2017年10月に読んだ本2017年11月01日 21時09分40秒

 10月はものすごく久しぶりに京都SFフェスティバルへ。いちばんのお目当てはジーン・ウルフ企画だったが、レム企画も、3Dアニメ企画も、伊藤計劃以後は終わった(笑)企画も、それぞれに楽しめた。
 最近SFセミナーは昼企画のみにしたりしているが、今回は合宿も参加。久しぶりにまったりと楽しんだ。とはいえ、日付が変わる頃にはだいぶ体力を消耗(笑)。
 とはいえ、東京出張の翌日が京フェス、その翌週も1泊2日の東京出張あり、さらに翌週には謎の岡山出張もあり、あちこち行ったり来たりの慌ただしい月ではあった。

■細馬宏通『二つの「この世界の片隅に」―マンガ、アニメーションの声と動作―』 青土社
読了(2017-09-23) ☆☆☆☆★

 マンバ通信でのWEB連載中から楽しみに読んでいた細馬宏通氏の『この世界の片隅に』原作〜映画比較論。これはもう、いろいろな意味で名著。
 自分もこのblogの『この世界の片隅に』私論のために、けっこう読み込んだつもりではあったが、本書を読むと、まだまだ気がついてなかった要素がちらほら、もっとマンガを読んで、もっとアニメを観たくなる一冊。
(実は9月に読んでいたけど、先月分で書き忘れていたので、こちらに(笑))

■ジェームズ・モートン『世界に通用するビールのつくりかた大事典』 エクスナレッジ
読了(2017-10-22) ☆☆☆

 最近翻訳されたホームブルワー向けのビールの教科書。
 化学的に不正確な記述はあるものの、醸造学、微生物学、および衛生面で実用上は問題ないというか、そこまでやらんでも、というくらい詳しいのでちょっと感じ入っている。
 酒税法上、日本のご家庭ではやっちゃいかんが、国内のクラフトブルワーの方々が参考書とするにはよさそうに思う。

■ジョー・ウォルトン『わたしの本当の子どもたち』 東京創元社(創元SF文庫)
読了(2017-10-22) ☆☆☆★

 一人の女性の「選択」で分岐した世界を交互に語っていくという物語の形式としてはもう一つの『エロス』(広瀬正)と言えるが、意識の混濁が世界の混濁につながるというアイデアの点ではプリースト的要素もあるように思った。
 そして大野万紀さんが指摘している通り主人公はすずさんと同年代(一つ下、ということはすみちゃんと同い年)なのもいろいろ考えさせられる。

■七月鏡一・早瀬マサト『幻魔大戦 Rebirth』6巻 小学館(少年サンデーコミックススペシャル)
読了(2017-04-22) ☆☆☆

 ついに6巻。謎の異次元空間「幻魔領域」での東丈の彷徨。平井幻魔なら、東丈が消えた後の世界を語ったが、本作はどこかに消えた東丈の物語を実直に描く。
 また月が落ちてこないように、みんな、コミックスを買おう(笑)!

■北村薫『太宰治の辞書』 東京創元社(創元推理文庫)
読了(2017-10-31) ☆☆☆☆★

 ハードカバー版が新潮社から出たのは、作中で新潮社と新潮社の昔の本が重要な役割をしていたからだったのだろう。
 文庫は古巣の東京創元社から、ではあるが、本書執筆後の裏話を語るエッセイや、若き日の円紫さんが描かれた番外編的短編などを収め、口絵には作中に登場する書物の実物の写真もあり、いわば『太宰治の辞書・完璧版』。ハードカバーで読んだ人も、これは買わねば。

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