2019年8月に読んだ本2019年09月01日 07時34分36秒

 『ガラスの仮面』マラソン(笑)が終わったので、今月はなんとマンガがなかった。読んだ本の内容は、まあ、ごった混ぜだけど、ルシア・ベルリンは流石の岸本佐知子品質。あと、嵐山光三郎がよかっった。
 因みに、ちょこちょこ訳してるキース・ロバーツ『Molly Zero』の第1章と第2章を印刷ファンジン(発行予定は未定…)向けにレイアウトして、校正用にpdf化してます。読んでみたいとご希望の方はtwitter(@k_takoi)へのDMか、なんらかの手段でご一報ください。

8月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2924
ナイス数:98

三体■三体感想
★★★☆
ちょっと出遅れ感あるけど、読み始めたらさくさく読めた話題作。文革の残酷描写から重々しく始まったのが、現代編に入ったらいきなりベイリーばりのバカSFっぽい展開に。と、思ったら平井和正ばりの人類ダメ小説へと転調する、前の方にチラッと出てきたささいな要素が後半で意外な活かされ方をするのも、奔流のようなアイデア同様オドロキ。しかし、こんだけ売れてるけど、バカSF読み慣れてない人は後半ついていけるのか!? ちょっとだけ心配。
読了日:08月03日 著者:劉 慈欣


玉依姫 八咫烏シリーズ 5■玉依姫 八咫烏シリーズ 5感想
★★
今までも大概イヤミスなシリーズだったが、これは今までで一番のイヤミス。人も人でないものもばたばた死ぬし、なんとも後味悪い。あと、あらすじ紹介とかで「エピソード0」といってるのは完全にミスリードで、時系列は過去のエピソードの後だし、位置づけ的にも完全に本編の続き。
読了日:08月06日 著者:阿部 智里


子供のための教訓詩集■子供のための教訓詩集感想
★★★
キース・ロバーツのMolly Zero でヒロインのモリーが子どもの頃に読んだらしいナンセンス詩集。ようやく邦訳版を読めたが、これも全訳ではなかった。亀を見て詩を思い出す、というくだりがあるのだが、その亀の絵はたぶん本書の表紙のこれなんだと思う。
読了日:08月09日 著者:ヒレア ベロック


あずかりやさん  彼女の青い鳥■あずかりやさん 彼女の青い鳥感想
★★★
盲目のあずかりやさんシリーズ3冊目。今回は謎の「彼女」が見え隠れする構成のオムニバス。今回はちょっと構成を作り込みすぎかな? という印象。売れない作家さんの話はちょっとほっこり。
読了日:08月09日 著者:大山 淳子


あの人に会いに 穂村弘対談集■あの人に会いに 穂村弘対談集感想
★★★★
なんというか、世代、対談相手の人選から、同じ文化を共有している感がありつつ、でも、同じような機会をもらっても、自分ではこんな言葉を相手から引き出せないだろうという嫉妬を感じる素晴らしい対談集。特に高野文子さんの語る内容は貴重だ。
読了日:08月12日 著者:穂村 弘


弥栄の烏 八咫烏シリーズ6■弥栄の烏 八咫烏シリーズ6感想
★★★
十二国記かと思って読んでいたら海のトリトンだった。しかも徹頭徹尾ちなまぐさい。
なんていうんだろう、最後の2冊でのシリーズとしての伏線回収や世界観の決着のつけ方が個人的には膚に合わない。読者を驚かせるため、ストーリーの叙述トリックやストーリーの意外性のためにキャラクターが作者の意図のままに扱われてる印象が強い。よく出来ているしキャラクターに感情移入させる描写もうまいので、ファンが多いのは理解できるけど。
読了日:08月14日 著者:阿部 智里


アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA)■アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA)感想
★★★★
なんと二人称の宮沢伊織「キミノスケープ」で驚かせつつ、各短編がいずれもアイデア、テクニックでSFとして秀作、傑作で、百合かどうか、どうでもいいじゃん、と思いかけたところでラストの小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」ガチSFでなおかつガチ百合だったのが確信犯的配置(笑)? ベストは「月と怪物」と「色のない緑」か迷うところ。
読了日:08月17日 著者:


掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集■掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集感想
★★★★☆
波乱万丈な本人の生涯をモチーフにしていた点で(ヘロインとアル中の違いはあるが)アンナ・カヴァン的な背景があるものの、より中南米の土着的な味わいがある。同じ名前、続柄の登場人物たちの、同じに見えて少しずれたエピソードが輻輳的に語られることで、あらゆる可能性が含まれた世界から、その時その時の語り手の観測で短編の物語を確定させているような印象。これは著者が思ってもみない効果かも? とはいえ、ラストの短編では語り手が「幸せなもう一つの人生」を現実と区別がつかないほどありありと語る。…あながち外れてもいないのかも。
それにしても、短編「星と聖人」は岸本佐知子エッセイかと思った。作者と翻訳家も一体感が…??
読了日:08月24日 著者:ルシア・ベルリン


烏百花 蛍の章 八咫烏外伝■烏百花 蛍の章 八咫烏外伝感想
★★★
番外編を集めた一冊。まあほどほどだけど、本編も含め、人がストーリーのためにあっさり死ぬのはやっぱり性に合わない。
読了日:08月31日 著者:阿部 智里


文士の舌■文士の舌感想
★★★★★
鷗外、漱石に始まり山口瞳、開高健あたりまで、明治から昭和までの錚々たる文士たちが通った料理店のうち、現存するものを訪ねて紹介する、という体裁だが、1人あたり5-6ページの分量の中に、その文士の生涯や作風に関する筆者の博覧強記が盛り込まれる。筆者が編集者として実際に付き合った際の逸話もさりげなく盛り込まれ臨場感を増す。拙速に読んでしまうのがもったいなくて、1日に一人か二人分、じっくり味わうように読んだ。何度でも読み返したくなる一冊。そういえば、登場する中では有楽町の慶楽は最近閉店したっけ。
読了日:08月31日 著者:嵐山 光三郎

読書メーター