2025年1月に読んだ本 ― 2025年02月17日 05時17分19秒
1月の読書メーター
読んだ本の数:30
読んだページ数:6123
ナイス数:109◾️超人ロック 嗤う男3 Locke The Superman SNEERING MAN (MFコミックス フラッパーシリーズ)の感想
★★★★
ここまでロックが超能力を封じて話が進んだエピソードはあったか、いくつかあった気もするけど、ある程度経験がものをいう格闘戦や戦術、戦略的な部分ではなく、単純に運動神経、動体視力など肉体の基本能力だけでここまで緊迫感のある物語に仕立てたのはシリーズ中でもかなり珍しいのでは。権謀術数もそれぞれに目的が違う多くの組織、動機の異なる人物が絡みあっているのにわかりにくくもない。スパイアクションっぽい仕立てでかなり高度な作劇に到達している感じがする。
読了日:01月01日 著者:聖悠紀
◾️超人ロック 嗤う男 4 Locke The Superman SNEERING MAN (MFコミックス フラッパーシリーズ)の感想
★★★★
ロストテクノロジーと自分の存在を消し続けるロックの話はこれまでにもあったけど、そのあたりがこの巻の序盤でほぼ片づいて、その後は危険なレースそのものに取り憑かれた人々の群像劇。法廷劇的な要素もあり。ハードボイルドアクション映画の趣き。
読了日:01月01日 著者:聖悠紀
◾️お互い少しずつ変わっていく教育係と新入社員 幼なじみ短編集の感想
★★☆
作者太っ腹の無料公開本。SNS上で流れてくる中でも、コマ割りほぼなし、基本2ページずつの二コママンガ的な描き方が、この作者の作品でも珍しかった。些細な陰口や悪意が陰惨にならずひっくり返っていく作風は健在。
読了日:01月01日 著者:加藤マユミ
◾️あの頃の青い星7の感想
★★★★
一年待てば? と思っていたら、期待に違わず出ていたのに気づいてすぐ読んだ。あいかわらず、二人の周囲の同級生、寮生、教師、家族、親戚などなどの言動や距離感の描き方がすごくリアルに感じる。どこかに本当にこの二人がいそうだ。続きはまた来年、かな。
読了日:01月02日 著者:蟹
◾️鉄道きょうだいの感想
★★★☆
自分が翻訳したキース・ロバーツ『モリー・ゼロ』に、ヒロインたちが「子どもたちが鉄道でペチコートを振る」という映画を観るくだりがあり、その元ネタを探して見つけた。これは2011年の新訳版だが、映画は邦題『若草の祈り』で、角川文庫から同題で翻訳が出ていたとのこと。かつて氷室冴子選書の復刊フェアにも入っていたのは完全に失念していた。読んでみると、これこそ児童文学、という趣で、大人も子どももよくないことをすることもあるけどすぐにそれに気がつくのがいい。これはもっと広く読まれてほしい。
読了日:01月05日 著者:イーディス ネズビット
◾️有閑倶楽部 1 (りぼんマスコットコミックス)の感想
★★★
この時期はあまりりぼんリアルタイムではなく、ぽつぽつ読むくらいで画風も『砂の城』終盤のこの時期より、『砂の城』序盤が好みだった。コミカルなピカレスクとしても、『こいきな奴ら』が好きだったので、当時はやや冷めた目で見ていたものだったが、今読むとあらゆる要素が楽しく、作風、画風の確立した時期の安定感を感じる。ただ、その後も画風、作風は変化し続けたので、これも中間ステップ。それこそがすごい。
読了日:01月05日 著者:一条 ゆかり
◾️本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~短編集Ⅲの感想
★★★
時系列ではまた初期のこぼれ話もありつつ、第5部のラストあたりの話まで。権謀術数っぽくもありつつ、あくまでもお仕事小説の側面が基盤にあることがわかる。新国家が安定するまでの続編とかも延々書けそうだけど(笑)、それは書かぬが花かも?
読了日:01月07日 著者:香月美夜
★★★★★
科学者たちの自由な楽園―栄光の理化学研究所の感想
後に文庫化もされているが、1990年代頭くらいに入手。何度目かの再読。元々はヤングジャンプのドキュメンタリーマンガ『栄光なき天才たち』6巻・理化学研究所編の種本ということで興味を持ったのだが、これがめっぽう面白い。自分の職場には入社した頃はこういう雰囲気がまだ残っていたが、今ではみる影もない。とはいえ、この本に描かれた科学者の思想の部分は定年を迎える時期になってみると、ちゃんと自分の中に定着していたな、ということが再確認できた。
読了日:01月09日 著者:宮田親平
◾️有閑倶楽部 2 (りぼんマスコットコミックス)の感想
★★★
コミックスの初刊は1983年。まだ「番をはっている」という概念が普通に読めた時代かな。豪華客船が年寄りばかりというのは、いつでもそうなんだなあ(笑)。シニアセミナーとかで普通に勧められたので唖然としたが(笑)。剣菱親子がやばい一方、幼稚舎の頃からの有閑倶楽部出来上がるまでがなかなかよかった。あと、恥はかき捨ての短編が一つ。これはマスコットコミックス版ならではのおまけかな。古くからの読者にはこういうのがうれしいものだ。
読了日:01月12日 著者:一条 ゆかり
◾️夜光雲のサリッサ(12) (リュウコミックススペシャル)の感想
★★★
あとがきマンガで原作者も畳み方に困っている、というのが正直なところなんじゃないかな、と思える。この展開、ウルトラマンティガですか!?
読了日:01月13日 著者:※Kome
◾️SPY×FAMILY 12 (ジャンプコミックス)の感想
★★★☆
いつものシチュエーションコメディ回がいくつか続いたところから、帰還する二重スパイをめぐっての丁々発止。ユーリに擬態した黄昏とユーリ本人の直接対決もあり、今までで一番緊張感ある展開のままで引き。2025年頭時点での既刊はあと数冊だけど、アーニャが卒業するまで話は持つのかちょっと心配になってきた(笑)。
読了日:01月13日 著者:遠藤 達哉
◾️アリスと蔵六(13) (リュウコミックス)の感想
★★★☆
夢の中でプレイするゲーム世界で楽しく冒険(謎解き演算)をしていたところで、大人の視点と教育的指導が入るのがこの作品のバランス感覚か。そしてゲーム人物から語られる蔵六の過去はめっちゃSFだった。
読了日:01月13日 著者:今井哲也
◾️からかい上手の(元)高木さん (16) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)の感想
★★★
ちょこちょこ挟まる中学時代ネタ。よりによって交換日記がここで(笑)。
読了日:01月14日 著者:稲葉 光史
◾️有閑倶楽部 3 (りぼんマスコットコミックス)の感想
★★★
今回は夏の別荘、スウェーデンと幽霊、オカルトネタが続いた。そこからのまさかの殺人事件。いろいろと昭和でなんでもありな印象。しかし、りぼん文脈で言うと土田よし子的な下品ギャグの系譜の一条ゆかり流のアレンジでもあったのかも、とちょっと思った。あと、近い路線でも、『こいきな奴ら』が最初の『ルパン三世』のテイストとして、こっちのやや下世話なノリは赤ブレザーの『新ルパン三世』だと思うと、その意味でも時代に合わせた納得感はあるかも。
読了日:01月18日 著者:一条 ゆかり
◾️メダリスト(1) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★
気になってはいたのだが、アニメを3話まで観たタイミングで電子書籍のセールもあったので。ここまでのところ、コミックスとアニメの話数はちょうど合わせてあるみたいなので、この先もそうなのかな。好感ポイントは、選択の必要な要所で「あなた」と呼びかける、相手を子ども扱いしない、対等な関係性。アニメでは省略されている設定がわかるのもいい。
読了日:01月19日 著者:つるまいかだ
◾️メダリスト(2) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★
表紙にある光のコーチの正体が明かされる…というのは本筋じゃないけど、元トップクラスのスケーターがコーチにもひしめく中での師弟の成長の物語、という側面が明確になった。練習での緊張、失敗から本番での切り替えまでのプロセス、スケーターを目指したいと思った冷たい気持ちを持ち続ける、など、金言的な展開がてんこ盛り。
読了日:01月20日 著者:つるまいかだ
◾️竜が呼んだ娘1 弓の魔女の呪いの感想
★★★
子どもが竜に呼ばれることもある村で、まるで呼ばれることに備えるかのようにさまざまな教育を施された主人公が本当に竜に呼ばれることになるのだが…。読み始めてみると、とにかく挿絵の多さに驚く。データベースでも連名で表示されるけど、なるほど、佐竹美保さんがもう一人の作者と言える作品だ。
読了日:01月20日 著者:柏葉 幸子,佐竹 美保
◾️メダリスト(3) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★
西日本選手権で今後も出てきそうな男女近い世代のスケーター続々登場。まさかのカート忘れミスからの気持ちのリカバリー。本番で過去の数々のアドバイスの意味を自分の身体で実感しつつ、ついにノーミスの演技。それでも超えられない壁、そこからの決意が熱い。そして5年生編は一気に時間が飛んで、決意の成果、6年生での名港杯部門優勝。回り道も力になる、というと、監修で参加している鈴木明子の経歴が思い出されるのも…。
読了日:01月20日 著者:つるまいかだ
◾️メダリスト(4) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★
腰の低い老け顔の元銀メダリストが味わい深い。前巻でもあったけど、コーチングで言われたことが身体と頭で腑に落ちたところで一気に上達するプロセスに納得感がある。スポーツ以外でもこういうプロセスはあるように思う。ダブルアクセルと3回転でノービスへの切符は手に入った。次巻も楽しみ。
読了日:01月21日 著者:つるまいかだ
◾️メダリスト(5) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★
開会式で新キャラクター続々。しかし、これまでもそうだったけど、苗字も下の名前も現代的で覚えにくい(笑)。女子のトップクラスにいる現役選手も初登場。一人一人のプログラムの選択、その成功失敗悲喜交々が描かれて、まるで本当に大会を観戦しているような体験。リアルのテレビ観戦だと有名選手しか観れないから、それを補うような読書体験。
読了日:01月21日 著者:つるまいかだ
◾️メダリスト(6) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★☆
1巻の頃からは信じられない成長だが、そこまでのプロセスを丹念に描いてきたからこその到達点。作品タイトルをひとつ象徴する巻になった。感情移入度が高すぎて読んでいて号泣したくなった。表紙はブラフじゃなくて、ちゃんと本編でも表紙のような展開になったのも熱い。
読了日:01月22日 著者:つるまいかだ
◾️メダリスト(7) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★
ブロック大会とはいえメダリストの称号を得た目的、確かに序盤から「みんなが賭けたくなる選手」という言い方はしていたけど、こういうことか。前巻の引きでこれまでに出てきた優秀そうなコーチの誰か!? と思っていたら、まさかの新キャラクターとまさかの飛び道具(笑)!! そして獲得した最強カードは本番で使えるのか!?
読了日:01月22日 著者:つるまいかだ
◾️メダリスト(8) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★
ついにノービス開幕。どの選手も予選よりレベルをあげてくる中、暫定1位のハードルが上がり、リアルのシニア大会でも観たことないようなプログラム構成になってきた。
読了日:01月23日 著者:つるまいかだ
◾️日本に住んでる世界のひとの感想
★★★★
装丁やイラストは『パリのすてきなおじさん』っぽいけど、さまざまな国から日本に来て住んでいる人たちの語る人生はそれぞれに重たい事情があって(それこそ人が1000万人単位で死んでいるとか)いろいろ考えさせられる。ともあれ、当たり前かもしれないが、登場する人たちがみんな一種の語学マニアなのが共通点か。
読了日:01月23日 著者:金井 真紀
◾️メダリスト(9) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★
やり切った。解説の織田信成のような気持ちで見守ってしまった。それでも、勝負の世界は甘くない。
読了日:01月24日 著者:つるまいかだ
◾️メダリスト(10) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★
海外に出るジュニアグランプリに向けた強化合宿編。他のコーチたちとの会話から、司が気がつく自分の生来の能力「鷹の目」。こういうのに後から気づく、というのは、他のジャンルでもあるのではないか。卑近な例で、自分でも、還暦になってようやく、研究分野での自分の能力の肝に気がついた(ある意味、「鷹の目」に近い)。キャリアが終わる頃になって気がついても遅いか、いや、まだできることがあるかも、など考えていたら、意外な方向で共感できる巻だった。
読了日:01月24日 著者:つるまいかだ
◾️メダリスト(11) (アフタヌーンKC)の感想
★★★★☆
ライバルより数ヶ月早く生まれているのでジュニア強化選手になるのが早かった、というのがちょっとびっくりの設定。さらに、よりによって初めての海外大会で初めての第一滑走。結果はまずまずだけど、残りの選手の出来に一喜一憂の追われる立場も初めての経験。とはいえ、実は幼なじみだった性格悪めのいるかちゃんとはずいぶん仲よく?なったな(笑)。
読了日:01月25日 著者:つるまいかだ◾️竜が呼んだ娘2 闇倉の竜の感想
★★★
相変わらず巻き込まれ型のストーリー展開で、なりゆきで引き取ってしまったコキバと、とある妄執に取り憑かれた魔女をめぐる物語。前巻では実の母、今巻では育ての母を超えていくことになったものの、主人公がまだ何者になりたいかは心が決まっていない。この先はそれがテーマになるのかもしれない。
読了日:01月26日 著者:柏葉 幸子,佐竹 美保
◾️SPY×FAMILY 13 (ジャンプコミックス)の感想
★★★☆
ちゃんとこのトリオが重要な巻だった。そのエピソードも含めていろいろなキャラクター同士の関係性がちょっと深まるエピソードもちらほら。代理家族のじじばばを演じてくれそうな老夫婦も登場。とはいえ、引き続き戦争の記憶の重さが感じられる巻でもあり。
読了日:01月29日 著者:遠藤 達哉
◾️青春ブタ野郎は迷えるシンガーの夢を見ない (電撃文庫)の感想
★★★
完結したので、高校生編で止めていた読書を再開。大学生編の最初のヒロインは空気読めないアイドルが空気を読めるようになってしまったら、というお話。一連の妹エピソードに近く、無理に量子もつれとかを説明に使った思春期症候群ということにしなくてもいいくらいのゆるい設定で、このシリーズの現代青春小説としてのよさが再確認できるエピソードだった。ただ、ラストで本当に思春期症候群だったことが明かされて次巻に続く。温暖化が進みつつある気候や現実にある路線や建物の具体的な描写は後世読むと時代を反映した風俗の資料にもなるかも。
読了日:01月31日 著者:鴨志田 一
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