベルの気候変動、巨大な軍事大国からの侵略を背景に、絶望的な状況下で行動することをやめない主人公たちの群像劇が胸を打つ。
■村上満『ビール世界史紀行』 ちくま文庫
醸造技術者としてビール作りや香味の評価に一家言ある著者が、半ば趣味で調べ上げたビールの歴史にまつわる蘊蓄を元に行なった大学の講義録をベースにまとめあげた本書は、「ビール」を切り口にした世界史裏話としても楽しく読めるし、技術的な記述も可能な限り正確を目指して書かれており技術書としても読める。その「技術」のあたりでは、ちょっと初心者向けには辛い記述も散見されるが、ビールの歴史を語る本によく出てくる「定説」をきちんと文献をあたって検証していく博覧強記ぶりには敬服。名著。
あと、先月から始めた『守り人』シリーズマラソン継続中。
■上橋菜穂子『虚空の旅人』 偕成社ワンダーランド
チャグムの成長物語でもありつつも、このファンタジー世界に存在する複数の国家の設定を開示しており、ポリティカルフィクションの側面がこれまでのシリーズ中ではもっとも強い感のある1冊。政治や戦争の論理の冷徹さや矛盾をオブラートなしに提示するのが潔い印象。旧作に比べキャラクターも多く、プロットも複雑で錯綜しているが、それだけに、物語が収束していく満足感も高い。
■上橋菜穂子『神の守り人<来訪編>』 偕成社ワンダーランド
■上橋菜穂子『神の守り人<帰還編>』 偕成社ワンダーランド
シリーズ初の2分冊。チャグムの時の「精霊」よりも物騒な「神」を宿してしまった少女をめぐって、少女を危険な存在として消そうとする勢力、祭り上げようとする勢力の間などが入り組んだ集団抗争劇の様相。ちょっと風呂敷を広げすぎた感じもあり、必ずしもいろいろなことが「解決」しないままのオープンエンド的でもあるが、シリーズの先の展開を考えて配置された物語か。
■三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』6巻 メディアワークス文庫
またしても太宰の稀覯本をめぐって、マニアの受難の行き着いた果てのいろいろと業の深い話。シリーズ通しての黒幕?の背景が明かされたことで、シリーズ終盤の雰囲気に。
■上橋菜穂子『蒼路の旅人』 偕成社ワンダーランド
冒頭から『虚空の旅人』では背景設定として語られていた南の大国からの侵略が一気に進行して急展開。世界観も一気に広がり、ストーリーもハイテンポで起承転結ならぬ起転転転とでもいいたくなる展開。その中でも、単純な善悪ではなく「人の数だけ価値観がある」という基本姿勢も筋を通しており、いろいろな意味で読み応えあり。さらに、先が気になる。
■上橋菜穂子『天と地の守り人<第一部>』 偕成社ワンダーランド
シリーズの中で語られてきた異世界の変化とリンクした惑星レベルの気候変動、巨大な軍事大国からの侵略を背景に、絶望的な状況下で行動することをやめない主人公たちの群像劇が胸を打つ。
■村上満『ビール世界史紀行』 ちくま文庫
醸造技術者としてビール作りや香味の評価に一家言ある著者が、半ば趣味で調べ上げたビールの歴史にまつわる蘊蓄を元に行なった大学の講義録をベースにまとめあげた本書は、「ビール」を切り口にした世界史裏話としても楽しく読めるし、技術的な記述も可能な限り正確を目指して書かれており技術書としても読める。その「技術」のあたりでは、ちょっと初心者向けには辛い記述も散見されるが、ビールの歴史を語る本によく出てくる「定説」をきちんと文献をあたって検証していく博覧強記ぶりには敬服。名著。
最近のコメント