2019年10月に読んだ本2019年11月01日 20時00分34秒

 10月はなんだかマンガを固めうちで読んだ。『彼方のアストラ』は原作マンガもこれまで読まず、アニメも観ないままだったので、予備知識なしで存分に楽しめた。これは確かに一気読み向き。
 あと、吾妻ひでおご逝去の報に、手塚治虫以来の落涙。自分のコアを形成しているのは、今でもこの二人のマンガ家なんだなあ、ということを改めて実感した。

10月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:3343
ナイス数:255

エセルとアーネスト■エセルとアーネスト感想
★★★★
映画を観てきたので原作も読んでみた。絵本というよりマンガに近いレイアウトで、映画版はおおむね原作のストーリーをきちんと映像化している。動きをともなう演出で味わいが増しているシーンもありつつ、止め絵のつながりの方が余韻が残るシーンもあり。つまり、どっちもよい。内容的には『このロンドンの片隅に』でもありつつ、結婚からの二人の生涯を描き切った秀作。
読了日:10月06日 著者:レイモンド ブリッグズ


美術館へ行こう: ときどきおやつ■美術館へ行こう: ときどきおやつ感想
★★★☆
ちょっと小さい/ちょっと変わった美術館をめぐるガイドブック。ベルナール・ビュフェ美術館はちょっと前に原田知世のon-docでいったことがあるけど、不思議な空間だったっけ。場所も美術館の趣旨もまちまちながら、著者の訪ねる美術館はそういう空気感が感じられる、という点で共通してるのかも。あらためて、中谷宇吉郎の記念館は行ってみたくなった。それ以外もあちこち、機会があれば。
読了日:10月10日 著者:伊藤まさこ


くわた屋食堂 (バーズコミックス)■くわた屋食堂 (バーズコミックス)感想
★★★★ひとつひとつはOL女子の料理をめぐるほんわか日常スケッチ、メインのキャラが徐々に知り合いになっていく過程もほっこり。最後はピクニックでゆるやかにつながってたキャラが集合して大団円。そんな中、中学時代はつながりのなかった二人が焼き鳥の縁で友だちになって、久しぶりに故郷の街を訪ねるエピソードで、なんだかじんわりしてしまったのは何故だか自分でもわからない。
読了日:10月12日 著者:桑田 乃梨子


パラドックス・メン (竹書房文庫)■パラドックス・メン (竹書房文庫)感想
★★★★
なるほど、ワイド・スクリーン・バロックという言葉の定義の元になった、ということが120%納得できる快作。最新の科学知識に照らして怪しい点も(特にラストに関わる旧人類のあれこれとか)、まあ、気にしなくて大丈夫というか、機にする必要はない。ベスターとの比較では、ディティールをいくらでも書き込めそうなところがさらっと流されてるのがもったいないといえばもったいない。
読了日:10月13日 著者:チャールズ・L. ハーネス


こっちむいて!みい子 ベストセレクション まるごとみい子! (ちゃおコミックス)■こっちむいて!みい子 ベストセレクション まるごとみい子! (ちゃおコミックス)感想
★★★★
かつて時間帯移動前のテレビ朝日女児向け枠で、一年だけ講談社なかよしではなく小学館ちゃお(他)原作の年があって、しかも、みっつの作品をショートアニメで見せる『みいファぷー』という企画だった。そのうち『みい』がこの『こっちむいて! みい子』。そのアニメを観なければ知らなかった作品だが、アニメの各エピソードが毎回ツボで、気に入っていた。わざわざコミックスを買うまではしてなかったので、こういう企画はうれしい。セレクトもよくて、けっこうじわじわ目頭熱くして読んだ。シリーズ入門編として最高!
読了日:10月14日 著者:おの えりこ


相方システム~学園が選んだ運命の女の子~1 (Lilie comics)■相方システム~学園が選んだ運命の女の子~1 (Lilie comics)感想
★★★★
『マリア様がみてる』の姉妹(スール)は自分たちで相手を選ぶが、こちらは毎年のマッチングテストの結果から1年間の「相方」を選ぶ、というシステム。2年生で前年度「相方」だった二人が、それぞれに1年生の新しい「相方」と出会うところから始まるアレとかコレとか。いや、これは流石の袴田めら品質。
読了日:10月14日 著者:袴田めら
白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)■白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)感想
★★★★
この作中での国の荒廃の仕方を読むと、まるで今のどこかの国の姿を見せつけられているかのような底冷えする気分になる。それにしても、こういう国のありようは、前作が描かれた時にはどの程度構想されていたのか、もともと予見的だったのか、今までかかって書いたからこそこういった描かれ方になったのか、は、ちょっと気になる。
読了日:10月15日 著者:小野 不由美


白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)■白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)感想
★★★★
ああっ、そうくるか!? という展開の連続。そして、ここで引き!? そして糸を引いてるのはやはりあの人物なのか? やはり摂理の発動は意図的に止められていたのか? この配置で動き始めると状況はどう転がるのか? 待て、次巻!
読了日:10月18日 著者:小野 不由美


彼方のアストラ 1 (ジャンプコミックス)■彼方のアストラ 1 (ジャンプコミックス)感想
★★★☆
いや、映画だと『インターステラー』にも『アド・アストラ』にも、なんかモヤモヤ感がある訳ですよ。映像の作りはすごいんだけど(どっちかといえば『アド・アストラ』推し)。このマンガの方がそのあたりの惑星間、恒星間航行を前提とした設定の作りに納得感。そして冒頭からギャグ連発の主人公たちがいい。
読了日:10月19日 著者:篠原 健太


彼方のアストラ 2 (ジャンプコミックス)■彼方のアストラ 2 (ジャンプコミックス)感想
★★★☆
惑星ごとの生態系の違いが、ストーリーとうまくかみ合っていい感じ。あと、パルプマガジン風の口絵もいいすなあ。
読了日:10月19日 著者:篠原 健太


彼方のアストラ 3 (ジャンプコミックス)■彼方のアストラ 3 (ジャンプコミックス)感想
★★★★
こ、このキャラクターの設定……これはやはり、11人いる、ならぬ9人いる!?
読了日:10月19日 著者:篠原 健太


彼方のアストラ 4 (ジャンプコミックス)■彼方のアストラ 4 (ジャンプコミックス)感想
★★★★☆
前巻から今巻にかけては『インターステラー』要素がちらほら、そして、他の巻より少なめのページ数の中でどんでん返し連発。そうだよねえ、たしかに、とある言葉、今まで出てきてなかったよ。あーびっくりした。そして、たしかに話はここで切らないとね。
読了日:10月19日 著者:篠原 健太


彼方のアストラ 5 (ジャンプコミックス)■彼方のアストラ 5 (ジャンプコミックス)感想
★★★★☆
これまでの伏線がきちんと回収されつつ、あのマンガとかあの小説を彷彿とさせる主人公たちの葛藤にも一人一人決着をつけつつ、宇宙SFとしての最大の謎解きも上手くハマって、ラストはさわやか。なるほどこれは極上のジュブナイルSFマンガ! 大団円!!
読了日:10月19日 著者:篠原 健太


不条理日記 完全版■不条理日記 完全版感想
★★★★★
これへの書き下ろしが遺作になってしまうとは…。こうして集められてみると、吾妻ひでおのSF愛がパロディとオリジナル作品で、一方で日常もセルフパロディに、それらが渾然一体となって、いいセレクト。吾妻ひでおがいなければ、自分はこんな人になってなかったのは間違いない。RIP
読了日:10月22日 著者:吾妻ひでお

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