2021年12月に読んだ本2022年01月05日 19時22分31秒

 クリスマスっぽい絵本を読みつつ、フォロー中のシリーズものも読みつつ、年末は温故知新の要素も。今年は例年より読書冊数だけは多いのでは? 絵本比率高いけど(笑)。

12月の読書メーター
読んだ本の数:29
読んだページ数:2955
ナイス数:124

播磨国妖綺譚◾️播磨国妖綺譚感想
★★★
播磨国に住む薬師の兄と怪異を見る力をもつ弟が、妖怪や神の想いを汲んで解決策を考える、という構成のオムニバス。全体にポジティブな多幸感に包まれる、これまでの上田早夕里作品からするとちょっと意外にも感じる一冊。シリーズとして続刊するんだろうな。
読了日:12月03日 著者:上田 早夕里


シャーロック・ホームズの帰還◾️シャーロック・ホームズの帰還感想
★★☆
例の全集版に懲りて?こちらは新潮文庫版にて。滝へ消えたはずのホームズが…という話から始まって、今度こそ終わらせようとしたら、ワトスンが事件名だけ書いて発表してないものが読みたいという声に押されて「第二の汚点」を追加した、というあたりが作者の手を離れた人気ぶりを思わせて味わい深い。とはいえ、今巻あたりになるとバディものキャラクター小説的で、探偵小説的にはちょっとアンフェアっぽい? このあたりも作者と読者とのリアルせめぎあいが後世の視点では感じられる。
読了日:12月04日 著者:コナン・ドイル 延原 謙


おばけやしきへようこそ!◾️おばけやしきへようこそ!感想
★★★☆
森の奥にあるおばけやしきは人が来ることもなく、魔女たちやおばけたちはすることがない。そこへ迷子の女の子が…。とぼけた味わいの絵本。それにしても、この女の子、ただものではないのでは…?
読了日:12月04日 著者:キッキ ストリード


ゆきのひ―キーツの絵本 (新訳えほん)◾️ゆきのひ―キーツの絵本 (新訳えほん)感想
★★★☆
1963年の作とのこと。切り絵、貼り絵を駆使して主人公の黒人の男の子、その真っ赤なふく、白い雪の対比や、散りばめられた雪の結晶が見ていて飽きない。
読了日:12月04日 著者:エズラ=ジャック=キーツ


みまわりこびと (講談社の翻訳絵本)◾️みまわりこびと (講談社の翻訳絵本)感想
★★★☆
昔から農家に住みついている小人さんが冬の夜、農家のあちこちを見回りする。日本でいえば座敷童子? お話自体はリンドグレーンが1960年に書いていたものに、リンドグレーン賞を2010年に受賞した絵本作家が絵を描いて2012年に出版されたらしい。確かに、ざっくりしたペンタッチはリンドグレーンが存命ならお好みの画風だったかも。
読了日:12月04日 著者:アストリッド・リンドグレーン,キティ・クローザー


いろいろ こねこ (講談社の翻訳絵本)◾️いろいろ こねこ (講談社の翻訳絵本)感想
★★★
こねこのペンキ屋さんが思いのままにいろいろな色を作り出していく。見ていても楽しいが、三元色からいろいろな色ができることを楽しく学べる。
読了日:12月04日 著者:マーガレット・ワイズ ブラウン


きょうというひ◾️きょうというひ感想
★★★
雪の積もる日、身につけるものを編んで、雪でかまくらを作ってその中にロウソクを灯していく。切り絵の味わいがいい。
読了日:12月08日 著者:荒井 良二
さなぎ (ハヤカワ文庫 SF 325)◾️さなぎ (ハヤカワ文庫 SF 325)感想
★★★★
破滅SF作家の印象が強いジョン・ウィンダムが、破滅して数百年?経った、文明の退行した世界を舞台に描くミュータントテーマ。バッドランドと言われる全面核戦争の傷痕と思われる土地を避け、その影響による外見上の偏倚があらゆる動植物に蔓延する中、正常な形の人間、動植物にこだわった生活を続ける集落で、主人公は身体の偏倚ではなくテレパスを持って生まれてきたのだが…。視覚的、抒情的な描写と容赦のない展開が物語に古びない説得力を与えている。
読了日:12月09日 著者:ジョン・ウィンダム

ミステリと言う勿れ: ミニカレンダー2022付き限定版 (10) ([特装版コミック])★★★☆
ミステリと言う勿れ: ミニカレンダー2022付き限定版 (10) ([特装版コミック])
感想
今回は小児連続殺人事件をめぐるけっこう入り組んだ話が途中からだったので、前巻のエピソード冒頭から通読。一見つながりのない人物どうしが話になって、徐々に明かされる真相。命に関わる事態がリアルタイムで進行する緊張感、犯人の意外性など、読み応えのある巻だった。
読了日:12月11日 著者:田村由美


ロボットには尻尾がない 〈ギャロウェイ・ギャラガー〉シリーズ短篇集 (竹書房文庫 か 18-1)◾️ロボットには尻尾がない 〈ギャロウェイ・ギャラガー〉シリーズ短篇集 (竹書房文庫 か 18-1)感想
★★★★★
泥酔した時だけ驚異的な発明品を作ってしまうギャロウェイ・ギャラガー。マッド・サイエンティストものかと思いきや、特許や裁判が重要な役割を果たす法廷SFでもあり、哲学や神学も含め、ロジックの飛躍を楽しむシリーズ。と、そんなことはさておき、酔った時のことを覚えていないギャラガーや、他のキャラクターとの噛み合わない会話がまずおかしい。ネタが科学っぽいガジェットにない分、今読んでも十分楽しめる。
読了日:12月12日 著者:ヘンリー・カットナー


ミシュカ◾️ミシュカ感想
★★★☆
持ち主の女の子のわがままぶりに家出したクマのぬいぐるみのミシュカ。森を旅する中で出会ったのは…。ぬいぐるみとしての自分のあり方を自分で決めようとするミシュカに幸あれ。
読了日:12月12日 著者:マリイ コルモン


クリスマスってなあに?◾️クリスマスってなあに?感想
★★★★
もともと挿絵画家でクリスマスカードの仕事もしていたという『思い出のマーニー』作者の描いたクリスマスのすべてを教えてくれる絵本。躍動感のある子どもたちの姿がなんともいい。三色刷りが面白い効果をあげている。
読了日:12月12日 著者:ジョーン・G・ロビンソン


サンタさんからきたてがみ◾️サンタさんからきたてがみ感想
★★★
タイトルがプチネタバレ(笑)? ねずみのゆうびんやさんがうっかり落としちゃって宛名がにじんで読めなくなった手紙は、実は…。ほんわかしたおはなし。
読了日:12月17日 著者:たんのゆきこ


クリスマスのおかいもの (講談社の創作絵本)◾️クリスマスのおかいもの (講談社の創作絵本)感想
★★★
もみのきマンションに暮らすうさぎ、きつね、あひる、りすがクリスマスの準備でお買いものに出かけた先のお店の様子がとにかく楽しい。その昔観光でロマンチック街道を回った時に立ち寄ったローテンブルクの街をちょっと思い出した。
読了日:12月17日 著者:たしろ ちさと


クリスマスをみにいったヤシの木 (児童書)◾️クリスマスをみにいったヤシの木 (児童書)感想
★★★
さばくで老コウノトリからクリスマスの話を聞いたヤシの木が海を渡りクリスマスのある土地を目指す。なんだそれは、という設定だけど、独特の味わい。画風は長新太とかそのあたりを連想させるナンセンス風でお話に合っている。
読了日:12月17日 著者:マチュー シルヴァンデール


こひつじクロ (あたらしい世界の童話)◾️こひつじクロ (あたらしい世界の童話)感想
★★★☆
原著は1985年、邦訳は1993年だが、邦訳された年には著者は故人だったとのこと。ざっくりしたペンタッチのユーモア絵本。まわりじゅうまっしろなひつじばかりの中、たった一匹のくろいひつじ。自分でもみそっかすと思っていたけど…。現在の視点なら、多様性の肯定とも取れるラストまで味わいがある。それにしても、ひつじをほっといて寝ちゃうおじいさんと犬には猛省を促したい(笑)。
読了日:12月18日 著者:エリザベス ショー


わたしのマントはぼうしつき◾️わたしのマントはぼうしつき感想
★★★★
ちょっとリアル寄りのくま、うま、ねこの表情、表情のある目の力がいい。キャンバス地の雰囲気を活かしたタッチも色彩のコントラストもいい。同じフレーズの繰り返しは読み聞かせ向きかな?
読了日:12月18日 著者:東 直子


恐怖の谷 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 75‐8))◾️恐怖の谷 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 75‐8))感想
★★☆
ホームズもの最後の長編はハヤカワ文庫版にて。初長編『緋色の研究』と対になるような2部構成だが、面白く読めるのは裏社会ものの趣きの第二部かな。本筋の謎解きのはずの第一部とエピローグがいずれもとってつけたように感じる。ともあれ、ここまで来たら最後まで完走したい所存。
読了日:12月19日 著者:アーサー・コナン・ドイル


裏世界ピクニック7 月の葬送 (ハヤカワ文庫JA)◾️裏世界ピクニック7 月の葬送 (ハヤカワ文庫JA)感想
★★★★
裏世界とのインターフェースが怪談、という設定は前作までにもあったが、それにハッキングを仕掛ける、というアイデアに驚かされた。元ネタの多くががネットロアでありつつ、『ストーカー』の設定を引用した本作だが、今回のアイデアはそれらをSFの方法論で取り扱った到達点と感じた。物語的にも、ここまでのストーリー、登場人物を活かしきったひとつの到達点だろう。冒頭語られる文化人類学のアプローチ方法も研究者視点から見て興味深い。参考文献の著者コメントまで含めて、サブタイトルを象徴する作品になっていると感じられる。
読了日:12月20日 著者:宮澤 伊織


クリスマスのあかり チェコのイブのできごと (世界傑作童話シリーズ)◾️クリスマスのあかり チェコのイブのできごと (世界傑作童話シリーズ)感想
★★★☆
アドベントカレンダーから始まる、チェコのクリスマスのおはなし。チェコではサンタクロースじゃなくてちいさまイエスさまが贈りものを配るのか!?
読了日:12月25日 著者:レンカ・ロジノフスカー


ヨルガオ殺人事件 上 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫)◾️ヨルガオ殺人事件 上 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫)感想
★★★☆
人気ミステリ作家の最後の作品をめぐる入子構造の『カササギ殺人事件』、まさかの続編。前作で酷い目にあって、ギリシアのホテル経営に転身していた編集者のもとに、同作家の過去作が英国のとあるホテルで起こった失踪事件のキーになっているらしい、という探偵依頼が舞い込む。死んでまで迷惑な作家だな(笑)! 出てくる人物全員が何かしらいかがわしいのは前作共通。表紙、扉から、翻訳書らしい原書の書誌情報まで再現した装丁の工夫にはちょっとクスリ(笑)。
読了日:12月25日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ


クリスマス◾️クリスマス感想
★★★☆
黒と緑と赤の三色印刷でシンプルな仕上がりのキュートな絵本。まずイエスの誕生から話が始まるのでキリスト教説話絵本?と思わせて、いきなり北欧神話のオーディンとかもともと12月に各地で行なわれていた土着のお祭りの起源から、それらがクリスマスに統合されていった過程を丁寧に説明する。実は硬派な、なかなかためになる絵本。
読了日:12月25日 著者:バーバラ クーニー


しずかな、クリスマスのほん◾️しずかな、クリスマスのほん感想
★★★☆
動物たちが家族連れでクリスマスに集まって大きなツリーに飾りつけをして、子どもたちが劇を演じてパーティを開いて、おうちに戻り、やがて朝をむかえるまでをしずかにしずかに描いた絵本。「〜しずか」「〜しずかさ」という繰り返しのフレーズで進むのもいい。これも読み聞かせ向き?
読了日:12月25日 著者:デボラ アンダーウッド


フランソンのさむい冬の日◾️フランソンのさむい冬の日感想
★★★
ダンボールハウスに暮らす猫のフランソン。クリスマスの近い雪の日の朝にお散歩していて気がつけばセーターがほどけて一本の毛糸に…。その毛糸が引っ張られる方にどんどん行った先には…? 心温まる一冊だが、発端がダンボールハウスというあたりは現代っぽい?
読了日:12月25日 著者:セシリア・ヘイッキラ


クリスマスのちいさなおくりもの (こどものとも絵本)◾️クリスマスのちいさなおくりもの (こどものとも絵本)感想
★★★☆
ねこのおばさんが、おうちのクリスマスの準備ができてないことを気にしたねずみたちにほだされてパイ、ケーキからツリーまで、完璧な準備を始める。準備万端の夜、やってきたのは…。
読了日:12月25日 著者:アリソン・アトリー


みならいサンタ◾️みならいサンタ感想
★★★★
クリスマスなので再読。いや、何回読んでもかあいい。
読了日:12月25日 著者:そのだ えり


マーガレットとクリスマスのおくりもの◾️マーガレットとクリスマスのおくりもの感想
★★★★
クリスマス再読。サンタクロースになりたくて、近所の人たちにささやかな贈りものをしていたマーガレットの前に、謎のくるみ割り人形が現れ、トナカイならぬ鳥の背に乗って、贈りものを配る旅が始まる。何度読んでもかあいい。
読了日:12月25日 著者:植田 真


さようなら、ロビンソン・クルーソー (1978年) (集英社文庫)◾️さようなら、ロビンソン・クルーソー (1978年) (集英社文庫)感想
★★★★
アイザック・アシモフズ・SFマガジンの最初の一年間から選りすぐったアンソロジーの一冊目。小松左京とかんべむさしが架空対談形式で各編の紹介をしながら進行するが、その内容がプチネタバレっぽかったり、内輪受けっぽかったりして、このアンソロジーの本来の読者はこういうノリは当時としても求めてなかったのでは、という気もする。表題作は文句なしとして、アシモフ「美食の哀しみ」は化学、味覚、嗅覚ネタで、個人的には今の自分の食品系の研究者の経験踏まえて読んだ方が味わい深い一編。ロードムービー風のディクスン「時の嵐」も好み。
読了日:12月29日 著者:


気球に乗った異端者 (1979年) (集英社文庫)◾️気球に乗った異端者 (1979年) (集英社文庫)感想
★★★★☆
当時は図書館でしかSF読んでない中学生だったのでこのアンソロジーは出版時存在を知らなかった(大学入って買い揃えた)んだけど、スターウォーズ公開後のSFブームとはいえ、1977年に創刊して絶好調のアシモフズSFマガジンの最初の一年間の傑作選が1978、1979年に集英社文庫から出た、というのは事件だったんだろうなあ(2巻目の出る前に同誌特約でSF宝石も創刊されてる)。ベストはポール・アンダースン「ジョエル」、次点は表題作かな。それにしても名義貸し編者の架空対談、今読むとホントなくていいよ…(当時でも?)。
読了日:12月31日 著者:

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