2023年8月に読んだ本2023年09月08日 02時42分58秒

 小説、マンガとも電子書籍比率が上がりつつあり。『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』はその意図で既刊を古本に出して買い直した。
 プラットフォームは以前のKindleからhontoにほぼシフト。密林のサイトが購入時にギフト券から支払えない上にポイントは強制的に使われる謎仕様…。もう滅多に買い物してないのでポイントはたまらないしセールも少ない。サブスクユーザー以外はいなくていいですよ、という感じか?
 hontoは連携サイトのポイントがいろいろ使えるのと、いつでも何かの割引セールがあって、期間限定割引とそのセールを掛け合わせることができるケースもあって使いやすい。

8月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:3144
ナイス数:98

ステンレス・スチール・ラット諸君を求む◾️ステンレス・スチール・ラット諸君を求む感想
★★★☆
シリーズ第4作はまたしても人類文明の危機! しかも敵は吾妻ひでおのマンガにでも出てきそうなぬるぬるぐちょぐちょのBEMの群れ!? 加えて、双子の息子たちも成長してメンバーに加わり、過去3作の設定やガジェットも意外な形で生きて、ラストはSF大道具で一気に解決か!? と思わせて意外なダメ出しが連発されるあたりがこのシリーズらしい。色々な意味でシリーズここまでで最高傑作、という解説に同意。しかしこのパルプ雑誌まがいの意図的な展開は大学時代に読んでいたら「けっ」と思ったかも(笑)。今は楽しく読めます。
読了日:08月08日 著者:ハリイ・ハリスン


ペンギンたんけんたい あやしいゆうれいせん (講談社の創作絵本)◾️ペンギンたんけんたい あやしいゆうれいせん (講談社の創作絵本)感想
★★★
カヌーみたいな船で海を探検するペンギンたんけんたい。出会うカモメ、ウミガメ、イルカがみんな怪しい(笑)。そして「行くな」と言われるとつい行きたくなるよね(笑)。最後まで怪しかった(笑)。
読了日:08月12日 著者:斉藤 洋,高畠 純


マルスさんとマダムマルス◾️マルスさんとマダムマルス感想
★★★☆
作者が1972-1973年ごろに滞在してというノルマンディーあたりでの寸景を25年後に絵本としてまとめたという原著を、さらに25年の時を経て復刻したという不思議な因縁を感じる一冊。現地での大家さん夫妻とおとなしい飼い犬、出会った人たちの思い出が抑制された短い文章で語られる。味わい深い。
読了日:08月12日 著者:ささめや ゆき


ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)◾️ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)感想
★★★☆
新刊が出るたびに再読。けっこう入り組んだこの世界の設定がなかなか頭に定着しない(笑)。そうだったそうだった、そういう話でそういう展開でそう次に引いてるんだった。最近、小説もマンガも続刊が出る時には既刊の内容が頭に残ってないことが多いのは老化現象なんだろうなあ…(そうそう、長くなりそうなので紙の本は手放して電子書籍で買い直した)
読了日:08月14日 著者:小川 一水


ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-35)◾️ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-35)感想
★★★☆
まったく記憶力の減退ぶりに眩暈がするほどだけど、各巻、昏魚の特性を原理から考え直して、経験的に行なわれていた漁を超える漁法を編み出す、という点は共通している。観察の重要性、という点では「科学の方法」を描くハードSFになっているあたりが上手い。さあ、内容忘れないうちに3巻へ(笑)。
読了日:08月17日 著者:小川 一水


超人ロック ブレインシュリンカー/不死者たち (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック ブレインシュリンカー/不死者たち (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
今では正規の年表外の番外編?扱いとなっているらしい探偵リュウ・ハントのシリーズ。最初に読んだのは『コズミック・ゲーム』目当てに買ったビブロス文庫版で同じ巻に併録されていたもの。やっぱり単独で読んだ方がしっくりくる。不死であることの意味をロック以外の不死者の立場から光を当てるラストがけっこう味わい深い。
読了日:08月19日 著者:聖 悠紀


ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 3 (ハヤカワ文庫JA)◾️ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 3 (ハヤカワ文庫JA)感想
★★★☆
片道で逃げて行った先の世界で初めて見る/触れる多様な社会(2作目までからの予想以上に多様)を描きつつ、二人が「漁師」のスキルを活かす道を見つけていく…という中盤あたりの設定だけでも何冊も巻を重ねられそうなところ、終盤でまたいろいろ明かされてジェットコースターのような展開。この詰め込み過ぎなあたりが新刊が出ると前巻までの内容が抜けていた理由でもあるかもしれない。とはいえ、今回の種明かしはだいぶ頭に残りそうだ。あと「百合」要素がこれまでのような私的なものから本シリーズのSFテーマそのものに。なるほど百合SF?
読了日:08月21日 著者:小川 一水


ステンレス・スチール・ラット大統領に (1984年) (サンリオSF文庫)◾️ステンレス・スチール・ラット大統領に (1984年) (サンリオSF文庫)感想
★★★
主人公一家が独裁者の支配するリゾート惑星からの救助要請に応えようと乗り込むが、今度の題材は民主主義的選挙!? 大統領選とそれをめぐる不正が題材の本作は今読んだ方がいろいろ感じるところあるかも。事実は小説より奇なり、というより、小説より陳腐だ。本作でジム一行が救うのは惑星ひとつで、まさに世界を救ってきたこれまでの作品と比べると小粒感はあるものの二転三転の展開はいつも通り楽しめる。とはいえシリーズ一貫してリアル翻訳出版時の年齢で読んだら「時間の無駄」と思ったかも。SFファンとして枯れてからの方が楽しく読める。
読了日:08月22日 著者:ハリイ・ハリスン


超人ロック 猫の散歩引き受けます Locke The Superman Take Care of Cat Walking (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック 猫の散歩引き受けます Locke The Superman Take Care of Cat Walking (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
リュウ・ハントシリーズ2冊目。一惑星を舞台に超人ロックらしい適度なスケール感の権謀術数をハントとロックを狂言まわしに軽妙に語る。ロック本編だけだと読めない「ペアペアライサンダー」的な作風でよい。とはいえ、コンビ組んで数百年一緒にいるという設定だと、確かに年表外に位置付けるほかないか…?
読了日:08月26日 著者:聖 悠紀


青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★☆
今回は表紙の通り実験室の白衣ヒロインの巻。一貫して、思春期らしい身近な心の(やや重めの)問題と、それに付随して起こる不思議現象を観測者問題の援用でつなげるアイデアが特徴の本作だが、今回はそう来たか!? という感じ。とはいえ、自傷的な行為の描かれ方がけっこう生々しいのは今の時代故か。大学時代に「なぜこの面子?」という関係性が不思議と出来上がって、あちこち行って朝までファミレス、みたいな遊び歩きをしていた時期がほんの一時期あったのを懐かしく思い出した。
読了日:08月28日 著者:鴨志田一


地図と拳◾️地図と拳感想
★★★★
読み始めは上田早夕里の上海三部作みたいな虚実取り混ぜたポリティカルフィクションかと思って、そういう要素も皆無ではないけど、まずは第2章でひっくり返る(笑)。「名人伝」的仰天エピソードを経て、「地図と拳」というタイトルに込められた意味が徐々に浮かび上がってくる。前半過ぎたあたりでマジックリアリズムな予感が強まり、まさにそのように幕を閉じた。一つの街とそこに暮らす人々が興り、消え去るまでの物語。
読了日:08月31日 著者:小川 哲


青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★
今回は思春期症候群で起こった現象の量子論的解釈がちょっと苦しいように思ったけど、まあ、もともと作中起こる不思議な現象を量子論とのアナロジーで理屈づけて納得しよう、というコンセプトではあるので、このくらいは許容、ということで(笑)。…と、言いたくなるくらい、今回は不思議な現象というより思春期らしいココロの問題そのものにウェイトを置かれた展開。まさにその部分に対して、今の世代の読者の共感度が高く、納得感もあるのがこのシリーズの人気のもとでもあるのだろう。
読了日:08月31日 著者:鴨志田一

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