2016年8月に読んだ本2016年09月08日 21時31分37秒

 8月は出張とか帰省とか重なって北は北海道、仙台から西は名古屋まで、個体移動距離がえらいことに。そんな中、読んだ本の冊数はちょっと少なめ。
 ともあれ、第3回となる名古屋SFシンポジウムは今回も面白かったですね。

■円城塔『バナナ剥きには最適の日』 ハヤカワ文庫JA
 宇宙探査船に搭載された人工知能の孤独をちょっとユーモラスに、ちょっと哀感をこめて描く表題作他、着想、描写ともいかにも円城塔だが、円城塔らしいなりにバラエティに富んだ短編集。円城塔入門にはこのくらいがいいのかも。

■北野勇作『カメリ』 河出文庫
 懐かしの『どうぶつ図鑑』でシリーズ開始して細々と書き継がれてきた『カメリ』シリーズが一冊に。『どろんころんど』ともつながる不安定な世界観とキャラクターがが「おもしろうてやがてかなしき」絶妙の空気感を醸し出している。

■深緑野分『オーブランの少女』 創元推理文庫
 『戦場のコックたち』がよかったので初短編集にも手を出してみた。少女を共通テーマにしつつも、ギムナジウムもの?からファンタジーまで作風の幅広さを感じさせる一冊。

■山本幸久『幸福ロケット』 ポプラ文庫
 前に読んだ、ロアルド・ダールと半村良がキーポイントの初々しい読書会?小説『幸福トラベラー』の前日譚、姉妹編としては姉の方にあたる長篇。
 こちらもまた、ダールと半村良と星新一と平井和正などなどがおおいにキーとなる『〜トラベラー』以上に初々しくて(なにしろ、こちらの主役は小学生である)ちょっとほろっとする読書会?小説だった。
 ということで『幸福トラベラー』のラストと番外編で思わせぶりに出てきたキャラクターの背景がよくわかった。なんとなく全登場人物がひととおり収まるところに収まっちゃった感じなので、このシリーズは二部作で完結、という感じなのかな。

■宋美玄、姜昌勲、NATROM、森戸やすみ、堀成美、Dr.Koala、猪熊弘子、成田崇信、畝山智香子、松本俊彦、内田良、原田実、菊池誠『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』 メタモル出版
 子育ての周辺に跳梁跋扈する怪しげな情報に対して、わかりやすく語りかけるように説明する。記事ごとの長さもさらっと読むのにちょうどよく、例え話も納得感がある。信者の説得にはならないだろうが、予備軍を踏みとどまらせるにはよい内容になっていると思う。広く読まれて欲しい。

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