2024年9月に読んだ本 ― 2024年10月07日 05時36分59秒
あとは最近の傾向で電子書籍マンガがどんどん増えているけど、たまに電子書籍で既読のものを紙の本で読むと描線がクリアで別の作品のように楽しめる、という意外な効果もあり。
9月の読書メーター
読んだ本の数:29
読んだページ数:6354
ナイス数:226
◾️【小説29巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身8」の感想
★★★★
魔獣狩りでも模擬戦でもない国対国の戦闘はそういえば初めてか。前半のクライマックスは救出劇、そこからの未知のテクノロジーを持つ敵の追撃戦。魔法世界なので本来はなんでもありなところ、この世界のルールの中で成立できる危機感とそのクリア方法の立案、そこにストーリーとキャラクターを絡めていく語り口がうまい。イラストもいい。表紙にもいるハンネローレ、一気に存在感出た(笑)。
読了日:09月01日 著者:香月美夜
◾️サイボーグ009 太平洋の亡霊 (チャンピオンREDコミックス)の感想
★★★★
世代的にテレビアニメには間に合っていなくて白黒作品は再放送もなく、ロマンアルバムとビデオ時代前の放映時音声のLPレコードくらいしかなかった。先日Youtubeでようやく本編を観たけど、想像以上に名作だった。このコミカライズ版は初回だけは雑誌で買ってコミックス化を待っていたもの。マンガの電子書籍読みが増えている中、紙で買いたかった一冊。期待以上の仕上がり。全編涙なしに読めなかった。今の時代、ガンガン読まれて欲しい。それにしてもこの後のアニメいろいろ、辻真先脚本作品がいかに自分の血肉になっていたことか…
読了日:09月01日 著者:石ノ森章太郎,早瀬マサト
◾️【小説30巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身9」の感想
★★★★
表紙のとーちゃん、予想以上に強い。相手が規格外だったのが不運。とはいえ、今回は入手できた情報があって、事前準備できていて、なおかつ突発事態への対応を強行したり、本編中では「気がついたらあっちも片付いてた」程度の描かれ方だったけど、いろいろ間一髪が重なっていて、緊張感が切れない。トラウマ描写のあたりは、けっこう読んでてビクビクものだったので、ホラー的観点でもクオリティ高いかも。
読了日:09月02日 著者:香月美夜
◾️【小説31巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身10」の感想
★★★★
魔王が本当に悪辣な魔王だった(笑)。それにしても、神様たちが大迷惑だ(笑)。まあ、このあたりの生々しさはギリシャ神話の神様みたいなものか。
読了日:09月03日 著者:香月美夜
◾️からかい上手の(元)高木さん (9) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★
地味にクリスマスプレゼントをわざわざ公園遊びで渡しに来る彼が今後の伏線か(笑)? しかし夢に見るサンタさんがアレですか(笑)!? まんまだよ(笑)。
読了日:09月05日 著者:稲葉 光史
◾️【小説32巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身Ⅺ」の感想
★★★★
なるほど、世界に意図的なルールが仕込まれていて、その創造主がいる異世界で、そのルールの範囲で世界、社会を変えていけるか、という点では、『十二国記』の要素もあったんだな、というのがここ2巻ほどで明確になった。そのルールが忘れられたり、無視されたりすることで世界そのものの存立危機にある、という要素も近いかもしれない。
読了日:09月05日 著者:香月美夜
◾️成瀬は天下を取りにいくの感想
★★☆
幼い頃からハイスペックであったが故に、独特の人生観と行動原理を身にまとってしまったヒロインが周囲に奇異の目で見られながらも、周辺に影響を及ぼしていく。地域愛の要素もあり。SFやライトノベルが苦手な人でも楽しめる涼宮ハルヒ、という印象。実際、文体はその方面に近く、するする読める。
読了日:09月06日 著者:宮島 未奈
◾️ダンジョン飯 3巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★
紙の本で再読。やっぱり読みやすいし、画面で見ていると見落とすようなコメント書きとかにも目が行きやすい。今回はウンディーネとカエル(笑)。魔術学校のエピソードで語られるダンジョンの設計と運営の話は、今読んでいる『本好きの下剋上』にも通じるかも。そういえば、あっちも異世界の魔法植物や魔獣の料理法を開発する話でもあるな(笑)。
読了日:09月07日 著者:九井 諒子
◾️鬼滅の刃 5 (ジャンプコミックス)の感想
★★★☆
蜘蛛の話が終結。アニメは戦闘シーンだけじゃなくて、かなり膨らませてあるのがわかる。とはいえ、戦闘のシークエンスの組み方やそれを見せるコマ割りのよさも目立つ。ラスボスとの対決はアニメの方を観ているとちょっと淡白にも感じるけど、ある意味まだ物語序盤なので、このくらいの緊張感で十分とも思える。
読了日:09月07日 著者:吾峠 呼世晴
◾️【小説33巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身Ⅻ」の感想
★★★★
大団円の巻。第一部からを振り返る巻でもあり。最初から王として異世界に召喚されながら結果的に社会の底辺を見るところからスタートした『十二国記』と比べると、最初に底辺からスタートして世界の理の選ぶ王に下剋上する本作は、ある意味『十二国記』以上に過酷だったかもしれない(その要素は、主人公の行動が好転に向かう展開でだいぶオブラートにくるまれてはいるが)。最後の3巻分はそこまでの物語内の時間を読者も振り返って目頭が熱くなる箇所があちこちに。ともあれ、マラソン完走。これで他の本が読める(違)。
読了日:09月08日 著者:香月美夜
◾️鬼滅の刃 6 (ジャンプコミックス)の感想
★★★☆
蜘蛛戦の後始末から柱大集合、治療と特訓、下弦一人残して虐殺まで。下弦の印は片目にしかないとか、初めて知った設定、アニメでは敢えて言及してないのかな。
読了日:09月08日 著者:吾峠 呼世晴
◾️鬼滅の刃 7 (ジャンプコミックス)の感想
★★★★
この巻から無限列車編。煉獄さんはいいですなあ(笑)。うまい。うまい。
読了日:09月08日 著者:吾峠 呼世晴
◾️鬼滅の刃 8 (ジャンプコミックス)の感想
★★★★
表紙の通り煉獄さんの一冊。テレビシリーズ、劇場版、と待たされることなくテンポよく読むとつながりの印象が変わるところもちょっとあり。遊郭編の導入で次巻に続く。しかしこうしてみると、アニメ版もずいぶん話が進んだものだ。
読了日:09月08日 著者:吾峠 呼世晴
◾️ぼくのひみつのともだちの感想
★★★
『小さいおうち』の変奏曲とも言える一冊。お家ではなくてかつて森だったかもしれない大木が残る一角。男の子はその小さい森でひみつの友だちと遊んでいたが、ある時、再開発に手が…。
読了日:09月08日 著者:フレヤ・ブラックウッド
◾️からかい上手の高木さん (14) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★★
このあたりはだいぶアニメでも観た覚えがある。ローカルではよくあるカップルネタのジンクスのあるスポットをめぐるカップル未満の二組それぞれのリアクションから、意識しあってるけど告白に至らないそっちの二人との絡みから、西片もだいぶ自覚し始めてるのが微笑ましい。高木さんのひとり言がラストエピソードの肝。やっぱりコミックスにした時の配置かなり意識して構成してると思う。
読了日:09月12日 著者:山本 崇一朗
◾️おもいでエマノン (リュウコミックススペシャル)の感想
★★★★
電子書籍にて。やっぱりこの原作とこの絵柄のマッチングは最高だ。クロノスジョウンターあたりも、この絵柄で読んでみたくなる。
読了日:09月12日 著者:鶴田 謙二,梶尾 真治
★★★☆
瓜を破る 10 (芳文社コミックス)の感想
表紙の書影が出てから、誰? と思っていたんだけど、わかってびっくり。本書が描いてきたようなあれこれは、世代を超えた普遍的な案件をものだと示すエピソード。しかしそうか、今20代の若者の親世代ということなら、事務仕事はブラウン管モニタのパソコンでやっていてもおかしくはないんだな…。
読了日:09月13日 著者:板倉梓
◾️サンショウウオの四十九日の感想
★★★☆
冒頭から文体の人称に微妙な違和感があったけど、ちょっと読み進めて納得。萩尾望都「半神」を連想させる結合双生児の設定をさらに進めて、身体が一見一体、そのため他の臓器だけでなく脳までつながっており、意識も時に混交するという表現だった。後半に行くほど、その混交文体が効果をあげていく。別の意味で珍しい誕生症例の父と伯父の設定はピノコっぽい? その伯父の逝去から四十九日までの物語。しかしまあ、これはなるほど、芥川賞っぽい。
読了日:09月14日 著者:朝比奈 秋
◾️え、社内システム全てワンオペしている私を解雇ですか? 1 (PASH!コミックス)の感想
★★★
無料だったので読んでみた。まあ、人事と経理の皮算用では現場のことはわかりませんよ、というのは(コスプレ以外では)SE業界以外でも「あるある」だろう。引き継ぎ書で現状維持はできても、当該の業務を引き継ぎできるところまで整理できるスキルは引き継げませんよ(笑)。あと、これさえやっておけば、というシンプルな引き継ぎすら維持されずにカオスになった、ということも…
読了日:09月15日 著者:伊於
◾️ダンジョン飯 4巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★☆
紙で再読。テレビやパソコンのRPGでコマンド一発みたいな蘇生を迷宮の呪いと定義するこの作品中でも、この巻は、このパーティらしいほのぼのっぽい雰囲気の中で、そのおぞましさを描き切った、という印象を強くした。
読了日:09月15日 著者:九井 諒子
◾️かげきしょうじょ!! 15 (花とゆめコミックススペシャル)の感想
★★★★
100期生が文化祭で演じる作中オリジナル作品『リプリング』が丸ごと番外編として楽しめる親切設計。作者の初期作品が下敷き、とのことだけど、交通事故で現代から18世紀にスリップしたオペラ歌手が歌うはずだった曲の作曲家とあれこれするストーリーに、いかにも男役2番手なキャラクターの配置など、本家で舞台化してほしいくらいの演目。これがどう演じられるかを読むのが楽しみだ。
読了日:09月18日 著者:斉木久美子
◾️はてしない物語 上 (岩波少年文庫 501)の感想
★★★☆
上巻はいいところでおしまい。その、読者と本の関係が変わるシークエンスもいいけど、出来心で盗んでしまった本を読むのが止まらなくなる、その感覚がわかるような、息もつかせぬエピソードの連続。その部分が魅力的であるのが肝だろう。
読了日:09月18日 著者:ミヒャエル・エンデ
◾️からかい上手の(元)高木さん (10) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★
過去話との連携のさせ方も含めてほんわか。しかし、中学から安定した人間関係の中でまとまってる。この調子だと次の世代も?
読了日:09月20日 著者:稲葉 光史
◾️煙と蜜 第一集 (ハルタコミックス)の感想
★★★☆
『エマ』『シャーリー』の雇い主とめっちゃ仲がいい使用人たちのような関係性を大正時代を舞台に描く、みたいな感じ。当時の家屋、台所、服装などへの執拗な描写(特に軍服と装備を着用するシークエンスとか)のフェティッシュさもよき。12歳の許嫁、姫子をストイックに見守る文治さんには男でも惚れそうだ(笑)。当時の名古屋の雰囲気もちゃんと考証してそうでいい感じだが、設定から、この時代の後にはいろいろありそうで、どの時代まで描くのかも気になる。
読了日:09月21日 著者:長蔵 ヒロコ
◾️からかい上手の高木さん (15) (ゲッサン少年サンデーコミックス)の感想
★★★☆
高木さんの本気、どんどんだだ漏れ? もう、家に遊びに来て欲しくてたまらない?
読了日:09月21日 著者:山本 崇一朗
◾️SPY×FAMILY 1 (ジャンプコミックス)の感想
★★★
これもまあ、アニメの方から入って原作へ。掘り出したての原石のような『鬼滅の刃』と比べると、マンガとしての完成度が高すぎるくらいの印象。アクションもギャグもハマっていて安定感を持って楽しめる。
読了日:09月23日 著者:遠藤 達哉
◾️はてしない物語 下 (岩波少年文庫 502)の感想
★★★★
物語の中に入りこんでからはまるで地獄めぐりのような不穏な展開が続く。とはいえ、同じ読書体験をした人どうしの連帯、という点では本についての物語、一種の読書会小説とも言えるかもしれない。
読了日:09月23日 著者:ミヒャエル・エンデ
◾️中学生から知りたいパレスチナのことの感想
★★★★★
ポーランドの本を新刊も古書もテルアビブの書店からしか入手できない時代があった、というのが初めて知る事実で驚き。これは『ソラリスの陽のもとに』がロシア語版からの翻訳だった背景でもあったりするのだろうか。パレスチナの元々の住民の構成、イスラエル入植側の背景など、武力行使の源流が現在のウクライナを含む地域にあった、ということが複数の学問を組み合わせた結果として浮かび上がってくる。
読了日:09月28日 著者:岡真理,小山哲,藤原辰史
◾️ダンジョン飯 5巻 (ハルタコミックス)の感想
★★★★☆
紙の本で再読。電子書籍でも拡大して絵のタッチの細部は確認できるけど、普通に紙で読むと立体の捉え方のうまさ、魔物の生々しい描写、キャラクターたちの表情の表現が際立つ。オークの妹、すごいいいやつじゃん、とか、カブルーのサイコっぽさとか、あと、ギャグも紙で読む方がよりおかしい(笑)。ちょっと電子書籍の限界を実感した。このあたりは慣れると差が縮まったりするんだろうか。
読了日:09月29日 著者:九井 諒子
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