2021年11月に読んだ本2021年12月01日 19時37分05秒

 絵本は相変わらずながら、小説の方は、なんとなく懐古モードに入りつつある読書傾向?

11月の読書メーター
読んだ本の数:22
読んだページ数:3638
ナイス数:99

きげんのいいリス◾️きげんのいいリス感想
★★★★
前に読んだ『だれも死なない』の増補新訳版。前版ではなんと8編訳されていなかったとは!? それだけでなく、前版では同じ設定(出てくる動物たちは同じ大きさ、同じ動物はいない、だれも死なない、など)の独立した短編を集めた短編集っぽかったが、章番だけ付されて一冊になっていると、断章というより、同じ世界のひとつの物語に感じる。実際、ラストの数編の余韻はオムニバスよりまとまった長編の終盤という印象を受けた。個々のエピソードは読んだ覚えあるものばかりなのに、編集、構成というのは面白い。
読了日:11月03日 著者:トーン テレヘン


こねこのプーフー 10 リサとガスパールにあったよ!◾️こねこのプーフー 10 リサとガスパールにあったよ!感想
★★★
読んでいなかった『こねこのプーフー』シリーズ。なんと同じ著者の『リサとガスパール』とコラボ……といっても、キティちゃんとも共演しているリサとガスパールならなんでもあり? とはいえ、主人公のプーフー、『リサとガスパール』シリーズの愛読者という設定だったりするのかな?
読了日:11月03日 著者:アン ハレンスレーベン,ゲオルグ ハレンスレーベン


たまごのはなし◾️たまごのはなし感想
★★★★
長い間、台所に転がっていたたまごに自意識が芽生えた!? マシュマロを相棒に、台所から家の中へのおさんぽが、今、始まる!? どこかずれたふたり?と家の中のさまざまなものたちとの(時に哲学的な?)やりとりが、そういえば、ひとつ前に読んだ『きげんのいいリス』のリスとアリにもちょっと通じるところがあるかも。
読了日:11月04日 著者:しおたにまみこ


ライブラリー・ツインズ ようこそ、月島大学図書館へ◾️ライブラリー・ツインズ ようこそ、月島大学図書館へ感想
★★★
双子の中学生姉弟、附属中学に内部進学があぶない姉の内申点のため、大学図書館のホームカミングデーのお手伝いボランティアに挑む、というお話。割とベタだし、ふたりともケンカしてもすぐに仲直りするいい子すぎるところはあるけど、製本、印刷をネタにトントンと進むお話が将来を感じさせるあたりはわかっていてもちょっとじんわり。
読了日:11月07日 著者:日野 祐希


絵本のいま 絵本作家2021-22 (イラストレーションファイル)◾️絵本のいま 絵本作家2021-22 (イラストレーションファイル)感想
★★★
普通に絵本ガイドのつもりで読み始めたけど、これは絵本作家(候補)と編集者、バイヤー、出版営業、書店などの絵本を送り出す側の人たち向けのガイドブックだったようだ。知らない絵本作家さんがまだまだこんなに! コロナ禍での業界の試行錯誤の事情も語られ、ある意味、後世には貴重な資料となるのかもしれない。読んでみたい絵本がまたちょっと増えた。
読了日:11月09日 著者:


夢魔のふる夜 (ハヤカワ文庫JA)◾️夢魔のふる夜 (ハヤカワ文庫JA)感想
★★★☆
文庫化前の新鋭書き下ろしSFノヴェルズ版にて。ケプラーを主人公にチコ・ブラーエやガリレオが惑星軌道の謎に挑みつつ、次第に我々の知る歴史から逸脱していく物語が、時空を超えた意識進化へと至る。現代編、未来編のカットバックにやや荒削り感はあるものの、描かれる遺伝子関連のアイデアが現代でも古びていない(一部、実用化されつつあるものも!)のは驚き。エピローグを読んで、その前の数章を読み返すと不思議な余韻が。編集部後書きで非ハードSFと評されているけど、これ、バイオ系の観点ではかなりハード寄りの作品じゃなかろうか。
読了日:11月13日 著者:水見 稜


凍った宇宙 (1973年) (SF少年文庫〈27〉)◾️凍った宇宙 (1973年) (SF少年文庫〈27〉)感想
★★★☆
読んだのは岩崎書店の少年少女宇宙科学冒険全集版(全24巻の19巻)。そちらも表紙、口絵、本文イラストは武部本一郎だが、作中、宇宙ステーション間を遊泳で移動している最中の危機シーンをダイナミックに描いている。物語は海王星方面からの謎の宇宙船が人類の精神を狂わせ、地球と火星植民地間で戦争が起こる中、その原因を求めて一機の高速宇宙船で科学者とパイロットが冒険の旅に出る。原水爆を超えるサレ光線という超兵器が抑止力となる状況下での全面戦争危機という物語背景は原著が書かれた1955年という時代を感じさせる。
読了日:11月14日 著者:武部 本一郎,パトリック・ムーア


白土三平選集 9 忍者旋風 1 (白土三平選集 新装版 9)◾️白土三平選集 9 忍者旋風 1 (白土三平選集 新装版 9)感想
★★☆
読んだのは汐文社ホーム・コミックス版の「現代マンガ作家選集◯白土三平」と題した叢書の全4巻で。赤子の時期にオオワシにさらわれた主人公は風魔の頭領の息子として凄腕の忍者となっていたが、なりゆきで天下を左右するとされる巻物「竜煙の書」をめぐる争奪戦のプレイヤーとなる。時代は本能寺の変を挟み、秀吉、家康、風魔、伊賀、甲賀などの忍者たち、石川五右衛門、柳生家まで巻き込んだ物語だが、カットバックを入れ込む時に作者の言い訳っぽくも読める解説文が長々と入るあたりは作劇手法、マンガ手法の試行錯誤の時期ゆえか。
読了日:11月16日 著者:白土 三平


白土三平選集 10 忍者旋風 2 (白土三平選集 新装版 10)◾️白土三平選集 10 忍者旋風 2 (白土三平選集 新装版 10)感想
★★☆
世の中を変える秘密と忍者、という組み合わせは『カムイ伝』っぽくもあり、柳生家まで出てくるいくつ巴かわからない群像抗争劇は『カムイ外伝』の「忍風」編も思わせる。とはいえ、まだまだ荒削りではある。ホーム・コミックス版で面白い構成なのは、短くて収録しにくい女忍者の短編「目無し」全4回を各巻の巻末に収録しているところ。スガルと呼ばれる女忍者の誕生編的な物語。これも後の「スガルの島」に結実したのかな。
読了日:11月16日 著者:白土 三平


おじいちゃんのたびじたく (世界の絵本コレクション)◾️おじいちゃんのたびじたく (世界の絵本コレクション)感想
★★★
なんというか、タイトルだけでもどういうお話かわかると思うんだけど、こういう絵本はひとつひとつ、細かいところが味なんだよねえ…
読了日:11月18日 著者:ソ・ヨン


バーナバスの だいだっそう◾️バーナバスの だいだっそう感想
★★★
かんぺきなペットを提供するパーフェクトペットのお店の地下深くにある製造工場。そこではかんぺきに仕上がらなかった失敗作の部屋が。はんぶんネズミではんぶんゾウのバーナビーは、ゴキブリのピップの話を聞いて外の世界に憧れ、仲間たちと一緒にだっそうを試みる。ピクサーの3Dアニメにでもありそうな雰囲気の楽しい絵本。
読了日:11月18日 著者:ファン・ブラザーズ


野呂邦暢 古本屋写真集 (ちくま文庫)◾️野呂邦暢 古本屋写真集 (ちくま文庫)感想
★★★☆
諫早市から時折上京するたびに撮影してきたらしい古い古本屋の写真を集めた写真集。盛林堂から出てすぐ完売したという原著に、野呂氏の古本愛あふれるエッセイと編者の対談まで収めた決定版。神保町の写真が味わい深い。偶然ながら、この本を三省堂で買い求めて、神保町のタワーマンションの一室で読むというのも不思議な縁だ。妻が高校時代バイトしていた時期の明倫館は、本書の写真の姿そのままだったという。
読了日:11月22日 著者:野呂 邦暢


新版 いっぱしの女 (ちくま文庫)◾️新版 いっぱしの女 (ちくま文庫)感想
★★★★
集英社文庫コバルトシリーズを少女小説としてジャンル化したと言っていい氷室冴子がバブル期前後に上京して、特に男女の(今でいう)ジェンダー・ギャップの中でつらつらと考えたことを綴ったエッセイ。時にユーモラス、時にやるせなく、時に辛辣。小説作品も久しぶりに再読したくなった。
読了日:11月24日 著者:氷室 冴子


くるみわり人形◾️くるみわり人形感想
★★★
絵本の内容より、抄訳が中井貴惠で、絵本読み聞かせや翻訳をされている、というのが、どこかで読んだかもしれないけど念頭になかったのでちょっと驚く。あと、『くるみわり人形』のストーリーがうろ覚えだったので、なかなか新鮮に楽しめた。
読了日:11月25日 著者:E.T.A. ホフマン


とうみんホテル グッスリドーゾ◾️とうみんホテル グッスリドーゾ感想
★★★
三羽のうさぎが冬の間だけ営むとうみんホテル。人間界で言えばスキー旅館的な業態か? 冬の間ぐっすりどうぞ。ちょっと、昔、スキー場のゲレンデ内のスキー旅館を営んでいた年長の友人のことを思い出した。その友人も旅館も今はなく、スキーもしなくなって久しい…
読了日:11月25日 著者:かめおか あきこ


アイヌのむかしばなし ひまなこなべ◾️アイヌのむかしばなし ひまなこなべ感想
★★★☆
アイヌの昔話をほんわかしたタッチで絵本に。『ゴールデンカムイ』の副読本にもなるかな。
読了日:11月25日 著者:萱野 茂


ぼくといっしょに◾️ぼくといっしょに感想
★★★☆
細密なタッチで描かれる一人の少年のおつかい。お母さんに頼まれたリンゴを無事に買って、友だちとの約束の川遊びに行けるのか!? その道中には危険がいっぱい!? 俯瞰で描かれる細密なご近所の絵にはちまちまと仕掛けがあって、何度でも楽しめる。ちょっと安野光雅の『旅の絵本』を連想させる。
読了日:11月25日 著者:シャルロット・デマトーン


ほんやねこ (講談社の創作絵本)◾️ほんやねこ (講談社の創作絵本)感想
★★★☆
本屋を営むねこが店じまいしてお散歩へ。うっかり窓を閉め忘れたら、絵本の登場人物たちが風に飛ばされて街のあちこちえへ…。そんなバカな(笑)。お散歩しながらみんなを回収していくほんやねこ。昔でいえばヘタウマっぽい、不思議な味わい。
読了日:11月25日 著者:石川 えりこ


こねこのウィンクルとクリスマスツリー (日本傑作絵本シリーズ)◾️こねこのウィンクルとクリスマスツリー (日本傑作絵本シリーズ)感想
★★★☆
お母さんねこと三匹のこねこたち。おうちの人が飾ったクリスマスツリー。おかあさんには触っちゃダメと言われたけど、興味しんしんのウィンクルは夜中にこっそりツリーを登り始める…。その後は、そんなバカな、それでいいのか、的な展開もありつつ、最後は「よかったね」? キャッツアイのようにキレイに描かれる(話が逆?)ねこたちの目に味わいがある。
読了日:11月25日 著者:ルース・エインズワース


わたし、パリにいったの◾️わたし、パリにいったの感想
★★★★
一家でパリにいたことのある、とある家族。当時のアルバムを見ながらおねえちゃんが思い出話をするのが定番。そのうち、おねえちゃんの話を覚えちゃったのか、いもうとがパリでの出来事を話し始めるんだけど…。先日読んだ『リサとガスパールにあったよ」みたいなお話かと思ったら…。そう、このご一家は、確かにみんなでパリにいた…のかもしれない??
読了日:11月26日 著者:たかどのほうこ


カミサマはそういない◾️カミサマはそういない感想
★★★★
基本的に、表題の通り救いのない設定で救いのない物語が一見ランダムに収められた短編集。イヤミス的短編「伊藤が消えた」に始まり、地獄めぐりの「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」。古風な寓話の趣の「朔日晦日」。静かな終末SF「見張り塔」。ネットストーカーに材を取った「ストーカーVS盗撮魔」。プリースト的な不条理な時間を思わせる「饑奇譚」。科学が発達しなかったオーシャンクロニクル的世界の子供たちを描く「新しい音楽、海賊ラジオ」にささやかな救いを描いて〆る構成もいい。個人的にはこれまで読んだ深緑野分でベストかも。
読了日:11月27日 著者:深緑 野分


SFマンガ傑作選 (創元SF文庫)◾️SFマンガ傑作選 (創元SF文庫)感想
★★★★☆
なにもかもみな懐かしい…。日本のSFマンガのマスターピース的な作品を網羅した大ボリュームの一冊。しかし、萩尾望都「あそび玉」に加え、佐々木淳子「リディアの住む時に」まで収録されていると、東京創元社というより東京三世社!? あの頃、東京三世社と奇想天外のA5版のマンガ雑誌が、雑多な普通のマンガ雑誌の中に埋もれていた作品、マンガ家をモデルケースにした活動が後に与えた影響は大きかったと今にして思う。
読了日:11月30日 著者:

読書メーター

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://k-takoi.asablo.jp/blog/2021/12/01/9444711/tb