2016年6月に読んだ本2016年07月09日 07時22分17秒

 なんだかんだで仕事が立て込んでいて、今月も少なめ。
 トピックとしては、『たんぽぽ王朝記』はフライング入手できたのでほぼ発売日に読了(笑)。

■深緑野分『戦場のコックたち』 東京創元社
 ノルマンディー作戦から従軍したアメリカ軍のコックが経験した身の回りのちょっとした謎をめぐるミステリ、謎にかかわる事件では人は死なないものの、戦場では昨日までそばにいた同僚がばたばた死んでいく。エピソードごとの「謎」も、北村薫的な「ちょっとした日常の謎」から、読後感の重い長篇通してのテーマに徐々に深まっていく(そして、その伏線はちゃんと序盤からしかれている)のが見事。ミステリとしても、一兵士視点での戦場をめぐるドラマとしても秀作。

■ケン・リュウ『蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二:囚われの王狼』 新☆ハヤカワSFシリーズ
 店頭に並ぶ前にフライング入手してすぐに読み始め(古沢センセありがとうございました)、前巻同様のワクワク感で(日々の読書時間は少ない中では)ほぼ一気読み。
 中国風の要素の多い架空世界で、群島に多くの国々がある、という設定も含め、日本の読者は三国志だけでなく十二国記もちょっと連想するのではないか。十二国記はあらゆる意味で「人工的」で(どこかにいるらしい)ゲームマスターに国家間の戦争は固く禁じられている(その人工ルールの極みで、失政すると王は死ぬ)が、こちらは英雄群像と国家間の抗争が主眼、という違いはあるものの、物語を通して「国を統治する」ことの難しさを感じさせる、という点では共通項もあるように思った。
 一気読みでいろいろ取りこぼしてるところもあると思うので、続刊が出る前くらいにゆっくり読み直したい。

■R・A・ラファティ『地球礁』 河出文庫
 地球人ではないらしいプーカ人の一族(特にその子供たち)があばれまくるラファティらしい一作。地球人じゃない種族が出てくるとはいえSFとは思えず、普通の意味での小説、物語の枠にもおさまらない不思議な読後感は、解説にある「ラファティの目で見えていた世界」という指摘が一番しっくりくるかもしれない。