2020年12月に読んだ本2021年01月01日 13時46分46秒

 12月はなんだか絵本、児童文学系ばかり。一見冊数は多いけど、読んだページ数はだいぶ控えめ(笑)。
 とは言ったものの、その読んだ本のおかげで、キース・ロバーツ『モリー・ゼロ』の序盤、〈ブロック〉でモリーたちが観ていた蒸気機関車に子どもたちがペチコートを振る、という古い映画が何なのかわかったのは収穫。1970年の映画で、児童文学『鉄道きょうだい』が原作の、邦題『若草の祈り』でした。
 まあ、来年も児童文学系中心になりそうな気がするけど、2020年はこんな年でした。

12月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:2027
ナイス数:110

世界で読み継がれる子どもの本100◾️世界で読み継がれる子どもの本100感想
★★★★
これはすごい。ペローに始まり、外せない児童文学を網羅しつつ、ネット時代の作品まで含めて、『怪物はささやく』まで、100冊の本を編集サイドがまずセレクト。それをサイエンスライターの著者が単なるあらすじや作家紹介にとどまらず、調べ上げた事実をベースに独自の切口で、各々3ページで紹介する職人芸。知らなかった作品への興味、知らなかった意外な事実など、本書を入口、ハブとして世界の(主に英国の?)児童文学をこれから楽しみ続けていくための良質のガイドブック。
読了日:12月05日 著者:コリン・ソルター


くんちゃんのだいりょこう◾️くんちゃんのだいりょこう感想
★★★
子熊のくんちゃん、冬になったので南に向かう渡り鳥たちの話を聞いて、鳥さんたちを追いかけて大旅行に…。さて、その大旅行の顛末は…??? たぶん、わかっていて子どもにやらせてみるお父さんお母さんがいい味出してる。
読了日:12月05日 著者:ドロシー・マリノ


くんちゃんとふゆのパーティー◾️くんちゃんとふゆのパーティー感想
★★★
子熊のくんちゃんは雪が見てみたい(いつも冬眠しちゃうからちゃんと見てない?)。お父さんがよそのお手伝いに行っている間に降ってきて積もる雪、雪ぐまを作るのは楽しいけど、困ってる動物たちがいるみたい…? こちらもかあいらしい、クリスマスに合いそうなお話なのだが、オチ?が「だいりょこう」と同じなのにはクスッとさせられる。
読了日:12月05日 著者:ドロシー・マリノ


ちっちゃな サンタさん◾️ちっちゃな サンタさん感想
★★★
子どもくらいのサンタさんが空から降ってくる。トナカイもいない。袋も持ってない。かわいそうに思った女の子は…。かあいらしくて、ほっこりする一冊。
読了日:12月05日 著者:ガブリエル バンサン


首里の馬◾️首里の馬感想
★★★☆
なるほど、馬が出てくる。なるほど、舞台は沖縄だ。でも、それ以外はタイトルからは予想もできない不思議な設定。世界の片隅と、記憶と記録と知識についての、ささやかな物語。
読了日:12月09日 著者:高山羽根子


100年の旅◾️100年の旅感想
★★★
著者がいろいろな年齢、いろいろな国の、いろいろな人に「人生で学んだこと」を聞いて、それぞれの一言に見開きの絵をつけ、0歳から99歳までの100年の人生に再構成した一冊。ざっくりしたパステル調の極彩色で描かれたイラストに味がある。表紙はそれぞれのイラストのワンポイントを縮小して散りばめてある。ドイツの人なので翻訳されていない書き文字は(英語もあるけど)ドイツ語が多い。イラストに登場するクルマは初代ゴルフ? 後、なんかマジンガーZもチラッと出てきてた。
読了日:12月10日 著者:ハイケ・フォーラ


フジモトマサルの仕事 (コロナ・ブックス)◾️フジモトマサルの仕事 (コロナ・ブックス)感想
★★★★
この印象的な絵はあちこちで目にしていたが、単著や共著、マンガ作品はちゃんと読んだことがなかった。世の中にはまだまだ面白いものがある。2015年に亡くなった氏の足跡、人生までも俯瞰できる一冊。こんな面白い人がもういないのか、しかも年下か、読みながら、楽しみながら、色々なことを感じてしまう時間だった。
読了日:12月12日 著者:


こたつ (日本傑作絵本シリーズ)◾️こたつ (日本傑作絵本シリーズ)感想
★★★☆
普段はおばあちゃん、両親、子どもの4人で暮らしているらしい一家の大晦日から元旦までのうつろいを、中心に据えたこたつを真上から見た構図で描く。小物類はラベルとかがわかるようにあえて横倒し的に書かれているけど、色々なもののラベル、新聞紙や包紙、宅急便の伝票とかまで、細々と描き込まれているのが楽しい。
読了日:12月13日 著者:麻生 知子


くんちゃんのはじめてのがっこう◾️くんちゃんのはじめてのがっこう感想
★★★
新しいカバンをあつらえてもらったくんちゃん。タイトルの通り、お母さんに送られてはじめての学校へ。でも、あれれ? お母さんはいっしょにいてくれない? おまけに同じ教室の上級生が差されて黒板に答えを書いてる問題がちっともわからない、当てられたらどうしよう…。なんというか、いい先生ですね。この学校。
読了日:12月13日 著者:ドロシー・マリノ


くんちゃんはおおいそがし◾️くんちゃんはおおいそがし感想
★★★
子どもの一人遊びが、始まるまでは時間かかるけど、始まるとどんどん意外な方に転がり始める。ちょっと『となりのトトロ』のメイの一人遊びを思い出した。ほっこり。
読了日:12月13日 著者:ドロシー・マリノ


ゾウの鼻が長いわけ――キプリングのなぜなぜ話 (岩波少年文庫)◾️ゾウの鼻が長いわけ――キプリングのなぜなぜ話 (岩波少年文庫)感想
★★★★☆
訳者の方はこれが初めての単独訳書、とのことだが、プロフィールにタイトルのあるキプリング研究論文をまとめて博士号を取得された第一線のキプリング研究家。キプリングが自分の子どもにベッドサイドストーリーとして話して聞かせた物語に、自分で「しかけ絵」まで付した原著を、言葉遊びの要素も盛り込んで全訳、キプリングの挿絵まで収録したほぼ完璧版といえる日本語訳。すごい楽しい。これからキプリングを読んでみよう、という人には、最初の一冊としてオススメしてよいのではないか。
読了日:12月16日 著者:ラドヤード・キプリング


ストームブレイカー (集英社文庫)◾️ストームブレイカー (集英社文庫)感想
★★☆
この表紙には見覚えがあったッ(笑)! 読んでみるとッ(笑)、さながら文字で読む荒木飛呂彦ッ(笑)!! あの画風で場面場面がありありと目に浮かぶッ(笑)。…そういう意味では、よくまあ荒木飛呂彦を起用したものだと思うが、まあ、ライトなスパイ小説。とはいえ、この作者が『カササギ殺人事件』を後に書いたことを知って読むと、また別の感慨が…(笑)。
読了日:12月19日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ


マイク・マリガンとスチーム・ショベル◾️マイク・マリガンとスチーム・ショベル感想
★★★
マイク・マリガンの愛用のスチーム・ショベル、メアリ・アン。運河やハイウェイのために大活躍した時期を過ぎ、ガソリン、でんき、ディーゼルのショベルに世代交代していく中、都会を離れ、田舎の市役所建設に臨むのだが…。『ちいさいおうち』の作者らしいほっこりする絵本。
読了日:12月20日 著者:バージニア・リー・バートン


赤ずきん RED RIDING HOOD◾️赤ずきん RED RIDING HOOD感想
★★★
ビアトリクス・ポターが再話したペロー版の「赤ずきん」にヘレン・オクセンバリーが絵を描いた。イラストレーターのお名前はちゃんと覚えてなかったけど、今年巡回した〈アリス展〉でもアリスのイラストが紹介されていて、お土産に絵葉書買った中にあったよ。ペロー版ベースなので、ラストはアレなのだが、イラストレーターのアドリブで救いの予感を付与してある親切設計。まあとにかく、この絵はとてもいい。
読了日:12月21日 著者:ビアトリクス・ポター


くんちゃんのはたけしごと◾️くんちゃんのはたけしごと感想
★★★
くんちゃんシリーズ、今度は畑仕事のお手伝い。初めからうまくいくはずはないけれど…自分の仕事の邪魔になっていても、叱り過ぎず、自然、学びの機会を作るお母さんお父さんがいい感じ。
読了日:12月24日 著者:ドロシー・マリノ


くんちゃんのもりのキャンプ◾️くんちゃんのもりのキャンプ感想
★★★
くんちゃんシリーズ、今度は従兄弟とキャンプ。行く先々で動物たちの生活に触れるくんちゃん、その新しい知識はキャンプに役立つのか!? 訳者後書きの年月、発行の年月がはたけしごとと同じなんだけれど、2冊同時刊行だったのかな?
読了日:12月24日 著者:ドロシー・マリノ


不思議の国のアリス (角川文庫クラシックス)◾️不思議の国のアリス (角川文庫クラシックス)感想
★★★☆
ふと思い立って実家の本棚から。福島正実の訳で和田誠のカバー、イラストが楽しい。しかし、あとがきを読むと、この翻訳は1975年で、氏の没年の1年前。そして、翻訳を勧めたのは角川春樹! これは、噂に聞く「最強のSF文庫編集者」時代の仕事の一つであったか。そして、あの押しの強さを考えれば、ご存命なら福島正実版『鏡の国のアリス』が出ていた可能性もあったりしたのだろうか、などと、本編以外のところでいろいろ考えてしまったり。あ、本編のナンセンスぶりもしっかり楽しみました。
読了日:12月29日 著者:ルイス・キャロル


鏡の国のアリス (1959年) (角川文庫)◾️鏡の国のアリス (1959年) (角川文庫)感想
★★★☆
最新刊の広告に『幻魔大戦』12巻が載っているが、初版は昭和34年、あとがきによると、戦後間もなく翻訳して出版の機会がなかったものを角川が文庫として出版したもの。同時期に手に入る『不思議の〜』の文庫としては先に読んだ福島正実版とペアだったことになるが、アリスの口調などがやや古めかしい。とはいえ、ナンセンスなキャラクターのやりとりは十分楽しめる。とはいえ、こう読んでくると、福島正実もあとがきで触れていた、福島氏の前に角川文庫で出ていたという岩崎民平氏の『不思議の〜』も読んでみたくなる。
読了日:12月31日 著者:岡田 忠軒,ルイス キャロル

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